銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~   作:LR44(ゆっくり)

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part11『光に生きるは神想(かそう)の白狐、闇に生きるは冥府の人狼④』

 突如として変貌した少女と、真正面から相対する。

 その身に秘める力は先ほどまでと変わらないように見えるが……威圧感が段違いだ。

 明らかにソレは、戦闘を生業とする者の()()であった。

 

「《狐火・球》」

 

 妖術で呼び出された火球が術者を照らし出し、暗闇にその姿が明瞭に浮かび上がる。

 見た目が反転したように、使用する妖術も反転したようだ……と考えていると、少し、引っかかるものを感じた。

 初めて視認したその全貌に、確かに見覚えがあったのだ。それが何なのか、記憶を掘り起こそうとしたところで、少女が口を開いた。

 

「おい、そこの……鳴神だろ」

 

 驚愕。どうにか感情を押し殺すが、微かに眉が上がる。

 何故(なぜ)? いつ、どこで、どうやってバレた? そういった疑問が頭の中をぐるぐる回る中で、突然思考の歯車が噛み合ったような感覚を覚えた。

 

真逆(まさか)、フブキ……白上か?」

 

 かつて望まぬ別れを経験することになった幼馴染。よく遊んでいた頃、聞きなれたその名をポツリと呟く。

 白と黒、色こそ真逆(まぎゃく)なものの、その姿にはかつて別れた幼馴染と重なるものがあった。

 故にこそ、半ば確信をもって発せられたその言葉は、しかし想定外の反応によって返された。

 

「いや……そうであり、そうでないと言えるな。

 私はフブキ。()()()()()()が生み出す()の化身。

 歪みで、ケガレで、心の闇。そういう存在だ」

 

 黒上フブキと名乗る少女の名乗りは、自らの存在を懐疑するような歪さがあった。

 その事に一抹の不安を感じつつ、黒上の次の言葉を待つ。

 

「とまあ、恰好つけたはいいが……私としちゃぁこれ以上戦う必要はないんだがな。

 とは言え……フブキにあれだけのことをした落とし前は、しっかりつけて貰わないとな」

「……と、言うと……?」

 

 昔馴染み──厳密には違うのかもしれないが──に出会えたことへの喜び、そして戦闘継続が必要なさそうな事への安堵が、不安と恐怖で塗り潰されたような気がした。

 黒上の言葉に、たらりと冷や汗が垂れる。コレは良くない流れだと本能が警鐘を鳴らす。

 まるで双魚宮と相対している時のような感覚に襲われる。双魚宮と黒上とでは、実力自体はかけ離れているにもかかわらず、だ。

 恐る恐る黒上へと聞き返すと、黒上はとてもいい──そして邪悪な笑顔でこう答えた。

 

「とりあえず一発殴らせろ」

 

 黒上の纏う雰囲気が変化した。明らかに異様なその気配に、俺は覚えがあった。

 それもそうだろう。俺自身、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 相手が一方的に発動したのでは、一方的に負けてしまうことは身をもってよく理解していた。

 故に──

 

「痛いのは嫌なんでな。遠慮させてもらうよ」

「はっ、そんなもの、通るわけないだろ?」

 

 ──こちらも術式を励起する。重すぎる消費を詠唱(ランゲージ)(もっ)て軽減し、(おの)が渇望を世界に具現化させて行く。

 それは、戦いを生業とする者にとっての辿り着くべき奥義の一つ。自らの渇望(エゴ)を一種の異界として世界に現出させる術式。

 

「「渇望よ、世界を喰らえ──」」

 

 二人が紡ぐのは、寸分(たが)わぬ詠唱(ランゲージ)の起句。

 片や手にした刃を正面で構え、目の前の相手を鋭く見据えている。

 片や狐の形にした手を天高く掲げ、不敵な笑みを浮かべながらその指を鳴らしている。

 

 互いに条件は同じ。ならばその先は完全なる力勝負。実力と、相性が全てを決する戦いである。

 二人が同時に詠唱(ランゲージ)の残りを紡ごうとした、その瞬間。

 そこに横槍を入れる者が二人、いた。

 

「「ちょっと待ったぁ!!」」

 

 一人はあやめ。俺の前に出て刀を構えている。

 もう一人はフブキと一緒にいた獣人──よく見てみれば狼獣人の少女。黒上の前で炎を纏った拳を構えている。

 その後ろ姿に見覚えのあった俺は、ポツリと呟く。

 

「まさか……ミオ、か?」

「そう! うちうち、うちだよ! 大神ミオだよ!」

 

 大神ミオ。白上フブキと同様、かつてはとても仲の良かった幼馴染の名。

 何たる偶然だ、と苦笑しながら武器を収める俺の姿を見て、安心したようにその場にいる他の者達も武器を収めていく。

 

 つい先ほどまでの剣呑な雰囲気は何処(どこ)へやら。

 穏やかな時間がそこには流れていた。

 

 ◇

 

《『百鬼あやめ』の好感度がとても上昇しました》

《『白上フブキ』の好感度が上昇しました》

『大神ミオ』の好感度が上昇しました

《経験値を獲得しました》

《レベルが上昇しました。ポイントを振り分けてください》

《スキルポイントを獲得しました》

《スキル【短刀】【暗殺】【解析】の熟練度が上昇しました》

《スキル/法術【生得妖術:振動操作】の熟練度が上昇しました》

《戦闘特技『パリィ』の熟練度が上昇しました》

《スキル【隠密】【影走り】【隠蔽】のヒントを獲得しました》

《スキル【隠密】【影走り】【隠蔽】【弱点看破】【観察眼】【足さばき】の熟練度が一定に達しました。取得に必要なスキルポイントが減少します》

《戦闘特技『クリープシェイド』『サイレントキリング』のヒントを獲得しました》

 

 ◇

 

「いや~、アクシデントにはひやひやさせられたが、結果オーライだったな」

「経験値と熟練度も美味しいし、新ヒントも中々よさげだな。

『クリープシェイド』は移動時に隠密状態になる戦闘特技。クールタイムは1時間と長いが、本来不可能な状況でも強制的に隠密状態になれるのがかなり強いな。

『サイレントキリング』は発動後15秒間、自身の攻撃に対してスキルや戦闘特技を使え無くなる戦闘特技、だな。クールタイムも30秒と短いしあれば便利な類だな。

 

 っと、そういや、【暗殺】って【隠密】【影走り】【隠蔽】を複合してるよな。

【暗殺】を取得した上でこの三つをセットした場合はどうなるんだ?」

「その場合は効果が強化される感じだな。

 とは言え、スキル枠を潰してまでする事かと言われれば微妙だから、スキル枠が余り出したら、の選択肢だな」

 

「とりあえず、今回でスキルポイントも十分溜まったし、そろそろバトロワ用のビルドを固めたいな」

「あやふぶみとは全員出会えたし、熟練度稼ぎは三人とのタッグトレーニングで良さそうだな

 風間殿とあずきちしか出会って美味しいホロメンがいないから……街の探索はあまりしなくてもいいか?」

「いや、虚構舞踏会(マスカレードパーティー)はクリアしときたいから、それだけは探しときたいな。

 それと、今回の戦闘で火力に若干の不安があることが判明したから、クリティカル方面でいいから火力を伸ばしておきたいな」

「いや……いや? 

 カーディナルサインの幹部級基準とは言え、確実に戦う相手だし火力があるに越したことは無い……のか?」

「じゃあ、そろそろゲーム画面に戻るか」

 

 ◇

 

 結局あの後逃げ出した男はあっさりと捕まり。

 師匠が寄こした回収係に引き渡した俺とあやめは、フブキとミオと共に山道を下っていた。

 

「いやぁ、本っ当にごめんなさい」

「気にしなくていいって。事情知らなきゃしょうがない場面だったし」

 

 最初は少し気まずい雰囲気もあったが、そんなやり取りがあった後はその雰囲気も吹き飛び。

 久しぶりという挨拶から始まり、別れた後どうしていたかや近況など、会話が弾んでいった。

 

 そんな話もひと段落ついた頃、ふと気になったことを質問してみることにした。

 

「そういや今更なんだが、フブキとミオはどうしてこんな夜の山に?」

「あ、それ余も気になってた」

 

 そう問いかけると、二人はハッとしたような顔をする

 

「実は……今日こっちについた所なんだけど、荷解きしてたらうちが飼ってる猫が逃げ出しちゃって……」

「戦いに夢中になっちゃってすっかり忘れてたね……流石にこの暗さだし、また明日かな?」

 

 話を聞けば、白を基調に頭や尻尾が濃いグレーで背中が薄茶色の猫──ラグドールのバイカラーと言うらしい? ──が逃げ出してしまったのだとか。

 名前はタイガと言い、大きさは500mlペットボトル数本分と中々に大きめ。

 普段は逃げ出すような事は無いらしく、急に環境が変わったことでびっくりしたのではないか、とのことだった。

 

「そういうことなら俺らも手伝うぞ。なぁ」

「そうだ余。猫探しは市中で活動する便利屋(フィクサー)十八番(おはこ)だし」

 

 文字通り仕事であれば()()()()請け負うのが便利屋という仕事だが、その中でも定番の仕事というものはいくつかそんざいしている。

 野獣退治や護衛、それに()()()

 市中を主な活動場所とするフィクサー、特に戦闘以外を得意とする者にとっては迷い猫探しはよく見慣れた仕事の一つなのである。

 

「っと、そういや今日越してきたって言ってたが……もしかして銀月荘か?」

「えっ! よく分かったね」

「まあ、最近誰か入ったみたいだったからな。しかも丁度二人」

 

 そう言えば、とふと疑問に思った部分を質問してみれば、ドンピシャだったようで驚かれる。

 さらに詳しく話を聞いてみれば、フブキが俺の隣の部屋、ミオがあやめの隣の部屋なんだとか。

 こりゃあまた……楽しい学園生活になりそうだな。

 

「あ、そうだ。瑞樹君、また今度手合わせしてもらっていい?」

「予定がない日なら、いつでもいいぞ」

 

 フブキの言葉に返答しながら、確信じみた期待を胸に抱くのであった。

 


 

「はい、どうも皆さん。オマケコーナーの担当の、中の人のリア友代理、冨遺(とみい)だ。

 久しぶりのオマケコーナー第七回。今回は便利屋(フィクサー)について詳しく説明するぞ」

 

 

便利屋(フィクサー)は、『Project Moon』作品に登場する職業の一つで、『Lobotomy Corporation』では“便利屋”、『Library of Ruina』『Limbus Company』ではフィクサー表記、だな。

 まあ、世界観的な設定は以前本編中で語ったから、今回はゲーム的な話だな」

 

「ゲーム的には、『フィクサー事務所』に所属することで仕事を受けて金銭なんかの報酬を得られる、って要素だな

 戦闘を繰り返す都合、経験値や熟練度が美味しいのが嬉しいな」

 

「フィクサー限定のスキルがあったりと、何かと有利な点も多い印象だな。まあ、その分ルートが高難易度化する可能性が高かったりするんだがな。

 それと、最上位に当たる『特色』になると自分の二つ名を冠した強力なスキルを取得できるのも魅力の一つだな。

 まあ……特色になること自体が相当難しいのは一旦置いとくとして、だがな」

 

 

「フィクサーとしての仕事は主に3種類に分けられるな。

 

 まずは『討伐』系。魔物・野獣・人間問わず何かを殺すことが条件の仕事だな。一番効率よく経験値を稼げるから、可能ならこの仕事を多く受けたいな。

 

 お次は『護衛』系。特定の対象を守る仕事だな。時間はかかるし戦闘は難しいしで本当にキツイが、その分金銭的な報酬は一番おいしい傾向にあるな。

 

 でもって『捜索』系。何かを探すタイプの仕事だな。因みに採取系もここに分類されるぞ。一番安全だが、一番報酬が美味しくない仕事だな。

 

 後、このどれにも属さない『その他』系もあるにはあるが……割と珍しいから気にするほどじゃないな」

 

「因みにこの分類からほぼ確実に外れる仕事が2種類ほどあってな。

 

 一つ目は瑞樹君も受けた『指名依頼』。キャラやストーリーに合わせて仕事内容が変化するから、一つ一つがオリジナルの珍しい形の仕事になるぞ。

 

 二つ目は『ホロメンが関わる仕事』。まあ、これは当然だな。ホロメンが関わってる以上は、十把一絡げの仕事と一緒くたに(くく)れる訳ないよな」

 

 

「それと、フィクサーは基本的に『強化施術』を受けている場合が多いのも特徴だな

『強化施術』は文字通り肉体強化の手術だな。義体にするモノ、特殊な刺青を入れるモノ、等々。種類は多種多様だ。

 とは言え、原作であるプロムン作品に登場する強化施術とはちょっと違っていてな。

 

 基本的にホロラバ世界線の種族は“魔力の存在により肉体が強力になっている”って設定があるんだ。だから人間種が俺らの良く知る人間よりも高い身体能力を持ってる訳だな。

 で、この“魔力による肉体強化”が強化施術と相性が悪いらしくてな。主に瞬間的にバフを入れるタイプの強化施術が人気だな。

 それこそ、瑞樹君が使ってる【強化施術:限界突破】みたいな」

 

「後……あぁ、『協会』や『事務所』に所属する事で、ちょっとしたバフや専用スキルみたいな強化要素があったり。

 学内で『便利屋部』に所属する事で、フィクサーとしての仕事を斡旋して貰えたり。

 運が良ければ特色フィクサーと知り合って、修行をつけて貰えたり。

 って感じだな。まあ、とにもかくにも戦闘周りで色々と有利な点があるから、戦闘をメインにするなら、フィクサーになっておけば間違いは無いだろうな」

 

「さて、今回はここら辺にしとくか。それじゃあ、次回も見てくれよな。

 飛び込め、あなただけのオルタナティブ!!」




 よ う や く あ や ふ ぶ み 勢 ぞ ろ い
 序 章 後 一 話 ( 予 定 )
 こ こ ま で 概 算 八 万 字 オ ー バ ー

 いや、本当に書きたい部分に辿り着くまでが長すぎる……
 この後1章のバトロワで()()出して、間章で()()出してブツブツ……

《追記》
 『黒上フブキ』の台詞に違和感があったので、変更しました。(2024/6/18)

 本作に登場させるスキル募集 詠唱募集を行っています。
 気が向いたら、是非。

<今回のネタ解説>

・『クリープシェイド』『サイレントキリング』
 元ネタはログホラTRPG。詳しく語ることは無い。
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