【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
ありがとう!
とある日のお昼過ぎ───。
七崩賢の大魔族にして断頭台の異名を持つアウラはバケツに大量の水を入れて移動していた。すべてはお風呂に入るためだ。
ここにいるクラフトとリーニエは川で清めれば問題ないと思っちゃうタイプだったので。アウラは気を失っていた期間も合わせて、一日半ぶりに温かいお風呂に浸かることを目指している。
「フンッ!フンッ!フンッ!」
アウラは今日も元気にリーニエの乗った巨大な岩を担ぎながらスクワットに励んでいるクラフトの目の前を無表情で素通りする。
たとえ衣食住を貸して貰っている間柄とはいえ変態、ましてやエルフと馴れ合うのは七崩賢の大魔族であるアウラにとっては難しい事だ。
「師匠。これ何の修行なの」
「体幹を鍛える修行だ!俺はついでに足腰だ!」
「ふーん」
そのやり取りを聞いていたアウラは考える。それはもう「あの変態エルフも真面目に師匠をやっているんだ」と失礼な事を考える。
「アウラ様は修行しないの?」
「えっ。それをやるの?私が?」
リーニエの突然の問い掛けに驚く。
しかし、それよりもアウラは絶対に自分じゃ持ち上げることのできない巨大な岩を持っているクラフトと巨大な岩のうえで片足立ちになっているリーニエを見上げながら「それは無理だわ」と呟いた。
そもそもアウラは一芸特化の大魔族だ。自分の魔法以外は不必要と断じて、それ以外は軍勢を用いれば事足りるのだ。
「でもアウラ様弱いし」
「やってやろうじゃない!!」
自分より年下の子供に煽られて対抗心をむき出しにするアウラにリーニエとクラフトは呆れながらも彼女が浮遊し、巨大な岩に乗るのを待つ。
「いいわよ!」
「そうか。なら始めるぞ!」
アウラの言葉にクラフトは身体を深く沈め、一気に立ち上がった。すると彼の頭上で「うひゃあ!」とか「ふにゃあ!?」なんていうリーニエにはなかった可愛い悲鳴が聴こえてくる。
「アウラ様。うるさい」
「し、しかたにゃいでしょおお!?」
まったくブレない片足立ちのリーニエとは対照的にアウラは四つん這いになって必死に落ちないようにしている。それでも彼女は七崩賢の大魔族だ。
「もしかして、立てないの?」
「立てるわよ!!あ」
スポーン…!
リーニエの一言にカチンと来たアウラはクラフトが沈んだ瞬間に立ち上がってしまった結果。とてもとても遠くまで飛んだ。
「師匠。私もやりたい」
「なにがだ!」
「行ってくる」
スポーン…!
リーニエも飛んだ。
わりとアウラの近くで綺麗に着地すると枝に引っ掛かったまま気絶している彼女を下ろし、今度はおんぶしてクラフトのところに戻る。
〈アウラ〉
運動不足な大魔族
リーニエの言葉に対抗心を燃やしたり、なにかと彼女の言うことに反応しているのは彼女が接しやすいようにしているためである。クラフトに関してはリーニエの師匠なので攻撃しない。
〈リーニエ〉
パワフル魔族
はじめての同族にテンションは上がっているけど。あまり顔に出ることはない。ただ、ちゃんと相手してくれるアウラは好き。
〈クラフト〉
マッスルなエルフのおっさん
リーニエとアウラの衣食住は確保している。とくにアウラを警戒していることもなく普通に接しているし、どこぞで聞いた共生派のソリテールやマハトみたいになると思っている。