銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~ 作:LR44(ゆっくり)
「今から行くところは、自分たちの事を“秘密結社”とか名乗ってる問題児でね。
もしかしたら軽く一戦交えることになるかもしれないから、心構えだけはしておいてね」
爆発を引き起こした下手人の元へ向かう道すがら。星街から、これから向かう先について軽い説明を受けていた。
「秘密結社……って言うと、バトロワで巨大ロボット使って暴れまわったholoXとかいう人たち?」
恐らく全員の脳内に現れたであろう、同じ光景。
地面に倒れた巨大ロボと、その上で名乗りを上げる5人組。
秘密結社と言えば彼女ら以外に思い当たる相手は無く、流石に学園内に2組も秘密結社を名乗る者達がいるとは思いたくも無いが……
「そっか、皆バトロワ上位入賞者だもんね。当然知ってるか」
「正確に言うと、そこに所属してる科学者の子がいっつも問題を引き起こしてるって訳。
まあ、ちょ~っとマッドサイエンティストの気があって、定期的に発明品でひと騒動起こす以外は基本的にいい子んなんだけどにぇ~」
「他の子たちも、基本的にはいい子なんだけどね。特定の子が絡むと手が付けられなかったりで、結局問題児扱いされてるんだよ」
どうやら俺の心配は杞憂に終わったようで。バトロワで出会った彼女ら、holoXのことで間違っていないらしい。
……いや、それより聞き捨てならないことが聞こえた気がするが……?
“科学者”で“マッド”で“発明品でトラブル”? 厄ネタの臭いがプンプンするな。
流石にないとは思うが……
「さて、到着だよ」
今の発言はフラグだったのでは……? などと取り留めのない事を考えていると、目的地へ到着していたようで。
星街が指し示した教室内に目を向けるが……中には机と本棚がある程度で、人は誰もいない。
一見、目的地を間違えたかのような印象を受けるが……微かな違和感があった。
「ここ、ですか……?」
「ぱっと見は何の変哲もない教室みたいだけど……?」
「ま、何も知らなかったらそう見えるか」
どうやらこの違和感は俺だけが覚えたらしく。他の4人は首をかしげてた。
五感が鋭い獣人種を相手に隠し通すとは……かなりの技術力だな。
とは言え、一度違和感を覚えてしまえば見抜くのは容易だ。最悪、
「実は、この部屋には隠し通路があるんだにぇ
場所は──」
「場所は、あの本棚の裏だね」
「──あの、本棚の裏に……って
みこが言おうとしてたのに、先に言うんじゃねえよほしまちぃっ!」
案内役である生徒会の二人が、神社で初めて見かけた時のような
駆動は魔導式で、後ろにハシゴが隠れているだけの簡易な隠し通路。
何かしらを行う事で稼働する、スイッチ式だが……定期的な正解の切り替え・新設が容易なように工夫されてるな。
その上、無理矢理開けようとしてもうまくいかないようになっている。ハッキング対策までされてるとは……流石に学生レベルの代物じゃねえな。
「で? スイッチを見つけなきゃならんのだろ?
何か心当たりでもあるのか?」
「お、流石は優勝者。気づいてたか。
まあ、とは言え。探すことは探すんだけど、大体見つけられないんだよね」
「みこもすいちゃんも、こういうのは専門外だからにぇ~」
いやいや、お二人さんや。のほほんと宣っておりますが、それは流石に不味いんじゃありませんかね?
holoXがトラブルを起こすのも、この二人がここへ確認によこされるのもいつもの事なのだろう。
ならば、隠し通路の開け方は熟知していて然るべきでは……?
「じゃあさ、普段はどうやってその隠し通路を開けてるの?」
「そりゃぁ……こうやって」
そう言って、星街がどこからともなく取り出したものは、バトロワの時に見たものと寸分
それを、さも“こう使うのだ”と言わんばかりに振りかぶり。振り回す仕草を数度見せた後──
「壊して入ってるんだけど……備品を壊すと後で
「どうしても見つからない時の最終手段……を毎回使ってる訳だにぇ~」
「って事で、この中で魔導工学の知識がある人~、挙手~」
──にわかには信じがたい事を宣った。……事あるごとに本棚を破壊してたら、そりゃぁ会長も怒るだろうて。
そんなことを思いながら、若干気乗りしないながらも星街の呼びかけに答え、手を上げる。
「『魔導論』履修してるんで、最低限の知識はありますよ」
「お、じゃあ任せちゃおっかな? ほら、こっちこっち」
星街に促され、隠し扉の術式を見てみると……作り自体は比較的分かりやすいものだった。
それこそ、魔導工学は基礎知識しか持たない自分が、純粋なトラップ解除の知識だけで解けそうな程には。
「ん~? このくらいならすぐにでも解けそうだが。えーと……ん?
あー、いや、見た目以上に面倒だな。こりゃあ一筋縄じゃいかないぞ」
いかにもメインみたいに書かれてるのがトラップで、いかにもダミーみたいに書かれてるのがサブ。
メインは隠れるように散らされてて、でもソレを読み解くにはトラップの解除とサブの読み解きが必須、と。
コレを組んだやつはどれだけ性根が曲がってんだ……
これは……流石に俺の知識じゃ解除は厳しいか?
オリジナルの関数と思しき部分が、どう頑張っても解読できない。参照先が巧妙に隠されてやがる。
可能性があるとすれば、正解にアタリをつけてゴールから逆算する形で……
「あっ」
「おぉ、凄っ。普通に開いたとこ、初めて見たよ」
「お手柄、お手柄。あんなこと言ってた割にはサクッと解けたじゃん」
……解けちゃったよ。
本棚が少し奥に動いた後、横にスライド移動することで隠されたスペースが
意外と広いスペースにポツンと設置された下方向に伸びるハシゴは、目当ての者たちがこの下にいることを如実に表していた。
ハシゴで移動するにしては、少し広すぎる穴に違和感を覚えつつ、気になった部分を確かめるため先ほど解いたプログラムに視線を移した。
成程、ココとココが連動してるのか。で、こっちのここを利用して文章量の削減と解読難易度上昇を実現した、と。
でもってこっちは……は?
これは……関数周りは、解読を難しくするためというより、製作者が『自分以外が手を加えない』前提でプログラムを書いた感じだな。自分さえ読めればいいって雰囲気が伝わってくるぞ。
「瑞樹君、そんな所で難しい顔してどうしたの? 皆もう行っちゃったよ?」
「あぁ、すまん。今行く」
仕組みの制作者──恐らくは、桃色髪の犬系獣人──の人間性に思いを巡らせていた所、フブキから声をかけられる。
周りを見回すと、他の皆は既にハシゴを下りて行ったことが確認できる。俺が最後尾だ。
いやまぁ、この7人の中で
まあ、ともかく。他全員が下りて行ったなら、ようやく俺の番だ。ハシゴに手をかけ、下ってゆく。
光が殆ど差し込まないため、見た目からはかなり深くまで続いている印象を受けたソレだが、実際には建物1~2階分程度の高さであった。
これなら、ある程度の実力さえあれば飛び降りた方が速く移動できそうだな。
となれば成程、穴の大きさに対して抱いた違和感は、“飛び降りて時間短縮するため”だった訳だ。
地面に降り立てば、正面に見えてくるのは10mほどの通路と、その先にポツンと置かれた片開きの一枚扉。
あまりにも質素な──それこそ、適当な建物の裏口と並べられてもほとんど見分けがつかない──ソレに一瞬呆気にとられる……が。
よくよく考えてみれば、“秘密結社”と言うくらいなのだから、こういった目立たない──あくまで、街中にあれば。の話だが──入口が理想的なのだろう。
そんなことを考えながら、星街によって開けられる扉を眺めていると、目に飛び込んできた光景は──
「吐いて捨てるような現実を!」
「一刀両断叩き切る!」
「終わりなき輪廻に──って、危なぁっ!」
「はいはい、そういうの良いから」
「今から調書作るからね~。
格好良くポーズを決めて、名乗りを上げるholoXの5人。
そして、そこへ斧を投げつけ中断させる星街。未記入の書類の束を手でポンポンと叩き威圧するさくら。
先ほどまでの真面目な雰囲気は