銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~ 作:LR44(ゆっくり)
>「し ゃ ぁぁ ァ ァ ァ ッ !
二度とやるか、あんな綱渡り戦闘!!」
>「うるせぇよ!!」ビシッ
>「はい、気を取り直して。どうも皆さん、おはこんにちばんは。
LR44(ゆっくり)チャンネルの中の人代理兼うp主もどきみないな何か、山さんです」
>「中の人のリア友代理、松だ」
>「前回、前々回とカーディナルサインの幹部、
本ッ当に疲れた。少しでもミスしたらやり直し、序盤でステータス低すぎてリカバリーも効かない。
あそこまで綱渡りな戦闘は正直二度と
>「まあ、カーディナルサインの幹部級が全員
自分から体力を削らないと本領を発揮できない、紙装甲だなんてビルドを選んだ以上、今後も綱渡りみたいな戦闘を続ける
>「うげ……ホロメンと積極的に交流して、なるべく多対一の状況を作り出せるように──」
>「──自分から、好感度に下降補正かけるスキル取ってただろ」
>「……下降補正の対象外なホロメンが、戦闘力上位寄りなのがせめてもの救いか……?」
>「まあ、取り合えずゲーム本編に移るか」
◆
「師匠が回収に人を送ってくれるみたいだな」
「そうか。こっちは、重症だが生きてはいるみたいだ。余たちはもう一人を追いかけて良さそうだ余」
双魚宮を撃破した
双魚宮の死亡は確認済み。持っていた摩訶不思議な剣も回収出来、少し心配だった男の生死も問題は無さそうと来た。
後は、逃げたリーダー格の残り一人を追いかけて捕まえれば依頼達成だ。
「ふむ、この方向は……山の方か」
「成程な。戦う者では無いが、逃走の腕はあるらしいな」
街の北側にある山。地元の人間からはハイキングや花見、紅葉狩りなど一年通して親しまれている。
だがしかし、整備されている区画を一歩踏み外せば、
遭難の危険は言わずもがな。野獣や魔物、ならず者等々……挙げていけばきりが無いほどだ。
それ故、
それに加え、突然木々や地形の構造が滅茶苦茶に組み変わったり、予兆も無く山中の別の区画に飛ばされたりと、摩訶不思議な事が起こる区画も存在している。
学者たちによれば、区画そのものが一種の魔物なのではないかという話も出ているが、その特性の
そのため、山中に逃げ込んだ相手を捕まえるのは、不可能というのが通説になっている。
「……見つけた。10時の方向、3キロ」
「よし、なら余が先行しよう」
そして当然、特色仕込みの技術というのは
師匠からみっちり仕込まれた追跡の技術は、男が残した痕跡を余さず捉え逃げた方向を割り出した。
それに加えて【振動操作】の
それに、こちらにはあやめがいる。あやめは俺の一つ上、2級フィクサーだがその戦闘力は並みの1級フィクサーを凌駕する。
当然、そんじょそこらの魔物や野獣など相手にもならない。
これだけの条件が揃っているのだ。後は楽な仕事になるだろう。
◇
後は楽な仕事になる……はずだった。はずだったというのに。
ガキンと、金属同士がぶつかる。暗闇に紛れ姿ははっきりと見えないが、狐系の獣人と思われる相手が振るう刀は確実にこちらの刃を受け止めていた。
先ほどの双魚宮に比べれば何ということは無いが……流石に真正面から戦って軽く片付けられるような生ぬるい相手ではないことは確かだ。
どうしてこんなことになったかと言えば……運が悪かったとしか言いようがないだろう。
運悪く、こんな夜更けに山へと立ち入っている獣人の少女二人組がいた。
運悪く
運悪く『急に殺されかけて逃げている』という、詳細を知らなければあちらに肩入れしてもおかしくない状況だった。
結果的に、ターゲットの男に二人が加勢する事になったのだった。
流石に二人同時に
そのため、獲物を持っていない──恐らく、徒手空拳主体だと思われる方をあやめに引きはがしてもらったのだが……存外腕が立つ。
夜闇に紛れて奇襲を仕掛けるも、獣人特有の感覚の鋭さで的確に反応される。
夜目が効く種族なようで、
身体能力も高いようで、こちらの攻撃を的確に防いでくる。
「どんな事情かは知りませんが、人殺しなんて許しませんよ!」
それでもってこの性格と来たものだ。今の俺が説得しても、受け入れるとは思えない。
そもそも双魚宮との戦闘で【制限解除】を切った後だ。あまり無茶な真似は出来ない。
【制限解除】も無しに真正面から競り勝てる相手ではなさそうだが……短期間に二度も切るような真似は、出来れば避けたい。
「しょうがない……か。高いからできれば使いたくなかったんだがなぁ……」
軽くぼやきながら腰の小物入れに手を入れる。
空間魔法の応用により見た目以上の容量を誇るポーチ。その中に所狭しと詰め込まれた道具の中から、目当ての物を手さぐりに探し当てる。
取り出したのは筒状の物体。端についたピンを抜き、
そして、反対を向き、目を閉じ、耳を塞ぐ。次の瞬間──
──キュガッ!!!! という訳の分からない爆裂音が響き、強烈な爆風が身体を襲った。
閃光と爆音が夜闇を光で塗り潰した。ソレは、事前に身構えていた俺であっても軽く聴覚が狂う程だ。
そう、
当然、至近距離で何の構えも無しに食らった少女ならば、視覚も聴覚も無茶苦茶になっているはずだ。
少なくとも、先ほどまでのような反応は出来っこない。取った、と。そう思っていた。
「──ッ、クダギツネ!!」
死角からの一撃だった。確実に決まったと思った。
だがしかし、少女の危機察知能力──所謂、第六感はこちらの想像を上回っていたようだった。
思い切りよく転がりながら、
「
呼び出したシキガミを武器に憑依。刀の形状を槍へと変化させると同時に、こちらの武器を弾き飛ばさんと攻撃を仕掛けてくる。
武器の操作をシキガミに一任しているようで、先ほどまでと比べ
未だ視覚も聴覚もまともに機能していないというのに、全く以て面倒だ。
「氷よ!」
こちらが離れたと見るや、槍を地面に突き立て氷の法術──恐らく妖術を使用する。
地面が、木々が、凍り付く。最初は少女の周囲ある程度だったが、時間がたつにつれ徐々にその範囲を広げていく。
不味い予感がし、足をつけている場所が凍り付く前にその場を飛び退く。
直後、先ほどまでたっていた場所から鋭い氷の山が突き出てきた。
対処の面倒な広範囲攻撃の妖術。それも恐らく自動探知式。
確かに視覚も聴覚も必要ない、この状況における最善手と言っても過言ではない。
本人の技術も申し分なく、状況判断能力も良い。それに加えて獣人特有の身体能力の高さも兼ね備えている。
まごうこと無き強者に分類されるだろう。
だが……これで詰みだ。
地面に向けて
多数の苦無を使い捨て、何度も何度も氷山を出現させてはその度に破壊する。
何度も何度も何度も何度も……やがて、少女はこちらの意図を察したようで苦しそうに言葉を零す。
「ガス欠狙い……このままじゃ……
こうなったら……」
ガス欠。これだけ広範囲な妖術なのだから、当然消費も相応に大きいだろう。
何かしら消費を抑える工夫はしているだろうが……広範囲・自動感知・自動攻撃と揃っているのだ。バカスカ連発していれば魔力が枯渇するのは当然の話だ。
このまま粘ってくれるならガス欠したところを叩けばよし。
痺れを切らしてこちらに攻めてくるのなら──
「《
「じゃあな」
──反撃の一撃で終わりだ。未だ五感が正常でない側と、万全の準備で迎え撃つ側。どちらが有利かは……言うまでも無いだろう。
放たれた氷柱を掻い潜り振るった刃が、側頭部を打ち付ける。
少女はそのまま崩れ落ち、これにて終わり……と思ったのだが
「全く……実戦経験も少ないんだから大人しく私に任せておけばいいものを……」
雰囲気が、変わった。
それだけではない。それどころか、見た目までもが変化した。
白髪が、黒髪に。服装も白と水色から、黒と赤に。まるで反転したかのような見た目となった。
……今夜の騒動は、まだ終わらないようだ。