銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~ 作:LR44(ゆっくり)
共通教育棟を出、左手側に進むと突き当りに大きめの建物──武道館が。道を挟んだその向かいには巨大なグラウンドが、それぞれ見えてくる。
左手側に曲がり、グラウンドを左に見ながら暫く進む。すると、同じような──それでいて、講義棟とは全く異なる様相の──建物が2つ連なっている。
「はい、着いたよ。ここが部室棟ね。グラウンドに近い方は運動部が、遠い方は文化部が基本的に使ってるね
私たちが使ってるのは文化部棟の3階端だから、まだちょっと歩くよ」
運動部棟、文化部棟。共に建造物はコの字型をしており、両端が渡り廊下で繋がれ巨大な長方形を形作っていた。
いくつかの窓はカーテンが閉め切られ、中の様子は見ることができない。が、カーテンが閉められて
その姿を見て俺が感じた印象は、『学校のよう』であった。……いや、これでは語弊があるか。
ホロライブ学園は、高等教育機関でありながら大学などに代表される、キャンパスと呼ばれる構造をしている。だが、この部室棟は一般的に高校と言ってイメージされるような構造をしているのだ。
「ここが昇降口ね。中は土足厳禁だから、靴は適当な所に入れて中にあるスリッパを履いてね。
あ、言うまでもないけと自分の靴を入れた場所はちゃんと覚えておいてね」
星街に連れられ建物内に入ると、より一層その印象は大きくなった。
乳白色の廊下に、白色の壁。外側の窓からは教室の、内側の窓からは中庭の様子が覗き見ることが出来る。
教室の窓は開閉するものが上に5組10枚、下に3組6枚の合計16枚。開閉しないものが前後それぞれの扉に2枚ずつの合計4枚。扉についているうちの2枚と、下の6枚の合計8枚がすりガラスとなっていた。
中庭側の窓は少し高めの位置に、透明なものが絶え間なく配置されている。
中庭側の壁にはロッカーが配置されており、一定の周期でトイレや手洗い場も設置されている。
「いかにも、な学校みたいでしょ。『学園の造りが一般的な高校とはかけ離れているから、せめて部活の時くらいは』って学園長がこだわったらしくてね」
笑いながらそう言う星街の説明を聞きながら、校舎の中を進む。
様々な部活の、活発な声が漏れ聞こえる廊下を通り、階段を上がり。3階の端──運動部棟と繋ぐ渡り廊下近く。ドアの上に『
』と書いた紙が張り付けられた教室に辿り着いた。
「お~い、みこち~」
「ん?
「なんだよじゃねぇよ。お前今日生徒会なの忘れてただろ」
星街が乱暴に開け放ったドアから見える光景は……一言で言えば、校内にあることに違和感しかないものであった。
先ず目に飛び込んでくるのは部屋の中央に設置された
わざわざ運び込んだのか、炬燵の下には畳が敷かれ一段高くなっている。
壁際に設置された本棚には、漫画本が所狭しと詰め込まれていた。
少なくとも、コレが校内に存在する部室であるなど想像すら出来ず。
むしろ、こうして実際に見た今でさえ空間系の法術で誰かの自室と繋がっていると言われた方がまだ納得も出来た。
……のだが、師匠に鍛えられた俺の感覚はこの場に一切の法術の痕跡が無い事を知らせており。この光景が実際に校内に物を運び込んで実現したものだという事を表していた。
「え~……あ゛っ!! そうじゃん! 仕事は──」
「──ぜ~んぶ、残ってるよ。良かったね、今日が仕事少ない日で」
炬燵に入り寝転がっていた所を星街に足蹴にされている桜色の髪の少女。
彼女こそが最後の生徒会メンバーにして、人並外れた障壁の使い手。さくらみこ、その人であった。
そもそも、一般的な障壁とは以下の3種類に大別される。
『魔力を用いて“純粋な” 壁を作るもの』。物理的な干渉が可能で、攻撃を防ぐ以外にも利用できるため汎用性はピカ一。ただし、十分な強度を発揮するためには相当な魔力量が必要となる。
『魔力を用いて“概念的な” 壁を作るもの』。一定値までダメージを防ぐ、一定回数まで攻撃を防ぐ。等様々な効果を付与できるため障壁としての信頼性は高い。が、そもそも概念レベルの法術を扱えるものが希少な上、物理的な干渉力は無いため障壁を張っている事さえ知っていれば対処は最も容易。
又、あくまで“有害だと判断したものをはじく”プログラムのため、“無害なまま体内に入り、体内に入ってから有害化する”ような攻撃に対しては無力だったりもする。
『空間系の法術による“空間断絶系の”結界』。空間の連続性を断ち切るため、文字通りの“絶対防御”として機能する。が、空間系の法術が希少かつ消費が非常に重いため無尽蔵の魔力を有しているか、極端に空間系の消費量が少ない特殊な人物か以外は常用は不可能である。
又、極めて稀ではあるが極まった達人になると純粋な技術のみで空間切断を行ってくるため、防御性能にも若干の不安を抱えることになる。
だがしかし、彼女の障壁はそのどれにも分類されない。
“物理的な干渉力”を持ち、“悪意のある攻撃を防ぐ概念的な障壁”を張り、“絶対防御と呼ぶに相応しいレベルの防御力”を誇り、尚且つ“低燃費”。
いくら神職系の固有魔法だとしても、ありとあらゆる障壁使いが喉から手が出るほど欲しい代物だ。
障壁系を使わない俺ですら、初めて授業で見た時には嫉妬で狂いそうになったほどだ。
「なんでもっと早く呼びに来なかったんだよぉ!」
「忘れてたそっちが悪いんだろ~?」
「でゃまれよォッ!!」
──なのだがしかし。戦闘時に感じる『凄腕の使い手』としての風格は、普段は微塵も感じさせず。むしろ平時の彼女を言い表すに相応しい言葉を問えば、10人中10人が口をそろえて“ポンコツ”と答えるであろう醜態を晒していた。
何よりも恐ろしいのが、彼女のソレには実力を隠す目的など微塵も無く。完全なる
今後、彼女が更なる強さを身につけたとして、それを無意識に隠蔽してくるとなると……厄介な事この上ない。
「ところで、さぁ」
室内から冷たく響く、一声。
緩み切った雰囲気が一瞬にして緊張する。と、同時に知らないふりをしていた、
「後ろの5人組は何? そろそろ説明してほしいんですけど?」
声の主は、金髪の狐系獣人。
炬燵に入り、畳に寝転がり。先ほどまで読んでいたのであろう漫画を胸の上に置いている彼女は、明らかにこちらに警戒の視線を向けていた。
「あれ? 確かそこの人って、この間のバトロワで優勝した人じゃ無かった?」
「お、って事は強い人だ。何の用事? もしかしてカチコミ? なら、相手になるよ?」
そして、室内にはもう二人。金髪の
明らかに見覚えがある。バトロワの時に巨大ロボを足止めしていたうちの二人だ。
彼女らがいたから、5人全員を内部への突入に回せた。そのおかげで、5つの戦場全てで相性有利な組み合わせを押し付けられた。俺の優勝に多大に関係している二人だ。
「違う違う。この人たちは部活の見学。新しく部活をつくりたいって言うから、丁度いいし連れてきたの。
え〜っと、こっちから順番に白上フブキちゃん、大神ミオちゃん、猫又おかゆちゃん、戌神ころねちゃん。でもって、一人だけの男子が鳴神瑞樹君、だね」
そう紹介され、名前が呼ばれるたびに俺たちは会釈をする……のだが。
約1名からの刺すような視線が痛い。
いやまぁ、心当たりは……あるんだよなぁ。明らかにバトロワで首を跳ね飛ばした一件だろうな。
死亡しても生き返り、外傷も綺麗さっぱり無かったことになる。まるで夢のような技術が使われたバトロワだが、『死の恐怖を失わないため』という理由で痛みはそっくりそのまま感じるのだ。
故、バトロワでは基本的に“気絶しての退場”に留めるもので、“死亡しての退場”はかなり稀なのだとか。
ところが俺の有する手札は、殺傷能力が高すぎる。今まで生け捕りにしたのが『殺しても死なないような
故、早急な無力化が必要な場合には首を狩り取るのだが……まぁ、明らかに良い印象は受けないよな。
「じゃあ、こっちも自己紹介しよっか。私は不知火フレア、見ての通りここ──しらないこと研究会の部長だよ」
「こんまっする~。白銀ノエルだよ。白銀騎士団の団長やってるから、知ってる子もいるんじゃないかな?」
「ポルカおるよ~。尾丸ポルカだよ~」
“雪花家”と肩を並べるエルフの銘家”不知火家”に、白銀騎士団の団長様。とんでもなく豪華なメンツなこった。
星街やさくらも、一般的な学生の域を出たバケモノだし。多分尾丸もその類なんだろうな。
……この部活は戦闘種族か何かでいらっしゃる?
「じゃあ改めて……ようこそしら研へ!」