【本編完結】魔法使いフリーレンとくだらない魔法   作:SUN'S

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格の差じゃない

とある日の真夜中────。

 

元・七崩賢のアウラは神技のレヴォルテの襲撃に備えて簡易的な魔法の結界をグラナト伯爵領の周りに展開し、ゆっくりと性能を確かめていた。

 

そもそもアウラの用いる結界はソリテール直伝のため性能に関しては世界最高の魔法と言えるだろう。もっともゼーリエやソリテールクラスの魔法使いであれば簡単に破れる代物だ。

 

「これで持つと良いんだけど」

 

そう言ってアウラは結界の外側に出る。

 

この結界の効果は至ってシンプルだ。

 

どんなに強大な殲滅派の魔族の侵入をも拒み、また強行しようとモノを弾き飛ばす。たとえ共生派に成り済ましたところで人間を襲おうとすれば瞬時に結界の外側に弾く。

 

「アウラさん。面白そうなことしているのね」

 

「ソリテール。貴女なんでここにいるの?」

 

「私は真夜中のお散歩」

 

「あの山小屋とかなり距離あるわよ?」

 

アウラはいきなり現れたソリテールを警戒しながら結界の内側に後退する。彼女を追うようにソリテールも歩き出す。だが、激しい衝撃音と一緒に彼女は結界の外側に吹き飛んだ。

 

「な、なんで?」

 

「フン。いくらあなたがソリテールの姿形を真似たって、この元・七崩賢のアウラが大事な友だちの気配を間違えるわけないでしょう!」

 

ドヤーッ。

 

そう大きい胸を張ってアウラは言い切る。

 

その答えにソリテールの姿形を真似ていた魔族は困惑し、かつて他者を見下していたはずのアウラとは似ても似つかない変化に、人間の感情を得たアウラに魔族は驚愕していた。

 

「あり得ない。そんなこと…!」

 

今度はリーニエに姿形を変える魔族。しかし、すでに正体の分かっているアウラにとって他人の姿形を盗み、騙し討ちを図ろうとする目の前の魔族は酷く惨めに思えた。

 

「はあ。一度だけ相手してあげる」

 

そう言うとアウラは結界の外側に踏み出し、ゆっくりと片手を突き出すように構える。彼女は断頭台のアウラ、七崩賢の大魔族だ。

 

その強大かつ底知れない魔力の差に魔族は逃げ出そうとした瞬間、アウラの目の前にリーニエの姿形を真似た敗走者の石像があった。

 

「たぶん聞こえていないでしょうけど。いちおう解説だけはしてあげる」

 

ゆっくりとアウラは魔族の傍に近寄る。

 

「私の『服従させる魔法(   アゼリューゼ   )』には魔力量の他に幾つかバリエーションがあるわ。例えば私の魔力量に怯めば石化の魔法を受けるとかね……」

 

アウラは石像の頭を優しく撫でると真横に捻り切った。今の彼女にはいつもの穏和で慈愛に溢れた眼差しはなく、かつて七崩賢の大魔族だった頃の冷酷な目を首だけの魔族に向ける。

 

「もしも真似たのがリーニエじゃなければね…」

 

そう呟きながらアウラは石像を砕いた。

 

 

 




〈アウラ〉

二度の過ちは許さない大魔族

ソリテールの姿形を真似た魔族を懲らしめて改心させるつもりだったけれど。その魔族がリーニエの姿形を真似たため粉々に砕き、その存在を完全に抹消してしまった。


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