【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法 作:SUN'S
とある日のお昼前────。
元・七崩賢のアウラはようやくグラナト伯爵領に到着したリュグナーとドラート、あと知らないマッスルでガチムチな魔族に甲高い悲鳴を上げた。
「アウラ様。どうしたのですか?」
「ど、どどどどうしたじゃないわよ!?なんで下着だけなのよ!ちゃんと服を着るように私は言ったでしょう!?」
「はっ。しかし、我々に布は窮屈で…」
「おばかっ!このおばか魔族!」
アウラはあまり痛くなさそうな張り手でペシペシッ!とリュグナー達の頭を叩き、シーツや毛布、コートなんかを彼らに手渡していく。
その様子を見ていたリーニエは「やっぱりお母さんを守れるのは私だけ」と新たに覚悟を決める。久しぶりの再会だというのにアウラはもうすでに心労で倒れそうになっている。
わらわらと騒ぎを聞き付けてきた衛兵も「ああ。アウラさんの知り合いか」と納得する。最近、人類側も魔族のほとんどが甘党もしくは変態しかいないと考えるようになってきたことを彼女は知らない。
「はあ…もういいわ。それで?後ろにいる魔族達はどうしたのかしら?まさか殲滅派に戻ったわけじゃないわよね?」
「彼らは同族の……いえ筋肉の民です」
「筋肉の民!?」
「はい。アウラ様と別れて幾年月、私とドラートは筋肉の限界に直面しておりました。そして、私達は魔力ではなく筋肉を崇拝する彼らと……筋肉の民と出会いました。ご覧の通り、彼ら大きく分厚く雄々しく逞しいほど膨らんだ筋肉は『美しさ』その物です」
「全然分からないわ」
そう言ってアウラは自分の頭を抱える。
これはもう目眩や頭痛なんて生易しいものじゃない。アウラは筋肉の崇拝者になってしまった、かつての部下と新人を見つめる。
ゴリラを超えたゴリラ。たぶんゴリマッチョとかそういう感じの呼ばれ方をする見た目になってしまったふたりは誇らしそうに筋肉を弾けさせる。
「とりあえず、別館は使っていいわ。ただし私やリーニエといるときは窮屈だろうと服は着ること!それ以外なら、もう好きにしていいわ」
「ありがとうございます!」
アウラの許可を貰えたリュグナーとドラート、筋肉の民は各々の筋肉を披露するようにポージングを取り始める。それを唖然と見るアウラの隣にいたリーニエはそっと家の扉を閉めた。
「リーニエ。私はどこで間違えたのかしら?」
「お母さんは間違えてない」
リーニエの励ましにアウラは泣きそうになりながらリュグナーとドラート、あと筋肉の民の着れる服を作るために布地を買いに行こうかと真剣に悩んでいるのをリーニエは察した。
がんばれ、アウラ様。
〈アウラ〉
グラナト伯爵領の大魔族
わりと親しみやすい美女の魔族として有名であり、よく井戸端会議に参加している。昔はものすごい魔族だったらしいのはなんとなく知られているけど。基本的に魔族でも食べられる健康的な料理を教える家庭料理専門の教室をやっている。
〈リーニエ〉
衛兵達の先生な魔族
アウラ様の暮らす街を守るために衛兵や騎士を鍛えていたらグラナト伯爵領の頂点に君臨していた。しかし、彼女が戦うときは本当にピンチの時だけで、いつも衛兵達の頑張りを見守っている。ほんとは「模倣する魔法」で観察してるだけかも?
〈リュグナー〉
実質、ただの悪魔超人かもしれない
もう別次元の超人のようになってしまった究極の筋肉を包み隠す布は捨て去り、だいたいレスラーパンツとブーツで過ごしている。そして、魔法より筋肉で戦うことに目覚めた。
〈筋肉の民〉
筋肉を崇拝する魔族
信じるのは常に筋肉と友情である。