【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日の朝───。
七崩賢の大魔族にして断頭台の異名を持つアウラは目覚めにソリテールという超弩級の美少女の寝顔を見ながら起床した。
「…………」
ソッと両目を閉じるとアウラは「また、このパターンなのね」とクラフトを恨み、自分の片腕に抱きついて眠っているリーニエの頭を優しく撫でる。
もうアウラの癒しは無垢で愛らしいリーニエしかいないのだ。たとえむさ苦しいエルフのおっさんが付属していようと絶対に配下に加える。そう彼女は密かに誓い、また優しくリーニエの頭を撫でる。
その慈愛に溢れた表情は紛れもなくお母さんそのものなのだが。そのことにアウラは気付いておらず、どうやってソリテールを追い払おうかと必死に悩んでいる始末だ。
そもそもソリテールという無名の大魔族は存在その物が異質なのだ。かつて勇者と旅をした。そんな魔族はきっと彼女だけだろう。
なにより人魔大戦の時代もそうだ。
アウラの生まれる遥か昔に起こった魔神を名乗る化け物の討伐に人間とドワーフとエルフ、そして魔族の四種族は共同戦線を結成し、ソリテールはその時代も魔族の代表だった。
まず魔族が普通に共同戦線をしていることが可笑しいのだが。アウラも魔王も他の七崩賢の大魔族……いや、ひとりだけ気付いているけれど。とくに喋ったりすることはない。
「おはよう。アウラさん」
「ひぃっ!!」
「ぷぎゅうぅ…!」
いつの間にか起きていたソリテールに恐怖したアウラはリーニエを抱き締めた。その豊満な胸に包まれたリーニエは苦しみ、やがて動かなくなった。
リーニエは生きてはいる。
ただしアウラの柔らかな胸に包まれて、どこか懐かしさと安心感に思考が溶けていき、どんどん幸せな気持ちになっていく。
まさにバブみによる支配である。
ふとリーニエの脳裏に知らない記憶が通過していく。
だいたい事実なのでウソではない。
「お母さん」
「……えっ。私のことそれ?」
「もっとギューッして」
「え、えぇ。こうかしら?」
突然のお母さん呼びに困惑しながらもアウラはリーニエを優しく抱き締める。そんなアウラの後ろでソリテールは優しく慈しむ聖母のごとき笑みをふたりに向け、そっと離れていく。
「まさか子持ちだったなんて…!」
ソリテール、痛恨の勘違いである。
アウラは別に結婚していないし、別にクラフトが父親というわけでもない。むしろリーニエにバブみを感じさせるアウラのせいである。
〈アウラ〉
驚異のバブみを纏う大魔族
ソリテールにビビったらリーニエにお母さんと呼ばれるようになってしまい。どうしようかと困惑しながら定期的に彼女を抱き締めている。
〈リーニエ〉
お母さんを見つけた魔族
お母さんとの記憶(いつも普段やってること)が脳裏を過り、アウラをお母さんと認識した。定期的、いや高頻度でお母さんっ子になる。