【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

81 / 97
ひどいじゃない

とある日の真夜中────。

 

七崩賢の大魔族にして断頭台の異名を持つアウラはリーニエもクラフトも見捨てて必死に逃げ惑っていた。だが、どれだけ走ろうとソイツはずっと彼女の背後にピッタリと張りついている。

 

「おばけはいやあぁーーーっ!!!」

 

あと数ヵ月後には勇者ヒンメル達も通過する予定の村にやって来ていたアウラ達はおぞましい幽霊に追い回されていた。

 

その幽霊はどこぞの怨霊のごとく異様に伸びた両足をバッタのように利用し、泣きじゃくって逃げるアウラを追い回す。

 

もっともリーニエとクラフトは普通に幽霊を殴り倒しているけれど。アウラは普通に幽霊が怖くて逃げることしか出来ないだけだが。

 

それでも七崩賢の大魔族なのだろうか。

 

「闘魔傀儡掌…!」

 

「おお!闘気の技を会得したかリーニエ!」

 

「ふふん」

 

「ふたりとも助けなさいよおおぉぉ!?」

 

リーニエは幽霊を闘気の糸で縛り上げながらフンスと胸を張っている。その間もアウラは逃げているが、日頃のリーニエのおねだりのおかげで体力はあるため追い付かれる心配はない。

 

「アウラ様の必殺技…!」

 

「すまないな。アウラ」

 

すでに幽霊を倒し終えたリーニエはワクワクしながらアウラと幽霊を見つめる。クラフトは僧侶らしく女神に祈りを捧げ、これから幽霊に襲われるアウラの無事と生存を願う。

 

「ううぅああぁあああぁあっ!!!」

 

断頭台のアウラ、自暴自棄になる。

 

いや、もう逃げる気力も無くなり掛けていたアウラはリーニエの期待と尊敬の眼差しにプレッシャーを感じ、くるりと後ろに振り返って幽霊に突進し、見事に幽霊達を吹き飛ばしたのだ。

 

その光景をポップコーンを摘まみながら見ていた自堕落な仏は「うわっ、ハリケーンミキサーじゃん!うっそ、すんごい!!あ、やべっ、どっかにマンガ落としちゃった」と天界で焦っていた。

 

「アウラ様。かっこいい」

 

「と、どうぜんよ!」

 

やっぱりさっきの気色悪い見た目の幽霊に突撃するときは怖かったのか。アウラは半泣きになりながら抱きついてきたリーニエに抱きつき、そそくさとクラフトの傍に移動する。

 

「あら?アウラさん」

 

「うげっ。ソリテール…!」

 

「まあ。ひどい」

 

「クラフト。あいつは悪い魔族よ!だ、だからさっさとやっつけちゃって!!早くしないと、また、あんな、あんな…」

 

アウラの怯えようにクラフトは拳を構える。だが、すぐにソリテールという名前の魔族は人間と共生する派閥の代表の一人だと思い出す。

 

「危うく世界滅亡を起こすところだった」

 

それは冗談ではなく事実だ。

 

もしもソリテールが人間の手で死んだとなれば殲滅派の魔族は大義名分という名目で人間を殺すだろう。それほどまでに危ない瞬間だった。

 

 




〈アウラ〉

わりと苦労人かもしれない大魔族

なぜか幽霊に追いかけ回されるし、必殺技はしなくちゃいけないし、ソリテールには怯えないといけない。呪いでも受けているではないかと疑ってしまうほど運が悪い。ソリテールのオモチャである。

〈ソリテール〉

我らが慈愛の女神様です

共生派魔族の代表。メレブの魔法の伝道師であり、つねにスイーツと共に生きている究極の甘党かつ人間大好き清楚なお姉さん。彼女とメレブの伝説は世界各地に存在し、とくに有名なのは人魔大戦の時代である。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。