銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~ 作:LR44(ゆっくり)
「じゃあ、しら研の活動内容だけど……何説明しよっか?」
「そこからッ!?」
一旦落ち着いて、部活見学を本格的に始めようとしたちょうどそのタイミングでの事だ。
部長である不知火が、突然そのようなことを口走った。
ミオが思わずツッコミを入れたようだが……正直、俺も“活動内容の説明に困るってどういう事だよ”とは、思うがな。
「いやぁ……正直、毎日のようにここに集まってダラダラしてるだけだから、活動内容とか言われてもねぇ」
「……確かに、よくよく考えたら活動らしい活動は殆どしてないね」
ほらこの通り、と言うように手で指し示された室内を眺めてみれば……成程確かに。
漫画が敷き詰められた本棚に、おやつが詰まった籠に、挙句の果てにはゲーム機まで。思いつく限りの娯楽を詰め込んだような部室は、活動内容を説明しろと言われても“見ての通り”としか言えないようなレベルの代物であった。
「じゃ、じゃあさ。部活の名前になってる“しらない事”って、どんな事なの?」
「あ、ソレ? 私の苗字が『不知火』だからさ。『不知火が部長の研究会』、略して“しら研”ってなる単語の中で、語呂がいいのを選んだだけなんだよね」
何でもないかの様に語られたその命名経緯に、驚きと呆れの感情が隠しきれなかった。
『知らないことを研究する』『略称が、部長の不知火の要素を含んでいる』、この2点の要素から非常に格好の良い名前だと言う印象を受けていたのだが……
「だから、しらないこと研究会とか言っても活動内容は本当に適当でね。
ここに集まって、駄弁りながらお菓子食べたり、マンガ読んだり、ゲームしたり」
「長期の休みには、どこかに泊りがけで遊びに行こうって予定もたててるんだよ」
ここへ向かう道すがら、星街から顧問の付いていない部活だという事は語られていたが……成程確かに、このような活動内容では顧問を付けることなど望むべくもないだろう。
ならば、俺の所属する──現状では未認可なのであくまで、予定──ゲーマーズの場合はどうだろうか。こちらについても……まぁ、無理だろうと思われる。
e-sportsの大会に出場する、等を主な活動とするならば叶うだろうが……話を聞く限りそのような予定は微塵も無いらしく。
まあ、そもそも活動内容からして、特段高価なものを買う必要は無い。値が張る者と言えばゲームと周辺機器くらいだが、個人で利用しているものを持ってくればいいだけ。
そこまで部費が必要な訳では無いため、顧問が必要かと聞かれれば……首を横に振ることになるだろう。
と、そこまで考えを巡らせたところで。ふと──
「今更ですけど大丈夫なんですか? コレ。部活としてちゃんと認められてるんですよね……?」
「当然。学園長が、生徒の自主性を重んじる方針らしいからね。部活とか同好会とか、そういう体裁を取れば大抵のことは許されるんだよね」
──話を聞いているうちに湧いてきた疑問を投げかけようと口を開こうとした、丁度その瞬間。
全く同じ内容をフブキが問いかけ、帰ってきた返答で出てきたのは“学園長”。
明らかに他の建物と比べ浮いている部室棟を作った事にも、こんな異質な部活が許されている事にも。今日抱いた疑問の多くに、学園長が絡んでいた。
学園長。よくよく考えてみると奇妙な人だ。
“どの種族とも異なる雰囲気を纏っている”。これだけでも十分奇妙だが、それに加えて“強さの底が見えない”。
そもそも強さを
その上、これほど異常なのにも関わらず、強く意識しなければその異常性を認識すらできない。そういう隠蔽をされている、という事なのだろうが……どこか気味が悪い。
「まあ、ゲーマーズ──ゲーム部なんてものを作ろうとしてるぼく達には都合がいいんじゃない?」
「まあ……確かに?」
そして何より、
いろはに関しては、致命的に実戦の──特に、実際に戦闘を仕掛ける前の情報戦込みでの実戦の──経験が不足している。対人、かつ正面戦闘であれば間違いなく上澄みに位置しており……故に、他がお膳立てをした上で突っ込ませる運用が増えすぎたのだ。
こいつらに関しては仕方ない部分があるが……あやめとAZKi──条件さえ整えてしまえば1級に並ぶ可能性すらある、文字通りの規格外な奴らですら気付いていないのは大問題だ。
俺の特性上、相手の力量を見る力が人一倍高い……というのもあるのだろうが、それとは別に。何か決定的な違いがあるような、気がする。
例えば、そう──天候 に代表されるような
……そういや、黒上には聞いた事無かったな。黒上も天候を扱えるはずだし、この推論があってればあいつも違和感を覚えているはず、か。
また今度、聞いてみるか。
「お、ゲーム部かぁ。いいじゃん。テレビとか、ケーブルとか、必要そうなものは一通り備え付けで部室に置いてあるからね。多分すぐにでも活動を始められるよ」
「お、それはありがたいですね。いいことを聞きました」
「そうだね。正直、そのあたりの運び込みをどうしようか、っていうのが一番の問題だったからね〜」
そんな風に、会話に花を咲かせていたタイミングで。
下階から、爆発音が響き渡る。強烈な振動に、その場にいる全員が体勢を崩す。
ある者はどうにかバランスを取り、その場に留まり。ある者は思わず
突然の出来事に驚愕する──俺やフブキ達といった、部室棟に初めて訪れた──者達と、慣れた様子で、またかと言わんばかりの表情をする──しら研の、普段から部室棟に居座っている──者達だ。
つまりは、この爆発は頻繁に起こっている事象のようで。
彼女ら、慣れている者達がどう行動するか伺っていると……微弱ながらも、魔法のような反応を感じた。
対象は星街とさくらの2名。術式は恐らく遠隔通信。となれば、生徒会からの連絡なのだろう。
魔力反応も術式も何一つ隠しておらず、心得のある者ならば傍受できそうなのは、傍受された所で困るようなことは話さない、という事なのだろう。
「
「そ。で、いつも通り丁度近くにいる私たちが確認してこい、だってさ」
そしてどうやら、星街とさくらが確認に行かされる所までがいつもの流れのようで。
まあ、確かに生徒会室からここまでそこそこの距離がある。その上で、この二人は部室にいることが多いとなれば……然もありなん。
むしろ、コレがいつもの事という事は、あの爆発を引き起こした
「まぁ、今日はみこちを回収したら生徒会室に戻るつもりだったから別にいいけどさ……
ホント勘弁してほしいわ」
「ははは、頑張ってきてね。
あ、そうだ。そっちの5人はこの後どうするの?」
「あ、長居するのもアレですし、そろそろ失礼しようかと……」
フブキのその言葉に、俺たちも同意の意を示す。
時計を見れば、既にここを訪れてから30分近い時間が経とうとしており。見学とは言え、流石に少々長居しすぎに思えてきた頃合だ。
皆、口々に退室の挨拶を済ませ、立ち去ろうとした瞬間。唐突に星街に呼び止められた。
「あ、ちょっと待って」
その声に振り向くと……声の主は、良い事を思いついたとでも言いたげに笑みを浮かべており。
それに、とてつもない
「これも部活見学の一環だ。
私らと一緒に現況の所、行こうか」
その言葉はある意味予想通りのものであり。
“部活見学”という大義名分を立て、面倒な仕事にこちらを巻き込もうとしてることが見え透いており。
面倒ごとの予感に、そっとため息をつくのであった。