銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~   作:LR44(ゆっくり)

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 白上嬢のff14配信とか見ながら執筆してると、魅力的なキャラを書く重要さがよくわかりますねぇ……

 それはそうと、調子乗って思いつくままに書いてたらいつの間にか字数がアホみたいなことになってました。
 自分が知る限り、ホロラバ界隈でプロローグに当たる部分の文字数最多になっちゃいました。


part2『大虐殺/prologue』

「どうも皆さん、おはこんにちばんは。

 LR44(ゆっくり)チャンネルの中の人代理兼うp主もどきみないな何か、山さんです」

「中の人のリア友代理、松だ」

「前回はキャラクリまでして、今回経歴ムービーを見るところからだったな」

「正直元ネタと経歴の時点で厄ネタの気配しかしないんだよなぁ……」

「むしろ動画的には厄ネタ全開の方が面白いじゃないか。

 それに、ゼファーさんモデルならそこまで酷い事にはならないと思うぞ」

「そうかな……そうかも……」

「それに、暗殺ビルドは一番得意だし。そこまで変なことにはならないさ」

「……そうだといいなぁ……」

「じゃあ無駄話はこの辺にして、早速プロローグ見ていくか」

 

 ◆

 

 “勝利”とは、何だ? 

 “栄光”とは、何だ? 

 それを得れば、何も失わずに済むのだろうか

 救えるのか。守れるのか。本当に、幸せになれるのだろうか

 

 問いは切実。なぜなら、勝利というものはとても恐ろしいものだから。それが輝きの内に秘めている毒牙を、俺は誰よりも痛感している。

 身の丈を超えた栄華、使いきれないほどの大金、人目につかざるを得ない大成功……そういったものはどうしても過剰摂取してしまった途端、逆に所有者を苦しめにかかる。

 つまりは反作用。

 分かりやすいところでは敗者からの恨みつらみに有名税、人物像の一人歩きに、あらぬ期待や噂話。過激なものでは殺害予告、崇拝脅迫などなどと……

 

 悪意か、あるいは逆に暴走した善意ゆえか。どちらにしても恐ろしいことには変わりなく。

 それは時として単純な敗北を上回る激痛と化し、更なる破滅の呼び水となる。

 大きな事業が成功した代償に、愛する家族に累が及べば本末転倒。それと同じだ。

 時としてここは負けておくだとか、少し遠慮をしてみせるとか、そういった配慮が必要な瞬間は間違いなく存在している。勝てば官軍とは早々いかない。

 

 ◇

 

 新西暦1050年 2月某日 21:47

 

 人間と獣人が主に生活する、かつて“ヨーロッパ”と呼ばれた地域のとある街、炎上。

 後に主犯者の名を取り双子宮(ジェミニ)の大虐殺と名付けられる焔の底、ここに地獄が存在していた。

 

「────」

 

 火の粉が、世界を血で染め上げている。

 それは悲鳴と、怒号と、恐怖と、絶望。

 この世に存在するありとあらゆる阿鼻叫喚を詰め込んだような、魔女の釜。

 むせ返るような肺を焼く熱波の臭いに、彼はようやく目の前の現実を理解し始めた。

 

「嘘、だろ……なんで、こうなるんだよ……」

 

 搾り出した呟きさえ倒壊する建造物に紛れて消えた。

 燃えているのは瓦礫と、人であった死体が含む油分だろうか。悪魔の拍手みたいにぱちぱちと音を鳴らしながら、耐えがたい臭気を伴ってあたり一面に充満していく屍骸の臭気。

 剥離した油が舌先にこびりつき、高熱が皮膚を炙るかのように今も身体を焼いていた。

 ああ、生の息吹が、此処には微塵も存在しない。

 

 熱い、痛い、苦しい──殺して(タスケテ)。ここまでくると願うはもはや、苦界(げんせ)からの解放だ。現在進行形で深度を増す火傷(やけど)は、()んだように四肢を侵す。

 だが、それすらも刻まれた数々の傷に比べれば微々たるものという事実が、より絶望を煽っていた。

 創傷裂傷死傷擦傷、そこに紛れて()()()()()()()火傷まで混じっているという始末。端的に言って満身創痍(そうい)。紛れもなく瀕死の姿だ。内臓も壊滅的とあるならばいよいよもって致命的というものだろう。

 

「あぁ……畜生、畜生ッ」

 

 嘆きの叫びが天に木霊(こだま)する。

 抱きかかえている少女を指して、彼は震えながら虚空を仰いだ。

 

 彼が荒んでいた時期に優しくしてくれた獣人家族の一人娘。

 彼が立ち直るきっかけをくれた、恩人と言うべき存在。

 その体は、この惨状を引き起こした下手人──人類至上主義を掲げる組織『カーディナルサイン』の構成員──によって酷く傷ついていた。

 このまま放っておけば到底命は助からない。すぐにでも然るべき場所で然るべき処置を施すべきだ。

 

「俺の命なんてどうでもいいから……頼むよ、大和様(カミサマ)。救えよ、どんな苦痛をくれてもいいから、この子だけは、どうか……!」

 

 命を懸けて救うと誓った。そう、約束した。自分の全てを投げ打ってでも構わないと信じている。

 だからこそ、信じていない大和(カミ)にさえ、恥も外聞もなく懇願できる。心臓を抉り出しても構わないと、一心不乱に奇蹟(きせき)を乞う。

 だってこのままだと、もう()()()だ。二人はともに死んでしまう。

 根性や有機で同行できる領域など、とうの昔に過ぎている。

 悲劇の幕は上がったまま……

 出てしまった結果を覆したいというなら、後は奇跡に頼るしかない。

「お願いします──大和様(カミサマ)

 

 ゆえに、光よ降り注げ。

 千年前の滅んだ神国──頼む、どうか、救ってくれ。

 神様、神様、神様と、自らのふがいなさに涙さえ浮かべながら。

 鳴神(なるかみ) 瑞樹(みずき)というちっぽけな便利屋(フィクサー)は天を睨んで叫ぶのだ。

 

「まさかまだ生き残りはいないだろうなぁ、穢れた者どもめ!!」

 

 よってそれは、純粋であるがゆえに黄道(ほし)の使徒を呼び寄せる。

 すなわち、事態は一向に好転の兆しを見せず。

 

 まず、訪れたのは焼き尽くす爆風と熱波。

 積み木のように粉砕される半壊した建造物群。

 この惨状を引き起こした下手人が、狂乱する死を引っ提げて到来する。

 

「ああ……」

 

 彼らを目にした途端、俺は希望を捨て去った。

 もう、この街に暮らす者たちは誰一人として生き残ってはいないだろう、と。そう確信する。

 話に聞いていたカーディナルサインが幹部の一人『ジェミニ』の情報と、目の前にいる男のあらゆる情報が一致している。

 

 ジェミニの強さは身に染みてよく理解している。先ほど十把一絡げのフィクサー達が、まるで障子紙を破り捨てるように殺される様子を彼は目撃している。

 3級という高位に位置するフィクサーを有する事務所でさえ、総力を以て僅かな時間足止めするのがやっとだったほどだ。それに対して、彼はどうだ。

 階級は──3級。若干15歳でこの階級というのは優秀という他無いが、ジェミニの相手をするには些か力不足だろう。

 得意分野は──潜入、諜報、それと暗殺。真正面から戦うことを余儀なくされるこの状況は不利以外の何物でもない。

 

 ゆえに、彼がジェミニとやり合って勝てる可能性なんて万に一つもありはしない。

 ……否、正確に言えば()()()()()()()()()()()()()()のであれば可能性は、ある。

 だが、その可能性も少女の死が前提である以上選ぶわけにはいかない選択肢だ。

 

 どうすればいいか分からず、彼がその場で(ほう)けていると、ジェミニが辺りを見回し……彼の方を見た。

 

「む? まだそこに残っていたか」

 

 ジェミニが彼を──正確には、彼の腕の中の少女を睨みつけた。

 憎悪、敵意、そして殺意。その瞳にはありとあらゆる負の感情が込められていた。

 逃げられない。生き残れない。誰も。彼も、彼女も。ジェミニの強さはこの惨状から明らかで、彼は所詮3級フィクサーで、おまけに守るべき手負いの少女までいる。

 

 “守らないと”“守り抜かないと”。そんな考えが彼の頭の中を駆け巡る。

 それと同時に、生き残りたいと、死ぬなんて御免だと、生物として至極当然な思いが身体を支配する。

 だからこそ、だろう。今すぐここから逃げて誰でもいいから自分より強い人に泣きつくのが最適解だと理解している。()()()()()()()がこの街の近くまで来ているのだから、その人を頼ればよいと理解している。

 だというのに、気づけば体が勝手に動いていた。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

 

 吼える。ただ目の前の相手を殺さんと駆ける。半ば狂ったように。手負いの獣が自らの身を顧みず襲い掛かるように。その首筋に刃を突き立てんがために駆ける。

 実力差は明白。彼が勝てる道理など微塵もない。それでも……それでもと心を奮い立たせる。

 全ては、この場を生き延びるために。全てを投げ捨ててもいいと、“勝利”を渇望し──

 

 ◇

 

 そう──勝てば(ろく)なことにはならない。

 必ず、より強大な姿となって次の苦難が訪れる。

 それは冗談みたいな言葉だが俺にとっては紛うことなく真実だった。

 本当に、ああ本当に、いつもいつも、いつもいつもいつもいつも……

 敵に、任務に、難問に、勝負に、勝ったところで状況が一向に改善されない。それどころか、難易度がアップした状態で似たような事態が連続するという始末。まったく訳が分からない。

 

 身をすり減らして勝った途端(とたん)、より恐るべき難題が必ず目の前にふりかかる。血反吐(ちへど)をはいて生き抜いた途端(とたん)、どこからか容易に超えざる大敵が次は俺の番だと出現してくる。

 まるで運命という宝箱をぶちまけでもしたかのように。際限なく湧き出てくる次の問題、次の敵、次の次の次の次の──()()()()()()()()()()()()

 おまえは見事に勝ったのだから、栄光を手にしたのだから、次のステージに進むのは当然でより相応(ふさわ)しい争いに身を投じなければならないとでも? 

 それが勝者の宿命だから? ふざけろよ、こんな馬鹿げた話があるか。

 

 誰しもみな現状をより良くしたいから勝利や栄光を願うのに、なぜか俺に限ってはそれが自らの首を絞めていくのだから、不条理という他ないだろう。

 そして当然、凡人なのだから負けもする。いいやむしろ、何も出来ずに地を()う方が多いくらいだ。

 それが嫌だから研鑽(けんさん)を積み、慣れない努力に手を伸ばしたこともある。

 けれど勝てば、決まって訪れる次の困難。永遠に脱出不能の(あり)地獄。頭がどうにかなりそうだった。

 

 そんな状況に置かれて、尚不屈の意思を保てるほど、人の心は強くない。

 だから、俺はもう十分だと疲れ果てて。

 このまま、ただ流されて生きることを選択し。

 

 けれど──それでも、守らなければならない子が出来たから。

 彼女を救うために、このちっぽけな命を懸けると誓った。ゆえに後()()()()()()と奮い立たせて、再起する。

 一世一代、最後の博打。そして俺は何の因果か()()()()()()……

 どうしようもなく“勝利”を手にしてしまったのだ。

 

 それがすなわち、地獄への片道切符に変貌するということをついぞ甘くみたままに……

 

 ◇

 

「あぁ、畜生。なんでこうなるんだよ……」

 

 ──“勝った”。そう、“勝って”しまった。

 相手が舐めてかかってくれたこと。彼が初見殺し、分からん殺しを得意としていた事。運よく1級フィクサーを複数抱える、この辺りで最も力のある事務所からの救援が訪れたこと。

 それら全てが上手く噛みあい、生き残ることが出来た。

 

()()()()()()、この惨状は何だ? 

 一体何が起こっているというのだ? 目の前の惨状を正確に認識こそすれど、それを理解することが出来ない。頭が理解することを拒んでいる。

 だってそうだろう? ついさっきまで聞こえていた炎の音が、この周辺一帯だけ()()()()()()()のだから。今やこの周辺一帯は静寂が支配している。

 瓦礫が凍てつく。生者も死者も等しく皆が凍てつく。古典的な武器も現代的な兵器も凍てつき、挙句の果てに()()()()()()()()()()

 

「全く。こやつは昔から油断しすぎなのだから、いつかはこうなるかと思っていたが……

 よもやこのような街でその日が来るとはな。想定外にも程がある」

 

 目の前にいるのはこの惨状を引き起こした下手人。燃え盛る炎ですら凍てつかせる氷の女王。

 どうにかジェミニを打ち破ったと思えば、何処からともなく現れた新しい敵。

 こいつが誰なのか、何故ここにいるのか。そんなことを考え出せばキリがないが、今はそのような事を言っている場合でない事だけは確か。

 

 今は生き残ることが先決だとこの場を離れようとするが……体が言うことを聞かない。全身が悲鳴を上げる。

 当然だろう。ただでさえ限界だった身体は、先ほどの無茶で限界などとうの昔に過ぎ去った。今こうして消えかけた温もりを抱きかかえながら道端に座り込んでいられるのも、奇跡と形容する他無いのだから。

 

「それでは、愚弟の後始末でもするとしようか──」

 

 戦場を凛とした冷気が揺らす。

 いや、それは、言葉の通り外気温へと干渉して──

 

「──、っ」

 

 麗しく唇が弧を描いた瞬間、彼は大きく飛び退いた。

 大腿筋の繊維がぶち切れて苦痛が体を襲うものの、知らない、逃げろ。

 あれは駄目だ。

 

「──いざ爛漫と、咲き誇れよ結晶華」

 

 宣した瞬間、天空を覆う大気温が絶対零度へ墜落した。

 そして凝結と共に生まれる無数の種子。百、千、万と、空が落涙したかの如く、氷杭が驟雨(しゅうう)となりて炎の海へと降り注ぐ。

 放たれた死の棘は全方位に満遍なく襲来し、贔屓も区別もすることなく民を平等に鏖殺した。

 

 そんな攻撃を避けることが出来たのは、直感というわけではなかった。

 単に一度、そうつい先ほど、これに巻き込まれかけたからだ。

 予備知識の有無が、単純に生死を分けただけなのである。

 

 恐らく、あいつが使っているのは氷系の法術。それも“炎を凍てつかせる”という常識外れの事象を引き起こしていることから推察するに、物理法則に捕らわれた“魔術”では無く“魔法”、それも概念レベルの事象を引き起こす高位の魔法だろう。

 見たところあいつは人間だし、概念レベルの魔法をポンポン使えるほどの魔力があるようには思えない。かなり術式を効率化しているようだ。

 

「はは、は……どこまで馬鹿だよ」

 

 考えたところで、彼は自分を嘲笑った。

 まったく、なんて無駄な職業癖か。事ここに至っていつものように相手の力量を推し量ろうとした、愚挙愚考。

 いやはやまったく、そんなことしてどうするという。

 

 相手の力が本質的にはありふれたものと同じ……それを見抜いた、理解した。

 だからいったい、ああそれで? 

 出力が違いすぎて別物に見えたのだと、感じたことこそ重要だろう。要するにこの時点で、彼我(ひが)の間が決定的だと認めてしまっているわけだ。

 その時点で結果など、出ているようなものだろうに。

 

 まさか、勝てるとでも……? 

 あんな怪物に、自分が……? 

 十把一絡げの凡人でしかない男が、骨の髄から位相の違う化物相手に、どうにかなるつもりだって? 

 

「無茶を言え……」

 

 戦車の数台にも勝てない自分に、対して相手は一騎当千。挑む気力すら湧いてこない。

 

「だというのに……」

 

 それでも、また勝てというのか。

 こいつがやって来たときと同じように、より強大な敵を呼ぶために勝利しろと? 

 

 ──冗談じゃない。

 

 立ち上がれ、立ち上がれ。膝を屈するなとでも言うなら、無茶を言うなよ勘弁してくれ。

 誰が見ても不可能だろう。悲劇どころか舞台にすらなってない。

 ほら、怪物はもうこちらに気付いた。

 嗜虐(しぎゃく)的な笑みを浮かべて、(あわ)れな獲物を(むさぼ)るために近づきつつある。

 なのに自分は立つだけで、足の骨に(ひび)が入るこの状況。結果なんて日の目を見るより明らかだ。

 容赦も慈悲もしてくれないし、仮に手加減されたとしてもそれだけで死んでしまうだろうな。

 失血寸前。やる気はゼロ。策を練る頭も無ければ、逆転できる才能もない。

 自分というつまらない男は、こんな程度なんだよ。

 

 怪物を(たお)せるものは、同じ怪物だけ。

 人間でありながら怪物を斃すことが出来る奴は、その時点で異形なんだ。

 少なくとも、俺には不可能で。まず第一に、そんなものにはなりたくない。

 だからどう足掻いても無理なんだと、そんな泣き言を小さな女の子ごと巻き込んだ運命に向けて、胸中に吐き捨てる。

 

「それでも──」

 

 勝たなければ。挑まなければ。

 

「こいつを、守れないというのなら──」

 

 結末が見えているとか、敵わないなどは関係なく。

 

「こんな、ちくしょう、怖えのに──」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()──

 

 震える身体を抱きしめて、怯える魂を振り絞って、とっくの昔に(くずお)れた意思を必死に奮い立たせるしかなくなった。

 さあ、今こそと死に場所を定めた、その時。

 

「──そこまでだ」

 

 何処からともなく、声が聞こえた。

 英雄の声でも、正義の味方の声でもない。まるで地獄の底から響き渡るかのような、嫌悪感すら覚える重厚な声。

 見れば、目の前には転移魔法による次元の裂け目。そこから出てくる光すら飲み込みそうな漆黒の鎧。

 

「流石にこれ以上は見逃せぬぞ、双子宮(ジェミニ)が片割れよ」

 

 鎧騎士の言葉にハッとなった。そうだ。先ほど打倒した相手はジェミニ──双子座の名を関する者なのだ。二人一組だったところで何ら不思議ではないだろう。

 疑問が一つ晴れたところで、新たな疑問が湧いて出てきた。一体、この鎧騎士は何者なのだ? 

 カーディナルサインの情報は、多くは世に出回っていない。現に彼も、彼の師匠である特色も、ジェミニが二人一組ということを知らなかったくらいだ。

 それをこいつは知っていた。暗殺専門の特色も知らなかった情報を、だ。

 

 それに加えてこの威圧感だ。以前戦ったピアニストのねじれなんて比較にもならない。先ほど打ち破ったジェミニですら、こいつの手にかかればいとも容易く打ち取られるであろう。

 それほどまでの威圧感がこいつにはあった。文字通りの()()()。正真正銘のバケモノだ。

 

「流石に派手に暴れすぎたようだね。真逆(まさか)真逆、【誓約の騎士】様がお目見えとはね」

「350年ぶりの好機なのだ。お前らに邪魔はさせんよ」

 

【誓約の騎士】……その二つ名には聞き覚えがあった。700年ほど前に魔族領を統べていた王の忠臣。その王が魔族領の辺境に移り住み、魔王を名乗り領地を構えた後もその忠誠は変わらず、直属の『四天王』が一角として名を連ねる魔族最強の一角。【誓約の騎士】デュラハン。

 350年前に魔王が死亡してからは表立っての活動が見られなくなったその男が、目の前にいるだって? 馬鹿げてる。

 

(きらめ)氷華(ひょうか)と成り果てろぉっ!!」

 

 だがしかし、それは現実のようで。

 双子宮は情け容赦も何もない攻撃を仕掛ける。明らかに人ひとりに向けて放つには過剰すぎるほどの氷杭。空間を埋め尽くし、絶えず補充され続ける氷の暴力。

 当たれば氷華どころか何も残らないだろうそれは──

 

「ハァッ!!」

 

 一閃。振るわれた大剣の一振りで、全て纏めて消し飛んだ。

 デュラハンの目の前のものも、双子宮の目の前のものも。果ては双子宮の背後に待機していたものでさえ。

 悉く全てが氷の一欠片すら残さず、一瞬のうちに消し飛んだ。

 

 訳が分からない。脳が理解を拒んでいる。あの氷杭の恐ろしさは、彼自身が身をもってよく理解している。

 だからこそ、何が起こったか認識こそすれど理解だなんて到底出来るはずがない。

 

「全く以て、出鱈目な!!」

 

 だが、双子宮の思考は止まらなかったようで、すぐさま作り出した氷の大剣で横一線に斬りつける。

 氷の大剣は見るだけで尋常ではない魔力が込められた名剣だと分かるもので、大抵の相手ならば触れるだけで凍り付き、万一そうでなかったとしても、いとも容易く真っ二つになるだろうことは想像に難くない。

 先ほど無残にも散っていった氷杭の二の舞には決してならない……はずだった。

 

「積み重ねてきた年月の重みが違うのだ。当たり前だろう。

 貴様のような()()()に超えられるものか」

 

 もはや剣を振るうことさえしなかった。デュラハンはただ氷の大剣をその鎧で受けただけ。それだけで氷の大剣は氷杭の焼き増しのようにきれいさっぱり消滅した。

 何だこれは? 本当に何だというのだ。剣を振るっただけで、その身に触れただけで物質を消滅させる? そんなこと、あっていいはずが無いだろう。

 “物質を消滅させる”だけなら簡単だ。そういった結果を引き起こす事象を発生させればいい。だが、“物質を消滅させる”という事象()()()()を発生させるハードルの高さは、少しでも法術を触ったことがある人なら容易に理解出来ることだろう。

 

「本当に嫌になる。相性が最悪じゃないか」

「逆だ。お前が強いからこそ()()()()()()()私が送られたのだ」

 

 デュラハンは剣を地面に突き刺し、諭すように話し出した。

 

「素の能力であれば獅子宮(レオ)人馬宮(サジタリアス)の二強、“(つるぎ)”込みの能力であればそれに加えて処女宮(ジェミニ)宝瓶宮(アクエリアス)。加えて、初見殺し性能のみであれば双魚宮(ピスケス)が強者、というのが一般的な見解だが……こちら側としては違う。

 お前と金牛宮(タウラス)が、素の能力も“剣”込みの能力も飛びぬけている、という認識だ。

 故にお前と最も相性のいい私が送られたのだ。当然、金牛宮が現れたのであれば最も相性のいい……【神祖】辺りが送られることになるのだろうな」

「そりゃぁどうも。かの魔王軍様にそこまで高く評価してもらえてるなんて光栄だよ。

 それじゃあ、折角話題に挙げてくれたことだし、私の“剣”を見せてあげようじゃないか

 私とて、死にたいわけじゃぁ無いからね。出来れば抜くのは勘弁願いたかったが……命には代えられない」

 

 双子宮はそう言うと、どこからか巨大な大剣を取り出した。サイズはデュラハンのモノとほぼ同等。だが、その存在の性質が丸っきり異なるように見えた。

 デュラハンの持つ漆黒の大剣は“壊れない”ことを第一に作られてるように見えた。稀代の職人の手によって作られた()()()()()とでも言うべき矛盾をはらんだ存在。

 対する双子宮の持つ純白の大剣は柄の先端から生えた三本の鎖で刀身を雁字搦めにされているが、そこに()()()()で極低温の冷気を放ってるようだった。剣の形状をしていながら、どこかその本質が()()()()()()()()()ように見える、矛盾をはらんだ存在。

 

 どちらも異なる形で矛盾をはらんでいるが、どちらもこの世に比べる対象が数えるほどしかないような名剣だということは共通していた。

 そんな剣を構えた双子宮が、言葉を紡ぎ出す。

 

刃金に満ちよ、我が祈り──希望の未来(あす)を掴む為

 

 ドクンと、()()に反応して大剣が脈打ったように見えた。

 詠唱が紡がれるにつれて、双子宮の力が爆発的に上昇していく。その上がり幅、目算で5倍ほど。

 馬鹿げているとしか言いようがない。一体世界のどこに抜いて詠唱するだけで5倍の力を手に入れられる剣が存在しているというんだ? 

 いや、目の前に存在している以上、確かに()()()()()ことは紛れもない事実なのだろう。なのだろうが……到底信じられるものではない。

 まるで、願えば叶う魔法のランプだ。尋常の法で動いているとは思えない。

 

「ぜあぁっ!!」

「フンっ!!」

 

 両者の大剣がぶつかり合う。片や漆黒、片や純白。完全な対としてその場に存在する二人の力は拮抗し、激しいつばぜり合いを見せる。

 純白の大剣が齎す絶凍と、漆黒の大剣が齎す消滅が完全に均衡し、両者がピクリとも動かなくなる。

 信じられないことに、先ほどまであれほど絶望的であった両者の力関係は、双子宮が剣を抜いたことで完全なる均衡状態になっているようだ。

 

「全く出鱈目な兵器だな、ソレは」

「ㇵッ、それは私も同感だね。あんたとこうやって対等に渡り合えるなんて、私自身信じられないよ」

「ならばそのまま死んでいくが良い!!」

 

 横薙ぎ、刺突、切り上げてから返す刃で打ち下ろし。“剣”の効果か消滅する事の無くなった氷杭が放たれれば、的確に大剣で弾き。牽制目的か闇弾が放たれれば、凍結させ無力化する。

 巻き込まれた凡人にとっては目で追うのがやっとな攻防が繰り広げられる。

 

 剣と剣がぶつかり合うたびに発生する衝撃波が、まるで災害かのように吹き荒れる。瓦礫が、死体が、そして炎が。双子宮によって凍てついたあるとあらゆるものが、まるで硝子細工(がらすざいく)のように砕けていく。

 双子宮が撒き散らす凍結と、デュラハンが撒き散らす消滅と、そして二人が撒き散らす破壊とで、彼らの周りにはもはや何一つ残るものは無かった。

 

「あぁ……あれは無理だ」

 

 ポツリ、と(こぼ)す。

 

 あいつらに比肩するほどになれば……なるほど、なるほど、確かに無敵だ。

 誰も敵わないし、まず戦おうだなんて思わない。

 そうなればどれだけ後で無茶や不条理が襲って来ようと、楽に解決できるはず。そうなれば、気兼ねなく勝利出来るだろう。

 

 ──なんて、誰が思うか。

 

 そうとも、俺は凡人だ。

 日々の糧食さえ繋げればそれだけで十分な男なのだ。大きな勝利なんて求めちゃいない。

 宝物にしがみつく幼児のように腕の中にある温もりを確かめるのが精いっぱいだった。例えそれが()()()()()()()()()()()()()()

 ただの傍観者に堕ちていた。大切な誰か一人、守ることも尽くすことも出来ずにいる。

 それの、なんと惨めなことだろうか。

 

 だから、誰か教えてくれ──“勝利”から逃げる方法を。

 勝たなければ人は生きていけないと、重々わかっているけれど。

 負けてもいいだなんて情けないこと、口が裂けても言えないけれど。

 出口のない袋小路。重責にしかならない栄光、責任。より難易度を増して襲い掛かってくる終わらない試練の数々……

 

 ゆえに、勝利は無用。

 敗北もまた、拒絶する。

 永劫(えいごう)という常温(やすらぎ)を、無謬(むびゅう)の不変と保ちながら。

 ありふれた幸福を、どうか、この手に。

 

 そして──“勝利”から逃げさせてくれ。

 

 その意味を知りたいだなんて、もう願ったりはしないから──

 

 刹那、爆音が意識を引き戻して目の前に砕かれた氷塊が飛んでくる。

 それは、奴らの物語に巻き込まれた憐れな犠牲者(エキストラ)の残骸。

 ジェミニ相手に救援に来てくれた、無残にも双子宮によって氷像とされたフィクサー。死の瞬間、断末魔のまま固定された誰かの生首そのものだった。

 ごろりと、無造作に転がったソレと目が合う。

 結晶化して保存された生の感情は、そのまま永遠に固定されていて──

 

「あぁ、ぁ……う、あ、ぁぁぁ…………、っ」

 

 怖い、怖い、おぞましい。何が怖いのかさえ、分からない。

 見るなよ。みるな。みるな、見るな見るな見るな、生きてて悪いかよ。情けないって嗤うなよ。精一杯なんだ見逃してくれ。お願いします、だからどうかその目をやめて、ください、そんな。

 螺子(すが)るような目で──タ、ス、ケ、テ、なんて。

 

「うあ、あ、あああぁァァアアアアアアアア──ッ!」

 

 金切るような絶叫をほとばしらせて炎の中を駆け抜けていく。

 止め処なく流れる涙はいったいどうして、どこから来るのか。

 何を(かなし)いと感じたかのかも覚束(おぼつか)ぬまま暴走する感情にひたすら身を任せて亡者のように疾走する。

 足の中で断線していく腱と靱帯。そのままぶち切れて二度と歩けなくなるかもしれない可能性は十二分にあったものの……

 狂乱に支配された思考回路は一顧だにすらしなかった。

 頭にあるのはたった一つ……こんな地獄には居られない。

 

英雄(バケモノ)め、バケモノ共め! 勝手にやってろもうたくさんだ──! 

 未来のために、野望のために、誰かのために、勝利のためにと。ご大層な上から目線で勝手な講釈たれやがって。

 好きなだきゃってりゃいいだろ、俺らの知らない何処かでよォォッ。

 そのまま諸共死にやがれ。そして、二度と姿を現すな……ッ」

 

 投げつけた決別の言葉は背後の轟音にかき消され、超人共のただ一人として、凡愚の悲鳴を耳にしてなどいなかった。

 走る、走る。どこまでもただ、負け犬らしく。

 

 ◇

 

 死神が呼び寄せられる。手に負えない艱難辛苦(かんなんしんく)が訪れる。

 守り抜くなど絶対不可能。勝者へは永遠に至れない。

 なぜならそれこそ、彼に刻まれた宿命だから。

 

 訪れる次の大敵──次の不幸。次の苦難。次の破滅。

 掴み取ったはずの未来は暗黒に(むしば)まれたまま続行していく。

 むしろ手にした奇跡を呼び水に、よりおぞましい新たな試練を組み込んで運命を駆動させるのだ。

 

 それが“逆襲”と呼ばれるものの本質。

 弱者が強者を滅ぼすからこそ成立する概念は、ゆえ逆説的に、勝利の栄華を手にしてしまえば執行資格を失ってしまう。

 

 ……彼は永遠の負け犬、呪われた銀の人狼(リュカオン)

 常に敗北の淵で嘆きながらあらゆる敵を巨大な顎門(あぎと)で噛み砕く、痩せさらばえた負の害獣。

 次にやって来る狩人が更に凶悪な存在になると分かっていても、自分自身の宿命から逃れられずに足掻(あが)いている。

 

 “勝利”からは逃げられない。

 “勝利”からは逃げられない。

 “勝利”からは逃げられない。

 

「ならば────」

 

 主役のように光を求めて駆けることは決して出来ず、なのに目を背けることを嫌がるから雄々しく散ることを心底恐れるその性根はまさに凡夫。

 身勝手でありふれた、何処にでもいる十把一絡(じゅっぱひとから)げの衆愚に過ぎず。

 

 ならばこそ──願うのは栄光の崩落。

 

【“逆襲”を】

 

さあ、逆襲(ヴェンデッタ)を始めよう

 

 ◆

 

「…………」

「…………」

 

「いや重いわ!!」

 

「いやぁ……モデルは明らかにゼファーさんなんだが……コレ、高校入る前の奴が経ていい経験じゃないだろ……」

「流石にコレはな……っていうか、コレ住んでた街の住人は皆殺しか? 

 バケモノ二人……正直瑞樹が言うように、諸共死んでくれた方がありがたいなぁ……」

「こういうのはどうせどっちも戦う羽目になるって相場が決まってるんだよなぁ……」

 

「じゃあ、折角だし今回出てきた情報を整理するか。

 まず、主人公は3級フィクサーだな」

「こういうので初期が3級って珍しくないか? 

 最初からフィクサーな主人公って基本1級なイメージがあるんだが」

「そうだな。というか、最初からフィクサーな主人公は戦闘系の展開が増えるから、初期から1級みたいな優秀なバックグラウンドが無いと失敗し易くて動画化されにくいんだよな」

「あぁ、成程。1級しかいないんじゃなくて、1級じゃないと動画化しにくいのか」

>「それと、重要組織らしきが、人類至上主義を掲げる組織『カーディナルサイン』。ホロラバだと定番の『魔王軍』とは敵対関係みたいだが、敵の敵も敵って感じで主人公たちとは敵対関係って思って良さそうだな。

 それと、350年って周期が重要そうだな」

「そういや、作中の年号って新西暦1050年じゃ無かったか……?」

「あっ……ちょっと歴史方面は重点的に探ってみるか……

 それと、【誓約の騎士】デュラハンが今回は殺鏖鬼(カーネイジ)みたいな物質消滅能力らしきを使ってるな。全くないって訳じゃ無いが、相当なレアケースだぞ」

「双子宮が持ってた『詠唱するだけで能力が5倍に跳ね上がる剣』。同種のものがあるなら、手に入れば相当楽になるぞ」

「そんなうまい話があるなら、だがな。双子宮も出し渋ってたし、何かしらのデメリットはありそうだな。

 っと、流石に長くなりすぎてるし今回はこれで終わりにするか。これ以上はエンコが死ぬ*1

「いや、メタいわ!!」ビシッ

「じゃあ、ご視聴ありがとうございました」

「ありがとうございました」

 


 

「はい、どうも皆さん。オマケコーナー担当の、中の人のリア友代理、冨遺だ。

 オマケコーナー第二回。今回はキャラ育成についての解説だ。理想郷modの導入のせいで元々のシステムからもUPOのシステムからも離れてる部分があるからな。一度詳しく説明しとかないとな」

 

 ・レベル

 

「経験値テーブルはUPOと同じだな。

 現在レベルをnとした時の次レベルまでの要求経験値が、レベル10までは「103.5n」、それ以降は「11.5n(n-1)ってなる感じだ」

 因みに最大レベルは200で、UPOの倍になってるがこれは、最大レベルが100だと終盤レベルが打ち止めになった辺りで詰みかねないから、って配布ページに書いてあったな」

 

 ・ステータス

 

「ここは完全にUPOの仕様だな。

 初期200点をStr,Int,Vit,Min,Agl,Dex,Lukに割り振り。レベルアップ1ごとに割り振りポイントが10貰える。あ、敏捷がAglなのは誤字じゃなくて仕様な。

 HPは初期100、MPは初期50でレベルアップごとに50ずつ増えていく。ただし極振り──1種類のステータスにのみポイントを割り振ってるとペナルティとして初期値半減。

 HP、MPにはステータス基礎値──スキルや装備による補正前のステータスに応じて補正がかかる。数値はHPが[Str基礎値×1.3]*2+[Vit基礎値×1.3]、MPが[Int基礎値×1.3]+[Min基礎値×1.3]。

 基礎値0のステータスがあると、その種類に応じてペナルティ

 っと、基本的な部分はこのくらいか」

 

 基礎値0によるペナルティ

 Str : 物理攻撃力低下・攻撃速度微減少

 Vit : 被物理ダメージ増加・スタミナ低下

 Int : 魔法威力・成功率低下

 Min : 被魔法ダメージ増加・被状態異常確率増加

 Dex : 遠距離攻撃命中率低下・道具作成成功率低下

 Agl : 移動速度低下・回避スキルの無敵時間消失

 Luk : クリティカル発生率低下・アイテムドロップ率低下

 

「まあ、要するに極振りプレイは極まった変人以外にはお勧めできないって事だな。

 UPOでも極振りプレイ出来るような変人以外は多分詰むだろうな」

 

 ・スキル

 

「スキルに関しては、UPOのスキルが幾つか追加されてる以外は基本的に変わらないな。

 今回はオーディション・スキル枠形式だから、初期5枠、バトロワ50位以内入賞で+1枠、優勝で更に+1枠。

 スキルは条件を満たしてヒントを手に入れて、スキルポイントを払って取得。一部スキルはポイント不要、と

 

「因みに理想郷mod適応化では、絶対にどこかに【虚構舞踏会(マスカレードパーティー)】っていう、報酬でスキル枠拡張+1されるクエストがあるから、優先して探すことをお勧めするぞ。

 クエスト内容も主人公の完全なコピーと戦うだけだから、序盤でもクリアできるどころか、手札が少ない序盤の方がクリアが楽だしな。

 因みに、【虚構舞踏会】をパーティーで挑むのはやめておけ。パーティー内で有利な相手と戦うことで多少は楽になるが、コピーと本体の見分けがつかないから混乱して酷い事になる」

 

 ・戦闘特技/アーツ

 

「お次は戦闘特技、それと理想郷modで追加された類似要素のアーツだな。この二つは発動コストがある、とか冷却時間があるとかは共通しているが、細かい部分で少し違いがあるからな。一応分けて解説しておくぞ。

 “戦闘特技”は元々存在する要素で、スキルとは独立しているな。枠の制限は無いが、あまり多すぎると発動に手間取るから有効化する数は考えた方が良いかもな。

 得意とする技いくつかに数を絞るか、色々な技を覚えて対応範囲を広げるか。この辺りはプレイヤー毎に好みが分かれる部分だな」

 

 

「“アーツ”は理想郷modで追加された要素で、スキルに付属した技って感じだな。スキルを覚えることで解放されて、スキルを使い込むほどに多種多少なアーツが解放されていく感じだ。

 その特性上、対応するスキルをある程度使い込んでいないと上位のアーツは使えないことは注意だな。一応、アーツが存在するスキルは使い込むにつれて『小→中→大→極』って進化するからそれが目安だな。

 理想郷modで追加された要素だから、UPOプレイヤーはアーツとこっちのスキルをメインにビルドを組み立てた方が戦いやすいかもしれないな」

 

 ・法術

 

「さて、お次は法術系──魔法とか魔術とかの総称だな。

 一部バージョンでしか使われていない呼称だが、名前の由来は法術系の代表が魔“法”と魔“術”だから、だな。

 “魔法”は『魔力を用いて法則を捻じ曲げる、或いは上書きする手法』らしい。まあ、所謂一番メジャーなタイプだな。大規模ならそれ相応に消費が重くなる、法則の捻じ曲げ方次第では小規模でも消費が大きくなる。

 まあ、基本的にプレイヤーが使う分には標準的な燃費の法術って認識で大丈夫だな」

 

(紫咲シオン、雪花ラミィの画像)

 

「“魔術”は『魔力を呼び水にして化学反応を励起する手法』。魔法との違いは、起こせる事象の大きさと燃費だな。魔術はあくまで化学反応を起こすものだから、引き起こせる事象は小規模。だが、魔力は呼び水に過ぎないから高燃費。って感じだな」

 

「それ以外にも色々と派生形が存在するな。

 派生形で一番有名な“妖術”は、起こせる事象が自然現象程度になった代わりに燃費が更に良くなった魔術の亜種だな」

 

(白上フブキ、大神ミオの画像)

 

「“錬金術”は物質の組み替えに特化した魔術の亜種。“供儀術”は代償を前提とした魔術の発展形。

 ……まあ、ここまで見てもらえば分かる通り、派生形とか亜種とかは魔術が多いな。

 これは、魔術が“化学反応”を引き起こすものだから応用が利きやすい……とかの裏設定があるらしいな。この辺りはゲーム内の図書館なんかで資料を探すのがいいだろうな」

 

 ・装備

 

「最後は装備だな。これはUPOのシステムをそのまま持ってきた感じだな。

 武器は、初期状態では両手武器1つか片手武器2つまで。で、【装備制限開放】ってスキルを取得することでかなり自由に装備できるようになる。例えば刀7本とかな」

 

(UPOのStr極振り、『裁断者』アキが7本の刀を使った連続抜刀術で無双している画像)

 

「防具は頭・胴・腕・脚・足の5部位。アクセサリーは10枠。

 防具には3種類、服・軽鎧・重鎧って区分があって、服は装備制限なし、軽鎧は軽めのVit制限付き、重鎧は重めのVit制限付き、って感じだな。性能的には重鎧に寄る程防御力が上がって、服に寄る程特殊効果が強いな。

 だから、UPOじゃ一番バランスのいい軽鎧が一番人気だったぞ。というか、UPOじゃプレイヤーもモンスターも火力インフレしすぎて“耐える”より“避ける”“復活スキルで受ける”のが主流だし、その影響も大きいだろうな

 

「アクセサリーは基本10枠に好きに付けられるが、一部強力なアクセサリーは同時に効果を発揮する個数に制限がついてることがあるな。

 大まかにステータスアップ系と特殊効果系に分けられて、ステータスアップ系は文字通りステータス上昇効果。特殊効果系は『クリティカル倍率上昇』とか『回避無敵時間延長』みたいな特殊効果が発動するタイプ。

 ステータス上昇系は“%上昇系”と“固定値上昇系”があって、序盤は後者、中盤以降は前者の方が強力だ。因みに計算式の問題で、最終ステータスがバカみたいな数値になりかねない“倍率上昇系”のアクセサリは存在してないぞ。

 特殊効果系は1つだと効果値が物足りないから、同じものを2~4つほど積むのが基本だな。どれだけ詰むかはビルド次第だが、多いのは『4-4-2』*3、『4-6』*4、『3-3-4』*5、『5-5』、『3-3-3-1』辺りかな」

 

「まあ、基本的には特殊効果系を積めば間違いないな。

 ステータスアップ系はアクセサリ枠全部埋めてようやく50%って感じだし、極振りでもない限りは採用しないな。むしろ極振りもレベルが80超えたら採用しなくなるが……この辺りはUPOの攻略サイトとか見てくれ。ここで説明すると本筋から外れすぎる」

 

「他にも解説したいことはあるが、それはUPOの攻略サイトの方*6を見て貰う、って事で。それじゃあ、次回も見てくれよな。

 飛び込め、あなただけのオルタナティブ!!」

*1
エンコードが死ぬ。画質が悪くなる、くらいの認識でおk

*2
ガウス記号。クッソ雑に説明すると小数点切り捨て

*3
4積み2つと2積み1つ

*4
4積み1つと6積み1つ

*5
3積み2つと(ry

*6
UPOの元ネタ『幼馴染がガチ勢だったので全力でネタに走ります』




 ちょっとヴェンデッタから持ってきた部分が多すぎた気がします。規約違反にはならないよう気を付けたつもりですが、消えたら察してください。

 本作に登場させるスキル募集 詠唱募集を行っています。
 気が向いたら、是非。

<今回のネタ解説>

・“勝利”とは、何だ?“栄光”とは、何だ?
 『シルヴァリオ・ヴェンデッタ』における最初の一文にして最大の問いかけ。
 この問いに対して主人公が出す答えとは……?
 気になった方は是非、シルヴァリオ・ヴェンデッタを購入してプレイしてみよう!(ダイマ) 買うなら追加シナリオが最初から入ってるCS版がお勧めですよ!!

都市便利屋(フィクサー)ピアニストetc…
 『project moon』の作品における用語。
 本作では色々と改変して採用。原作の設定が知りたい方はゲームをプレイするかネットで調べるかしてください。執筆時点では『Lobotomy Corporation』『Library of Ruina』『Limbus company』の三作です。
基本的にプロムン作品はストーリーは面白いけど高難易度なので、プレイするつもりならお気をつけて。リンバスが基本無料のソシャゲなのでとっつきやすいかも。

・カーディナルサイン
 『バトルスピリッツサーガブレイヴ』に登場する『人類至上戦線カーディナル・サイン』が元ネタ。
 人類至上主義を唱える組織を出そうと思ったらコレしか思いつかなかった。ついでに幹部級が12人+1人作れるのが都合よかった。
 尚、その在り方は元ネタとは全く異なる模様。

・刃金に満ちよ、我が祈り
 『銀鈴』さんの作品『銀灰の神楽』に登場する『魔剣』の起動詠唱の冒頭部分。要するにシルヴァリオサーガにおける『創生せよ、天に描いた星辰を――我らは煌く流れ星』。
 本文中に登場した魔剣は『絶凍剣ニヴルヘイム』。鎖の延長・操作と分子運動停止による温度低下という能力を持つ両刃の大剣。埒外法則により温度の下限突破が可能。

英雄(バケモノ)め、バケモノ共め!勝手にやってろもうたくさんだーー!
 『シルヴァリオ・ヴェンエッタ』原作プロローグにおける主人公『ゼファー・コールレイン』のセリフ。
 英雄と怪物の戦いだなんて巻き込まないでくれと、自分たちの知らないところで勝手にやってろと。一市民としては至極当然な、心からの叫び。
 だがしかし、彼は主人公――神の玩具。物語に関わらず生涯を終える脇役には決してなり得ない。
 望む望まないに関わらず、彼は運命の歯車に巻き込まれることとなるのだ。

・UPOの経験値テーブル
『第48話 儀式魔法』における記述からそれっぽい数値になるように計算式を作成。

・魔法と魔術
 『ヘンダーソン氏の福音を』の設定を参考に。初期案では主人公がエーリヒ君モチーフだった名残。

・ステータス、装備、その他諸々
 『幼馴染がガチ勢だったので全力えネタに走ります』(通称:極振り)に登場したVRMMO『UPO』の要素を大量に持ってきた。
 以前まで極振りの二次創作書いてたので、極振りの要素を持ってきた方が書きやすかった。
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