TS転生者だけど絶対に唱(うた)ったりしないんだから!   作:桜霧島

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引き裂かれた愛が それっきりおしまいになると思わず
一度、知った愛は 鍛えられ 次のもの さがす力に
引き裂かれた愛が 残すものなにもないなどと言わずに
胸こがした愛は 抱きあったぬくもりを残し、今でも
あれから八つ 季節は過ぎて あの唇 時代(とき)を超えて
過去のものより あかあかと
今のぼくに生命続く源くれる



いくつもの愛を重ねて 前

 

 クリスも、翼も、生命の炎の燃やしどころを見つけていった。俺は見送ることしか出来なかった。

 

 マヘーシュヴァラが言っていた通り、正しく歌わなければ彼女たちは還ってこないだろう。何故なら響ちゃんの()()()()フォニックゲインが発せられなければ、《イチイバル》も《天羽々斬》もここで終わってしまうからだ。

 

 視界の端で【影縫い】の縛りから解かれた響ちゃんが崩れ落ちている。

 無理もない。わかり合えると思った矢先にクリスが散っていき、憧れの翼は自らの手で傷つけた挙げ句、彼女もまた眼の前で散っていったのだ。

 

 小日向未来ちゃんは果たしてみんなをまとめてリディアン校歌を流してくれるだろうか。

 原作を信じ切るのは危険だ。とすれば、自分に出来る全てのことをしなければならない。すなわち、響ちゃんに希望を見せつけ、立ち直らさせなくては。

 

「―――ああ、どこまでも忌々しい! 何故邪魔をする!? 月の破壊は、バラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす! 惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、狼狽え、そして聖遺物の力を振るう私のもとに帰順するはずであったッ! 痛みだけが人の心を繋ぐ絆……たった一つの真実なのに! それを……それを、お前たちは……!」

「フィーネ、あんたは間違ったんだ。人は……人は、そんなもの無くても繋がれる、わかり合える。あんたには待つことも出来たはずだ! 人がいずれその生活圏を月に広げ、自らの手でバラルの呪詛を解くことを!」

「そんなものいつまでも待てるか! 人類は何千年も(いが)み合い、憎しみ合い、争い続けている! だからこそ私は、私の手で人類の進化を促し、あの御方に並ばなければならないのだ!」

「永遠を生きるあんた程の女が、なんて器量の小さい!」

「黙れ黙れ黙れ、紛い物ぉッ!」

 

 棘鞭を振り回し、フィーネが襲い掛かってくる。

 振り絞れ! 運命の女神の首根っこを引っ掴んで手繰り寄せ、正しい歴史を紡がせるんだ!

 

「マヘーシュヴァラ、限定解除(エクスドライブ)だッ!」

 

 

REBIRTH(再生)

 

 

 青金のギアに白色が混ざり神々しい姿になっていく。それにつれ、身体中の傷がみるみる内に塞がっていく。

 限定解除の恩恵―――だが、そう何回も出来るものでは無い。シンフォギア・システムには、総数301,655,722種類のロックが施されており、装者の技量、そのバトルスタイルに応じて系統的、段階的に限定解除される構造となっているという。

 

 エクスドライブは本来なら使用不可能な機能――例えば飛行、念話、無重力空間での活動など――を使用できるように解除するものだが……まぁ、細けえこたぁいい!

 

ヴァジュラ(金剛杵)! チャンドラハース(片手剣)!」

 

 バーニアに点火しつつ自身の両手でトリシューラを構え、新たな両手で夫々の武器を握る。機械仕掛けなお陰でセミオートなのがありがたい。さすがに自分で動かすのは脳みそこんがらがるからな。

 

「武器が増えれば強くなるとでも!? 笑わせる!」

「笑えるかどうかは、土ペロしながら30文字以内で感想を教えてくれ!」

 

 マヘーシュヴァラの適正は中近距離、ネフシュタンの鎧は中遠距離だから、接近戦なら単騎でも勝機はあるはず! 加えてエクスドライブモードなら飛行能力だって!

 

「だりゃぁぁぁぁッ!」

「ぐぅッ!? なんという圧……!」

 

 フィン・ファンネル(光輪)も含めれば4つの武装が手を変え品を変えフィーネに襲い掛かる。

 フィーネは突き出されたトリシューラを避けようとするも、別の角度から打ち付けてくるヴァジュラに逃げ場を塞がれ、上段から袈裟斬りにする。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!」

「どうだ、これが今のマヘーシュヴァラの実力!」

 

 ようやくフィーネに有効打を与える。この連戦で彼女も少しばかり弱っていたのか、傷の回復が遅くなっている気がする。

 

「舐めるなよ、生娘ごときが! 新霊長は私一人でいい、私に並ぶものは全て根絶やしにしてくれる!」

「人の身を捨てておきながら、霊長を名乗ろうとするな!」

 

 フィーネは回復する時間を稼ぐためかソロモンの杖を取り出し、大小無数のノイズを召喚しだした。

 ……チッ、響ちゃんが襲われないように護らなければ。

 

「光輪よ! 敵を切り裂け!」

 

 展開していたファンネルをチャクラムに変形させ、円形の刃をノイズの集団に投げつける。

 そうしてる間にも両肩から生える第三、第四の腕が周囲のノイズを一掃していくが、フィーネに回復する時間を与えてしまった。やはり絶唱ナシで一人は厳しいか……?

 

「響ちゃん! 生きてるか!?」

 

 暴走状態から解放された彼女へ背中越しに声を掛けるが、虚ろな顔をしている。だが意識を失ってはいないようだ。

 

「そのままで良い、聞け! いま、俺達が生きているこの時間は、クリスが、翼が命を懸けて作ってくれた大切な時間なんだ!」

 

「でも、翼さんもクリスちゃんも……」

 

 胸の第三の眼から収束したエネルギー波(マハーバーラタ)を打ち出し敵集団を駆逐する。

 

「それだけじゃない。この時間は奏さんや、俺のお母さん(ダリア)や、今まで散っていった自衛隊や一課・二課の人たちが、生きたくても生きられなかった時間なんだ」

 

「奏、さん……」

 

「彼女たちは俺達に託したんだ! 人々を守るということを、希望を、未来(みらい)を!」

 

「でもリディアンも、未来(みく)も守れなかった……」

 

「まだ終わっちゃいない! 信じることを、手を伸ばすことを、そして『生きることを諦めるな』!」

 

 胸の前で拳同士をぶつけ打ち鳴らし、神の火を呼び起こす。

 

 

THUNDER INDRA

 

 

「それでも希望が持てないなら、特等席で俺の歌を聞かせてやるぜッ! 立花響ぃぃぃぃぃぃッ!」

 

 

 

♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬

 

 

 

 歌が聞こえる―――アリアさんだ。

 

 カッコよくて、可愛くて、優しいアリアさんの……切なくて愛に満ち溢れた歌だ。

 

 ―――『守りたいものを守るための力』、響ちゃんは持っているだろう?

 

 はい。でも……守りたいものが無くなってしまったら、どうしたらいいんでしょう。

 

 ―――まだ終わっちゃいない! 信じることを、手を伸ばすことを、そして『生きることを諦めるな』!

 

 信じる……みんなを。

 未来、詩織、創世、弓美。師匠、藤尭さん、友里さん、ふらわーのおばちゃん……。

 クリスちゃん、翼さん、アリアさん。

 奏さん。

 

 私、まだ戦えるかな。奏さんから受け継いだこのガングニールで。

 

 みんなの姿が見たいよ。声が聴きたいよ。

 

 

 

“仰ぎ見よ太陽を よろづの愛を学べ

 朝な夕なに声高く 調べと共に強く生きよ

 遥かな未来の果て 例え涙をしても

 誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして”

 

 

 

♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬

 

 

 リディアンの校歌が聞こえる。やはり未来ちゃんたちは無事だったか。そしてこの高まるフォニックゲインは……

 

「―――どこから聞こえてくる、この不快な、歌……歌だと!?」

 

「聞こえる―――皆の声が。良かった……私を支えてくれてるみんなは、いつだって側に……。みんなが歌ってるんだ。だから……」

 

 

 まだ歌える

 

 頑張れる

 

 戦えるッ!

 

 

「何を支えに立ち上がる、何を握って力と変える!?」

 

 俺たちには歌がある、愛がある、希望がある。フィーネが捨てたものを、俺たちは持っている。

 

「不快な歌の仕業か……お前が纏っているものは何だ? 心は確かに砕けているはず……なのに、何を纏っている!? それは私が作ったものか!?」

 

 あんたが作ったもんだよ、俺のを除いてな!

 

「お前が纏うそれは一体何だ、何なのだ!?」

 

 何を纏っているのかだと? そんなの決まっているだろう! これが俺達の……

 

 

 シンフォギアぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ

 

 

 響の目覚めに合わせて向こうの丘から、カ・ディンギルから、そして俺からも高レベルのフォニックゲインが立ち昇る。

 響ちゃんのスカーフが出たのもここからなんだよな。格好良いね(小並感)。

 

「みんなの歌声がくれたギアが、私に負けない力を与えてくれる! アリアさんやクリスちゃん、翼さんにもう一度立ち上がる力を与えてくれる! 歌は戦う力だけじゃない……命なんだ!」

「高レベルのフォニックゲイン……こいつは2年前の意趣返しか?」

「違うな」

「何ッ!?」

「2年前のこたぁどうだっていいんだ。俺達はただ、守りたいだけなんだ。友達を、矜持を、己が夢を!」

 

 翼とクリスが空を舞い俺達に合流する。

 

「アリア!」

「翼! 還ってくると信じてたぜ!」

「へっ! さっきまで寝てたくせにちょーし乗ってんじゃねぇよ!」

「シャラップ、クリス! 後でしこたま揉んでやるからよ!」

「な、何いってんだオメー! 自分で言ってて恥ずかしくないのかぁ!?」

 

 ふふん、俺はもう翼とのお風呂でそういうのは卒業してるんだよ!

 

「ぞろぞろと蚊蜻蛉共が……落ちろ!」

 

 フィーネがソロモンの杖から無数のノイズを召喚する。学園の周辺だけではなく、市街地にまでその範囲は広がっている。

 

「あちこちから……!」

「辺り一面、ノイズが多すぎて空も地面も見えない……!」

「よっしゃあ! どいつもこいつもまとめてぶちのめしてくれるッ! そこで指を咥えて見ていな、お前(アリア)!」

 

 クリスが俺に喧嘩を売りつつ先陣を切って飛び立っていく。

 イチイバルのエクスドライブモードって完全にミーティアだよなぁ……。バレルロールをしながらミサイルを発射しノイズを撃ち落としていく姿はまるでキラ・ヤマトだ。緒川さん、こっちです。

 

 まぁ、売られた喧嘩は高値で買い取ってやる!

 

「今更雑魚ノイズで戦況を変えられると思うなよ! 戦いは質だよ、姉貴!」

 

 大型チャクラムを振りかぶってぶん投げ、大通りに展開されたノイズの集団を一掃する。

 

機械仕掛けの腕(ブレイキアム・エクス・マキナ)!」

 

 ヒャッハー! 敵集団に突撃だぜ!

 左右に握られたヴァジュラとチャンドラハースが荒れ狂い、すれ違いざまに炭化させていく。

 

「翼さん……私、翼さんに……」

「どうでもいいことだ」

「ふぇ!?」

「立花は呼びかけに応えてくれた、自分から戻ってくれた。自分の強さに胸を張れ」

「翼さん……」

「一緒に戦うぞ、立花」

「……はいッ!」

 

 くそぉ、俺が起きていたらあそこに混じれたのに……

 だが今からだって遅くは無いはずだ!

 

「翼、響、合わせろ!」

「応ッ!」

「はいッ!」

「1,2,3……シュートぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

蒼ノ一閃・双槍撃

 

「響!」

「はいッ!」

「「最短で、真っ直ぐに、一直線にッ!」」

 

 【蒼ノ一閃】を推進力に変え、俺と響が地上に展開されたノイズに向かって突撃をかます。武器や拳に当らずとも余波だけで炭に変えていく。

 一方で空ではクリスが人間弾薬庫として、ミーティアかデンドロビウムかわからないが、先ほど――日付の上では昨日だが――東京スカイタワーで撃墜した空母型、鳥型などを落としまくっている。

 

MEGA DETH PARTY

 

「Foooo! クリス、最ッッッ高にクールだぜ!」

「褒めてねえでお前も戦え!」

 





ちぇーろさん、レノアさん、評価ありがとうございました!
ちょっとでもいいなと思っていただけたら、評価、感想いただけると嬉しいです。

というわけでアリアのテーマソング②は『いくつもの愛をかさねて』でした。Vガンダムの挿入歌です。聞いたことない人は是非聞いてみてくだせえ。
遅かったなぁ!

いやーシンフォギアって本当にいいものですね! まさかとは思いますがXDサ終とかしないですよね! まだ先週ダウンロードしたばかりなんですよ!
そう言えば歌マクロスもダウンロードしたばっかでサ終したし、俺って呪われてるかも……(響並感)
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