キヴォトスの白い龍   作:リョウ77

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情報自体はすでにXで告知されてたとはいえ、こっちで便利屋編を投稿したその日の内に便利屋イベのPVが投稿されるとは・・・。
ドレス姿のアル様控えめに言ってエッすぎでは?

今回はとある原作キャラが少しばかりキャラ崩壊します。
そこまで酷くはないというかギリギリありそうな範疇に治めたつもりですが、念のためご注意ください。


閑話・美食研究会編

ゲヘナ学園。

学園都市キヴォトスの中でも一二を争うほどのマンモス校であり、「自由と混沌」という校風からトップクラスで治安が悪い。

そんな半ば無法地帯と化している自治区内を、風紀委員会は今日も治安を維持するために奔走する。

その中には、当然のようにヒナの姿もあった。

 

『委員長!商店街付近で爆発を確認しました!』

「わかった。今すぐ行く」

 

アコから通信を受け取ったヒナは、今しがた鎮圧した現場を他の風紀委員に任せて屋根を飛び移りながら目標の場所に向かう。

 

「暴れているのは?」

『報告によると、美食研究会がいつものように店を爆破したようです』

「・・・・・・・・・そう」

『? 委員長?』

 

起きている事件は今までにも飽きるほどあったもののはずだが、今回に限ってなぜかヒナの反応がいつもより鈍かった。

内容が理解できなかったというよりは、理解したくないような間だったとアコは感じたが、なぜ今になってそんな反応を返したのか。

“美食研究会”。4人の部員によって構成されている非公認の部活動であり、ゲヘナ内に留まらず他学区にまで悪名を轟かせているテロリスト集団。

美食のためなら手段を選ばず、特に部長である黒舘ハルナは気に入らない店は躊躇なく爆破する危険人物だ。

今回の爆発もまず間違いなくハルナによるものだろう。

すでに何度も顔を合わせているが、今さら何か不都合でもあるのだろうか。

尋ねてみようか迷うアコだったが、それよりも早くヒナが現場に到着した。

 

「風紀委員会よ。大人しく・・・」

「あら、思ったより来るのが早かったですね。それよりもヒナさん、ミラさんと会ったというのは本当ですか!?」

 

いつもなら真っ先に逃げるはずのハルナが、今回は堂々と待ち構えるかのように佇んでヒナに尋ねかけた。

それに対し、普段なら淡々と問題児を処理するヒナも珍しく嫌そうな表情を隠さなかった。

 

「・・・どこから聞いたの?」

「アビドスとやらで風紀委員会と赤い雷の目撃情報があったと聞きました。それで十分では?」

 

あぁ、そう言えばそんな噂が出回っていたなと、ヒナは今さらになって思い出した。

あの時はあくまで一部で噂になっていた程度でミラの特定には至っていなかったために放置していたが、よりによって目の前のテロリストに把握されていたとは。

こればかりは自分が迂闊だったとしか言えない。

できれば適当に誤魔化したいところだが、様子を見るにある程度確信を持った上で尋ねているようだ。

そのため、アビドスに迷惑をかけるくらいならと正直に吐くことにした。

 

「・・・たしかに、アビドスでミラと会ったわ。でも、今どこにいるかまでは分からないわよ」

「でしょうね。私もこのことを知ったのはつい最近ですし、ミラさんのことですから一ヶ所に長く留まったりはしないでしょう」

『あの・・・彼女もミラさんの知り合いなんですか?』

 

あたかも「ミラさんのことはよく知っています」と主張しているような口振りに、思わずアコが通信越しに口を挟む。

アコの問いかけに、ヒナは嫌そうな表情のまま答えた。

 

「まぁ、一応知り合い。でも、私の知る限りプライベートでは一回くらいしか会ってないはず。ついでに、ミラの姉を自称してる」

『はぁ・・・?』

「あら、ついでとは失礼ですね。私は心からミラさんを妹のように想っているというのに」

『要するに、実際は赤の他人ということですよね?』

「まぁ、そう」

 

やばい人じゃないですか、とは言わない。そんなこと今さらである。

とはいえ、こんな形であの美食研究会の部長の新たな側面を知ることになるとは思わなかったが。

だが、今はそんなことに構っている場合ではない。

 

『いえ、それよりも委員長。他の美食研究会のメンバーが逃走を図っています。イオリとチナツが抑えていますが時間の問題かと』

「わかった」

「待ちなさい、少しは私とミラさんの馴れ初めをきゃう!?」

 

何かを言い出そうとしたハルナを、ヒナは愛銃のデストロイヤーの掃射で黙らせる。

完全に沈黙したハルナを一瞥してから、ヒナはアコの報告を聞いて救援に向かい、あっという間に他の美食研究会のメンバーを捕らえた。

 

 

* * *

 

 

「で、反省はしてないでしょうけど、一応話だけは聞いてあげるわ」

「ミラさんとのことについてですか?」

「事件の方を話してほしいのだけど」

 

問題児を収容している風紀委員会本部の地下牢にて、ヒナとハルナは鉄格子越しに話をしていた。

一応ヒナは尋問のために来たのだが、すでに話が脱線しそうになっている気配を感じて溜め息を吐く。後ろに控えているアコも呆れた目をしていた。

なお、置いてけぼりになっているのはむしろ同じ美食研究会のメンバーであり、特にミラのことを知らない後輩2人は何がなんだかまったく理解できていなかった。

 

「ねぇ、そのミラ?って誰なの?」

「暁ミラ。元風紀委員かつ委員長の幼馴染みで、キヴォトス最強って言わる戦力を持っている人ですね。それこそ、たった一人で今の委員長を含む風紀委員会の全戦力に匹敵すると言われてるくらい。ただ、2年生に進級する前に姿を消しちゃったから、2人が知らないのも無理はないかも」

「へぇ~、そんなすごい人と部長は姉妹なんだ」

「えっと、部長がそう言ってるだけで、見た目が少し似てるくらいしか接点がないはずですけど・・・」

 

同輩も困惑する程度にはぶっ飛んだ思考らしい。いよいよアコの目が死んできた。

 

「別にあの時のことについて語ることは多くありません。客である私たちに失礼な態度をとったから爆破した、それだけです」

「いや、できれば詳しい状況を・・・はぁ、もういいわ。何となく想像できるし」

 

大方、噂のテロリストが現れたことで追い返そうとした店主か店員の態度がハルナの気に障ったといったところだろう。ここに来る前にそんな感じの報告を受けている。

行動には問題しかないテロリストだが、これでもどこぞの狐のように無秩序に破壊を撒き散らしている訳ではないのだ。

理性的に破壊行動をしている方がよっぽど質が悪いとも言えるが。

 

「それじゃあ、聞きたいことは聞いたし、私たちはこれで帰るわ」

「ちょっと!私とミラさんの話を聞きたくないのですか!?」

「一緒にご飯を食べたってだけでしょ?ミラから聞いたわ」

「詳しい中身についてとか!」

「興味ないわ」

 

幼馴染みの余裕を見せるヒナと、妹(?)自慢をしたくてたまらないハルナ。

他の牢に入れられている問題児たちも「なんだなんだ」と顔を覗かせ始め、地下牢の中がにわかにカオスな空気に包まれていく。

そんな中、ヒナも段々とハルナの相手をするのが面倒になっていき、

 

「それなら、私じゃなくてアコに聞かせてあげたら?アコはミラについてよく知らないみたいだし」

「委員長!?」

「それじゃあ、私は先に戻るから相手をしてあげて」

 

最終的にアコに丸ごと押しつけることにした。

唐突な事態に面食らうアコを余所に、ヒナはさっさと地下牢から出ていってしまった。

 

「あら、同じ3年なのにミラさんのことをよく知らないと?なら私が話してあげましょう!」

 

対照的に、ハルナは話す相手ができたことでテンションがさらに上がる。

正直アコとしては自分もさっさと出ていきたいところだったが、そうしたらそうしたで後の事がなんとなく怖いことになりそうだったため、仕方なく残ることにした。

自分が残ることでその間は脱獄の危険が少なくなることを考えれば、仕方のない必要な犠牲と言えなくもないだろう。押しつけられた側からすればたまったものではないが。

そうして、ハルナによるミラ語りが始まった。

 

「私がミラさんとあったのは、まだゲヘナ学園に入学したばかりのことでした」

 

 

* * *

 

 

まだハルナが美食研究会を立ち上げていない頃。

その出会いは偶然だった。

 

「・・・あら?」

 

所々崩壊しているゲヘナ学園の第一校舎。

新入生故の好奇心から探索しているときにたまたま目に写ったのは、自分と同じ白髪赤目の少女だった。

白髪の生徒は他にもいなくはないが、アルビノを思わせるような白髪赤目は、少なくともハルナの記憶の中で他にいた覚えはなかった。

だが、それよりも目を引いたのは、少女がそこで瓦礫に腰掛けて弁当を食べていたことだ。

基本的に治安が終わっているゲヘナとはいえ、学食にしろ公園にしろご飯を食べるのに適した場所はいくらか存在する。

それにも関わらず、わざわざ半ば廃墟のようになっているここで弁当を食べているというのであれば、何か理由があるに違いない。

何より、そんなアンバランスな状況であるにも関わらず、その姿が不思議と様になっていた。

だからこそ、自分が目指す美食の参考とするために話しかけることにした。

 

「ごきげんよう。隣に座っても?」

「んぇ?あぁ、うん、どうぞ」

 

少女にとってもここで誰かに話しかけられるとは思っていなかったのか、了承はしたものの少し困惑しているようにも見えた。

 

「はじめまして、黒舘ハルナと申します。名前を聞いても?」

「暁ミラ。よろしく・・・するかはまだ分からないか」

 

少女・・・暁ミラから自己紹介を受けたハルナは、改めてすでに半分ほど食べ進められた弁当の中身を確認する。

見た限りこれといって特別な食材や料理はないが、必要な栄養素を必要なだけ摂取できる、いわば機能的な弁当。例えるなら、栄養士に管理されたアスリートの食事のようだった。

 

「そのお弁当は、ご自分で作られたのですか?」

「まぁね。健康な体は食事から、って言うらしいし、面倒くさがりな幼馴染みもいるから、自然と身についちゃって」

「そうなのですか。ちなみに、その幼馴染みは?」

「今日は別行動。変なことに巻き込まれてないといいけど」

 

どうやら世話好きで幼馴染み想いのようだ。

ミラとなら、有意義な話ができる。ハルナはそう確信した。

 

「食べながらでも構いませんので、私と少し話をしませんか?」

「別に好きにすればいいけど、何か聞きたいことでもあるの?」

「“美食”について、あなたはどう考えていますか?」

 

おそらくは、一般のゲヘナ生なら首をかしげるか鼻で笑うような問いかけ。食の好みはともかく、“美食”という概念について真面目に考える生徒はそう多くない。

そして、弁当を口に運びながらも考え込んでいるミラは、ゲヘナの中でも少数派と言えた。

 

「んー・・・別に私は食に美を見出だしたりはしないんだけど、まぁでも“美しい味”って書いて“美味しい”って言ったりするし、単純に美味しいご飯についての考えでいい?」

「えぇ、もちろんです」

「それなら、体が求めているもの、必要としているものだね」

 

ハルナの問いに対するミラの答えは、非常にあっさりしたものだった。

 

「例えばだけど、砂漠で遭難した冒険家がオアシスで飲んだ水がとても美味しかったって話があるじゃん。あれってどうしてだと思う?」

「失ってから初めて実感したありがたみ、でしょうか」

「それもなくはないだろうけど、実際は『体が失った分の水分を求めていたから』なんじゃない?体が本当に欲していたからこそ、口にした水がとても美味しく感じた、ってこと。他にも、汗をかいて塩分が不足してるからしょっぱいものが美味しく感じたり、疲れている体がエネルギーを欲しているから甘いものが美味しく感じたりするのも、そういうことでしょ」

 

つらつらとミラの口から流れ出てくる食についての持論に、思わずハルナの口元が吊り上がる。

間違いなく、ミラは自分と同じか、ともすれば自分以上に食について探求している。その理解の深さは時には専門家に並ぶかもしれない。

惜しむらくは、ミラにとって食事とは“手段”であり、食そのものを目的にしていないということだろう。

だからこそ、暁ミラという少女に自分なりの“美食”を、食事の楽しさ・奥深さを教えてあげなければ。

そう思ったハルナだったが、口を開くのが一歩遅かった。

 

「あっ、電話が来た。ちょっと待ってて・・・ヒナ?どうしたの?・・・わかった。今からそっちに行く。うん、後でね」

 

おそらくはミラが言っていた幼馴染みからの呼び出しなのだろう。ミラは電話を閉じるといつの間にか完食していた弁当を手早く片付け始めた。

 

「ごめんね。用事ができたから、これでお開きってことで。それじゃ、またね」

「あっ・・・!」

 

ハルナが引き留める暇もなく、ミラは崩れた壁から飛び降りて姿を消してしまった。

できることならもっと語り合いたかったが、ここで追いかけるのは無粋だろうか。というより、とっくに姿が見えなくなってしまったため、後を追うことすらできない。

 

「暁、ミラさん・・・」

 

自分の同志たりうる少女の名前を、改めて呟いてみる。

自分と同じ白髪赤目で、自分より幼く見えるあの少女。

仲良くしたいと思うし、彼女に彼女の知らない世界を見せてあげたい。

・・・あるいは、自分は一人娘だから知らないが、もし自分に妹がいたなら、こんな感じなのだろうか。

 

「ふふっ・・・えぇ、またいつか会いましょう」

 

幸い、幼馴染みの名前も知ることができた。たしか、ヒナと言っていたはず。あわよくば、その子も一緒に引き込むのも悪くないかもしれない。

またいつか再開できる日を夢見て、ハルナは半ば廃墟となっている教室から去っていった。

 

 

* * *

 

 

「で、現実はお2人とも風紀委員会に所属して、あなた方を取り締まる側になったというわけですか。ざまぁないですね」

「あら、せっかくの美談なのですから、もっといいように締めてもらえませんか?」

「そこから今に至るまでの過程が到底美談で片付けられるものじゃないんですよ」

 

たしかに、ミラとハルナの馴れ初めの部分だけを聞けば美談だろう。

だが、語り手でもある当人が頻繁にテロ活動を起こしている時点で感動の涙はすぐに引っ込んでしまった。

とはいえ、ミラもミラでわりとはっちゃけている部類なので、ある意味ではお似合いと言えなくもないのは質の悪い冗談だろうか。

心の底から、この2人が手を組まなくてよかったと安堵する。

とはいえ、思った以上に関わりが浅いというか短すぎて、死んだ目になってしまうのは抑えられなかったが。

 

「ていうか、今までなんで委員長とその話をしなかったんですか?」

「ヒナさんもミラさんがいなくなって傷心していたでしょうし、それくらいの気は使いますわ」

 

なら問題を起こすんじゃねぇと言いたいが、それはそれ、これはこれなのだろう。

もう相手にするのも面倒になってきた。

 

「では、私もこれで失礼します。いつまでもここで雑談をしていられるほど、私も暇ではないので。もし話し足りないのなら、そこで寝ているお仲間さんにでもしてあげてください」

 

そう言われて振り向いてみれば、途中で聞き飽きて居眠りを始めた後輩2人の姿があった。

ハルナからやっかいな気配を感じながら、巻き込まれまいとさっさと地下牢から出ていった。

翌朝、牢屋の中でハルナを除く全員の収容されている問題児たちの目が死んでいるのが確認されたが、それはまた別の話である。




頭東堂か脹相かな?
まぁ、存在する記憶からある程度段階を踏んでる分いくらかマシですが。
ちなみに、体操服ハルナのメモロビが最高に好みです。てか嫌いな奴おらんやろ。
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