TS転生者だけど絶対に唱(うた)ったりしないんだから!   作:桜霧島

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赤バー!!

鍋の中の白い奴シラタキさん、zgmfx1oaFさん、わけみたまさん、サPさん、タンタンDXさん、グレネード安さん、TSふたなり天使ちゃんさん、カモメ99さん、北山時雨さん
どうもありがとうございました!

イマイチ評価の方もありがとうございます。精進します。



道化

 

 

 ママたちのお墓参りから数刻後、市街地で夕食をとって帰ろうとしていると、ノイズ発生の非常呼集が入った。

 

『司令部よりアリアさんへ。本市郊外にノイズ発生。翼さんと響さんが出動します。アリアさんは第二種戦闘配置へ」

「了解。第二種戦闘配置に移行するため司令部へ向かいます」

『了解。―――休んでいたところ、申し訳ないわね』

「これも給料の内ですから」

 

 俺も翼みたいに移動手段が欲しいなぁ。今の年齢で運転できるのは原付か。

 もっとも、今は翼も新しい移動手段を手配中だ。前回の戦いで俺たちが乗っていたバイクを「ボルガ博士、お許しください」と言わんばかりにノイズにぶつけたからなぁ。

 やれやれ、あんな乱暴な運転、誰に似たのか。

 

 溜息をつきながら司令本部の扉を開く。

 

「はろはろー。お呼びとあらば即参上」

「アリアさん、お疲れ様です。発生したノイズは小規模であったので、先ほど翼さんにより速やかに殲滅されました。ですが……」

「お嬢ちゃんは?」

「響さんなら翼さんのサポートに入っていましたが……」

 

 モニターを見上げると、画面越しに不機嫌が隠せない翼が映っている。

 

『私、今は足手まといかもしれませんが、一生懸命頑張ります! だから、私と一緒に戦ってください!』

『そうね……あなたと私、戦いましょうか。私はあなたを受け入れられない』

 

「青春真っ盛りって感じよねえ♪」

「ぶつかり合って芽生えるのが友情なら文句も言いませんがね、りょーこさん」

「あら〜? アリアちゃんには何か別の見解があるのかしらん?」

「少なくとも、シンフォギアは子どものお遊びの道具じゃない」

 

 あれだけ翼のことを宥めすかしたりしてたが、やはりこうなってしまったか。

 ガングニールは翼にとって奏の思い出、罪と弱さの象徴、プラスとマイナスの両方を孕んだものなのだ。

 だからこそ俺は翼と距離を縮めるにあたり、細心の注意を払ってきた。

 

「あー。ちょっと通信借りても?」

「え? あ、ちょっと……!」

「あーてすてす。こちら司令部。翼、お嬢ちゃん、命令だ。速やかに帰投しろ」

『アリア!? しかし!』

「しかしも案山子も無い。命令違反で処分されたいか。防人の矜持とやらはどこへ行ったんだ、あん?」

『くっ……了解!』

「お嬢ちゃん、返事は?」

『はい! わかりました、アリアさん!』

 

「……アリアくん、感謝する」

「こういうのは大人が言うより私が言った方が聞きますからね。それに、嫌われ役には慣れています」

「アリアくん……」

「大概、あなたも損な性格してるわね……」

 

 誰も傷ついて欲しくない。傷つくのは俺だけでいい。それが俺に出来る、この世界に対する唯一の贖罪なのだから。

 

 

 

♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬

 

 

 

 全身で不機嫌を表現している翼と、何が起こっているのかわからないという顔をした響が帰投してきた。

 場の空気が整うのを見計らい、俺は無表情を(つくろ)って口を開く。

 

「翼、何か申し開きはあるか」

「アリア! あれだけ言っていたのに、アリアはそいつの味方をするのか!? そいつは、奏のガングニールを!」

「風鳴司令。装者・風鳴翼は精神に支障をきたしているため、作戦遂行に問題ありと進言します」

「アリア―――!?」

「アリアちゃん、何を!?」

「よって、一週間の謹慎を上申(じょうしん)します。ノイズの出現が比較的小規模かつ散発的な今、短期間であれば戦力となる装者は私一人がいれば十分と判断します」

「―――良かろう、翼は明日より5日間の自宅待機とする。学院生活は構わないが、特別な事情が無い限り出撃を禁ずる。但し、この決断にアリアくんは関係無い。俺自身の考えで行うものだ」

「そんなっ!?」

「緒川さん、翼を居室へ」

「……わかりました」

「アリア! アリア! どうして!?」

 

「次にお嬢ちゃん、何か言いたいことはあるかい」

「えっと……あの……私、よくわかりません。どうして翼さんが怒っているのか……アリアさんが辛そうにしているのか……」

「そうか」

「私、自分でもダメダメなのはわかっています。でも、一生懸命頑張って、()()()()()()()()()()()()()()なります。だから―――」

 

「ふざけるなッ! お前が、奏さんの代わりになどなれるはずが無いだろうッ!」

 

 静かな司令部に俺の怒声と彼女の頬を張る音が響く。

 俺は響の顎を掴み、顔を寄せ、言い聞かせるように囁いた。

 

「お嬢ちゃん、残念だけど単なるお手伝い係なら俺たちに必要無いんだ。司令部でお茶汲みでもしてくれてた方がよっぽど役に立つ。―――今日は帰ってクソして寝な」

 

 友里さんに支えられながら、肩を落とし退室する響。その姿が見えなくなると、俺は口を開いた。

 

「風鳴司令」

「―――なんだ」

「装者・宝泉アリアの司令部への越権行為及び同僚への暴言並びに暴力行為に対し、3ヶ月の減給処分を上申します」

「……許可する」

 

「ほんと、損な性格してるわね……」

 

 

 

♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬ ♪♫♬

 

 

 

 会心の悪役ムーブかつファインプレーだったな。

 

 あの言葉を翼に浴びせられるくらいなら俺が嫌われ者になったほうがマシだ。

 あと俺たちがシビリアンコントロールの原則を無視していると司令部の連中には思われたくないからな。あの上申は必要だっただろう。何だかんだ風鳴司令は俺に甘いと思われるのも良くない。

 

 確かに俺をこちら側へ引き込んだという負い目が彼らにはあるのだろう。言うことは出来ないが、それとて俺の思考言動が招いた自業自得。筋違いだ。

 

 もちろん、勝算もあった。翼との関係はこれで終わるほどのモノでは無いし、響はこれしきでへこたれるような精神をしていないからだ。もう一つ思惑もあったが……まぁそれはいずれ別のところでバレるだろう。

 

 翼はどうしてるだろうか。落ち込んでいるかな。それとも泣いているかな。先に話くらいしておいてあげてもよかったかもしれない。でも翼のために必要なプロセスだと思ったんだ。

 あれから翼には会っていない。学院には来ているようだが、意図的に会うのを避けている。翼なりにガングニールに向き合う時間が必要だと思ったからだ。

 原作では響に対して覚悟を示すため、あるいは自暴自棄になって不完全な絶唱を使用し、危篤にまで陥っている。そんなことはさせたくないんだ。

 翼が嫌われ役をやることなんて無い。犠牲になる必要なんてない。この世界には既に道化がいるのだから。

 

 

「―――宝泉さん、宝泉さん!」

 

 あ、ごめんよ先生。

 

「宝泉さん、珍しく出席したかと思えば集中出来ていないようですわね。私の授業はそれほどつまらないのかしら?」

「No, Mom. I was just thinking a little. Sorry. 」

 

 秘技、ハーフ顔を活かした有耶無耶戦術!

 

「―――あなたが日本生まれ日本育ちなのは知っています」

 

 だが担任にはこうかがないみたいだ……

 

「すみません、考え事をしていました。レポートちゃんと提出するんで許してください」

「3枚追加です」

 

 うーん、鬼畜。

 まぁ課題はノイズについてということであるから、何とかなるだろう。

 レポートを書くコツは、いくつかの視点で分析してみること。そして浮き上がる課題に対して短期的な解決方法、中長期的な解決方法の両者を提示してみることだ。

 

 

 数日後。

 

 

 そんなわけで俺は放課後、電算室に籠もってレポートを書いていたのだが……呼出音だ。

 ようやく動いたな、フィーネ。いいぞ、想定どおりだ。

 

『司令部よりアリアさんへ! 市街地広範囲にノイズ発生! 響さんと共同で対応に当られたし!』

「こちらアリア、了解した。現時点における発生地点のマップを転送してくれ!」

『了解!』

 

 マップを送ってもらったが、ノイズの量が想定以上に多い……!

 俺と響を分断してあちらを拉致しようという魂胆だろうが、やはり装者3名体制だと原作とはあちらこちらで乖離が出るのか。

 

 響を守りながら戦わなければならないが、そうすると市民への被害が拡大しかねない。

 

「司令部! 俺とお嬢ちゃんの配置はどうする!?」

『私、戦います!』

『響くん!?』

『少しでも翼さんの居ない分を埋められるように、私、頑張ります!』

「おい、本当に戦えるのかよ!? 司令!」

『―――響くんは比較的手薄な地下鉄入口からノイズを斃しつつ駅構内を抜け、公園へ! アリアくんは市街地からノイズを殲滅しつつなるべく早く公園へ向かってくれ!』

「くっ……了解!」

 

 アイツの襲来は想定内だ。だが、そもそも俺が頑張らなきゃ響が拉致されてしまう。そうなったら、これから先どうなるかわからない。

 

「時間制限付き……上等だ、やってやるよ」

 

 

 

 

Prajatroi Mahesvara tron...

 

 

 

 

「いけ、ファンネルッ! もう一つおまけだ! ヴァジュラ!」

 

 会敵早々、背中のセミオート迎撃装置であるファンネルを展開し、可伸縮の棍を投擲する。

 

「どぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ! こいつも持っていけッ!」

 

 面と線の攻撃で制圧を試みるが中々数が減らない。ヒト型、虫型、飛行型、中型、大型……チッ、数が多い!鬱陶しいッ!

 

三叉の槍(トリシューラ)!」

 

 状況を打開するため慣れた得物を持ち、前面のノイズを攻撃する……が、全く減った気がしない。突き、払い、回避を繰り返すものの、後ろから後ろから湧いて出てくる。

 

 10分ほどそうして戦っていただろうか。

 

「―――がふッ!?」

 

 死角からの攻撃!? 小型の突撃を食らってしまったか……!

 鳩尾にいいのが入ってしまった。勢いが止まってしまう。横隔膜が悲鳴を上げている。

 

 悪い状況はさらに続く。

 

「なっ!? ファンネルが!? チッ……戻れ!」

 

 中型のノイズに絡めとられ、それらと相討ちの形で2機を失ってしまった。4枚の羽根では飛行能力が大きく失われてしまう。

 

 ヤバい、戦いのテンポが悪い。相手のリズムを押し付けられている。

 

『アリアくん、大丈夫か!?』

「へーき、へっちゃらですよ!」

 

 たぶん、この後にはアイツがやって来る。だが出し惜しみをしているようではこの状況は打開できないか。

 とりあえず市街地を抜けることを優先する!

 

「そこぉっ!」

 

 両手の珠からエネルギー波を打ち出して小型ノイズを牽制し、大口を開けてこちらを攻撃しようとしてた大型ノイズの口を殴って強制的に閉じさせる。ついでとばかりに路地裏に紛れ込もうとしている周辺のノイズを撃ち抜く。

 少しばかり―――いや、かなり時間と体力を消費してしまったが、これで市街地の出口まで一直線だ!

 

「フォニックゲイン、フルチャージ! 『パーシュパターストラ』!」

 

 ブースターフルオープンだ! 10秒後のことは10秒後の自分が考える!

 とにかくエネルギーを槍先に集め、突撃!突撃!突撃! 

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 大型のノイズを突き抜け、大通りに集めたノイズをエネルギーの奔流で一掃する。熱とノイズの滓で顔中が煤まみれだ。

 

「よし、抜けれた!」

 

 振り返ると土煙の向こうに少々崩れてしまった街並みが見えたが、ノイズの姿は見あたらない。

 

「後は! ……はぁっ!?」

 

 後は公園でアイツを迎撃するだけだと思っていたが、前を見るとそこに居たのは公園中に(ひし)めくノイズの大群であった。

 

 鳩尾に食らったせいか、既に息は切れ、チアノーゼの兆候が出始めている。本格的にやべぇな。この体力で長物(トリシューラ)の取り回しはキツイ。

 

「ハハッ」

 

 思わず乾いた笑いが出てしまう。

 どうする。『インドラの雷』を使えば殲滅は可能だろうか?

 絶望感が頭を掠める。

 

「きゃあっ!?」

 

 そうこう考えている内に響が到着した。してしまった。抜けた先に大群がいたものだから驚いて悲鳴を上げている。

 今、『インドラの雷』を放てば間違いなく響を巻き込んでしまう。

 

 

 やるしか、無いのか。

 

 

「―――司令部へ。こちらアリア。りょーこさん、居る?」

『はいはーい♪』

「データ収集の準備。『絶唱』を使う」

『お任せあれ~♪ ―――無事に帰ってこないと、承知しないから』

『待て、お前たち! 俺は許可を出していないぞ!』

「お小言は―――ベッドの上で聞かせてもらおう!」

 

 もう悩んでいる暇はない! ここが俺の生命(いのち)の燃やしどころ!

 





次の更新は月曜です。


私の中でアリアのCVは小清水亜美さんに決まりました。
他の適任者がいらっしゃれば感想でお知らせください。


守りたい相手を守るために傷つけるってシンフォギアらしくて良いと思う。

みなさんの好きなシリーズは?

  • 無印
  • GX
  • AXZ
  • XV
  • 未視聴
  • パチンコ・パチスロしかしらない
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