銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~   作:LR44(ゆっくり)

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 時報投稿第十六回(投稿予定 15:00)
 そろそろおやつの時間ですね。




 ◆

(いつもの、何かそれっぽいOP )

 ◆



閑話:歌姫と侍/鬼神と鷹

 

 所変わって、道中の戦場。

 AZKiといろはが戦闘を行っている広間。

 

「このっ、鬱陶しい音符でござるな」

「純粋な剣の腕じゃ、私は勝負にならないからね」

 

 最初は彼女の事を少し侮っていた。強者の雰囲気を感じられなかったのだ。

 ところが、自分や鬼人の少女(あやめちゃん)のような“強者の雰囲気を常に纏っている”タイプではなく、瑞樹君と同じ“強者の雰囲気を隠している”タイプだったようで。

 

 身体能力では自身が圧倒しており、こちらには【歌魔法】という手札がある。対してあちらは剣術以外の手札が存在していない。

 それにもかかわらず“純粋な剣術の腕”一つでほぼ互角の戦闘を演じているのだ。

 瑞樹君が『あやめちゃんか私じゃないと勝てない』と言っていた意味がよく分かった。

 フブキちゃんとミオちゃん──実戦経験の少ない二人では、恐らく太刀打ち出来ないだろう。

 それほどに、彼女の技術は卓越したものであった。

 

「《一閃》!」

「《一閃》ッ!」

 

 ほら、この通り。剣術の基本的な技ですら、練度の差が天と地ほど存在している。

 こちらが迎撃のために同じ技を放っても、あちらは綺麗にソレを潜り抜け攻撃を的中させてくる。

 純粋な剣の腕では全く勝負にならず、【歌魔法】を加味してようやく互角といったレベル。

 瑞樹君のように未だ見せない切り札 がある訳では無いように見える分、絶望的という程では無いが……それでも勝率は恐らく5分、良くて6割といったレベル。

 優勝を目指すのであれば真正面から戦いたい手合いでは、無い。

 

 だって、ほら──

 

「風真流剣術、突風(つきかぜ)!」

 

 ──風真流剣術なる流派の技の、神速の牙突が直撃。かろうじて左腕で防ぐことは出来たが、刀が貫通した左腕は……もう使い物にならないだろう。

 痛みに関しても相当なもの。よく、肉を切らせて何とやらと言うが、この状況ではそんなことなど出来そうにない。

 そうなると……

 

ra────―

 

【歌魔法】で生成した音符を爆ぜさせる。先ほどから何度も見せているため、容易に対処されるが……目くらましとしては十分だ。

 ほんの一瞬、隙が生まれれば。その隙に切り札を──

 

「《転移(Guess)》!」

 

 ──転移の魔法を、切れる。今まで見せていなかった、文字通りの隠し札。切り札を利用し後ろを取る。

 ……まあ、正確に言えば『隙が大きすぎて迂闊(うかつ)に切れなかった』ってのが正しいけど。それも、この状況なら関係ないしね。

 そして──

 

「っ、消えた!? 一体どこに──」

「せいッ!!」

 

 K社の血清を射ち左腕を治療。それと同時に駆け出し、死角からの一閃を放つ。

 今まで転移を見せなかっただけあって、効果は覿面。初めて、まともに一撃を入れることに成功する。

 

 互いに後方へ飛び退き、一旦の仕切り直しとなる。

 こちらは虎の子のK社の血清は使わされたものの、そのおかげで傷はない。

 対してあちらは背中に一撃貰っている。傷はそこまで深くないものの、それでも確かにダメージは負っている。

 一応は、こちらが有利な状況だ。

 

「凄い、でござるな。ここまでの実力者となると、今までの人生でも数えるほどしか出会ったことが無いですよ」

「それは流石に買い被りすぎだよ。私より強い人なんてごまんといるでしょ。

 それこそ……瑞樹君とかね」

「いや……流石に瑞樹殿は含めちゃダメなタイプでしょう。アレは例外、例外。

 未だに3級にいるのがおかしなくらいの実力者でござるからな」

 

 そこまで言い切ると、彼女は刀を鞘へと納めた。

 そして、集中するかのように目を(つむ)り。長く、細く息を吐いた。

 

「さて、この愉しい戦いにも、そろそろ決着をつける時間でござるな」

「そうだね。瑞樹君の方もそろそろ決着つける頃だろうし」

 

 私の見立てが間違っていなければ、リーダーと思しき魔族の少女と当たるのは瑞樹君になるはず。

 そして、その二人がぶつかったとなればそろそろ決着がつく頃合だろう──恐らくは、瑞樹君の勝利で。

 

「故に、今ここで風真がもてる全力の技を繰り出す。

 試合には負けようと、勝負には勝つ。で、ござるよ」

「望むところだよ。あなたの全力に、私の全力がどれだけ通用するか。興味があるしね」

 

 抜刀術の構えを取るいろはちゃん。対して、刺突の構えを取る私。

 構えこそ違えど、互いに“次の一撃に全てを込める”という気概だけは同じであった。

 そして──

 

「風真流剣術、疾風(はやて)が崩し──抜刀・箒星(ほうきぼし)!!」

「《至高一閃》ッ!!」

 

 ──二つの剣閃が、ぶつかり合った。

 

 ◇

 

 風真いろはとAZKiの戦局が大きく動いた頃。

 鷹嶺ルイと百鬼あやめの戦闘にも、動きが見られた。

 

「《鬼灯突(ほおずき)》!」

「っ──《羽の盾》ッ!」

 

 炎を纏った刺突を、鳥の羽が防ぐ……が、威力を殺し切ることは出来ず体制を大きく崩すことになる。

 互角の勝負を演じていたあちら(いろはとAZKi)とは異なり、こちらはあやめの有利で進んでいた。

 それもそうだろう。片や圧倒的身体能力を誇る鬼人で、技量にも優れている。片や鷹獣人、中々に腕は立つが……実戦経験が若干足りないようだ。

 

「あたれぇッ!!」

「遅いっ、《鬼火柱》!」

 

 その証拠に、この通り。

 ルイが頭の羽をはためかせ高速で突進する……が、あやめが出した火柱によってその進路をふさがれてしまう。

 

「動きが素直すぎる。読みやすすぎる。

 それじゃぁいいカモだぞ。……鷹だけどな」

 

 急いで急制動をかけ、炎の中に突っ込むことは避けられた……ものの、それにより完全に動きが止まってしまったがために、あやめ本人からの追撃をもろに喰らってしまう。

 

 フェイント、不意打ち、騙し討ち。考えうる限りの“実戦で磨かれる戦法”が、綺麗なまでに刺さっていた。

 それはひとえに、実戦経験が足りていないことの証。現時点ではどうしようもない力の差があることの証。

 少なくとも()()()()()()鷹嶺ルイに勝ち目はない、ということである。

 故に──

 

「《本能開放》ッ!!」

 

 ──切り札を、切る。彼女の左目が青白い炎のようなオーラを纏う。

 一部の[獣人種]が保有する、奥義の一つ。“理性”を捨て“野生”に身を委ね、本能 の赴くがままに戦闘を行う、獣人の切り札。

 

 その効果は単純に言えば『法術の封印を代償とした、身体能力と種族特徴の強化』。

 “理性”にて振るう武器たる法術を犠牲に、“本能”にて振るう武器たる獣としての要素を強化するもの。

 鷹獣人たる彼女に関しては、『飛行能力の強化』『視覚の強化』辺りの効果が発揮されており……本来であれば強力な、逆転の一手になる()()であった。が──

 

「身体能力の強化は凄まじい数値だが……理性を飛ばすのは感心せんな。

 ソレは知恵のない魔獣と人間を分ける、最も重要な境界線だ」

 

 ──唯一の誤算は『相手が“百鬼あやめ”であったこと』。

 彼女は、鬼人の身体能力と常識外れた技量を持つ、“人外の領域”に足を踏み込んだ者の一人。

 天候のような“極致”に至っていないにも関わらず、天候を扱う『鳴神 瑞樹』や『()() ()()』相手に互角の勝負を演じる、文字通りの規格外。

 

 ソレを相手に理性無くその武を振るえば……どうなるかは、火を見るよりも明らかであろう。

 

「せめてもの情けだ。一刀で終わらせてやろう。

《剣禅一如──一刀両断》ッ!!」

 

 自我(E.G.O)すら断ち切る無双の太刀が、天地を分かつ極みの一閃が。今、放たれた。

 





 本作に登場させるスキル募集 詠唱募集を行っています。
 気が向いたら、是非。

<今回のネタ解説>

・風間流剣術
 元ネタは装甲悪鬼村正の『吉野御流合戦礼法』。
 “箒星”は“(まがつ)”相当――にして、星街嬢イメージの技。……つまり、“穿(うがち)”相当の技もある、ということです。

・至高一閃
 元ネタはフリーゲーム『巡り廻る』。剣の上位攻撃技。剣はタンク的な運用が多いので印象は薄いが、筆者は序盤に賞金頸にコレくらって全滅しかけたことがあるので印象に残っている。

・本能開放
 元ネタはゾイドの『本能開放』や、ジュウオウジャーの『野生開放』。
 本来ならとても強力なのだが、今回は相手が悪すぎた。因みに訓練を積めば理性を飛ばさない上位互換になるらしい。
 ……ところで、主要キャラに獣人が多いですね……?
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