キヴォトスの白い龍   作:リョウ77

88 / 114
サンブレ傀異錬成とマカ錬金が沼過ぎて辛い。
高速周回したいけどそのために必要という負のループよ。
ワイルズのアーティアと装飾品も似たようなもの?それはそう。
ちなみに、XXは緊急ラオを前に放置してます。ぶっちゃけソロだと面倒以外の何物でもないので。


最終編・10

『なるほど・・・ミラさんがアビドスにいる理由は、わかりました』

 

現在、通信で呆れ半分でため息を吐いているリンは他のメンバーと共にアビドスへと訪れていた。

先生から対抗手段がアビドスにあると言われて訪れたのだが、まさか自分たちよりも先にミラが着いていたとは思っていなかった。

先生から助言をもらうよりも早く向かったとはどういうことなのかとか、どのような手段を使えばヘリコプターを使った自分たちを先回りできるのかとか、いろいろと言いたいことはあったが、状況を考えれば対抗戦力は多いに越したことはないと割り切ることにした。

 

『それはそれとして、シャーレに来られていたのなら一言くらい欲しかったのですが』

「時間も残されてないし、そこは大目に見てよ。そっちはヘリを使えるけど、こっちは徒歩だからね?」

「・・・たしか、通信を切ってから1時間くらいで来てたわよね?」

「普通、ヘリでそれくらいかかるはずですけど・・・」

「翼を使って空中機動できる時点で、徒歩とは言い難いよね~」

 

ゲヘナ・トリニティ問わず、有翼の中には自身の翼を有効に活用している生徒もそれなりにいる。

ヒナが翼爪を引っかけてバイポット代わりにしているのもその一つだ。

ミラは翼の扱いに関してその中でも頭一つ抜けており、目にも止まらぬ速さと変則的な軌道を両立させることができるほど使いこなしている。

そんなミラにかかれば、D.U.に乱立しているビルはちょうどいい足場でしかなかった。

ホシノたちの総ツッコミに若干居心地か悪くなったミラは、わざとらしく咳払いをしてから話題を変えた。

 

「それは置いといて。ずいぶんと面倒なことになってたみたいだけど・・・」

 

ミラが通信を切った後、ミレニアムが隠し玉の一つである特別なミサイルを使って攻撃を試みたが、ミサイルは着弾することなく通り過ぎてしまったということだった。

というのも、敵の本拠地の周囲は『多次元解釈』に基づいた特殊なフィールドが張られていた。

元々は「観測された事象とは異なる結果が出た別の可能性の世界が無数に存在している」という量子力学の解釈の一つだが、敵の本拠地が存在する空間はそれら全ての可能性が分岐しないままごちゃまぜに存在していた。

そのため、あらゆる可能性が完結せずに渦巻く混沌が確定した物理的存在からの干渉を受け付けない鉄壁の守りとなっていたのだ。

破る方法があるとすれば、特殊フィールドと同じ演算パターンを出力することで無効化することはできる。

だが、それが可能なコンピューターはキヴォトスには存在せず、仮に存在したとしたところでそもそも高度75,000mに到達できる手段がなければ話にもならない。

成すすべ無しと行き詰っていたが、突如としてシャーレから姿を消し再び現れた先生が解決策を提示した。

そのカギを握るのがアビドス砂漠であり、そこに眠っていたものこそがまさに状況を打開する唯一の手段。

 

「超古代兵器・・・なんていうか、いかにもカイザーが欲しがりそうなワードだよね」

「まぁ、お店で売ってるようなものじゃないからねぇ」

『えぇ。そして、カイザーコーポレーションは“超古代兵器”を起動させるために連邦生徒会を襲撃しました。もはや、キヴォトス全土を敵に回しても構わない・・・とでも言わんばかりの勢いで』

「そう考えると、色彩の襲撃もタイミングが良かったんだか悪かったんだか・・・」

 

現在進行形でキヴォトスに終焉をもたらそうとしている色彩だが、もし出現がもう少し遅ければ“超古代兵器”を起動させたカイザーとの三つ巴になる可能性もあった。

仮に出現が早くても、サンクトゥムタワーにいたリンたち連邦生徒会はもちろん、最悪召集された各学園のトップが巻き込まれてさらなる混乱状態に陥っていただろう。

その点で言えば、色彩が現れたのはカイザーによってサンクトゥムタワーから追い出された後で、なおかつ“超古代兵器”を起動されて手遅れになる前という絶妙なタイミングだったのは不幸中の幸いと言えるだろう。

 

「ともかく、サンクトゥムタワーが無くなった以上はもう無用の長物だろうし、さっさと拝借しちゃおっか」

「だね~」

『で、ですが、あそこはカイザーの私有地で・・・』

 

アヤネの言う通り、不当に取られた土地とはいえ書類上はカイザーの土地であり、勝手に入り込むのは不法侵入だ。

だが、だからと言ってカイザーが大人しく“超古代兵器”を貸してくれるとは思っていない。むしろ陥没するレベルで足元を見た要求をしてくるだろう。

だから、今回はホシノも真っ当に片付けるつもりはなかった。

 

「うん。でも、緊急事態だからさ。ここはシロコちゃんスタイルで行こうか」

 

そう言って、ホシノは懐から取り出した覆面を被った。

言わずもがな、覆面水着団スタイルである。

 

『ま、待ってください!本当にそれでいくんですか!?』

「あんまり気は乗らないけど・・・要はバレなきゃいいんでしょ?ちゃちゃっとやるわよ」

「シロコちゃんを捕まえるために、ちょ~っと借りるだけですから☆」

 

慌てるアヤネに対し、ノノミだけでなく常識人枠であるはずのセリカすらいつの間にか覆面を着用していた。

さすがにノリノリというほどではないものの、事情が事情だからと割り切っているようで止まる気配はない。

さすがにこのままではまずいと、アヤネは最後の希望であるミラに縋ろうとする。

 

『あ、あの!ミラさんからも何か・・・』

「あっ。私、顔を隠せるもの持ってないや。こんなことなら怪盗コスプレ一式でも持ってこればよかった」

「紙袋・・・もないし、どうしよっか?」

『そう言えば、ミラさんもそちら側でした・・・!!』

 

だが、その期待は一瞬で裏切られてしまった。

とはいえ、そもそも以前会った時点で金稼ぎは銀行強盗が手っ取り早いとのたまったり、シロコにイケない金稼ぎのコツを伝授しようとするなど、そもそも期待するのが間違っていたのだが。

先生は苦笑いしながらも止める様子はなく、リンの方は襲撃された恨みもなくはないのか見て見ぬ振りをしていた。

どうしようかと視線を右往左往させるアヤネだったが、最終的に深いため息を吐いた後に自身も覆面を被ることにした。

 

『はぁ・・・分かりました。事態の収拾のために借りるだけ・・・カイザーPMCは既に基地から撤収していますので、今は無人のはずです』

「ありゃ、そうなの?」

『はい。ですが、カイザーの私有地であることに変わりはありません。それに、ひょっこり戻ってくるかもしれませんので、気を付けてくださいね』

「うへ~、戦うことを想定してたから、ちょっと拍子抜けだよ」

 

そう言って、ホシノはあっさり覆面を外し、ノノミとセリカもそれに続いた。

ミラも特に残念がることもなく、「そっか」と軽い反応のみ返した。

 

「うふふっ、ちゃんと覆面を付けてくれるアヤネちゃん、可愛いです☆」

『あ、あう・・・そ、それは・・・』

 

からかうノノミにアヤネは思わず顔を赤くする。

このように良い反応をするからこそからかい甲斐があるのだが、状況が状況のためセリカがさっさと話を本題に戻した。

 

「じゃあ、ここに“超古代兵器”を持って来ればいいのよね?」

『いえ・・・おそらく、持ってくるのは難しいかと』

 

セリカの言葉を否定しながら、突如としてヒマリが通信に割り込んできた。

突然のことに驚くホシノたちのことを気にせず、ヒマリは淡々と用件を述べる。

 

『ですので、私たちも後から参ります。皆さんは全員が到着するまでの間、安全の確保をお願いできればと』

「それはお安い御用だけど、そんなに大きいの?別に戦車くらいなら持ってこれなくもないけど」

 

兵器と言うからにはそれらしい見た目をしているのだろうが、そこまで大きいイメージはミラには湧かなかった。

多次元フィールドを破れるとしたら、ミサイルの類いか。それならば乗り込む手段を探す必要があるにしろ問題の一つを解決できる。

その程度の認識だったが、ヒマリからもたらされた情報はミラたちの予想の遥か斜め上をいくものだった。

 

『おそらくですが、最低でもその数十倍のサイズかと。先生によると・・・

 

 

 

かの“超古代兵器”は、()()()()、なのだそうです』

『「「「「・・・宇宙戦艦!?」」」」』

 

 

 

 

「おっ邪魔しまーす・・・って」

「なっ、何だお前らは!?」

「これは・・・いっガハッ!」

「グァッ!?」

 

カイザーの基地の門をくぐった矢先、いきなり遭遇した二人の兵士の片方をミラは躊躇いなく蹴り飛ばし、もう片方はそれに呼応したホシノがショットガンを叩き込んだ。

 

「なんだ、戻って来てるじゃん」

「サンクトゥムが消えたからね~」

「ですが、ここは元々アビドス(私たち)の自治区です!」

「そうよ!カイザーは勝手に居座ってるだけじゃない!」

『で、ですが、書類上は・・・うぅ、大丈夫でしょうか・・・』

 

ノノミとセリカの気持ちは分からなくもない、というかアヤネも同じ気持ちではあるのだが、それはそれとして法的に不利なのは自分たちなことに変わりはないため、どうにも不安は拭いきれなかった。

それに対し、“異常な非常事態”を免罪符としてブン回しているミラはそんなこと全く気にしていなかった。

 

「まぁ、今は有事だし、細かいことは先生に任せておけばいいでしょ。それに・・・私たちが来ずとも、って感じだったみたい」

 

ミラがそう言うと、その視線の先では先ほどの攻略・防衛作戦の時にも現れた敵がワラワラと建物の中や陰から出てきてカイザーの兵士を襲い始めていた。

 

「わっ、まだいたの!?」

「生き残りか、知らないうちに送られたのか。まぁ、どっちでも関係ないね」

『それでは、指定座標に移動します!先生、指揮をお願いします!』

 

とはいえ、カイザーの兵士に同情することもなければ、色彩の尖兵にグッジョブと思うこともない。

ただ、目の前に立ち塞がる障害としてもろとも蹴散らすまで。

アヤネの号令と共に、ミラたちは目の前の敵を排除すべく戦闘態勢に入った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。