621がV.Ⅸになるifルートの話   作:ikos

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旧宇宙港防衛

 

 アイスワームが入り口を守っていた巨大地下施設、「ウォッチポイント・アルファ」 。

 どれだけの深度があるのかさえ不明なその穴は、コーラル集積地点に繋がるものだと見られていた。

 スネイルにとって目下一番使い勝手の良い駒は、自分だという自覚はある。すぐにでもそこに放り込まれるだろうかと思っていたのだが、予想に反して、複数の独立傭兵を先行調査に使うことにしたようだった。

 

 ちょうどいい話だった。地下に潜ってからでは色々と準備が難しくなる。

 BAWSから、依頼したベースヘリの入荷連絡が入っていた。いくつか連絡を入れ、落ち合うことを約束する。

 

 翌日BAWSの倉庫前で、引き渡しを受けたベースヘリを一通り確認していると、懐かしい声に呼ばれた。

 

「よう、嬢ちゃん。元気そうだな」

「ドナトさん!」

 

 以前世話になっていた独立傭兵支援組織のメカニックだ。相変わらずもしゃもしゃした髭面の男が背の高い人物を伴っているのを見つけ、足早に近づく。

 装具がなければ歩けなかった頃を知っているからだろう。ただでさえ細い目がさらに細められたのを見て、相変わらずだとくすぐったい気持ちになった。

 

「引き受けてくれてありがとう。お給料はしっかり払うから。……それで、そちらが?」

「ああ」

「マギー・Gだ。物資調達とヘリの管理を担当する。よろしく頼むよ」

 

 いい人材がいれば声をかけておいて欲しいと頼んでいたのだ。

 ずいぶんと体格のいい、初老の女性だった。元傭兵だと言われても納得しただろう。右足は義足だったが、危なげのない様子で進み出て手を差し出してくる。固く分厚い手を握り返した。

 

「レイヴンです。よろしく、ミズ・マギー・G」

「雇い主だろ、“ミズ”はいらないさ。痒くなっちまう」

「ありがとう、マギー・G。若輩者ですがご指導ご鞭撻のほどを」

 

 笑いながらわざとかしこまった挨拶をすると、おかしげに手を振られた。

 印象のいい人物だ。仲良くやれそうな感触に、胸を撫で下ろした。

 

「細かい条件は契約書のとおりよ。早速だけど、詳しい話をしておきたいの。マギー・G、ヘリを出してもらえる?」

「言っておいたサプライはもう積んであるんだね。用意の良いことだ」

「ええ。ご要望のお酒もちゃんと」

「そりゃ楽しみだ! すばらしい雇用者様だね!」

 

 BAWSに割増料金を払って、水や食料、弾薬など基本的なものは一通り積み込んでおいてもらった。酒だけはアーキバスの搬入品からごっそり購入して持ち込んだものだ。ちょうど良く届いたばかりの搬入品だが、なぜだか今回は妙に酒類が充実していた。タイミングの良いことだ。

 

 アーキバスに身を寄せてから約一年。弾薬や修理費、生活費までもがかからなかった関係上、必然的に貯め込んだ報酬は随分な額になっていた。二年くらいは無報酬でも維持できる計算だ。ここが「使いどころ」だろう。

 

 ベースヘリは単純な移動くらいなら、基本的に自動運転での移動が可能だ。

 まだ物のない居室で車座になり、ドナトがまず口火を切る。

 

「それにしても、わざわざ企業から離れてドンパチやろうとはなあ。……悪い噂は本当だったか?」

「……そうね。居心地は悪くなかったけど、さすがに少し、受け入れがたかったから」

 

 今の時点で、ファクトリーの件を話すつもりはなかった。正直なところ、この選択が胸を張って正義感だと言える自信はなかったし、彼らとの関係性は純粋に利益で確立しておくべきだと考えていたからだ。

 

「実際に離反するのはもう少し先になると思う。最長でも一ヶ月以内には動くわ」

「その後は、解放戦線と組むって話だったね。……なんでわざわざこんな体裁を整えたんだい?」

「そこまで彼らのことを信用できていないから。組織の一員になったら報酬も払い渋るでしょうし、そこまでの義理はないわ」

「……なるほどねえ。だからこその初期投資か」

 

 納得するマギー・Gに頷き返した。独立傭兵としての立場はかなう限り維持し続けるつもりだ。

 

「二人との契約期間はとりあえず一年でお願いしたけど、長期化すれば延長も考えてもらいたいと思ってる。計算上、二年くらいは問題ないはずだけど……まあ、しっかり稼がなきゃね」

「アーキバスから離反したとなりゃ、ベイラムもあんたを使おうとするかもしれないね。まあ、約束通りのものを払ってもらえるなら文句はないさ」

「ありがとう。しっかり養わせてもらうわ」

「期待してるよ、お嬢さん。……話はそれくらいかね? ちょっとヘリの操縦席を見てきたいんだが」

「ええ、よろしく」

 

 仕事熱心でありがたいことだ。部屋を後にするマギー・Gを見送ると、ドナトがなんとも言えない顔で太い腕を組んだ。

 

「……企業とやりあうのはいい、解放戦線に手を貸すのもな。だが、どうにも気になっていることがあるんだ」

「何? 聞きたいことがあるなら言っておいて」

「その後のことは、考えちゃいないのか」

 

 予想しなかった言葉に、首を傾げた。

 

「その後って?」

「もし全部がうまく行って、ベイラムもアーキバスもルビコンから追い出せたとして、だ。その後はどうするつもりだ?」

「さあ……解放戦線が政府になるかどうかじゃないかしら。今も似たような機能は持っているみたいだし、なんとかなるんじゃない? そこまで責任を負うつもりはないわ」

 

 がりがりと髭を掻きながら、ドナトは渋面で返した。

 

「そっちじゃない、嬢ちゃん、あんた自身のことだ」

「私?」

「身体は治ったんだろう。金もある。望めばいくらでも好きな場所へ行って、普通の幸せってもんを手に入れることができる立場だぞ。何が楽しくてこんな稼業を続ける必要がある」

 

 思いにもよらなかった言葉だった。

 言われてみれば、戦い続ける必要性はないのだ。それが当たり前だと思っていたせいで、それ以外の選択肢を考えたことがなかった。

 ドナトが答えを待つように見据えてくるので、口元に手をあてて考えた。

 

「……とりあえずは、潰したいものがあるから、と……あとは、約束が残ってるから」

「約束か。ろくでもなさそうだな」

「そうね。でも、おかげで一年間すごく楽しかったの」

 

 思わず笑みをこぼした。

 その表情を見て、ドナトがなんとも言えない唸り声を上げる。

 

「……娘が嫁に行ったときと同じ顔をしてやがる。どこのどいつだ、殴ってやりてえな」

「そんな話じゃないけどね。もしかして誤解させた? 遊ばれて捨てられたとかじゃないわよ」

「……だったら、そいつと幸せになってもいいだろうに」

「幸せ、か……想像がつかないわ」

 

 幸せな未来と言われて、思い描けるものがないのだ。

 きっと手に入らないだろうと思っているせいだろうか。企業との戦争が終わるまでにどちらもが生き延びているとは、正直なところ思えない。模擬戦とは違うのだ。どこかでどちらかが先に死ぬだろう。手にかけるのは別の人間である可能性だって十分にある。

 

 そもそもが、これだけ殺しておいて今さら平和に生きていこうなどと、虫が良すぎるように思える。

 フロイトの背負った業ほどではないかもしれないが、選んで手にかけた命の数は十分すぎるほどの重みだ。ろくな死に方をしない――いや、するべきではない、と思っていることに気付いた。

 少なくとも、子や孫に囲まれてベッドの中で、なんて死に方は、とてもではないがふさわしくない。

 

「ごめんなさい。やっぱり、私、貴方の娘さんみたいにはなれないみたい」

「……あんな跳ねっ返りは一人で十分だ。別に同じになるこたあないんだが」

「うん……でも、そうね、生き残ったらちゃんと考える。約束するわ」

 

 そうか、と答えるドナトの顔には、複雑そうな安堵が浮かんでいた。

 こんな生き方をしているのに、人に恵まれていると実感する。アーキバスでもそうだった。親しくした人たちは誰もが善良に思えて、居心地のよさに目を塞いでしまっていた。

 

 細く息を吐く。

 裏切り者になる、そのときは近い。

 

 

 

***

 

 

 

 拠点に戻るなり、スネイルから任務の打診があった。

 現在アーキバスの支配下にあるバートラム旧宇宙港にベイラムが襲撃を目論んでいるとの情報あり。その防衛をせよ、という内容に、首を傾げた。

 

「……このタイミングでベイラムが? 狙いは強襲艦?」

「おそらくは上が色気を出したのでしょう。まったく……実に無様極まりない。憐れなことです」

「上層部に悩まされてるのは貴方も同じじゃない? それにしても、全員ウォッチポイントの方に放り込んでるのかと思ってたけど……」

 

 やはり違和感がある。うまく言葉にできないまま、気持ちを切り替えた。

 

「すぐに動くわ。現地の戦力は?」

「MT部隊が3個隊。停泊している強襲艦は、運用人員がまだ用意できていないため動かせません。もっとも、襲撃の規模はそう大きなものにはならないはずです。レッドガンはすべてウォッチポイントに投下されていますので」

 

 ACがいないなら、退屈な――もとい、楽な仕事だ。

 あとは独立傭兵を雇うパターンも考えられるが、結局のところ、蓋を開けてみなければわからない。

 

 急行しながら、現地の指揮官に通信を繋ぐ。現在はまだ平穏無事とのことだ。胸を撫で下ろして――おかしいな、と首を捻った。敵対することをはっきりと決めたのに、敵戦力が減るのをいやがるなんて。

 まあ仕方がない、と自分を納得させた。別にアーキバスのすべてを焼き払いたいと思っているわけではないのだ。そういう気持ちになることもあるだろう。

 

 開けた場所にあるバートラム旧宇宙港は、以前訪れたときと同じ夕暮れの色に包まれていた。

 管制塔の傍に降り立ち、すぐに指示を出す。

 

「こちらV.Ⅸ。聞いていると思うけど、襲撃の情報が入っている。もしACが出たら無理をせず援護に徹して。強襲艦は動かせるようなら戦闘領域から離脱。無理ならMT部隊はそちらの護衛を優先事項に」

《了解。――強襲艦、移動は可能です》

「よかったわ。襲撃が確認されたらすぐに動けるよう準備して。念のためMTもつけておいたほうがいい。割り振りは任せるから、こっちは気にしないで」

《承知しました》

「……さてと。何がくるかしらね」

 

 ひとりごちて、そのときを待った。嫌な予感――この場合はいい予感だろうか、それがなんとなく緊張感を保たせている。

 待つ時間はそう長くなかった。広域回線で警告が発せられる。

 

《高速接近する機体を検知。――AC「アスタークラウン」及びAC「アンバーオックス」……いずれも独立傭兵特例上位ランカー……ほか所属不明ACが1機。きます!》

 

 思わず空を煽ぎそうになった。

 どうやらベイラムは独立傭兵を使うことにしたらしい。すっかり忘れそうになっていたが、例の「ブランチ」の面々がお揃いということだ。一番最悪な状況で出会すことになってしまった。

 

《“レイヴン”、目標を確認したわ。あれが貴方を騙る傭兵……》

 

 広域回線で、まるで謳うような声が言った。至極楽しげに、そして憎々しげに。

 本物の“レイヴン”ということだろう。――生きていたのか、と目を瞠った。

 

《見せて貰いましょう。借り物の翼で、どこまで飛べるか》

「……総員、作戦通りに。何があっても邪魔はしないで」

 

 言い置いて、迎撃に向かった。

 3対1。分が悪いことはわかっているが、庇いながら戦う方が厄介だ。 

 とりあえずすべての機体をロックオンして、ミサイルをばらまきながら接近した。出来るだけ早めに、1機だけでも落としてしまいたい。

 四脚機体に狙いを定め、レーザースライサーを展開した。

 

《くっ……。仕掛けるぞ、シャルトルーズ!》

《偉そうにしない。友達なくすよ!》

 

 ずいぶんと仲が良さそうだ。

 当然に挟撃に入ったタンクから拡散キャノンが放たれる。ほとんど感覚でそれを避けながら、四脚に狙いを絞って削っていく。

 二脚機体がグレネードを放った。その場を飛び退き、リニアライフルで応じる。

 

《強化人間 C4-621。“レイヴン”の名を返せとは言いません。ただ……あなたにその資格があるか、見極めさせてもらいます》

「返せと言われないのは助かるわ。気に入ってるの」

《あら。……なんて、おこがましい》

 

 いっそ穏やかなほどの挑発は無視する。

 四脚の懐に飛び込んで蹴りを叩き込み、アサルトアーマーを展開した。

 

《何……っ!?》

《キング!!》

 

 ACSが負荷限界を迎える。

 すかさずレーザースライサーで切り刻むと同時にミサイルが着弾したが、墜とすには少しばかり足りない。だが、損傷はそれなりだ。

 

《聞き及ぶ以上の実力だな……! この圧力……あいつを相手にした時以来か……!》

 

 一息に墜とせなかったのは痛かった。距離を取られたので無理には追わず、タンクに狙いを変更する。

 左後方から突き込まれたパイルバンカーは視界に入っていた。軸をずらして側面を蹴り飛ばす。大昔にはフロイトのチェーンソーで痛い目を見た動作だが、ここに至っては安定した回避行動に数えられる。体勢を崩した敵機の背中へ、リニアライフルを撃ち込んだ。

 すぐにタンクへミサイルを放つ。

 

《“レイヴン”とは意思の表象……相応しいのは、選び戦う者だけです。企業の走狗たる貴方に、羽ばたくことができるとでも?》

「もうちょっとはっきり言ってもらえれば助かるわ。要は、私が気に入らないってことでいい?」

《……そう。ええ、そうね、“レイヴン”。この傭兵は……あまりにも異質……》

 

 広域回線でわかりやすく話してくれていたイグアスは随分と親切だったんだなと、場違いに思い出した。会話がまったくわからない。

 追いついたMT部隊が援護射撃に入る。その1機が片手間に潰され、バラバラになって吹き飛ぶのを見て、どうにも嫌な気分になった。

 MTを蹴散らす余裕を与えないよう、こちらに集中させるしかない。

 

《貴方の戦い方は、ずいぶんと窮屈……。そうまでして守る価値を感じているのかしら? 企業の狗らしいこと》

「すごく好きにやっているつもりよ。今は守りたいから守るし、気に入らないから倒す。貴方たちもそうでしょう? だったら、あとは、どちらが生き残るかというだけの話よね」

《――ははっ、言うね! 私は気に入ったよ》

《シャルトルーズ、やめておけ。後が怖いぞ》

《……そう。なら、見せて貰いましょう。守りたいと言ったものを、どこまで守ることができるのか》

 

 またMTが墜とされた。苛立ちながらミサイルを放ち、手近にきた四脚に斬りかかる。タンクがレーザーを放つのが見えた。回避したことで、またMTが巻き込まれる。

 待避しろとは言えなかった。援護射撃は実際に有効なダメージを与えている。それを邪魔だというのは彼らの矜持を損なうだろう。

 3機を墜とすまでに何人死ぬ? ――いや、それに問題はないはずだ。ただ、理屈ではわかっていても、今このときの感情だけが追いつかない。

 

 ぎり、と奥歯を噛み締めたとき、通信が入った。

 

《――救援です! V.Ⅶ スウィンバーン、AC「ガイダンス」が……!》

《らしくもなく苦戦しているようではないか、V.Ⅸ! 貴様にはまだ手伝ってもらう書類がある! こんなところで死んで貰うわけにはいかん!》

 

 唖然として顔を上げた。ハーロフ通信基地防衛に当たっていたはずのスウィンバーンが派遣されたらしい。

 思わず笑ってしまう。まさか、スネイルが救援を手配するとは思わなかった。そして、その相手にも。

 

「……助かります、V.Ⅶ。あとでしっかり書類を手伝いますよ」

《よい心がけだ! さっさと片付けるぞ、今日こそは日付が変わる前に寝てやる……!》

 

 その機影を確認しようとしたのだろう。4脚が一瞬だけ動きを鈍らせた。

 突っ込んで蹴り飛ばし、今度こそレーザースライサーを突きつける。

 

《ぐっ……強いな……! ……名に恥じぬ……戦い……》

《キング! 気取ってる場合か、離脱を……!》

 

 それを許すつもりはない。撃墜した機体の腕を掴み、遠心力を利用して振り向きざまタンクに投げつけた。

 

《なっ!?》

 

 とっさに受け止めようとしてしまったのだろう。タンクが大きく体勢を崩す。

 ミサイルを放ちながら、追いかけるように接近した。

 

《こいつ……! 正気!? どうかしてる!》

 

 ようやくたどり着いたスウィンバーンのガイダンスが、二脚にハンドミサイルを放つ。引きつけてくれるだけで十分だ。

 肉薄する。レーザースライサーで切り刻み、再び蹴りを打ち込んでいる間に、レーザーキャノンのチャージが完了した。

 

《シャルトルーズ! 回避を……!》

 

 青い閃光がタンクを貫く。

 これで、残りは1機だ。

 

《そんな……いいえ、分かっています、“レイヴン”。今は、目の前の相手を……!》

 

 こちらに背を向けるのは危険だと判断したか、“レイヴン”が狙いを定めてきた。

 ――レイヴン。傍迷惑な諸悪の根源。この場所へ自分を導いた羽ばたき。今、そのすべてを奪うときがきた。

 

「……感謝してるわ」

 

 本心から呟いた。

 二連グレネードを避けながら、滑るように背後に回り込む。リニアライフルを撃ち込んで姿勢制御を固めた。あとは同じように、レーザースライサーで切り刻むだけだ。

 硬直から立ち直った“レイヴン”が回避行動を取る。アサルトアーマーを展開してそれを阻んだ。

 

《“レイヴン”、反撃を……!》

 

 一瞬、妙な間があった。

 機体を蹴飛ばし、レーザースライサーを押し当てる。今度こそ完全にコアを破壊した。

 息を飲むような音が聞こえた。

 二脚機体が墜ちていく。炎を上げ、完全に沈黙した。

 

《……そう。見届けようと言うのね。この翼が……彼女をどこに運ぶのかを》

「頼んでいないわ。……ところで、貴方を殺すにはどこに行けばいい? 『ブランチ』は完全に消しておくべきだと考えているんだけど」

《まあ。野蛮ね》

 

 実際に答えるとは思っていない。ただ、再起を図る気力くらいは摘んでおけるだろうか。

 ため息のような声が聞こえた。

 

《……止まり木も、羽ばたきも失ってしまった……今の私に出来ることは、もう何もありません》

「厄介な暴力装置の自覚はある?」

《そのままお返しします。……レイヴン》

 

 虚を突かれた気分で、目を瞬いた。彼女がその名前でこちらを呼んだのは初めてだ。動揺が伝わったのだろう、くすくすと笑う声が、悲しみを交えた響きで呟いた。

 

《彼らの代わりに、見届けましょう。レイヴン。貴方がどこへたどり着くのか。……それが「ブランチ」の最後です》

 

 

 

 

 

 






(実はこの時点で過去作に「マギー」さんがいはるとは思いにもよらず、めちゃくちゃ偶然でまったく関係ないのです、すみません……)
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