キヴォトスの白い龍   作:リョウ77

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モンハンワイルズで古代文明のあれこれが徐々に分かり始めているのが熱すぎる。
とりあえず、古代人が犯した禁忌がマジで禁忌でしたね。
あれと比べたらゲマトリアなんて戦犯ベアおば除けば可愛い方では・・・?


最終編・9

「なるほど、だいたいは思った通りって感じだねぇ・・・」

 

ペロロジラが消滅した後、シャーレに向かったミラだったが、先生と会う前にアビドス組から通信が繋がったことで近くのベンチに座って話を聞いていた。

ホシノたちもアヤネから聞いた話になるが、シャーレに行方不明になっていたはずのシロコが現れたらしい。

その際、先生はシロコの後を追って一時的に姿を消したが、すぐにシャーレに戻されたという。

さらにその後、新たなエネルギー反応を検知し、リン共々その対応に追われているという。

一通り状況を説明した後、ホシノはミラに問いかけた。

 

『シロコちゃんのこと、ミラは知ってたんだよね?』

「そりゃまぁ、もろ襲撃されたし。状況が状況だったから言えずじまいだったけど」

『そのことは気にしなくていいよ~。こっちも気にする暇がなかったし』

『しかし、不意打ちとはいえミラに重傷を負わせる、か。見くびっていたわけではないが、それほどの存在だったとはね・・・』

 

シロコが色彩と接触したとみられるということで、情報を伝えるために通信を繋いでいたセイアがため息を吐く。

夢越しに接触した自分は拒絶反応の方が強くて死にかけたが、もしあのまま処置が遅れていたらどうなっていたか。

死ぬだけならまだしも、化け物になって被害を撒き散らしていた可能性もあったと考えるとゾッとする。

 

『・・・シロコちゃんを元に戻す方法は、あるんでしょうか』

 

そんなセイアの内心を知ってか知らずか、ノノミがポツリと不安混じりに呟いた。

 

「たしか、先生もそのために百鬼夜行連合学園に生徒を派遣したんだよね?」

『あぁ、こちらもシスターフッドと協力して分析している。何より、色彩と接触した私がここにいる以上、何かしら方法はあるはずだ』

「・・・正直、あまり期待しない方がいいとは思うけど」

『ちょっと!なんでそんなことを言うのよ!』

 

セイアの気遣いを無駄にするようなミラの悲観的な言葉にセリカが憤慨する。

シロコをどうにか助けようと皆で考えているのに、それが無駄だと突き付けられたみたいで認められるものではない。

熱くなるセリカに対し、ミラはあくまで冷静に諭すように答える。

 

「不確定要素が多いから断言はしないけど、セイアが無事だったのはたぶん間接的な接触かつ早い内に対処できたから。でも、その上で色彩の影響を取り除くには小さくない代償が必要だった。そうなると直接接触して完全に反転したシロコを元に戻せるとは限らないし、仮に方法があったとしても無事でいられる保証はない」

『だから、シロコ先輩のことは諦めろってこと!?そんなことできるわけ・・・!!』

『まぁまぁ、セリカちゃんも落ち着きなって』

 

ミラの言い方にさらにヒートアップしそうになるセリカだったが、ホシノはいつもと変わらない様子でセリカをなだめた。

 

『落ち着けるわけないでしょ!むしろ、なんでホシノ先輩はそんなのんびりしてられるのよ!』

『たぶんだけど、ミラもシロコちゃんを助けられないと思ってるわけじゃない。そうだよね?』

「まぁ、そうと言えばそう、かな・・・」

 

尋ねるホシノにミラは曖昧に頷く。

ホシノはミラとそこまで交友があるわけではないが、少なくとも意味もなく不安を煽るようなことは言わないと思う程度には信頼している。

実際、ミラもシロコのことについて当てがないわけではなかったが、確証と呼べるものは何もなかったため言うつもりはなかった。

なのだが、思った以上にセリカを怒らせてしまったことと、ホシノに確信を持って問いかけられたため、渋々ながらも自身の考えを打ち明けた。

 

「何というか、なーんか違和感があるんだよね・・・」

『違和感?』

「私はシロコとあんまり話してない、っていうか数回会っただけで取引襲撃くらいしかまともに会話してないけど、あの時と襲われた時で、何かが違うというか・・・」

『見た目が違うとか、そういうのじゃなくて?』

「もしかしたら、ホシノなら分かるかもしれないけど・・・う~ん、私もよく分からない」

 

それは付き合いが短いミラでも分かる、という意味ではなく、人と違うものが見えるミラだからこそ引っかかった違和感。

それが具体的にどのようなものなのかは、ミラ自身も皆目見当がついていなかった。

ホシノなら分かるだろうという考えも、ほとんど直感的なものでしかない。

だが、ミラにとってそれは大した問題ではなかった。

 

「なんにせよ、私たちがやることは変わらない」

『うん、そうだね~。ほら、先生も落ち着いて~』

『ホシノ・・・?』

 

唐突に、通信のチャンネルを先生たちへとつなげる。

そちらではリンと先生がお互いに責任を背負おうとしていたところで、ホシノの呼びかけはそれを止めるためのものでもあった。

それはミラも理解しており、ホシノに乗っかる形で先生を慰める。

 

「こうなった原因に、誰のせいだとかは関係ない。少なくとも、先生とリンちゃんに責任はないから」

『ミラ・・・』

「この状況はここにはいないバカな大人がやらかしたせい。生徒ならともかく、関係ない大人の責任まで背負おうとするのは、むしろ傲慢と言ってもいいよ」

 

リンは先生の話を信じ切ることが出来ずに対応を後手に回してしまったから、先生はセイアから聞いた予知夢の話を上手く活用できなかったから自分に責任があると考えていたが、どちらとも直接的な原因ではない。

そもそもの元凶は色彩を呼び寄せたベアトリーチェであり、そのきっかけも一方的な敵視と傲慢な姿勢によるものだ。

そして、そのベアトリーチェはもういない。

つまり責任を負うべき者はすでに退場しており、ミラからすればあのあばずれの責任まで先生に押し付けるのは筋違いでしかなかった。

 

『ミラの言いたいことはおじさんにはよくわからないけど、先生は難しく考えすぎだよ~』

 

そんなミラの心境を、ホシノは当然知る由もない。

だが、何をするべきかという一点についてはミラと同じだった。

 

『つまり、シロコちゃんを連れ戻せばいいんでしょ?』

『ほ、ホシノ先輩・・・?』

『このままだとシロコちゃんが悪い方向に転がっていくんじゃないかとか、やっぱりシロコちゃんも今回の件とは無関係じゃないんじゃないかとか、そういう不安がないと言ったら嘘になるけどさ・・・でも、それとこれとは話が別でしょ?』

「私たちには戦わないといけない相手がいる。先生だって、それは分かってるよね?ここでうじうじしてたら新たな色彩の被害者がでないとも限らない。だから、そうならないために私たちは戦う。その過程で、シロコと対峙するときは必ずくる。気になることは、全部その時に片付ければいい」

 

色彩がシロコと接触した理由は不明だが、他にシロコと同じ条件が当てはまる生徒が新たに色彩と接触しないとも限らない。

つまり、今すべきなのは責任の所在を明らかにすることではなく、今の状況を引き起こしている原因の究明と解決。

シロコが色彩の側で動いている以上、必ずその過程のどこかで接触するだろう。

シロコに関するあれこれは、その時に考えればいい。

 

「まぁ、本当にシロコを捕まえることができるかどうかは別問題だけど」

『それは大丈夫~。こう見えておじさん、シロコちゃんを捕まえるのは得意なんだよ?ね、ノノミちゃん?』

『はい!ホシノ先輩はシロコちゃん捕獲の経験者ですからね☆』

「シロコは野生動物か何か・・・?」

 

ノノミのあんまりと言えばあんまりな言い方に、ミラは思わずツッコミを零す。

暴走しそうになっているところを止める、というならまだ分かるが、ノノミの口ぶりからしてもっとわんぱくなようにも感じる。

果たして過去に何があったのだろうかと興味が出てきたが、本題とは関係ないため意識の片隅に追いやる。

また、ミラのツッコミのおかげで場の空気がいくらか緩み、先生も張り詰めっぱなしだった肩の力が抜けたようだった。

 

『そういうことだから、先生はいつもみたいに「なんとかなる」って構えててよ。その方が似合うからさ』

『・・・うん。ありがとう、ホシノ』

 

ホシノの励ましに、先生は素直に礼を言う。

ホシノの言う通り、先生である自分が生徒を不安にさせるようではダメだ。

だからこそ、ここは意識を切り替えて問題の解決に集中することにする。

先生が立て直したのを見て、ミラはさっそくとばかりに本題へと話題を変えた。

 

「そういうわけで、まずは敵のアジトを見つけるところから始めるけど、リンちゃんは当てがついてるでしょ?」

『・・・えぇ。モモカ、キヴォトス全域で探知されたエネルギーの流れを感知できますか?』

『へ?エネルギーの流れ?』

 

先ほどの虚妄のサンクトゥム攻略作戦の最中、ミラは第6サンクトゥムから各所に向かっていった光の奔流を、リンたちは最後のサンクトゥム攻略の際にエネルギーが一点に集中していったところを目撃した。

すなわち、エネルギーはその場にいきなり現れるのではなく流動的に移動しているということであり、それを辿れば虚妄のサンクトゥムを生み出している本丸を見つけることが出来るかもしれないのだ。

それを説明されたモモカは、さっそくコンソールを操作して言われた通りにエネルギーの流れを割り出し、その元を辿っていく。

 

『うん、見つけたかも』

「さすが。で、場所は?」

 

即座に場所を割り出した手際に、ミラは称賛の言葉を送る。

続いて本丸の場所を催促したが、モモカから告げられたのは想像の斜め上を行くものだった。

 

『・・・空の遥か彼方、キヴォトスの上空75,000m』

「・・・え?マジで?」

 

モモカが割り出した場所は、空の遥か彼方。

辛うじて宇宙まで届いていないものの、どのみち生物が生きるのはほぼ不可能ということに変わりはない。

というより、現在のキヴォトスにその高度まで到達できる有人の飛行手段事態がほとんどない。

あるとしてもロケットくらいで、無事にたどり着ける保証はまずないだろう。

 

「ん~、私ができることはなさそうだし、進展があったらまた連絡してね」

 

さすがに到達手段に関しては管轄外ということもあって、ミラはさっさと通信を切った。

だが、当てがないわけではない。

これも不確定が過ぎるが、今は頼れそうなものは何でも頼ることにした。

 

「さて。そういうわけで、私はこれから一足先にアビドスに向かうよ」

『へ?なんで?』

「勘かな。強いて言うなら、カイザーの動き」

『・・・あぁ、そういうことね』

『え?ど、どういうこと?』

 

端的なミラの返答にホシノは納得の声を上げるが、セリカには何のことだかわからなかった。

セリカがカイザーのことに関して印象に残っているのは、PMC理事がアビドスを支配しようとしていたことだ。

だが、それはいったい何のためのものだったのか?

 

「ここしばらく、カイザーは熱心にアビドス砂漠に基地を作って発掘作業に勤しんでたでしょ?かと思ったら、いきなりサンクトゥムタワーを占拠したときた」

『PMC理事が言ってた“宝探し”っていうのも、そういうことなんだろうねぇ~。アビドス砂漠に何が埋まってたのかは分からないけど、カイザーが目の色を変えるようなものがあったのは確かだろうね』

 

見つけたものがあればサンクトゥムタワーの占拠は容易いと考えたのか、あるいは見つけたものを動かすためにサンクトゥムタワーが必要だったのか。

そこまでは詳しい状況を知らないミラには分からないが、何かしらの関連性がある可能性は低くないだろう。

それに、カイザーが絡んでいるならまず間違いなく黒服も情報は掴んでいる。

おそらくは、先生も黒服から何かしら伝えられるだろう。

 

「それじゃ、反撃の準備といこうか」

 

先の見通しはまったく立っていない。

それでもわずかな可能性に賭けるべく、ミラはアビドスに向かうために窓から飛び出した。

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