【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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マッスルじゃない

とある日のお昼過ぎ───。

 

七崩賢の大魔族にして断頭台の異名を持つアウラはクラフトの超魔生物のごとく筋骨隆々になってしまった最古参のリュグナーと新人のドラートに申し訳無さを感じつつ、自分の肉体美にうっとりする二人を嫌悪感むき出しに見つめる。

 

アウラは程好いマッチョが好きなのだ。

 

彼女は決して筋肉の要塞やゴリゴリマチョマンの変態が好きなわけではない。むしろ好みのタイプは渋さの増していく細マッチョが好きだ。

 

「アウラ様。りんご食べよう」

 

「えぇ。そうね。ソリテールもどう?」

 

「まあ。ありがとう」

 

アウラの来た頃は普通に僧侶としても武道家としても真面目だったはずのクラフトはいつの間にかマッスル・キングダムなる派閥を作ろうとリュグナー達に話を持ちかけている。

 

「ところで。アウラさん」

 

「なにかしら」

 

「勇者ヒンメルはどうだった?」

 

そう言ってアウラに問い掛けるソリテールの眼差しはなにかを懐かしむ。いや、なにかを尊ぶように問い掛けている。

 

「そうね。まずヒンメルは強いわね。私の好みじゃないけど、かなりイケメンだった。あと南の勇者が私に使った『いざないの剣』に似た剣を持っていたような気がするわ」

 

「ふふっ。そう、いざないの剣を…」

 

ソリテールはなんだか安心したように微笑み。リーニエにお菓子の山を手渡している。ついでにアウラももらったけれど。

 

なぜか煎餅だった。

 

「お母さん。これあげる」

 

「もう別に良いのよ?ほら貴女が食べなさい」

 

「あーん」

 

「……もう。しょうがないわね」

 

リーニエは雛鳥のように小さな口を開いて「あーん」を要求する。アウラもアウラで吝かではないようなことを言いながらクッキーを与える。

 

「アウラ様。少し宜しいでしょうか?」

 

「なにか…服を着なさい」

 

「着ておりますが?」

 

「それは下着よ!ちゃんと着なさい!!」

 

「我が美体を隠すことになるとは……」

 

リュグナーとドラートは渋々ながら衣服を着用し、彼女の足元に傅き、今度こそ用件を伝えようとする。だが、バリバリと音を立てて衣服が裂けた。

 

「ほんの少しばかりお暇を頂きたく」

 

「…………はあ、それくらい別に良いわよ?あと服は縫い直してあげるから集めておきなさい。ドラートもリーニエも手伝ってあげて」

 

「はっ。畏まりました」

 

「いや…!そいつ汗臭い」

 

ドラートは素直に答えて、リーニエは素直に拒否する。それもそうだろう。だってドラゴンみたいにマッチョなやつが着ていた服を集めるなんて、まだまだお年頃なリーニエでは無理なのだ。

 

リュグナー、憐れなり。

 

 

 




〈アウラ〉

細マッチョ派な大魔族

最古参と新人を超魔生物のごときマッチョに作り替えたクラフトのトレーニングを受けているリーニエを心配しながら自分の二の腕を気にする。

〈リュグナー〉

超魔生物のごときキン肉(の魔)族

もうマッスルはので魔法なんて使わないし、ほとんど超魔生物のごときマッスルでマッチョなキン肉たちと共に悪い魔物を倒す旅に出ていった。


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