【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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大魔法使いメレブと無名の大魔族 PART 17

とある日の夕暮れ───。

 

かつて大魔法使いのメレブと一緒に旅をした共生派の大魔族のソリテールはフリーレンと向かい合うようにメレブの魔法の杖を構えていた。

 

「いつでもいいわよ。フリーレンさん」

 

「こっちもいいよ。ソリテール」

 

ふたりは魔法の杖を突き出す。いや、むしろ魔法の杖を槍のように振るい、さながら戦士のごとく杖と杖を打ち合わせる。

 

「『眉毛を内側に穿つ魔法(    ヨシズミ    )』」

 

「『魔法を弾く魔法(  マホカンタ  )』」

 

ソリテールの放った魔法は『眉毛が太くなる魔法』を戦闘用に改良し、眉毛が内側に向かって伸びるようになる。

 

これはメレブの魔導書を読んだ魔法使いでなければ絶対に防げない魔法であり、ほんの僅かにフリーレンの頭蓋に眉毛が突き刺さる。

 

だが、フリーレンはすぐに魔法を跳ね返す効果を持つ魔法を使用し、ソリテールに向かって『眉毛を内側に穿つ魔法』を跳ね返し、彼女の魔法をそのまま彼女に見舞った。

 

「ふふふっ。やるわね」

 

たらりと血を流しながら微笑む姿は数分前のおおらかで物腰の柔らかな彼女とは別人だった。チクチクと痛む眉毛を擦りながら「これもメレブの魔法か」と嬉しそうに呟いた。

 

「フェルン。あれどうなってるんだ?」

 

「とても高度な魔法の応酬です。ですが、おふたりの使っている魔法はすべてメレブの魔法ですので判断するのは難しいです」

 

「なるほど」

 

フリーレンの弟子のフェルンも少しだけメレブの魔法は使えるけれど。彼女はずっと「ほとんど役に立たない魔法」と考えていた。

 

しかし、その考えは二人の大魔法使いによって簡単に覆された。あのどうしようもなくくだらない魔法は人目を欺くためにメレブの使った偽装であり、フリーレンはそれに気が付いていたのだ。

 

「『手のひらに電気を留める魔法(     チョイデイン     )』」

 

「くあっ!?」

 

バチチチッ!

 

ソリテールの右手がフリーレンの肩に触れた瞬間、青白い電気が迸った。たまたま天界でそれを見ていた仏は「えっ。うわ、スタンガンじゃん」と普通にドン引きしていた。

 

「『顎を揺さぶる魔法(   シャクレナ   )』」

 

フリーレンの放った魔法がソリテールに命中すると同時に彼女の身体は斜めに向かって倒れる。本来は顎をしゃくれさせる魔法だが。フリーレンはそれを応用し、連続でしゃくれさせることで無理やり脳震盪を起こしたのだ。

 

「低次元のクセにハイレベルだわ」

 

「そうなのか?」

 

「そうなの?」

 

「えぇ。そうなのよ」

 

ミーネは同じように問いかけてきたシュタルクとグリーゼルに答えつつ、密かに互角だと思っていたフリーレンがソリテールと渡り合えていることに焦り、ふたりの応酬を悔しげに睨み付けていた。

 

「ふふふっ、すごいわ。私の魔法をこんなに返してきたのはゼーリエさんとマハトくらいだったから。とっても楽しくて仕方ないわ」

 

「そう。ありがとう」

 

「……でもね。もうこれでおしまい」

 

そう言うとソリテールはメレブの魔法の杖を地面に置き、ゆっくりと手のひらに剣を作り出す。その剣こそ唯一ソリテールが魔族として生活していたときに身につけた魔法だ。

 

「おやすみなさい」

 

「えっ」

 

するりとフリーレンの真横を通りすぎ、パタリと彼女が倒れたのを確認したソリテールは手に持っていた剣を消す。かつて勇者ヨシヒコの携えていた「いざないの剣」の効力を真似て作った不殺の武器だ。

 

「ついでにハナブーをかけてきましょう」

 

「それはやめてください。ソリテール様」

 

フェルンはスヤスヤと眠っているフリーレンを守るように立ち塞がって「さすがに可哀想です」と言いながら彼女を抱き締める。

 

「ふふふっ。ただの冗談よ」

 

わりと本気で掛けようとしていた。

 

 

 




〈ソリテール〉

実は世界最強かもしれない魔族

大魔法使いのメレブの魔法を戦闘用に改良し、なぜか襲ってくることのある殲滅派の魔族に使っている。とくにハナブーで女の子の魔族にイタズラするのが彼女のブームになっている。


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