【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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なんか微妙な回復の魔法

とある日の朝────。

 

勇者ヒンメルとその仲間達(ハイター)は頭痛と吐き気に悩まされながら腐敗の賢老クヴァールとの戦いに向けて作戦会議をしているその時だった。どこか自信ありげにフリーレンは「新しい魔法を覚えたよ」と呟いた。

 

「今回はどんな魔法なんだい?」

 

「回復の魔法だよ」

 

「良かったな。ハイター」

 

「おぶっ、ありがどざまずっ」

 

アイゼンがポンと背中を軽く叩いただけで吐きそうになっているハイターは本当に有り難そうにフリーレンの近づき、ゆっくりと身体を倒して寝転んで回復の魔法を待ち望む。

 

その様子に流石のヒンメルとアイゼンも心配そうに彼を見下ろしながら「頼むよ、フリーレン」と言って彼女に視線を移す。

 

「『なんか微妙な回復の魔法(ホイミネ)』」

 

淡い蛍色の光がハイターを包んだ。

 

「これは、治ったの?」

 

そう言ってヒンメルはフリーレンに問いかける。どうにもハイターの顔色は悪いままだ。フリーレンはメレブの魔導書を開き、不適切なところがあったのかを確認している。

 

「あ、ごめん。この魔法、回復の条件として牛の睾丸、鹿の角、ハブの肝、ローヤルゼリーを摂取するように書いてある」

 

「……もう助からんな」

 

「ハイタあああっ!」

 

「はい。さっさと食べて、あーん」

 

「んごっ!ぐっ、くさぁ…」

 

アイゼンの無慈悲な一言にヒンメルは倒れ伏したハイターに泣きつく。だが、その悲しみはあっさりとフリーレンによって打ち砕かれた。

 

「僕が代わるよ、フリーレン!」

 

「ちょっ、ぐぶっ…!」

 

どうやらフリーレンのカバンには色々な素材やよく分からないものが詰まっているようだ。それよりもヒンメルからすれば二日酔い程度でフリーレンに甲斐甲斐しく「あーん」という素晴らしいことをして貰っているハイターにちょっとだけ嫉妬した。

 

「フリーレン、お前のカバンは何でもあるな」

 

「そうでもないよ。これは魔法のカバンで入る量が増えるだけで。私の欲しいものが自由自在に出てくるわけじゃない」

 

「そうか」

 

「そうなんだよ」

 

フリーレンとアイゼンは仲良し幼馴染みの二人のバカみたいなやり取りを見ながら彼女の持っている魔法のカバンについて話している。もっともフリーレンが魔法のカバンを買ったのは600年くらい前の出来事だったりすることをアイゼンは知らない。

 

「ぐっ、だずごぶぇつ」

 

「全く。勇者のすることか、それが」

 

アイゼンは「やれやれ」と言わんばかりにヒンメルの慈悲(しっと)深い「あーん」を受けて死にそうになっているハイターのところに向かう。

 

「メレブの魔法にも使えるのがあったね」

 

そうフリーレンは言ってクスリと笑う。

 

 

 




なんか微妙な回復の魔法(     ホイミネ     )

くだらない魔法

自称・大魔法使いのメレブの作った魔法。なんと七割ほど体力を回復するという破格の効果を持っているけれど。魔法の条件として、牛の睾丸、鹿の角、ハブの肝、ローヤルゼリーが必要である。


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