僕は戦略自衛隊の碇シンジです   作:5の名のつくもの

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右目ものもらいにつき、ショボショボのため、誤字脱字が出るかもしれません。


判明したこと

「ほらほら~元気出して~」

 

「ちょっと、マナちゃん」

 

中学校では男子と女子が別々に体育の授業を受ける。至極当たり前のことであり、男子生徒は厳しい先生が50分持久走を課した。女子生徒は優しい先生が水泳を教えている。プールの位置の都合から女子は見下ろす格好だった。ヘロヘロの男子生徒の持久走を高みの見物である。しかし、男子生徒にとっては元気を出す糧になった。

 

「へばっている奴がいたら、遠慮なく、上から水をかけてやれ」

 

「は~い」

 

特に活発なマナは戦略自衛隊仕込みの泳ぎを誇った。女子生徒の人気はもちろんのこと、男子生徒からの人気も高い。したがって、余裕のある男子生徒が視線を動かすが、シンジだけは真剣に走り込んでいた。調子に乗って爆走する生徒、へばっている生徒、等々がいる中では、終始安定した走りを見せる。

 

「シンジ頑張って!」

 

「うん、頑張るよ!」

 

喉も乾燥しそうであるが、返答できる持久力は素晴らしかった。授業を受ける態度も良好である。各種測定の数値も上位者に食い込んだ。さらに、体育以外の教科も優秀な成績を収めている。中が子の先生方からは非常に気に入られているが、厳しい先生は公平を心がけた。

 

「碇!女子生徒にモテるからって、アピールするな!」

 

「はい!」

 

ドッと女子生徒から笑いが巻き起こる。マナが男子生徒から人気なことの反対にシンジは女子生徒から人気で有名だ。なんせ、寡黙な綾波レイを解きほぐし、アスカと張り合うことのできる唯一の男子生徒である。

 

「まったく、調子に乗って」

 

「あ、ヤキモチ焼いてるぅ」

 

「違う!」

 

今日も始まったと他の女子は笑うが、マナとアスカは喧嘩することが日常茶飯事と言えた。その大半の要因が碇シンジを起点にする。よって、アスカは碇君が好きという認識が広まり、本人は頑なに否定しているが、否定すればするほどに信憑性は高まった。

 

「はいはい、碇君のことはいいから」

 

流石に見かねた先生が強制終了させる。これが取っ組み合いの喧嘩に発展することはあり得ないが、周囲の女子生徒が絡むと、授業が成立しなくなる。ここは介入して止めさせた。

 

「シンジのことは渡さないもんね~」

 

楽しい学校生活はあっという間に過ぎていく。夕方の下校時刻になると、シンジは家ではなく、NERVの迎えの車で地下基地へ直行した。彼はNERVから使徒の情報共有で呼ばれている。前回の使徒戦で使徒のサンプルの取得に成功し、総力を挙げて懸命に分析を行った。その分析結果を直接に共有する。

 

彼にデータで送っても構わないが、直接の説明を受けた方が手っ取り早かった。フリーパスのカードキーを持っているが、これは定期的に更新されることもあり、新しいカードキーの受け取りも兼ねる。

 

地下へ到着次第にミサトに連れられた先は、使徒のサンプルを分析する特別な空間で異様が占めていた。ミサト曰く「地下の中でも最深部にある。何があっても良いよう、封印装置や自爆用爆薬を備えている」らしい。なるほど、突如として、サンプルが使徒本体へ復活した時を想定した。

 

「説明はリツコに変わるわね」

 

「改めて、赤木リツコよ。よろしくね」

 

「戦略自衛隊の碇シンジ大尉です。こちらこそ、よろしくお願いいたします」

 

一応はNERV本部で顔を合わせたことのある。しかし、正式な対面までは至らなかった。今回の場を借りて挨拶を済ませる。リツコはエヴァンゲリオンの整備や改修にて関わり、シンジ大尉はエヴァという難解な兵器に手を加えることに敬意を示す。

 

リツコとシンジの挨拶を済ませたところで、使徒のサンプル保管場所へ向かった。片手にタブレットを持ってシンジとミサトの両名に説明を行い、寄せられる質問に答える格好を整える。

 

「まずはサンプル採取に貢献していただいたことに…」

 

「結構です。僕は戦略自衛隊の任務を全うしただけです。感謝されるべきは僕じゃありません」

 

「噂通りのスマートさで恐れ入りそう。それでは、面倒くさい事は抜きにしましょう。早速ですが、結果の報告に入ります」

 

タブレットを両名に見せつける。その画面に表示されるのは複数の数字だった。

 

「これは何を意味しているんですか?」

 

「この数字はコードです。いわば、NERVの示した答えであり、これは解析不能を意味しました」

 

「解析不能って、そんなことある?」

 

使徒のサンプルを多方面な分析にかけた結果は解析不能である。NERVは高度な技術力を有し、人類の叡智の結晶のはずが、使徒の解析が不可能なのはいただけない。命がけで戦っている彼は文句を放っても許される所を黙っていた。

 

「使徒は人類の理解を超えた存在」

 

「今のところは、締め括らざるを得ない。今後、使徒のサンプルが増えれば、多少は知ることができるかもね」

 

「わかりました。絶え間なく協力します」

 

サンプル採取は偶然の賜物と評価できた。というのも、前回の使徒戦はジェット・アローンが第五の使徒をビルに叩きつけている。それから、弐号機が鋭利なナイフで三枚おろしにした。第四の使徒(前々回)は自爆を選んだが、第五の使徒は敢無く切り刻まれる。

 

NERVは使徒の一部を損傷や腐敗のない綺麗な状態の採取に成功した。シンジにとって狙ったことでないため、棚から牡丹餅ということになる。NERVに解析不能と言われても、従前の協力姿勢を崩さずに惜しまなかった。

 

もっとも、これはNERVに入り込み、情報を掠め取る思惑がある。忘れてはならないが、彼は諜報員の性質も帯びた。マナは別にアプローチを仕掛けるが、今のところ、自由に出入りできる彼が有力だろう。

 

NERVも何となく分かっているはずが、敢えて、彼に曝け出している。

 

その理由は穏便な引き抜きだった。

 

「ただ、一つだけハッキリしたことがある」

 

「一つだけ…ですか」

 

「そう、それが聞きたかったのよ」

 

リツコらの執念と言うべきか、辛うじて、一点だけはハッキリさせた。

 

「使徒と人類は99%一致しています」

 

「はい?」

 

ミサトは「どういうこと?」を反応で返した。

 

一方のシンジは興味深そうに頷いている。

 

そして、分かり易く纏めた。

 

「使徒と人類は兄弟姉妹の可能性がある」

 

「そういうことよ」

 

ここから詳細な説明を受ける中で抽出すると、人間のDNAと使徒が限りなく一致している。約99%が一致して使徒と人間は兄弟姉妹である可能性が浮上した。どこかで道が分かれたが生の入り口は共通する。

 

「あなたは使徒の目的などを知っているのよね?」

 

「はい。僕とマナはセカンド・インパクトに始まる真実を知っています。もちろん、歴史は時の権力者によって隠蔽され、捻じ曲げられることも、よく理解しています」

 

「碇司令の実子なだけはあるわよ。ちゃっちゃと言った方が良いでしょ」

 

「どういう意味ですか?」

 

一拍置いてリツコが問いた。

 

「NERVに移籍してみたら、どうかしら」

 

~同じ頃~

 

「やはり、あの霧島マナ中尉は、諜報員に間違いないだろう。今なら排除できるが」

 

「いや、泳がせておく。戦略自衛隊から手を出させてNERVの自衛権を盾にしたい」

 

「そうか」

 

NERVの実力を低く見積もられては堪らなかった。戦略自衛隊の刺客は網羅している。泳がせ続けて介入の機を待った。裏の戦いは得意とするが世間体がある。向こうから手を出さるがお得なのだ。

 

「いつでも身柄を確保できる準備だけは整えておくが」

 

「あぁ。それでいい」

 

「それと、ジェット・アローンだが、弐号機を建造中と判明したぞ。危険な原子炉から『JAリアクター』を主機関にしている」

 

「壱号機か弐号機かはどうでもよい。だが、あれはエヴァ初号機の拡張パーツに使える」

 

「息子共々に奪取する気が満々だな」

 

続く

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