【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の朝────。
七崩賢の大魔族にして断頭台の異名を持つアウラは穏やかで暖かな日差しに照らされながら目を覚ました。どうやらあの魔族の子供、リーニエの住処に運び込まれたのだろう。
そう納得してアウラは寝返りを打った。
すると彼女の目の前にマッチョでナイスガイなエルフのイケメンが殆んど半裸に近い格好でスヤスヤと気持ち良さそうに寝ていた。
「?」
ソッと目を閉じる。
「???」
ソッと目を開ける。
「…………いや誰よ貴方はあぁっ!!?」
ようやく状況を理解したアウラは布団を蹴り飛ばし、ペタペタと自分の身体を触っている。とくに衣服は乱れている様子もないけれど。
エルフの反対側、つまりアウラの使っていた腕の逆側にアウラとおなじようにリーニエも眠っていた。そのあまりにもおぞましい状況を再び理解したアウラは「ひぇっ。エルフって怖い!」と呟き、山小屋の隅に逃げてしまった。
「…んっ…ふわあぁ……」
むくりと欠伸をしながら起き上がったリーニエはモゾモゾと布団の中に戻ったかと思えばエルフのイケメンを蹴り飛ばした。
「おっさん臭い。おやすみ」
「そ、それだけなの!?ねえ、もっと他に言うことがあるんじゃないかしら!『きゃー、変態エルフ』とか『この変態クソ野郎』とかあるんじゃないの!?ねえ、ちょっと寝ないで!!」
「リーニエよ。何度言えば分かる。師匠は蹴飛ばすものではなく敬うものだ。あと蹴るときはバランスを考えろと言っているだろう」
アウラは「えっ。こっちもなの!?」と驚愕の表情でエルフを見上げる。その視線に気がついたマッチョでナイスガイなエルフは爽やかな笑顔で「俺はクラフトという。まあ、こいつの師匠をやっている僧侶だ」と挨拶をしてきた。
「私は断頭台のアウラよ」
「お前が断頭台のアウラなのか」
「えぇ。そうよ!」
クラフトのビックリした顔にアウラはフンスと胸を張って頷く。リーニエは「私より弱いのに偉そうだなあ…」と思い、また布団に潜った。
「まあ、お前の事情は察した」
「こ、ころすの?」
「いや、無益な殺生はしない。だが、同族に会うのが初めてのリーニエはお前に興味を持っているようでな。少しばかり相手をしてやってくれ」
「はじめて?」
アウラは首を傾げる。
いくら魔族とはいえ子供をひとりだけで放置するということは絶対に有り得ない。アウラの属する殲滅派、それにソリテールやマハトの共生派も子供の魔族は大切にする。
「……まあいいわ。よろしくリーニエ」
「うん。よろしくアウラ」
「だから『様』をつけなさい!」
「はっはっはっ!」
アウラのとても奇妙な交流が始まった。
〈アウラ〉
かなりビビりな大魔族
なぜか半裸のクラフトに腕枕をされている状況で目覚めたたせいで死ぬほどビビった。しっかりとした殲滅派だけど、共生派にも顔は広い。
〈リーニエ〉
無知で無邪気な暴君
いつも腕枕してもらっているけど。やっぱりエルフのおっさん特有の臭いは嫌いなので目覚めと共に蹴り飛ばすようにしている。同族はアウラ様がはじめてだったりする。
〈クラフト〉
マッチョでナイスガイなエルフ
リーニエの修行を見守るために山小屋を建て。ちゃんとした器具も手作りし、もはや彼の立場は師匠ではなくお父さんかもしれない。