剣の世界のハーフエルフ 作:はなみ
コンスタンスに書きたいけど、時間がなくて……のんびりと続きをお待ちいただけると幸いです。
「……ごめん」
ヒンメルがとても申し訳無さそうに私に謝ってくる。
「私達が原因とはいえ、こんな無理しなくても────いえ、ここはきちんと謝るべきですね。すみませんでした」
ハイターが聖典を片手に、私に女神の魔法である回復魔法をかけながら、謝罪してきた。
あー……女神の魔法の回復はあったかくて気持ちいいけど、どこまで回復するかなあ。
そして、一応周囲を警戒しながらも、コチラを心配してなんとも言えない顔でオロオロしているフリーレン。
誰もやらない……いや、やれないから私を心配そうに見つつ、黙々と一人焚き火と野営の準備をしているアイゼン。
うん、長年四人で冒険してたから、つい退避する時も同じようにしちゃったのはわかる。
それまではちゃんとある程度は守ってくれていたし、長年この森を狩場にしている私も自分で対処できる相手しかしてなかったし、敵わないと思った相手からは即時撤退、逃走していたからね。
間に合ってよかったけど、アレ直撃するとは思わなかったなあ。
「────ハイター、ありがとう……少し眠る……ね…………」
地面に敷かれたヒンメルのマント(真っ先に敷いてくれた辺り、ヒンメルまじ紳士。なぜ、フリーレン限定でヘタレなの)に横たわる私は、かなりの熟考の末にそう口にして目を閉じた。
本当は話すことも割とままならない。動くなんてもっと無理。全身とまで行かないまでも、あちこちに裂傷、擦傷、そして脇腹に大きな火傷を負っているのだ。
はあ……女神の魔法にもたくさん触れたし、この回復でプリースト技能が開花したりしないかな。
フォーセリア世界の神様とのチャンネル接続が行けたら、神聖魔法が使えそうなんだけど。
でも、ここは別次元の世界だから、神の威光が届きそうなのが星の輝き(三千世界を照らす知識の光だっけ?)*1を聖印にしているラーダ様とか大地や緑と関わりの深いマーファ様かな?
……さすがにロードスで文字通り次元の彼方にいた破壊の女神のカーディス様は……ありえそうだけど教義的に御遠慮したいし、同じ闇側の神ならファラリス様*2のがまだ良い。
仕方ない……後でラーダ様の聖印作って祈ろう。祈ればきっと届くはず。おそらくきっとめいびー。
えーと、聖印の星……星光ってどういう形だった……? 五芒星とか六芒星じゃなかったはず……正確な形をよく思い出さないと。
私の持ってる技能のシナジー考えたら、知識の神のラーダ様の魔法が相性もいいから────
大怪我をして激痛に耐えているという割と人生においてもイチニを争う一大事だというのに、私はそんな風に全く別のことを考えていた。
時間は少し巻き戻る。
────あの怒りの説教の後。
結局、大体(物理で)なんとかなるので見守ることに徹することにしたのだけど。
面倒だったのはミミックや罠に引っかかりに行くフリーレンでも、マッピングに必死なヒンメルとアイゼンでもなく、酒飲み生臭坊主のハイター。お酒が恋しいと禁断症状のごとく、ブツブツつぶやきだしたのだ。
女神の魔法でお世話になっているから、こっそりといつも持ち歩いてるスキットルに入れていた秘蔵の火酒(ウィスキーのこと)をわけてあげたのに、そのままスキットルに頬ずりして手離さなくなったのは許さない。
結局返してもらえてないし……高かったのに。
葬送のフリーレンが好きで、物語の過去である勇者一行に憧れとかあったんだけど。
【憧れは理解から最も遠い感情だよ】とは、誰の言葉だったか。
そうだ。ラスボス・ヨン様、そうブリーチの藍染様のセリフだ。
あの声優さんの低音のしっとりした声大好きだったんだよね……。
声といえば、アニメのフリーレンは好きな声優さんのキャラ結構いたなあ。
腐敗の賢老クヴァールとか、あのバリトンボイスとか渋い演技が最高だったし、断頭台のアウラの部下の……リーリエ*3じゃない方。えーと……リュ……リュグナーだっけ……?
名前がうろ覚えすぎる。担当した声優さんの名前とか、同じ声の別作品のキャラ(弓兵とか宿儺とか獣殿とか脱衣魔村正とか)はほいほい出てくるのに。
後は冬山の小屋でスクワットしてたあの変なエルフ……クラフトだったっけ? あの声も……
あれ? 今更気がついたけど、父さんの声ってあの筋肉エルフモンクと似てなかった?
……声だけじゃなくて。見た目もあの筋肉を減らして細身にしたら似てる気がする。
もしかして兄弟とか血縁か何か……いや、そしたら私もあのエルフと血が繋がってることになるやん。単に似てるだけだ、きっと。
実際、あの恋愛脳の父さんの考え方とか行動はエルフとしてはとんでもなく異端だし、そもそも千年以上前に……あれ、そういえば正確な年齢聞いたことない……父さんって、結局いくつだったんだ……?
……うん。きっと、私は色々と疲れているんだろう。
じゃなかったら、こんなどうでもいいことつらつらと考えたりしない。
だいたいさあ、ヒンメル達はポテンシャルというか、各々のスペック自体がとんでもないので、私(暗き森羅の森の自称管理人。狩人兼盗賊技能持ち)の存在意義について疑問になるわけで。
あえて私のソード・ワールド的データで表現するならば、超英雄*4パーティに巻き込まれてる、熟練冒険者みたいな……?
結構、自分の技能レベル高いと思ってたんだけどなあ。
私、実はテレポートもフルポテンシャルも使えるんだよ?
この世界だとあまりにも異質すぎる魔法だから、テレポートは自分だけしか使ってないし、フルポテンシャルも魔法効果や効果時間が少し違うみたいだけどね。
同じレベル帯の古代語魔法のブレードネットだって使えるし、ソード・ワールドでは遺失魔法だったものも(使えないものもあるけれど)私は使えるのだ。
だから、もしかしたら探索終わったら、勇者PTに勧誘されるかな? とか、ちょっと思ってたとか言えない。
あのときの私よ思い止まれ……流石にこの超英雄達には劣る。そこまでのレベルはないし、役に立てる気がしない。
もう帰ってもいい……?
どうせ最後の守護者の相手に私は無力なんだよねぇ。
「────? ストップ、ウルカ。ちょっと待ってくれ」
「ん? どうしたの? このまま、道なりにまっすぐ進めば、最奥に守護者がいるはずだけど」
ヒンメルが険しい顔で私を呼び止めた。
「何かおかしい気がする……嫌な予感というか」
そう周囲を見回しながら説明されるけれど、私は特に何も感じない。
はっ、もしかしてこれは……索敵判定自動的失敗でもしたのか私。
実は自動的失敗、まあ1ゾロによるファンブル的なアレだと、私にはわからないのだ。
達成値に数値が足らないただの失敗なら自分でもわかるのに……せめて自力でダイスを振らせて! 判定させて……! と切実に願うけれど、私のチート能力は融通がきくものではない。
そう思って、もう一人索敵担当(魔法)のフリーレンを見るけれど彼女の表情は変わらず、「索敵にかかってないよ」とフルフルと頭を振る。
そして、一瞬の静寂の後。
ガラスが割れるような音が森の中に響き渡り、鳥や獣達が一斉に騒ぎ出し逃げ出し始める。
「……何、これ?」
驚くフリーレンに聞かれるまでもない。私だって驚いているのだ。
「うそ……境界線の魔法が、破壊された……」
ソード・ワールドの詳しい説明いりますか?
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いる
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いらない