【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の午前中───。
七崩賢の大魔族にして断頭台の異名を持つアウラは魔族の子供であるリーニエの極めようと頑張っている『天地魔闘の構え』を教えてもらった。
しかし、アウラは完全に武術は素人なうえに攻撃用の魔法もほとんど覚えていない。最近は買い物や料理のお手伝いをすることで、やっと多少は動きも良くなったけれど。
まだクラフトとリーニエには及ばない。
「そのなんちゃらの構えは強いの?」
「アウラ様。歴史は勉強するべき。あと天地魔闘の構えは千年以上も前の大魔王様が編み出した最強の構えで破られたのは一度だけ」
「だ、大魔王様の構えなの!?」
「うん。だから絶対に覚える」
そう言ってリーニエは構える。
まさか自分の知らないことを知っていたことにアウラは驚きつつ、自分の目標に向かって頑張っているリーニエを見る。
アウラは「まだ小さいのに。偉いわね」と微笑ましく思いながらクラフトの攻撃を必死に防ぎ、攻撃に転じようとする彼女を応援し、あっさりと投げ飛ばされてきたリーニエもろとも茂みに落ちた。
「アウラ様。大丈夫?」
「へ、へいきよ、リーニエ」
「でも角が木に刺さってる」
「こ、これは私の必殺技よ」
「アウラ様も必殺技がある。すごい…!」
アウラは自分の角が刺さっている恥ずかしい状況だったとはいえ咄嗟にウソを言ってしまった罪悪感に抱く。それもそのはずだ。
彼女は真横でリーニエのキラキラとした眼差しに襲われているのだ。もう彼女はリーニエに「必殺技はウソでした」なんて言える状況じゃない。
「うっ、うおぉりゃあああぁあっ!!!」
とうとうヤケクソになったアウラはどうしても抜けない角を引き抜くために身体を仰け反らせた次の瞬間、えげつない音を立てて樹木が砕け散った。
「かっこいい…!」
「こ、これが私の『
わりと痛む角を擦りながらアウラはリーニエに「まず猛牛のごとく相手に突進して叩き上げ、何度も何度も角と頭突きをぶつけ、弱った相手を地面に叩き落とす!」とメチャクチャな説明をする。
「私もできる?アウラ様」
「もうちょっと大きくなったらね」
「わかった。頑張って大きくなる!」
そう言うとクラフトのところに戻っていくリーニエを見送った後。アウラはあまりの痛さに叫びそうになる声を噛み殺して木々を殴る。
どうやらめちゃくちゃ痛かったようだ。
〈アウラ〉
突進技の大魔族かもしれない
自分より年下でまだ子供のリーニエの見ているところでカッコ悪いことは出来なかった。だが、これから毎日のようにリーニエにせがまれて、自分の必殺技を披露することになる。
〈リーニエ〉
必殺技にときめくお年頃な魔族
自分より弱いと思っていたアウラの必殺技に興奮し、もっと食べて大きくなろうと野菜も食べるようになった。しかし、一番の目標は『天地魔闘の構え』なのは変わることはない。
〈クラフト〉
今後の相談役になるエルフ
アウラが必殺技を使えると聞いて興味を持つが、すぐに彼女のデマカセということに気付いたけれど。まだ子供のリーニエの夢を壊さないため、とりあえず黙っておくことにした。