銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~   作:LR44(ゆっくり)

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 大神嬢の体調不良が心配でLoR(Library of Ruina)攻略が手につかないので、悶々とした感情を文章にぶちまけました。
 残響楽団の接待のためにページを集めたいのに……。複製も連続切断も、不吉な力も。何もかも全然足りないのに……



幕間:街行く人々(ホロメン)の一幕

 

 3月も終わりに差し掛かったある日の昼下がり。人々で賑わう街中を目的地に向けて歩く。

 街並みは淡い桃色に染まっており、春の訪れをひしひしと感じさせられた。

 

「七分咲き、ってとこか。この調子なら丁度入学の頃に満開か?」

 

 街並みを彩る桜の様子を見ながら、ふと呟く。

 丁度いい時期に満開になる位置に学園を作ったのか、はたまた何か魔術的な仕掛けがあるのか。

 何にせよ、風情があるというのは何となく嬉しくなるもので、自然と少し笑みがこぼれる。

 

 

「あれ? 瑞樹君?」

 

 ふと、聞き馴染みのある声が聞こえた気がして振り返る。

 そこにいたのは、予想通りと言うべきか。見慣れた私服に身を包んだ、フブキ、ミオ、あやめの三名であった。

 

「どこかへお出かけ? どこに行くの?」

「この時間帯にこんな場所歩いてるって、珍しいね」

 

 淡いベージュ色に白いリボンが良く似合っている、フブキのいつもの私服。最近お気に入りらしい金木犀の髪飾りが非常に可愛らしい。

 ミオは、白い服にベージュの上着、それと黒のスカートに赤のラインが髪色と合っていて良く映える、これまたいつもの私服。

 

「刃爺さんに呼び出されてな。今日中に来い、だとさ」

「刃さんからの呼び出しとなると、装備関係か」

「だろうな。そっちはショッピングか?」

 

 白を基調とし、上から黒。それに桃色の縁取りが、こちらもよく髪色と合っている……メイド風、とでも言えばいいのだろうか。よくみる服装ではあるが、これまたあやめに非常にマッチしている。

 そんな服装に身を包んだ三人だが、腕に紙袋を下げており。誰がどう見てもショッピングであろうことが見て取れる。

 

「あはは……学業用品を買いに行ったら、色々面白いものを見つけちゃって……」

「この後、新しくできたうどん屋に行く予定だったんだけどね」

「流石にこの荷物じゃ、ねぇ」

 

 そう言いながら苦笑いをする3人が持つ荷物は、成程確かにこのままどこかに入るには不向きな量であった。

 その様子を見て、ふと思いついたことを口にする。

 

「そういう事なら、荷物持ちでもするぞ?」

「えっ……いいの?」

「この後用事があるんでしょ?」

「約束の時間にはまだ大分余裕があるからな。適当に散歩しながら向かう予定だったし」

「そういうことなら、お願いしちゃおっかな」

 

 ◇

 

 うどんを食べ終わり、三人と別れた後。俺はまだ時間に余裕があるのを確認すると、ふと思い立ち、通ったことのない道を通り工房へ向かうことにした。

 因みにうどんは“釜玉バターうどん”なる代物だった。なかなかに美味しかったので、また機会があればあの店に行ってみるか。

 

 

 そんなことを思いながら少し大きな交差点で信号待ちをしていると、正面にあるゲームセンターの様子がふと目に()まった。

 外側からでも良く見える位置にいるのは、二人の獣人の少女。片方は茶髪の犬獣人、もう片方は紫髪の猫獣人。非常に仲睦まじい様子でゲームを楽しんでいた。

 

『おらよ~!!』

『おぉ、凄~い』

 

 犬獣人の方がパンチングマシン、だったか。殴る強さを計測するゲームをプレイしていて、猫獣人の方がそれを見て手を叩いて褒めているようだ。

 かなりいい記録だったようで、筐体はピカピカと光って激しく音を鳴らしているようだった。

 

 信号を渡りながら再びゲームセンターの中に目を向けると、獣人二人組が店員に必死に頭を下げているように見えた。

 信号を渡り切り、道路の反対側からではよく分からなかった筐体の様子が良く見えるようになると、その理由についても合点がいった。

 明らかに筐体が壊れているように光と音を放ち続けているのだ。状況から見て先ほど犬咒人の少女がプレイした時に壊れたのだろう。

 

「おぉ、怖っ。筐体を壊すレベルとか、どんだけフィジカル強いんだよ。

 アレ確か、相当耐久性高いタイプの筐体だろ……」

 

 記憶が正しければ、『鬼人のパンチにも耐える耐久性!!』とかいう謳い文句で宣伝されてた代物だったはずだ。

 流石に誇大広告だとは思うが……ここから見た限りでは相当な耐久性を持っているように見える。

 流石に鬼人の拳に耐えうるかと言われれば首を横に振らざるを得ないが、少なくとも獣人の拳で壊れるようには見えない。

 売り出されたのも最近である以上、考えうる可能性は初期不良か少女のフィジカルが常識外れた強さであるかのどちらかであり……見た限りは後者なのであろう。

 

「って言うか、高校生ぐらいにも見えるし、もしかしたら学園の生徒だったり……

 万一にもバトロワじゃぁ相手したくないな。ああいう手合いは小細工を力推しで突破してくるからなぁ、本当に苦手なんだよ」

 

 ◇

 

 あれから暫く歩き続け、かなり大きい……“体育広場”やら“運動場”やらとでも呼ぶのだろうか? ソレの前を通りがかった時だ。

 妙に騒がしい掛け声が聞こえて来たのだ。一体全体何なのだと思い見てみると、そこにいたのは統一された意匠の白銀の鎧に身を包んだ一団。

 

「あの鎧の意匠……見覚えがあるな。そういやこの辺りがメインの活動範囲だっけか」

 

 [聖騎士]だけで構成された実力派ぞろいの武装組織、聖騎士団。その中でも“白銀(しろがね)”の一族が代々団長を務めるエリート中のエリート『白銀騎士団』。

 その団員たちが訓練をしている最中であった。

 

 中央付近では団員達が隊列を組みながら素振りをしている。

 剣、斧、槍、棍……様々な武器が振るわれているが、不自然なほどにある武器種が──“メイス”を振るう者が多かった。

 

 端の方になると、模擬戦をしていると思しき団員が武器同士をぶつけ合っていた。

 練度は中々に高いようで、少なくとも3級フィクサー。上澄みならギリギリ1級フィクサー相当の戦闘力がありそうだ。

 それが一部隊分……そりゃぁエリートって言われる訳だな。

 

 

 そんな訓練の様子を見渡せる位置にいる女性が一人。短い銀髪と、身に纏った他とは全く異なる鎧が良く目立っていた。

 その様相は、恐らく噂に聞く『白銀騎士団』の団長様だろう。確か今年から学園に通う年だったか。

 これだけの軍勢を率いている以上、その実力は推して知るべし、という奴であろう。間違っても敵には回したくないな。

 

『お~、精が出るねぇ』

『お、差し入れ? ありがとね』

『騎士団のおかげでこの街じゃ犯罪も少ないしね。そのお礼も兼ねて、って事で』

 

 そんなことを考えながら眺めていると、団長と思しき女性に二人の女性が話しかけた。

 一人は特徴的な耳から、恐らく妖精種(エルフ)。もう一人は海賊風の恰好をしているが恐らくは人間種。

 どちらも両腕に近所の店のロゴが描かれたレジ袋を提げており、買ってきたところなのだろうことが伺えた。

 

『それにしても、いつ見ても本当にすごい練度だよね』

『自分の住む街くらいは自分たちで守れるようになっておきたいからね。

 騎士団上層部(上の方)が毛嫌いしてるせいでフィクサー協会は頼れないし。それにあっちも今は大変な時期だろうからね』

『折角“不純物”の図書館が片付いたと思ったら、次はカーディナルサインだからねぇ。どこもかしこも大変そうですねぇ』

『だね。それに今聖騎士団は、この間のスラム街の事件の調査に駆り出されちゃってるからね』

『あぁ、フィクサーが関わってるっぽいから調査させられてるんだっけ? ホント災難だね』

 

「……やべっ」

 

 少々話を聞いていた所、俺のことが話題に出たためそそくさと退散するのであった。

 

 ◇

 

 もうかなり歩き続け、山に大分近づいた頃。

 ふと、視界の端に映った石段の上に目を向ける。

 50段程はありそうな石段の上には、真っ赤な鳥居と満開の桜が鎮座していた。

 恐らくは、神社でもあるのだろう。

 

「へぇ、ちょっと参拝でもしていくか」

 

 街中よりも少し早く満開の姿を見せている桜に興味を持ち、参拝していく事に決めた。

 

 石段を登っている最中、神社から聞こえてきた声が耳に()まった。なんということは無い、街中の喧騒の一部なのだが……妙に興味を惹かれる声だった。

 

『ほらほら、春休み出歩いてないせいでぷにってるじゃん』

『でゃまれ!!』

 

 石段を登りきり、神社の姿があらわになる。

 鳥居に手水舎(ちょうずや)、賽銭箱。おみくじに本殿、と一般に神社と言って思い浮かべるものは大体揃っている──少し悪い言い方をすれば、平々凡々な神社であった。

 そんな様子だからこそ、大きな桜の木がより一層目立っていた。

 

「これはこれは……中々に手の込んだ事を。

 余程桜に思い入れがあるみたいだな」

 

 近くで見てみて気付いたのだが、どうやらこの桜を満開にしている絡繰は魔法──それも、年がら年中咲き続けた状態にする、というかなり高度なモノ──らしい。

 それこそ、一般的な感性の持ち主であれば“桜を咲かせる”為だけに使おうなどとは到底考えないレベルのもので……この神社の管理人の異常さが伺える。

 

 

 ……と、考えた所で、あえて意識から外していた声の主の方に目を向ける。

 そこには、ピンク色の髪の少女──巫女服を着ていることからして、恐らくはこの神社の人間であろう──と青髪の少女が口論をする姿があった。

 ……あった、のだが。

 

『おめー、事実だとしても言っていい事と悪いことがあるだろうがっ!!』

『お、やっぱ自覚あったんじゃん。ほらほら』

『でぃゃまれ!!』

 

 その様子は明らかに“仲のいい友人同士がじゃれ合っている”だとか、“痴話喧嘩”だとか。

 そういう言葉がよく似合っているものであった。

 

「なんとかは犬も食わん、だっけな。

 犬も負け犬も大して変わらないことですし、邪魔者はとっとと退散しましょうかねぇ」

 

 あんなのに巻き込まれては(たま)らないと、参拝だけ済ませた俺はそそくさとその場を後にするのだった。

 

 ◇

 

 もうかなり山に近づいた頃。協会支部に張り出されているような、簡素な依頼書を持った4人組を見かけた。

 

『蝶々だ! 待て待て~!!』

『あっ、おい! 勝手に走りまわってんじゃないよッ!!』

『全く、あの二人は……』

『まあまあ。こっちでしっかりチェックすれば大丈夫でしょ』

 

 蝶を追いかけ、虫網を振り回している薄橙の髪の少女と、それを追いかける金髪の獣人──恐らく狐系──が森の中を走り回っている。

 そんな追いかけっこをしている二人とは対照的に、水色髪の妖精種(エルフ)と白髪の獣人──多分ライオン系──は依頼書を見ながら作戦を練っている様子であった。

 

『それにしても、“どでかいスネーク”って、名付けた人適当過ぎるでしょ』

『どでかいスネーク……鱗を漬け込んだお酒が凄く美味しいって噂が……』

『やめなーww』

 

 ……いや、真面目に作戦を練ってるのは獅子獣人の一人だけみたいだな。

 どでかいスネークと言えば、蛇型の巨大な魔獣でサイズの割に比較的温厚だったはず。

 鱗酒は……確かに結構美味かったな。“生えてる鱗をはがす”んじゃ無くて“自然に剥がれ落ちた鱗”を使わないと美味しくは出来ないとかいう面倒な性質してたが。

 

『まあ、4人揃ってるなら、何があっても大体何とかなるでしょ。多分』

 

 ……前言撤回。全員ダメ寄りかもしれん。それ相応の実力があるのかもしれんが……

 

 ◇

 

 灰熊工房に辿り着いたのだが──

 

からお前の戦い方を見せてもらったが……何なのだアレは」

 

 ──そこに待ち受けていたのは、半ば呆れたような顔をした刃爺さんだった。

 

「アレと言うと?」

「分かっているであろう。お前の強化施術の事だ」

 

 刃爺さんのその言葉に、あぁやっぱりかという気持ちが沸き上がる。

 

「全ての生物は、等しく大気に満ちる魔力の恩恵を受けている。魔力が無かった頃に比べて、身体能力を始めとした各種機能が格段に向上しているのだ。魔法や魔術といった、不可思議な力を振るえるのがいい例だな。

 故、強化施術も常時強化よりも瞬間強化の方が効率がいい訳だ。お前のようにドぎつい反動を許容してまで強化倍率を引き上げるバカなど、まずいないがな」

俺みたいなの(凡人)がやっていくには、()()しか方法が無かったからな」

 

 肩をすくめ、そう返す、

 実際そうだ。俺みたいに、何の才能もない人間がこの死と隣り合わせの世界(フィクサー稼業)で生きていくには、コレしか無かったんだ。

 

「全く、普通はリミッターを外したとしても、良くて1.5倍。“消費のない強化魔法”程度の運用が基本なのだぞ。

 それを、二重三重にリミッターを外して、合わせて9倍などと……寿命を削ったとしても代償には足りんわ。その惨状も頷ける。

 して、恩恵を受けている身としてはどうだ? 大馬鹿者(穀潰し)

「穀潰し呼ばわりは流石に酷くねぇか?」

 

 険しい声の刃爺さんに、俺はせめてもの抗議を試みる。

 

「ふん。お前のような大馬鹿者にはお似合いだ。

 それにどうせ、不相応に()()()()()仕事ばかり受けているのだろう? 

 必要以上にマージンを取るせいで、経由でしか適性の依頼を回せない。ランクを上げるに上げられないと聞いたぞ。

 特色や1級ならまだしも、お前さんのような3級ならば協会の側で充分なマージンを取ってくれるだろう?」

「うっ……」

 

 ……試みる、のだが。無駄に終わってしまう。

 というか、この状況。優位性は圧倒的にあっちにあるんだからどうにかなるわけないだろ。

 

「全く……ほれ。コレを持っていけ」

「コレは……服、か?」

 

 そう言って手渡されたのは、一着の服。触った感触では鋼糸(こうし)が編み込まれていたり、特殊な強化繊維が使われていたりで、通常よりも硬度が高くなっているようだ。

 

「試作品だが、お前がいま使っている市販品よりは上質な防具のはずだ。

 お前は防御面が貧弱なのだからな。せめて防具くらいはいいものを使っておけ」

「ありがたいが……値段のほどは?」

「フン、この値でいい。どうせ試作品だ」

 

 そう言って提示された値段は、明らかに相場より数段安いものだった。

 全く、有難い限りだ。





 白上嬢は普段の配信では敬語だから、セリフを考える時も敬語が楽。でも、ホロメン同士とかの時は敬語じゃ無いから瑞樹君と話すときも敬語じゃない方が自然。
 その差のせいで、白上嬢が一番書くのが楽で大変って変なことになってる。

 本作に登場させるスキル募集 詠唱募集を行っています。
 気が向いたら、是非。

<今回のネタ解説>

・うどん屋
『いろはにほへっと美味しいもの倶楽部』が元ネタ。

・パンチングマシンを破壊する
経歴システムの元祖の作品でのイベントが元ネタ。

・騎士団とフィクサーの仲が悪い
 拙作の初期プロットの頃に作られた設定。
 初期の頃はホロメンが全然出なかったので、どうにかしてホロメンと絡ませようとして作った設定。
 具体的に言うと、初期プロットでは裏組織の壊滅に百鬼嬢が同行することは無かったし、その後白上嬢大神嬢と出会うことも無かった。本当に3月最後の1話2話で白上嬢が登場するくらいだった。

・桜が特徴的な神社
 言わずもがな、電脳桜神社である。電脳世界に存在しているわけでは無いので、ただ単に“桜神社”と言うだけではあるが。

・どでかいスネーク
 こちらも言わずもがな。『ホロライブオルタナティブ』第2弾PVに登場した奴である。
 当然、その後の顛末のあのPVと同じことになったが……本作でそれが語られることは無いだろう。

・恩恵を受けている身としてはどうだ? 穀潰し
 シルヴァリオのジンさんの台詞。ただし、記憶を頼りに書いたので若干間違ってる可能性がある。
かなり好きなセリフなので多少無理矢理だけどねじ込んだ。
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