銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~ 作:LR44(ゆっくり)
「──と、いう訳なんだけど……」
「お願いできる……かな?」
フブキの『一緒に部活をしよう』という発言の後、俺は説明を求め。
二人が説明したことを要約すると、『部活が作りたい』ということになる。
この学園では、部活/同好会は大まかに3つに分類される。
5人未満の『同好会』。申請次第で部室が割り当てられるが、部費は出ない。最小単位の集まりだ。
5人以上集め『部活』として申請、受理されたうえで
そして、『部活』として受理された上で顧問がいる場合。これが一番理想的、らしい。顧問なしの部活よりも優先して空き部屋が割り当てられる上、顧問を通せば余程の無茶でもない限りすぐに部費が出るのだとか。
……そもそも無茶すぎる申請は顧問に提出した時点で弾かれる、というのもあるが。
以上を踏まえたうえで、4人が目指しているのは“顧問なしの部活”。故に5人の部員が必要なのだが、『白上フブキ』『大神ミオ』『猫又おかゆ』『戌神ころね』の4人しか部員がいない。
つまり……
「要するに俺は人数合わせって事だな。
ま、二人の頼みなら喜んで」
……人数合わせ、だな。まあ、二人の頼みなら……悪くはない。
それに、最近久々にテレビゲームをやってみたらかなり面白かったし。仕事が無い日くらいは顔だしてみようかね。
「さ、書類出すんだろ? 早い所生徒会室に行かないと暗くなっちまうぞ」
◇
「それで──」
「えっ──」
他愛もない話に花を咲かせる4人から、少し離れた後ろを歩く生徒会室へ行く道すがら。
4人の後姿を眺めていると、ふと記憶の歯車がカチリと噛み合ったような感覚を感じた。
紫髪の猫獣人に、茶髪の犬獣人。私服と制服、服装こそあの日と違えど教室で見た時に感じた“どこかで見た気がする”感覚の正体に気付き、すっきりした気分になる。
入学前のあの日、ゲームセンターでパンチングマシンを破壊していた二人組*1。
相当な強度を持つ筐体を、純粋なフィジカルのみで破壊して見せた犬獣人──戌神の凄まじさは言うまでも無し。おかゆの方もそれと同等レベルの戦力と見た方が良いだろう。
……本っ当に敵対はしたくねぇな。
「お邪魔します」
と、そんなことを考えているとどうやら生徒会室に着いたようで。コンコンという2度のノック音の後、入室を断る*2フブキの声が聞こえた。
共通教育棟 に位置する、生徒会の仕事が行われている部屋。
そもそもこの学園における生徒会とは。
学年を問わず誰でも立候補できる選挙により決定される“生徒会長”。及びバトロワを含む成績優秀者の中から生徒会長が選んだ“生徒会役員”。これら合計5名にて構成された組織で。
生徒にとっては自分たちの代表。日常生活に行事に、ありとあらゆる場で先頭に立つ存在となる。
故、必然的に学園でもトップクラスに優秀な生徒が選ばれる傾向にあり──逆説的に、生徒会長が学園トップの実力者である、という数式が成り立つのだ。
「いらっしゃい。どんな用かな?」
「あ、部活設立の申請をしたくて……」
「あぁ、成程ね。書類はあるかな? 無ければ、ちょっと待っててくれれば持ってくるけど」
そんな生徒会長だが……一目見ただけでその雰囲気に、思わず身震いする。
ここまで明らかにヤバい相手と出会ったのは久しぶり──それこそ、師匠や【黒い沈黙】の相方以来だ。
「っと、自己紹介がまだだったね。私はときのそら。この学園の生徒会長だよ。よろしくね」
ときのそらと名乗った彼女を見て、俺が一番に感じたことは“強さを
どんな相手であれ、相対すればある程度の強さは見えてくるものだ。どれだけ弱い相手でも、最低限“弱い”という情報は手に入れられるのだが……
ときのそらに関してはそれが
つまるところ、自らの強さを完璧に隠蔽しているという事で。こういった手合いは得てして相当な実力者であって……あぁもう、本当に面倒くさい。
「折角だし、他の生徒会メンバーも紹介しようか。じゃあ……ロボちゃんから自己紹介してもらえる?」
「お、僕からだね。はろーぼー、ロボ子だよ~。見ての通り、機人だよ。よろしくね~」
部屋内を見回すと、知らない顔が1人と……知っている顔が2人。
その内、最初に口を開いたのは知らない顔。
先端にかけて赤紫色のグラデーションがかかった、黒っぽい色の髪。腕や足に機械のような意匠が見えるメガネをかけた少女。
名は体を表すとはよく言ったもので、“ロボ子”という名前の通り[機人]──機械の身体を持ち、生殖機能を持たずジェネレーターから生まれてくる珍しめの種族──らしい。
……体つきを見るに、主武器は銃火器か。見てから回避できるとは言え、連携次第では面倒になるな。
「次は私だね。彗星のごとく現れたスターの原石、星街すいせいで~す。
って、同じクラスだし皆しってるか。よろしくね」
青い髪を長く伸ばした少女。同じクラスの生徒であり、バトロワで巨大ロボ相手に隕石を落としていた印象の強い彼女。
1年生が生徒会メンバーというのは少し珍しく感じるが……近所の中学校が事実上の中等部扱いされており、そっちでの実績がホロライブ学園の方でも加味されているという
とにかく、1年生だと言うのに生徒会メンバーに選ばれる程優秀という訳だ。
それは隕石を落としていた──つまり、消費の重さと詠唱の長さから実用的では無いと言われている【星魔法】を実用レベルに落とし込んでいる──ことからも明らかで。
よくよく見て見れば近接戦闘も得意そうな体つきをしているし……高難度の魔法を扱いながら、接近戦も出来るタイプか。
……【星魔法】が文字通りの“必殺”となり得る以上、俺の
「じゃあ私……は自己紹介する必要ないかな? 一応改めて、AZKiだよ。よろしくね」
最後の一人は、良く見知っている顔。
剣術と【歌魔法】を高い水準で使いこなす、真正面からの戦闘であれば俺でも勝ち筋の薄いほどの強者。
AZKiであれば生徒会メンバーに抜擢されていても、何ら不思議では無かった。
むしろ、戦闘一辺倒な俺とは違って、AZKiは勉学についても優れているからな。この上なく納得できる人選だ。
……ちょっと待て。
室内を見回すが、5人いるはずの生徒会メンバーは4人しか見当たらない。
机は5つ用意されているが、そのうちの一つ──星街の隣の席に誰も座っていないのだ。
「4人だけ……ですか? 生徒会は5人って聞いたことある気が……」
「あぁ、それはね……」
フブキもそこは疑問に思っていたようで、ときのに問いかける。
……と、
「……もう一人の子は部活に所属してるんだけど、多分そっちに行っちゃってるんだよね……」
「今日は生徒会の活動がある日だって、口酸っぱく言ったんだけどね~」
星街が台詞の後半を引き継いだのを見るに、5人目は彼女と関りのある人物みたいだな。
……脳内に、朧気ながら浮かんできたな。ピンク色の髪をした少女の姿が。
「同じ部活だし、そろそろ私が呼びに行こうかな~っと。丁度仕事もひと段落ついたし」
「折角だし、皆も一緒に行ってみたらどうかな?
部活の活動がどんな感じか、いい参考になると思うよ」
「それいいね、行ってきなよ」
どうやら星街と5人目は同じ部活のようで、星街が呼びに行こうとする……と、そのタイミングで俺体も一緒に行くことをAZKiが提案した。
……まあ、確かに既存の部活の活動を直に見れるってのは、部活を立ち上げる上で言い機会な気がするな。
「じゃあ、案内するよ。ついてきて」
「は~い。あ、ところで、なんて言う部活なの?」
「フレア……3組の子が立ち上げた部活でさ。集まってだらだらしながら、『しらないこと』を研究する──」
「──『しらないこと研究会』、だよ」