行き当たりばったりで始めた本作がまさかここまで伸びるとは思いませんでした。
評価が上がったり下がったりと不安定な時期もありましたが、これからも引き続き本作を読んでいただけると幸いです。
今回でアリウス編は最終回となります。
次回番外編を一つ挟んだら、いよいよ本編の最終章が始まります。
「これで、トドメ!」
「アアァァァーーーーッ!!」
赤雷を纏ったミラの拳がバルバラの胴体を捉え、周囲に迸った赤雷が何体かのユスティナ聖徒会を巻き添えにしながらバルバラは消滅していった。
「復活する様子は・・・なさそう?これもベアトリーチェがいなくなった影響かな。これなら後は消化試合か」
周囲を見渡してみれば、溢れかえっていたユスティナ聖徒会は目に見えて数を減らしていた。
それでも大隊程度の規模はある上にアリウスの生徒も騒ぎを聞き付けて集まり始めたが、隙間が見えるようになっているだけかなりマシだろう。
ラストスパートをかけようと踏み込もうとするが、不意にその姿勢を解いて明後日の方向に視線を向けた。
「・・・いや、頼もしい援軍が来てくれたみたいだね」
次の瞬間、ミラが見ていた壁が突如として中から吹き飛んだ。
敵の増援かとミカは一瞬身構えるが、粉塵を破って現れたのは見知った顔だった。
「キヒャヒャヒャーー!!」
「ツルギ・・・」
「・・・正義実現委員会?ど、どうしてここに・・・」
瓦礫の中から現れたのは、正義実現委員会のツルギだった。
いきなり現れたツルギは、その勢いのままアリウスの生徒ごとユスティナ聖徒会を蹂躙していく。
先生とミカがそのような光景に呆然としていると、ツルギが現れた瓦礫の影からイチカがヒョコっと顔を出した。
「こんにちはっす、先生・・・って、なんでミラさんまでいるんすか?」
「まぁ、いろいろあって?」
ミカと先生の救出のために出撃したら何故かミラもセットでいることにイチカは困惑するが、全てを話すといくら時間があっても足りないため、ミラは成り行きの一言で済ませることにした。
イチカもそれで納得したわけではないが、今まで見たことがないほどボロボロになっているのを見てひとまずは疑問を飲み込むことにした。
「ハスミ先輩、先生とミカ様を確保したっす。それと、なんかついでにミラさんも一緒にいました」
『はい?ミラさんが?じ、事情は分かりませんが・・・ともかく、早急に安全地帯へ退却してください』
「はいはーい。それじゃあ行きましょう!皆さんを待っている人がいるっすよ。ミラさんも、せっかくなんで一緒に」
そう言って、イチカは先生たちをアリウスの郊外へと案内していく。
そこでは、ティーパーティーや正義実現委員会、救護騎士団の面々が忙しなく動き回っており、その中にはナギサの姿もあった。
「先生!ミカさん!ご無事でしたか・・・!」
「な、ナギちゃん・・・?あれ、どうしてここに・・・」
先生たちに気がついたナギサが、すぐさまミカに駆け寄ってきた。
思わぬ光景に思考の整理が追い付かないミカに代わり、ミラが目の前で起きていることについて問いかける。
「ずいぶんと大所帯だけど、よくこれだけの人員を動かせたね。ていうか、どうやってここに?」
「私が教えたのだよ」
ナギサの言葉を代弁しながら、後ろから新たな人影が現れる。
「本当に愚かだね、ミカ。常のように、衝動で動いて事を過つ。それが君の悪癖だよ」
「せ・・・セイア、ちゃん・・・」
それは、ミカの前で危篤状態になったはずのセイアだった。
「・・・セイアちゃん・・・ど、どうやって・・・?」
「・・・言葉を紡ぐには、些か時間が足りないかもしれないね。白昼夢の中で偶然、ある人と邂逅できたんだ。詳しくは割愛するが・・・いわば、小さな取引を交わしたのだよ」
そのおかげでなんとか目を覚まし、本調子ではない身体に無理をかけながらシスターフッドと救護騎士団、正義実現委員会を呼び出してアリウスに出動させたのだという。
もちろん、それはセイアだけの働きかけによるものではない。
「一つ確かなことは・・・ナギサはミカを救うためなら、自分のすべての権力を手放しても構わないとまで告げて、周囲を総動員させたということかな」
「・・・お願いいたします、皆様・・・ミカさんを、お救いください・・・」
「私からも頼む」
ティーパーティーにサクラコ、ハスミ、ミネを呼び出したナギサとセイアは、ミカと先生の救助を頼むため、揃って3人に頭を下げた。
「・・・」
「そんな・・・」
「頭を上げてください、ナギサ様、セイア様。貴女方が私たちに頭を下げないでください」
今まで見たことがなかった姿に動揺したが、3人ともナギサとセイアの申し出を快諾しそれぞれ作戦を準備するために指示を出し始めた。
「・・・これが、私が知っているカタコンベの変化パターンのすべて」
「大変助かりました。ありがとうございます、アズサ」
トリニティの寮で、サクラコはアズサから出来る限りのカタコンベの構造の変化パターンを聞いていた。
今回の作戦はできるだけ補習授業部の力を借りずに実行するため、これでアズサの役割は終わりとなる。
だが、それでもアズサは何かを言いたそうにしていた。
「え、えっと・・・」
「・・・何か他にあるのですか?」
「・・・その・・・アツコを、助けてあげて」
サクラコが優しく問いかけると、アズサは自らの頼みを口にした。
サクラコたちもセイアから今アリウスで起こっている事情はある程度聞かされているため、安心させるようにそっとアズサの肩を叩く。
「アズサ・・・その子はすでに先生が助けていると思いますよ」
「・・・分かってる。でも・・・どうせなら、他の皆も無事に・・・助けられたらと思うんだ・・・」
「・・・そうですか。彼女たちは、あなたに銃を向けたというのに・・・」
あの時、エデン条約の調印式での事件でサクラコは気絶していたため全て報告でしか聞いていないが、はっきりとアリウススクワッドと決別したアズサの覚悟と苦しみは並大抵のものではないだろう。
あれを経てもなおスクワッドの身を案じるアズサの強さに舌を巻くしかない。
だが、アズサからすればそれは当然のようなものだった。
「・・・うん。数えきれないほどの、取り返しのつかないことをしてるよ。でも・・・私の家族でもあったんだ・・・」
「失礼します!」
「うぇっ!?な、なんですか!?って、水着!?なんで!?」
夜中に突如現れた水着姿の変態を見て、ウイは動揺のあまり椅子から転げ落ちそうになったのをギリギリのところで踏ん張った。
それに構わず、ハナコはぐいぐいとウイに迫っていく。
「私も散歩、いえ、水泳の最中に知らせを受けましたたので・・・それはそうと、時間がないので手短に言います。カタコンベに関する資料の捜索を手伝ってください」
「あ、あぁ、そういう・・・でしたら、少しお待ちください」
ハナコの要望を聞いたウイは、おおよその事情を察して作業机の棚から紙束を取り出してハナコに渡した。
「どうぞ、カタコンベの構造に関する資料です。丁寧に扱ってください」
「・・・なぜこれを?」
あまりの準備の良さに、ハナコは僅かに怪訝な表情を浮かべる。
カタコンベの歴史についてまとめたものならわからなくもないが、ウイが渡した資料は出入り口や内部構造などピンポイントで欲しい情報が記載されている。
そのような偶然があるのかと疑問に思うが、ウイの答えを聞いて納得の表情を浮かべた。
「元々はミ、じゃなくてアンさんから頼まれてまとめたものです」
「そうですか、彼女が・・・」
またもやアンことミラに助けられたことに、ハナコは内心で感謝の言葉を送る。
必要なものが手に入ったということで、ハナコも頭を下げつつ急いで踵を返した。
「ありがとうございます。では、私はこれで失礼します!」
「はい、早く出ていって・・・いえやっぱり待ってくださいせめて服を着てから出てください水着の変態が飛び出したって噂を流すつもりですか・・・?!」
「さぁ、行くっすよ!一番近い遺跡はあそこっす!」
「「「は、はい!」」」
正義実現委員会の前で、ハスミは部隊の指揮をとっていた。
戦闘専門でまともなコミュニケーションが難しいツルギは言わずもがな、普段であれば指揮官を担うことが多いハスミも今は作戦立案や全体の指揮で忙しいため、イチカが部隊をまとめていた。
いざセイアたちから教えられたカタコンベに突入しようとすると、イチカの近くに小さい影が一つ近づいた。
「あ、あの・・・!」
「あれ?きみは・・・コハル・・・?」
それは本来であれば補習授業部のため作戦には参加しないはずのコハルだった。
長く走ってきたのか軽く息を切らしているが、その両手には何かを抱えていた。
「これを・・・ティーパーティーのあの方に・・・」
コハルが差し出したものを確認すると、それはリボンやペンダントといった様々なアクセサリーだった。
そのどれもが一目で高価とわかるほど立派なものだが、よく見れば小さく灰や煤がこびりついている。
「・・・これは何すか?」
「その・・・押収品倉庫に残っていた、あの方の私物・・・です」
そう言われて、イチカもそう言えばと思い出した。
ミカがクーデター未遂で拘束された際、罰則や証拠確保のために私物をすべて押収・保管していた。
だが、それらはデモ隊の襲撃によって強奪されていたはず。
「あれ?でも・・・暴動で燃やされたって聞いてたっすけど・・・」
「あ、えっと・・・燃え残った中から、無事なものをこっそり集めていたんです・・・」
「・・・なるほど」
本来であれば、押収品の管理担当と言えども勝手な持ち出しは許されず、現在は正義実現委員会に所属していないコハルであればなおさらだ。
それでも、コハルは勇気を振り絞ってこっそり届けにきたらしい。
「了解っす、コハル。ミカさんに伝えておくっす」
「あうぅ・・・ありがとう、ございます」
「みんな・・・」
「私たちも、先生の力を借り続けなければならない。だから・・・君を救うために来たよ、ミカ」
自分を助けるために様々な生徒が動いたことに、ミカは思わず瞳に涙を浮かべる。
そこで、セイアは「とはいえ、だ」と前置きして後ろにいるミラへと視線を向けた。
「まさか、君もいるとは思わなかったが」
「私のことも把握してたんじゃないの?」
「もし君がいると知ってたら、先生にアリウスから離れるよう言ったりはしない。それはそれとして、我々が急ぐ理由は増えたかもしれないが」
ただでさえスクワッド憎し、サオリ憎しでアリウスに突撃していったのだ。
そこで嫌いなゲヘナの代表格であるミラと出くわしたらどうなるか。
セイアもそのような光景を見るのは勘弁したいところだった。
とはいえ、結果的に良い方向に転んだのは不幸中の幸いだろう。
そこで、ミカは改めてセイアとナギサに向き直った。
「・・・セイアちゃん、相変わらず何を言ってるのか分かんないよ。本当に偉そうだし、心底ムカつく。何度も懲らしめたいと思ってた・・・それでも大好き、セイアちゃん。
ナギちゃんはヒステリーがひどすぎ!っていうか、こんな所まで紅茶を手放せないのはちょっとどうかと思うよ?・・・でも、そんなナギちゃんが大好き」
そう言って、ミカは2人に倒れこむようにして抱きつき、ポロポロと涙を流し始めた。
「うん・・・二人とも、大好きだよ。二人ともありがとう・・・そして、ごめんね・・・」
「ミカさん・・・」
「・・・いや、むしろ謝るのは私の方だよ・・・すまなかった、ミカ。いつも君に謝ろうと思っていたんだ。だが、子供みたいな意地が邪魔をして、果たすことができなかった・・・」
3人で抱き合って仲直りしている光景を、先生とミラは一歩引いたところから眺める。
その姿に思うところがあったのか、スススッと静かにミラの隣に移動したイチカがこそっと耳打ちした。
「・・・あれ、ミラさんからは珍しく何も言わないんすか?」
「私のことを空気の読めないタイプだと思ってる?」
「どっちかと言うと、空気を読んだ上で自分の道を行くタイプだと思ってるっす」
「それはまぁ、否定できないけど。そっちこそ、何か言いたそうな感じじゃない?」
「いやぁ、ミラさんが自重してるのに自分が行くっていうのは・・・」
本当であればコハルから倒されたミカの私物を渡したいところだったが、ズカズカ話に割って入ると思っていたミラが動かなかったため、声をかけるタイミングを見失ってしまっていた。
その様子に気が付いたのか、ナギサがイチカに一度視線を向けてから体を離し、その隙にイチカもミカの私物を届けに行った。
その様子を横目に見ながら、今度はミラにも頭を下げて礼を言った。
「・・・ミラさんも、ミカさんを助けていただきありがとうございます」
「気にしなくていいよ。ただの成り行きっていうか、ぶっちゃけ一緒に暴れただけだし」
「それでも、です」
すでに2回ほど盛大に喧嘩した事実は伏せておいて、大したことはしていないとヒラヒラと手を振る。
ミラがミカにしたことは敵としても味方としても戦っただけ。
実際にミカの暴走を止めたのはサオリと先生だ。
ナギサも苦笑しながら頷くが、それでも何もお詫びをしないというのは自身の礼儀に反する。
「それで、どうされますか?必要ならこちらでゆっくり休んでもらっても・・・」
「お言葉に甘えて、って言いたいけど、遠慮するよ。これくらいなら寝て治る範疇だし、まだこっちで調べたいこともあるからね」
今後はもう関わることはないだろうが、アリウス自治区にはカイザーとは比較にならないほどゲマトリアの足跡が残されている。
それらを調べれば、あるいは彼らの本拠地に辿れる可能性すら存在するだろう。
「あーでも、弾薬と替えの服は欲しいかな。今こんなんだし」
「そうですか・・・でしたら、また追って必要なものを届けさせます。今はミカさんの聴聞会まで時間がありませんから」
ナギサの言葉で、ミカも自分が聴聞会を控えている身だったことを思い出す。
だが、度重なる戦闘による負傷と疲労のせいで体は重く服もボロボロになっている。
「えー・・・怪我の治療とか、汚れてるから着替えもしたいんだけど・・・人前に立つなら、髪もセットし直したいし」
「・・・はぁ、好きにするといい」
「えぇ。それに私たち三人とも徹夜してしまってますし、こんな格好では・・・」
アリウス突入作戦のために徹夜していたため、ナギサとセイアも髪は整っておらず、ナギサはさらにうっすらとだが目の下に隈が浮かんでいた。
別に着飾る必要はないが、公共の場である以上最低限は身だしなみを整える必要があるだろう。
さらには聴聞会に関する他の準備も半ばすっぽかしてアリウスに突撃したため、残り時間に対してやらなければならないことはかなり多い。
だが、それらの心配はそこまでしていなかった。
「私も一緒に行くよ」
「・・・もちろんです、先生。全員で聴聞会に出席するのが、私たちの約束ですからね」
先生がいれば、聴聞会を無事に終えることくらいわけないだろう。
とはいえ、時間がないのは変わらないため急がなければならないことに変わりはない。
名残惜しくはあるものの、先生は別れを告げるためにミラへと振り返った。
「それじゃあ、ミラ。またね」
「先生も頑張ってね。ミカも、またいつか」
唐突に自分にも声をかけてきたことに、ミカは僅かに目を丸くする。
「またいつか」。まさかミラの方から再会を約束してくるとは思わなかった。
だが、それよりも驚いたのはミラの言葉に対して自分が嬉しく思ったことだった。
まさかゲヘナに対してと思うが、思い切りぶつかり共に戦ったミラだからこそなのだろう。
「うん・・・ありがとう。じゃあね、ミラ」
ミカもはにかみながら礼を言い、先生たちと共にトリニティへと戻っていった。
その後ろ姿を見届けてから、ミラはイチカの方を振り向いた。
「さて、救急キットとかあったら貸してくれない?」
「・・・まぁまぁボロボロっすけど、それだけでいいんすか?」
「言ったでしょ、これくらいなら寝てれば治るって」
「なるほど、ツルギ先輩と同じタイプっすか・・・」
電車に轢かれてもピンピンしているツルギを頭の中に思い浮かべながら、イチカは近くの救護騎士団に救急キットがないか尋ね、今回ばかりはかなり疲れたミラは近くの壁にもたれかかって忙しなく動き回る様子を眺め続けた。
「お、よかった。いたいた」
「暁ミラ・・・?」
あれからさらに数日後、ミラはアリウス自治区を歩き回ってスクワッドを見つけ出した。
だが、一人姿が見当たらない人物もいる。
「あれ、サオリは?」
「・・・サオリは怪我が完治する前にどこかに行っちゃった」
「なるほど、自分探しの旅ってやつね」
「ただの家出だよ」
納得したように頷くミラに対して、ミサキはどこか不満げな様子だった。
とはいえ、まとめ役が黙っていなくなったのであれば文句の一つや二つは出てくるものだろう。
サオリに対していろいろと思うところはあるが、今はそれよりも目の前にいるミラの方が問題だと考え直して問いかける。
「それで、わざわざ何の用?」
「私から新しい門出のプレゼント、ってところかな」
そう言って、ミラは懐からメモ帳を取り出して投げ渡した。
ミサキが受け取って中を確認すると、そこにはいくつもの地図や住所が書かれていた。
「これは?」
「私が用意したセーフルームの場所。残ってる物資も含めて好きに使っていいよ」
ミラからのまさかの贈り物に、ミサキたちは目を丸くする。
本来であれば安全性の保持のために秘匿しなければならない情報を、まさか自分たちに教えるとは思っていなかった。
「・・・いいの?」
「近い内に使わなくなる予定だし、そうならなくてもシェアハウスみたいでいいんじゃない?」
アツコの問いかけに、ミラは軽く肩を竦めながら答える。
信用の証、と受け取っていいのかは微妙なところだが、その親切心に嘘はないように感じたため、アツコは礼を言うことにした。
「ありがとう。ありがたく使わせてもらうね」
「どういたしまして」
「あなたは、これからどうするの?」
「もうしばらくアリウス自治区に残るつもり。ここは今までのどの場所よりもゲマトリアと密接に繋がってるから」
アツコはもちろん、一時的に共闘していたミサキたちも詳しい事情は知らないが、ミラがゲマトリアに対して強い敵対心を持っているということは何となく察していた。
そんな彼女が、セーフルームを捨ててまでアリウスに残ろうとしているというかとは、そういうことなのだろう。
「そう・・・決着をつけるつもりなんだ」
「ずいぶん長い間、ヒナを待たせちゃってるからね」
すぐに終わると高を括っていたわけではないが、それでも2年は待たせ過ぎているというものだ。
アツコたちから見てもゲマトリアは底が知れない集団だが、ミラならばあるいは問題ないかもしれない。
「頑張ってね」
「そっちこそ、これからの生活が上手くいくことを祈ってるよ。いざって時は先生の力を借りてね」
「そこは『私を頼って』じゃないんだ」
「ゲヘナに戻ったら立場的に難しくなりそうだし、そもそも私は暴力担当だからね」
ミラは分をわきまえる程度の良識を持ち合わせてはいるが、基本的に力で手っ取り早く解決しようとする暴の化身だ。
今のスクワッドに必要なのは、ミラが持つような圧倒的な力ではなく、先生が持っているようなそれ以外の大切なものだ。
であれば、適材適所として先生に丸投げするのも間違ってはいない。
「それじゃあ、またね」
「世話になった」
「プ、プレゼントありがとうございます!」
「じゃあね~」
必要な会話を終えたアツコたちは、外へと続く通路の先へと進んでいった。
それを見届けたミラは、目的をはたすべくアリウスの街へと戻っていった。