最近、ようやくレベルがカンストしたんですが、成長素材がまったく足りない・・・!
イベントやってると他を回す余裕もないですし、ほんとどうしたもんか。
コクマー討伐隊が揃ったということで、いよいよ本格的にヒノム火山に乗り込むことになった。
のだが、
「暑い・・・」
入って早々、先生がグロッキー状態になっていた。
流れる汗が止まらず、頻繁に水分補給も行っている。足取りは重く、背筋もさながら老人のように曲がっていた。
「先生、大丈夫ですか?脱水には気を付けてくださいね。経口補水液は多めに用意してありますから」
「ありがとう、チナツ」
それに比べ、先生の隣を歩いているチナツは多少汗をかいている程度でピンピンとしている。
なんなら、目に見えて消耗しているのは先生だけで、他は何事もないように移動を続けていた。
「皆は暑くないの・・・?」
「演習で何度も来てるからな。慣れた」
「私もそうですね」
「先生よ、温泉開発部が暑さに弱くてどうするのだね?」
「そうそう!温泉は熱くて当然だし!」
「ていうか、先生は何度もアビドスに行ってるよね?そっちで慣れなかったの?」
「アビドスとは暑さのタイプが違うから・・・」
アビドスの砂漠は、乾燥地帯特有の太陽が照りつけるようなカラッとした暑さであり、日陰に入れば意外と快適だ。
なにより、ゴーストタウン近辺であれば休憩場所には困らず足場も整っているため、迷子対策さえキチンとすれば割とどうにかなる(最初は迷子対策を怠って遭難しかけたが)。
だが、ヒノム火山は空間そのものが焼けているかのように熱気が充満しており、逃げ場がどこにもない。
さらには険しい山道に気を付けなければならず、なおさら体力と気力を消耗していた。
「んー、もし辛いなら私たちで担ぐなりおんぶなりするのも手だけど、どうする?」
「あっ、じゃあ私が先生をおんぶする!」
「え?あ、ちょっ・・・!?」
このままだといざという時の指示に影響が出そうだと考えたミラの気遣いは、議論すらすっ飛ばしてメグが実行した。
あっという間に先生に近づいたメグは先生を背負い、火炎放射機の燃料タンクが邪魔とみるや肩に担ぎ直す。
「それじゃあ行こう!」
そして、そのまま先に進んでいった。
「・・・まぁ、適材適所ではあるか」
半ば呆然としていた中で、ミラが仕方ないとばかりに軽く息を吐く。
今のメンバーの中で最も力があるのはミラで、その次がメグだ。
ミラが最前衛で積極的に肉弾戦をすることを考えれば、先生を運ぶのはメグが適任と言える。
それはそれとして、余計に暑苦しくなっているようにも見えるが・・・それは言わぬが吉だろう。
ともかく、
「今回の作戦はコクマーの対処だけど、問題なのは生体反応の動きが読めないこと。こっち作戦に関わらないならそれに越したことはないけど、介入のタイミング次第ではかなり面倒なことになる」
「そうだな。コクマー撃破後にそちらを狙うのであればまだマシだが、もし戦闘中に先生が狙われようものなら目も当てられない」
「もしそうなったら、場合によっては一時的にカスミに指示を任せることになるかもしれないけど・・・」
そう言いながら、ミラは視線をイオリとチナツに向けた。
言わずもがな、温泉開発部と風紀委員会は問題を起こす側と取り締まる側で対立している。
特にカスミは温泉開発部の頭脳であり、捕縛しては脱走されてを繰り返しているため警戒度もかなり高い。
そんなカスミの指示を聞くというのは、心情的にかなり難しい話ではあるが・・・
「まぁ、ものすごい癪ではあるけど、先生が指示どころじゃなくなる時って相当ヤバイだろうし、そうなったら四の五の言ってられなさそうだよな」
「そうですね。そうならないに越したことはないですが、万が一の時は頼るのもやむを得ない、といったところですか」
「それだけ私の能力を評価していると受け取っておこう」
普段の問題行動はともかくとして、掘削地の選定や作戦立案、解体における諸々の計算など、能力があるのは確かなのだ。普段の素行が致命的に問題なだけで。
普段の活動中であれば、そもそも手を取り合う考えすら浮かばないだろう。当然、言うことを聞くなど論外だ。
だが、先生に頼まれて同行している現状であれば、ギリギリ割り切れる範疇だ。
もちろん、先生の身に何かあれば殺すほど恨むだろうが、カスミもそうならないために最大限努力するだろう。
「んじゃ、不安要素を一つ消したところで、私たちも急ごうか。下手したらメグが迷子になりかねない」
「うわっ、もうあんな遠くに!」
「ずいぶんはりきってるねぇ。久方ぶりに先生の力になれるのが余程嬉しいようだ」
「それではぐれたら本末転倒でしょう・・・!」
気が付けば、メグは先生を抱えたまま遥か先まで突っ走っていた。
作戦ポイントは共有しているはずだが、今のメグの頭にその情報が残っているかはだいぶ怪しい。
作戦を円滑に進めるために、ミラたちは慌ててメグに追い付くために走り始めた。
* * *
ちょっとしたトラブルはあったものの、メグに追い付いて以降は何事もなく順調に作戦ポイントへと近づいていく。
そして、最後の休息ポイントに到着したところで、休憩しつつ先生とミラ、カスミで改めて作戦概要の確認を始めた。
「今回の標的は“デカグラマトンの預言者”コクマー。外見は巨大な船みたいだけど、具体的な戦闘力は不明だね」
「たしか、砲の類いは確認されてないんだよね?だったら、あってミサイルくらいかな?」
「いや、以前我々が戦ったホドとやらはレーザーや電磁パルスを放ってきた。あまり常識に当て嵌めない方がいいかもしれない。それと、もう一つ厄介なのは装甲だな。溶岩にも耐えるとなると、メグの攻撃がどれだけ通じるか・・・」
「機械が相手なら、さすがにどこか熱に弱い部分があるんじゃない?そこに攻撃できるかどうかは分からないけど・・・」
「今回は、連邦生徒会からの装備支給の中にバリスタがある。それを使うと相手を拘束できるから、チャンスがあれば活用しよう」
「うむ。タイミングは先生に任せる」
今回は連邦生徒会からの依頼でもあるため、装備品などの支援が送られていた。
中でも目玉は特殊な
当然、何度も使えるものではないが、その点に関しては先生を信頼しているため不安はない。
「今回はタフな戦いになりそうだね。幸い、人手はあるから時間をかければ何とかなるかな?」
「あぁ。何も無ければ、な」
何か含んだようなカスミの発言に、先生とミラは僅かに黙り込む。
カスミが何を指しているのかは分かっている。
そう、推定・黄昏ミラと思われる謎の生体反応だ。
生体反応は先生が時折確認していたが、先生たちにしろコクマーにしろそれなりに近づいてきたにも関わらず、未だに動きが見られない。
ここまで反応がないと、ミラも自分の推測に自信がなくなりかけていた。
「順調なのはいいことだけど、こういうのって嵐の前の静けさって感じがするよね」
「誘い込まれてるような感じはしないが、結果的に竜の巣をつつくような形になるのは落ち着かないねぇ」
何も起きない間は、まだいい。
だが、何かが起きた時にはすでに手遅れになっているかもしれない。
その事をずっと考えながら戦闘をするのは、かなり精神を消耗する。
「とはいえ、ここまで来たら“分からないものは分からない”で割り切るしかないね。基本的には先生の指示で動くとして、チナツとあと何人かに先生の近くで後方支援がてら護衛もしてもらいつつ、前衛は臨機応変にってことでいいんじゃない?」
「異論はないが、それは半分くらい行き当たりばったりと言うのではないかね?」
「臨機応変って言えばそれっぽいからいいじゃん」
足りない頭で見栄を張っているように見えるねぇ、とは言わない。言ったら大変なことになるのは目に見えている。
そもそも、身内に根本的に頭が足り・・・考える前に行動するのが癖になっている人物筆頭がいるため、そちらを引き合いに出されたら敵わない。
そんな『仲良く』と言うには強者と弱者の格差を感じさせる光景から目を逸らしつつ、先生はシッテムの箱でコクマーの動きを確認していた。
「コクマーの進路を見る限り、目的はたぶんこの生体反応だと思うけど・・・」
コクマーのエネルギー反応は、現在は失速しているがまっすぐに生体反応に向かっている。
だが、こちらもこちらでその意図が読み取れない。
仲間か身内であるため協力か保護するつもりなのか、それとも敵として排除しようとしているのか。
作戦の成功率を高めるためには出来るだけ特定しておきたいが、生体反応の正体に確信が持てない以上は考察のしようもない。
仮に正体が黄昏ミラだと確定したところで、どのみち情報が少なすぎて分からずじまいではあるのだが。
「うん、そろそろ出発しよう。今のペースなら、たぶんコクマーと生体反応が合流する前にポイントに着けるはず」
「わかった。おーい、出発するから準備してー」
「はい!分かりました!」
「えー、もうちょっと休みたーい」
「ゲヘナどころかキヴォトスの存亡に関わるかもって話でしょーが。いいから、さっさと立ち上がる」
駄々をこねる温泉開発部員たちの背中を軽く蹴飛ばして立ち上がらせてから、ミラは風紀委員会のメンバーのところへと向かった。
ミラの号令一つでてきぱきと出発準備を整えているのは、ミラが復帰してからさらに厳しくなった訓練の賜物だろう。
物理的に雷を落とされたら、誰だって必死になる。
「さて、意図せずしてなんかよく分からない合同部隊になったわけだけど、まぁ先生がいればどうにでもなるだろうからその辺は置いておこう」
「それで済ませようと思えるのは先生だからこそですよね」
「先生が来る前だったら考えられないよなぁ、こんなの」
色彩事件の時もそうだったが、未曾有の危機に対して学園の垣根を越えて協力できるようにする特別機関の設立に、その顧問として先生を起用したのは正しかったと思える。
最初はゲヘナの風紀委員会に限らず眉唾物としか受け取っていなかったが、今となってはそのように考えている学園や人物はほとんどいない。
だが、ミラとしてはそれは本題ではなくて。
「その話はいったん置いておくよ?今回の作戦、不確定要素がいろいろとあるせいで、どこまで戦況をコントロールできるか分からない。だから、もし万が一があった場合・・・私を見捨てて先生の安全を最優先に動いて」
先生に聞こえないよう声をひそめて出した命令に、風紀委員会の面々は目を見開いた。
「・・・そこまでの相手なんですか?」
「コクマーだけなら、たぶんどうにでもなる。けど、そこからさらに追加となると、どうなるか分からない」
少なくとも、黄昏ミラが真っ先に先生を狙った場合、カスミが勝手に即時撤退の指示を出しても責めるつもりがない程度には自分達の手に余る。
相手同士が潰しあってくれるのであれば楽だが、最悪の事態は想定するべきだろう。
「もしもの時の指示はチナツが、場合によってはカスミに頼むのも視野に入れておいて」
「・・・分かりました」
「私が離脱した場合、撤退戦はイオリとメグの突破力が鍵になるから、その時はお願い」
「・・・了解」
想像も納得もしたくないが、ミラの真面目な表情に頷くしかない。
一抹の不安を抱えながらも、改めて気を引き締め直した一行は作戦ポイントへと向かっていった。
なんでメグって火炎放射器が武器なのに火傷付与できないんですかね・・・?