今回のオリキャラ提供者は2名います!贅沢ですね!
今回のオリキャラ提供者は〈フロムの民〉と〈アスカ〉さんです
それでは前置きはここまで
本文をどうぞ
銃声で目を覚ました。夏芽が近くに置いてあるナイフを隠しながら階段を下りると、リビングには前回の襲撃で見た雑兵の死体と銃を持ったマリアがあった
「汚らしい身分でリビングを汚した罪!」
マリアはもう一度、発砲しようとしているので夏芽は銃を取り上げた
マリアに睨まれたが関係ない
「今撃ったら更に汚れるだろ。撃つなら外でやれ」
こんな事言っているが、本音は銃声で起こされた事への怒りをぶつけているだけだ
マリアは深呼吸をして自分を落ち着かせた
「……気遣い感謝するわ。流石に感情を優先しすぎたわね」
「まあ、気持ちは分かるよ。こんな生活は精神的に狂っちゃうよな」
2人だけじゃない。誰も言わないだけで限界ギリギリの精神で過ごしている
最近は常にピリピリとした緊張感がアジトにあった
冷静なフリをしたマリアは銃をしまって自室に戻った
こちらの情報は敵には全て筒抜けなのに、敵の情報は一切掴めない
あまりにも理不尽な戦いである
(今焦ってても何も得られないのは知ってるが、焦らずにはいられない)
夏芽は自分のイラつきを抑えながら、椅子に座り就寝した
「お~い。大丈夫か?」
龍に起こされて目を覚ました。みんな起きているようだ。
「もしかして、僕が一番遅起き?」
「当たり前だ。もう昼頃だぞ」
そんなに眠っていたのか。最近は多忙だったから疲れが蓄積しすぎたかな
「お前は働きすぎだからな。ぐっすり眠れたか?」
珍しい事にボリスも心配してくれた。アンタの無茶ぶりのせいなんだけどな!
まあ、心配してくれてる人間に文句を言うのは違う。僕は感情をグッと喉奥にしまった
「では今日の依頼だが、とある教会に行き神父に会ってくれ。目的地はスマホに共有した。じゃあ頼んだぞ」
前言撤回します。文句の1つでも言う権利があるな
ボリスはホットコーヒーを淹れて夏芽の顔を見る
「どうした?何か気まずい事でもあるか?悩み事があるなら聞くぞ?」
数秒悩んだ末、ホットコーヒーに次々氷を入れまくる
「お前何してんだ!」
慌てるボリスを横目に夏芽は家を出た
一部始終を見ていた朱音はボリスの肩に手を置いた。
「これはボリスさんが悪いね」
ボリスは氷が溶け、味が薄くなったアイスコーヒーを啜ることしか出来なかった
「人使いが荒いリーダーを持つと大変だよ」
勿論ボリスがリーダー失格な訳ではない。むしろ逆
リーダー適正は非常に高い。ただスパルタが過ぎるだけである
「まあ、無茶をさせるって事は、信頼に値する人間である証拠なんだろうけどさ」
だからこそ、文句を言い嫌がらせをするが素直に従っている
(教会の神父に会えって、何が目的なんだ?)
何はともあれ行けば分かる事だ。それに、ボリスの依頼が言葉足らずなのは今に始まった事でもない
さっさと向かうとしよう
「で、来てみたのだが……」
何の変哲もない普通の教会だが、外傷が激しい
これは何度も襲撃にあい返り討ちにした証拠だろう
「話が通じるヤツであることを祈ろう……」
大体は生存している時間が長いほど、頭のネジが外れている
神聖な場所を戦場にしている人間なら尚更だ
(今回も面倒事に巻き込まれる予感)
既に帰りたかったが気持ちを押し殺して中に入った
「お邪魔します。誰か居ませんか?」
扉を開けると誰もいなかった。正確には誰も表に顔を出さなかった
(少なくとも10人以上に見られている。警戒してるのか観察しているのか)
本当は相手の出方を探りたいが、動く気配はない
そのまま無言の睨み合いは数秒続いた
最初に動いたのは夏芽だった
「誰も出ないなら入るよ」
そう言い教会の中に自ら入ると、扉の後ろに隠れていた刺客が夏芽を攻撃する
夏芽は攻撃を躱して反撃を繰り出したが、ぶつかる直前で止めた
夏芽に攻撃を繰り出していたのは15歳くらいの青年だった
夏芽は青年を拘束した後に人質にする
「用があるのは牧師だ。それ以外に興味はない」
返答はない。ヘタな脅しも条件も効かないようだ
夏芽は人質を見せつけながら奥へと進む
人質は必死に抵抗するが夏芽との差は歴然だった
教会奥まで進んで人質を解放すると、人質は解放された瞬間に夏芽に飛び掛かる
「見逃したのに……」
夏芽は青年の腹部に肘打ちをお見舞いすると、青年は崩れ落ちるようにダウンした
「加減はした。恨むなよ」
辺りを見渡すと敵討ちしようと隠れる事を放棄して武装した人間が夏芽を睨んでいた
年齢はバラバラだが全員が子供であった
夏芽は折り畳みナイフを出して姿を見せない牧師に告げた
「この量を相手に手加減するのは疲れる。まだ出ないなら全員病院送りにしても文句言うなよ」
「流石に凶器を出されたら、姿を見せないとな」
声は後ろからだった。夏芽は振り向いて武器を構えた
「しっかり手入れされてるな。君ナイフ使いだろ?」
車椅子に乗った牧師が夏芽に話しかける。手には先程夏芽が取り出したナイフが握られていた
(あの数秒で盗みやがった)
牧師は車椅子を押し夏芽の傍まで近づく
「ようやく会えた……」
夏芽が牧師に話しかけようとした瞬間に、牧師は隠していた自動拳銃で夏芽を殺そうとする
夏芽は後ろに飛んで弾丸を避けた
「う~ん。やはり腕が落ちたな」
夏芽はハンドガンを取り出し牧師に向ける
「随分物騒な挨拶だな」
牧師は笑う
「お互い様だろう。君だって子供達を本気で殺そうとしただろ」
「先に殺そうとしてきたのは僕じゃないだろ?」
夏芽はゆっくりと牧師に近づいてナイフを取り返す
「あの早撃ち見事だった。大抵のヤツなら死んでたよ」
そして牧師の持っている銃を取り上げた
「アンタ牧師様だろ?銃なんて似合わないよ」
そして牧師が出てきた扉に銃口を合わせると、牧師から徐々に殺気が増していく
「その銃を……どうする気だい?」
優しい声で喋りかけてくるが回答を間違えれば瞬時に殺される
その視線を気にせずに夏芽は言葉を返す
「アンタが対話に応じてくれたら何もしないよ」
牧師は夏芽の元から離れて隠していた予備の銃を取り出す
「それで要件は?」
取り出した銃は脅しか護身用か処刑用かは定かではない
牧師は今までと変わらない口調で夏芽に喋りかける
夏芽は扉に銃を向けながら牧師に語る
「僕はボリスさんに頼まれてこの場所に来た。要件も依頼内容も知らない。この場所に行けと言われたから来ただけだ」
「ボリス?その人間のフルネームを教えてくれ」
夏芽はフルネームを聞きたい意味が分からなかったが、とりあえず答えた
「ジャクソンボリス。性別は男で年齢は20後半……情報はこれで満足?」
ボリスの名前を聞いた瞬間に扉から若い女性が扉から頭を出した
「ボリスくん元気してたんだ!良かったわね貴方」
女性の声を聞いた牧師も銃を置いて夏芽に近づいた
「おや、あの子の知り合いか。それは失礼した」
そう言いながらも夏芽が握っていた銃を取り上げた
「みんなも出てきて良いよ。この人は悪い人間じゃない」
牧師が子供達に呼びかけると続々と集まってくる
状況が理解できない夏芽は一人立っていた
「誤解してすまなかった。てっきり殺害依頼を受けた殺し屋かと思っていたよ」
先程とは打って変わって牧師は夏芽を丁重にもてなしていた
夏芽は菓子を食べながら牧師と対面していた
「本当に殺し屋だけどね。それにウチは余程の事がない限り殺害依頼なんて受けないさ」
2人が話していると子供達が寄ってくる
「お兄さん何話してるの?」「そのナイフ本物?見せて見せて」「お兄さん。戦いのコツとか教えてよ」
夏芽は大勢の子供に質問攻めを食らう。牧師は子供達を制止する
「こらこら。今この人と大切な話をしてるから。後で沢山答えてくれるから待ってて」
「いや、質問に答えるとは……」
夏芽は否定しようとしたが、牧師は口チャックのジェスチャーで伝える
今否定したとしても先に進まないので、夏芽は渋々承諾した
子供達が向こうで遊んでいる間に話を進める
「あの子の事だ。何か面倒事に巻き込まれてるのだろうな」
牧師が何かしら作業を始めたので夏芽は一つの疑問を問いかける
「牧師さん。貴方はボリスさんの何なんだ?」
牧師は夏芽の方を向いて答える
「あの子は、この場所で育った孤児だよ」
「ボリスさんが孤児だったとはねぇ……そんなにビックリしないな」
牧師は棚から一冊のアルバムを手に取った
「こんな世の中だ。親を殺されたり奪われた子供ってのは何人もいる。親を失った子を守る人間も少ない。だから自分一人で生きる術を教える事にしたのさ」
開いたアルバムの中には太々しいポーズをとっているボリスの隣に笑顔な牧師がいた。
「あの子は昔から天才肌だったんだけど、それに加えて努力家だったよ。実力なら私の全盛期にも劣らないと思うよ」
牧師が語っていると女性が顔を出した。
「それでも貴方には敵わないけどね~」
「よしてくれ。私はもう現役引退した身だよ」
夏芽の前で女性は牧師にちょっかいを出す。
「何が引退よ。まだ元気いっぱいじゃない」
「こら客人の前ではやめてくれ」
夏芽を置いてけぼりにして二人はイチャイチャし始める。
「……そろそろ本題に入りたいんですが?」
夏芽が咳払いをすると牧師は姿勢を整えた。一方女性は少し頬を膨らませた。
「本題と言っても僕は貴方に会えとしか聞いてないから何をするべきか知らないのだけど……何か心当たりある?」
牧師は数秒悩んだ後、ボリスの要件を理解したようで口を開いた
「恐らく私も前線に立ってほしいとか味方になって欲しいとかだろうね。返事はNO。謹んでお断りするよ」
牧師はゆっくりと目を閉じた。
「昔ならば承諾していたかもしれないが私はもう歳だ。これ以上無茶するのはやめておきたい。次世代に託す子供達の世話もあるからね」
「さっきの手合わせで大体の実力は伝わった。断る理由が歳ってのは嘘だな。要はこの教会で骨を埋めたい訳だ」
牧師は夏芽の言葉に一度頷いた。
「君の言うとおりだ。本当に年老いてはいるけどね」
「なら、僕がアンタを止める術も筋合いもないよ」
牧師の意志を聞いた夏芽は席を立って出口へ帰ろうとする。だが子供達が列をなして出る事が出来なかった。
「牧師さんよ。この子達どかしてくれない?」
「それは無理だね。話し合いが終わったから質問攻めにあってくれ」
そういえば約束してたな。ってか武器をそんなキラキラした眼差しで見るな。怖い
「一応企業秘密なんだけど……しょうがない。技は教えれないけど稽古つけてあげる。開けた場所行くよ」
夏芽は教会の外へ孤児たちを連れていった。牧師は夏芽達を微笑ましい気持ちで見つめていた。
「夏芽くんだっけ?何やら貴方好みな子じゃない」
「そうだね。いい子だと思うよ」
大勢の子供達と手合わせをした夏芽はだいぶクタクタになっていた。
(まだまだアマチュアだけど手加減しすぎると負けそうだった。やりずらい相手だよ)
疲れ果てて座り込んでいる夏芽を孤児たちは引っ張っていた。
「もう一回やろ!」「次はオレと勝負してよ」「もっと教えてほしい!」
すると夏芽の元に牧師が歩いてきた。
「手合わせは終わりだよ。この人もヒマじゃないからね」
牧師は孤児を教会内に入らせて夏芽に手を貸した。
「約束も果たした事だし僕は帰るよ……」
夏芽が立ち上がり帰ろうとした時、牧師が名刺を夏芽に渡してきた。
「夏芽くん。私は君の事を気に入った。前線に立つことは出来ないけれど協力させてくれ」
「それは嬉しい誘いだよ。助かるよ……エドワード神父」
名刺には『エドワード・ボリス』と書いてあった。
「なんか照れるな。よろしくね夏芽くん」
その時だった。いきなり殺気を検知した。エドワードも気付いたようで顔つきが変わった
「尾行していたならば仕掛けるのが遅すぎる。目的は……まさか!」
エドワードは数秒考えこんだ後、教会に目を向けた時、既に兵士が教会内に忍び込んでいた。
「目的は私達と子供達が離れた瞬間だったのか」
エドワードの声を聞いた時、夏芽は考える事もなくダッシュで教会に向かった。
教会内は混乱状態だった。訓練の成果もあり死者は出ていないが何人かは負傷していた。
(出来る限り助けてあげたいけど一手遅れた。多少の犠牲は出る。取捨選択を間違えるな!)
能力を使っても取りこぼしは生まれる。この状況ならば人質をとる事も容易い。
射撃など場違い。ブレブレなエイムでは敵に当たらないどころか子供を撃ちかねない。手榴弾も今は使えない。
数多の選択肢を考え夏芽が取った行動は、全身全霊で子供を救助する事だった。
ある程度歳をとった人間ならば自衛が出来るが子供なら実力も力も不足している。最優先事項は子供だった。
焦点を決めた夏芽は能力を発動して低姿勢で走った。何故なら子供を抱えれて兵士なら足元を崩す事が出来るからである。
(あと30……20……10……5……4……3……2……1……0!)
子供を全員外に出した瞬間に酷い頭痛と眩暈に襲われて、その場に倒れこんだ
状況を呑み込めない子供たちに夏芽は語った。
「教会内は危険だから戻らないで、何処かに身を隠してくれ。絶対に闘うとか考えないで……」
徐々に意識が遠のいていく。子供たちの声が聞こえなくなってくる。
(まだ助けなきゃいけない子がいるのに身体が一切動かない!視界がぼやける。意識が……)
そのまま夏芽は意識を失った
エドワードが車椅子を押して教会に入った時には既に戦場と化していた。残った青年達が力を合わせてバリケードを作っているが、あと少しで突破されそうだった。
エドワードは入口で身を隠しながらハンドガンで敵をヘッドショットしていく。敵は突然の奇襲に反応が遅れてしまった。そして反応が遅れてしまえば攻守が変わる。
エドワードはヒットアンドアウェイを繰り返しながら徐々に孤児の元へと近づく。
エドワードは歩く事が出来ない。だが歩く事が出来なくとも移動は出来る。そして雑兵レベルならばエドワードは歩かずとも殲滅可能である。
「やれやれ子供達を狙うとは物騒な奴らだ。しかし相手が悪かったな」
エドワードは徐々に距離をつめながら子供達に近づく。
ただ相手もバカではない。車椅子に座っている相手ならば散らばって全方位から一気に攻撃する。
エドワードは車椅子から飛び降りた。直後車椅子は一斉射撃の餌食となった。
「最近の兵士は戦い方を忘れてるのか?今回が初の任務か?」
長椅子を遮蔽物にして再度発砲する。隠れる度に別の角度から顔を出して射撃する。現役時代に学んだ戦闘術を余すことなく発揮する。
最初は多勢に無勢な戦いであったが、今や手で数えれるほどの数にまで殲滅している。
「頭数増やせば私に勝てるとでも?出来の悪い司令官を持ったな」
足を引きずりながら前進していくエドワード
残った兵士は青年達を盾に使おうと走り出すが、顔を出した者から撃ち殺されていった。
敵を殲滅させたエドワードは這いずって孤児達の前にたどり着いた。孤児たちはエドワードを自作バリケード内に引きずり込んだ。
「みんなケガはないか?まさか私達と距離が離れた瞬間を狙っていたとは……申し訳ない」
孤児たちを強く抱きしめた。孤児たちは予備の車椅子を持ってきた。車椅子に座ったエドワードの元に女性が話しかける
「やっぱり現役引退なんて嘘だったじゃない。ずっと輝いていたわ」
「子供たちの為だ。本当はゆっくりしたいのだけどね」
すると夏芽が助け出した子供達が走ってエドワードの元へ向かってくる。
「助けて!お兄ちゃんが危ない!」
言葉を聞いたエドワードは子供に案内されて外へ出た。エドワードと子供が外へ出た瞬間、エドワードが子供に銃を構えた
「何で銃を向けるの?怖いよ」
「下手な芝居はやめてくれ。私が入った時に夏芽くんが子供達を連れ出す所を見ている。彼なら子供を危険に晒す事なんてしない。そして私は子供達を愛している。全員の顔くらい覚えているさ」
言葉を聞いた瞬間に子供の顔が曇る
「……ったく、立派な愛情だぜ。牧師さんよ」
子供はポケットから銃を取り出すと、躊躇なく自分の顔面に発砲した。血を吹き出しながら子供は笑う
「気色悪い家族ごっこも、そこまでいけば感動モノだな」
エドワードは笑いながら倒れた子供の顔面に狙いを定める
「家族ごっこではない。家族なんだよ」
地面に倒れた子供は徐々に骨格を変え最終的に一人の男性にまで成長した
(化物が……)
ボリスが子供だったモノを睨んでいると夏芽が近づいてきた
夏芽の後ろには避難させた子供達が付いてきていた
「夏芽くんも無事だったか。いや良かったよ」
「無事に見える?こっちは眩暈とか酷いんだけど……」
夏芽はフラフラ歩きながらエドワードの肩を掴んだ
「今回の件で確信した。僕は誰かに何かしらの方法で常に監視されてる。念のためGPSとか取り付けられてるかチェックしたけど何も引っ掛からなかったよ」
「最初の問題は監視の目から逃れる方法か……そうだ。連れを紹介しよう」
エドワードは何か思いつくと、すぐに電話を掛けた。数分後エドワードは夏芽が持っている名刺にサインを書いた
「これを見せてあげれば中に入れるよう説得しておいた。隠れ蓑にしてくれ」
「わざわざありがと……う?ちょっと待て。この住所って」
驚きと困惑で脳内グチャグチャになっている夏芽をニコニコと見つめるエドワード
夏芽は震えながらエドワードに尋ねた
「牧師さん……アンタやっぱり何者?」
「街の優しい神父だよ」
新しい隠れ蓑に移動中、夏芽はボリスに電話を掛けた
「成程。新しいアジトを用意して貰ったのか。父さんは役に立つな」
「それで今から全員で移住しようと思ってね」
電話越しにボリスは少し悩んで夏芽の提案を断った
「俺達は行かない」「理由は?」
夏芽が困惑しているとボリスが話す
「全員向かえば必ずバレる……休憩場所が必要なのは子供達だろ?大人の俺達は大丈夫だから安心しろ」
夏芽は何か言葉を返したかったがボリスの言う事は正しい。最近は常に警戒している。この生活を続けていたら先に倒れるのは子供の夏芽達だ。特に栞などの非道な手を使えない純粋な人間は狂ってしまうかもしれない。
「……分かった。何があっても死ぬなよ。ボリスさん」
「誰が誰を心配してるんだ。まだまだ俺は現役だぞ」
ボリスの返答を聞いた夏芽は安心して電話を切った
今回新しい拠点に向かうのはひかり・栞・彼方・朱音の4人
夏芽と合流した4人は夏芽を気遣う
目的地に向かう道中ひかりはボリスの無茶ぶりに文句を垂れていた
「ボリスさんは遠慮を覚えて欲しいです!夏芽くん最後に休んだのは何時なの?」
「ノーコメント」
夏芽のアンサーにひかりはもう一度ため息をついた。
すると話を聞いていた彼方が夏芽の腕を掴む
「お兄ちゃん。ちゃんと休んで。休まないと嫌いになるよ」
「分かったよ。一段落ついたら休暇をとるから許して」
夏芽の言葉を聞いた朱音が愚痴を漏らす
「夏芽くんの一段落は一体何カ月後なんでしょうね~」
しまった。何も言えない
そこからは拠点に着くまで4人からの休めコールの連続だった。勿論悪い気はしなかった
(拠点に着いたら少し休むか。疲労もすごいからな)
次の休日に思いを馳せていると目的地についた
そこは一目見るだけで住人の格差が分かる程の豪邸だった
情報を聞かされていなかった4人は圧倒されていた。そんな4人を横目に夏芽はインターホンを鳴らした
数秒後不愛想な低い男性の声が聞こえる
「何用だ」
おそらくボディーガードや警備員の類だろう
「エドワードボリスさんの紹介で暫く身を隠させてもらう夏芽です」
数十秒後、鉄製のフェンスが自動で開き数名の執事達が夏芽達を迎えに来た
「お待ちしておりました。お嬢様から話を聞いております。こちらへどうぞ」
5人は案内されて室内に入った。
ロビーには数名のメイドが掃除に勤しんでいた。メイド達は夏芽達を見るなり軽く会釈をした
生のメイドを見た女子達は感動して、彼方は部屋の大きさに驚いていた。
すると奥から二人の親子が様子を見に来た。母親は綺麗な服に身を包み堂々としている。それとは対照的に娘は母の陰に隠れて様子を伺っていた。
2人が登場した瞬間にロビーの空気が変わった。夏芽達は直感で理解した
(この人達が当主だ)
母親はゆっくりと夏芽に近づき声をかけた
「エドワードさんから話は伺っています。貴方が夏芽さんね」
夏芽は軽く会釈する
「はじめまして。貴方が当主さんですね」
母親はニッコリと笑い全員に挨拶をする
「ようこそ世界樹家へ。歓迎いたします」
「お兄ちゃんセカイジュっケて何?」
ベッドに寝転ぶ夏芽に彼ケ方が質問する。当主は1人ずつに個室を用意しようとしたが、流石に遠慮して男女で2部屋借りる事にした。
「数少ない大富豪……まあ、すごい有名なお家だね」
それにしても最近は大仕事ばかりで疲れていたようで、夏芽はすぐに眠りについた
何もない実験室に店長が横になっていた
「今の僕は囚われの身だから過ぎたことは言えないけど、ガラス越しにレディのデータをとるの飽きないのかい?」
研究者は何の返答もしない。
「忠誠心の塊だね」
そんなことをぼやいていると少女が研究室に入ってくる
「調子はどう?店長ちゃん」
店長は少女の声を聞くと真面目に受け答えする
「まさか亡霊と話す事が出来るようになるなんてね」
店長の言葉に少女は爆笑する
「亡霊か。確かにその通りだね!やっぱり店長ちゃんは話してて面白いよ」
そして急に声のトーンを落とす
「僕達3人はずっと亡霊なんだよ。ずっとね」
彼女の言葉に店長は言葉を詰まらせた
「夏芽くんに早く会いたいなぁ。会ったらそしてもう一度……」
僕を殺して
いかがでしたでしょうか
遂に隠れ蓑をゲットしましたね。そして次から次へと謎が出てくる……
亡霊の正体は……まだ秘密です
では次の話でお会いしましょう
以上!