【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
もしもアウラ様と出会わなかったら、天地魔闘の構えだけを追い求めていたら、彼女はどうなっていたのだろうか?
とある日のお昼過ぎ────。
ちっちゃい魔族のリーニエは勇者ヒンメルとその仲間達を魔王城の中心部、白い宮廷庭で出迎える。しかし、魔族ぶっ殺すウーマンことフリーレンは小首を傾げて、まったく構えを変えないリーニエに困惑していた。
「ねえ。何してるの」
「天地魔闘の構え」
「ヒンメル。知ってる?」
「一応、知ってるけど……」
フリーレンの問い掛けにヒンメルは頷く。
だが、フリーレンとハイターは気付いていないもののヒンメルとアイゼンはリーニエの構えに底知れない恐怖を感じ、いつでも武器を抜けるようにしながら彼女を警戒する。
見向きもしないリーニエにフリーレンは異様で異質な不安を抱き、ゆっくりと魔法の杖を構えようとした瞬間、フリーレン達は吹き飛んだ。
「フリーレン。大丈夫か?」
「ありがとう。でも近いよ」
「いつもと逆ですね。アイゼン」
「そうだな。だがたまには良いだろう」
ヒンメルはゆっくりとフリーレンを地面に降ろし、アイゼンもハイターを地面に降ろして、未だに天地魔闘の構えを維持するリーニエを見据える。
まだまだ成人もしていない見た目の魔族の子供にヒンメル達は、勇者PTの四人は吹き飛ばされた。これは前代未聞どころの話ではない。
「さっきのは『フェニックスウィング』という掌圧を使って魔法を掻き消す。もしくは相手を弾き飛ばす防御の技だ」
そう言うとアイゼンは戦斧を構える。フリーレンは「アイゼンも知ってるのか」と驚きつつ、やっぱり男の子はそいうのが好きなんだろうかと考える。
「よく知ってるね。もじゃもじゃ」
「俺はアイゼンだ。チビっ子」
「じゃあ。どう破る?」
どこか挑発じみた言葉を呟いてリーニエは右手を天に上げ、左手を地に下げて構える。その構えにヒンメル達は警戒する。
しかし、リーニエはまだ『フェニックスウィング』のみしか使っていない。そして、フリーレンは二つの奥義を隠し持っていることを知らない。
「アバンストラッシュっ!!」
「ギガブレイク…!」
「『
「『
ヒンメルは勇者の剣を逆手に飛び上がり、アイゼンは地割れを伴ってリーニエに突進する。フリーレンは二人の攻撃力を限界ギリギリまで上昇させて、ハイターは女神の残した銀のタロットに記された魔法をリーニエに向かって放つ。
「天地魔闘…!」
そうリーニエが宣言すると同時にヒンメルとアイゼンは彼女の後方に吹き飛び、フリーレンとハイターは不死鳥のごとき火炎に押し潰された。
「ぐっ、ぐうぅ…!正に天地魔闘だな」
「そこの魔法使いは分かってないみたいだから解説してあげる」
そう言うとリーニエは構えを解く。
「天とは即ち攻撃」
右手を天に向かって掲げる。
「地とは即ち防御」
左手を地に向かって構える。
「魔とは魔法のこと」
フリーレンやハイターには劣るものの大魔族に匹敵しうる絶大な魔力を放出しながらリーニエは大胆不敵な笑みを浮かべる。
「……私もあの大魔王のように言わせてもらう。『天』よ叫べ!『地』よ唸れ!今ここに、『魔』の時代来たる!」
そう言ってリーニエは獰猛に笑った。
〈リーニエ〉
もしも魔王軍に入ったら
クラフトと出会った後。そのまま魔王軍に参加していたら。きっと彼女は七崩賢の大魔族に並びうる、あるいは越える存在になっていただろう。