銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~   作:LR44(ゆっくり)

47 / 47
《2025/1/26 22:30追記》
 大海原を征くシャチの、これからの輝く旅路に青空を。
《2025/4/26 22:30追記》
 紫の魔法使いの、これからの輝く旅路に青空を。




秘密結社holoX③

 

都市 で安全に生きるのに最も良い方法は、 と呼ばれる大企業に入ること。少なくとも裏路地外郭 で生きるよりは、賢い生き方だと断言できるね。

 ただし、たとえ に入社できたからと言っても、 自体が安全とは限らないのも……悲しい事に事実なんだよね。

 

 

 

 

「『道を失った乗客』……W社の事故に巻き込まれて異形へと変異した存在、か」

 

 子供は、今朝出勤と同時に渡された資料──本日から子供が()()で担当する事になった幻想体の管理方法を熟読し、頭に叩き込んでいるね。

 R社(傭兵派遣会社)のように、明確に命の危機があると分かる ならともかく、L社(エネルギー精製会社)という の中でも命の危機がある事に、子供は少し辟易しているみたいだね。

 まあ、 に入るため苦労していた時には想像すらしていなかった事だろうし、無理もないか。

 

 危険な怪物──幻想体(アブノーマリティ)を管理する事でエネルギーを抽出している会社、L社。幻想体の管理を失敗して死亡する、というのは良くある話なんだけど……残念なことに、ここの支部に関しては()の危険が存在しているんだよね。

 それは、幻想体『終末カレンダー』。定期的に生贄を捧げなければ、施設に甚大な被害を齎す非常に厄介な存在だ。本部で扱うには、人的被害が大きすぎて支部送りになった厄介者だね。

 

「同じ暴走レベルで4回、作業で良結果を出すと脱走。傷を負っての入室とステータスが足りない職員の作業も厳禁、っと。

 条件が面倒ではあるが……専属になってる限りは生贄から外れるのを考えると有難い限りだな」

 

 定期的に生贄を捧げないといけない性質上、常に命の危機がある支部だけど……それから逃れる方法もいくつかあるんだよね。

 先ず、エース職員となる事。施設の主力職員は欠けると施設運営に支障が出るって事で、生贄候補にはならないみたい。

 これに関しては、むしろエース職員が死んだ瞬間TT2プロトコルによる時間逆行を行う場合が多いから、この施設で管理人の次に安全な立ち位置と言っていいかもしれないね。

 

 続いて、専属職員となる事。幻想体の中には、複数の職員に作業させると運営に支障が出るものや、一人の職員に作業させた方が都合がいい子もいるの。本部で管理してる子だと……『妖精の祭典』とか『レティシア』とかが該当するね。

 そういった幻想体の専属をしている限りは生贄に捧げられる事は無い、って訳だね。

 

 子供の場合は後者。それも、『低~中評価を出しつつ体力を高く保てる職員が子供以外いない』って言う、中々に残念な理由。ここの管理人はあまり腕が良くないみたいだね。

 他の職員が育ってくれば専属から外される事になるから……安全が確保された期間は、長く見積もって数日といった所。下手をしたら明日にでも危険地帯に逆戻り。

 出来れば、この期間内にエース職員になって更に安全を確保するのが理想的な流れだけど……

 

 

 

 

『セカンドトランペット発令。道を失った乗客と真鍮の牡牛、紳士妖精が脱走だ。順次職員を向かわせるから、専属職員は足止めを担当して貰う』

 

 子供は、アナウンスを聞くや否や、メインルームで休めていた体に活を入れ装備の確認をする。

 右手に構えるのは、これから鎮圧する対象から抽出した短刀型のE.G.O Weapon。

 身に纏うのは、これから鎮圧する対象から抽出したE.G.O Suit。

 

 それが意味しているのは、子供と幻想体。双方共に攻撃の通りが悪い、っていう事。

 本来であれば、鎮圧は他の職員に任せるべきなんだけど……

 子供が任されているという事は、そうはいかない事情がある、って事なんだよね。

 

『対象はコントロールチーム右上、左下。教育チーム下。中央本部チーム最上段左の廊下にポータルを設置』

 

 それがコレ。あの子は、施設内に4つのポータルを設置する。そして、ポータル内を瞬間移動していくんだ。

 故に、基本的に一人で足止めをすることは不可能で。……故に、子供が足止めを任されるんだ。

 

「さて……ここら辺、かなっ」

 

 その秘密が、コレ。子供が振るう武器は、抽出した幻想体の特性を引き継いでいて、時空の裂け目を開いて施設内を瞬間移動することができるんだ。

 幻想体がどこへ行こうと次の瞬間には追い付いて、他の職員に犠牲が出ないよう単身で足止めをすることができる。

 現状、能力(ステータス)が施設内でも上位に位置している以上、幻想体の脱走や試練において引っ張りだこ。特に、今回脱走したあの子を安定して足止めできるのは子供だけ。

 これは、暫くは安全が保障されたとみて良さそうだね。

 

 ◇

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 嫌な夢を、見ていた気分だ。

 L社……確か、4年ほど前に()()()翼だったな。クリーンなエネルギー会社とは聞いてたが、幻想体(アブノーマリティ)──バケモノからエネルギーを抽出する会社だったとはな。

 それにしても、幻想体か……ねじれに近い印象を受けるが、ねじれとは決定的に異なる雰囲気も感じる。

 どちらかと言えば、抽出した装備──確か、E.G.Oと言ったか──の方がねじれに近しいものを感じるな。

 

「す……凄いですね。まさか全員三つ点灯(アイン・ソフ・オウル)を引き当てるとは……

 三つ点灯という事は、その世界の自分は、こちらの自分と比べて強力な()()があるはずですね。

 トレースした経験に基づいたソレは、こちらの自分にとっても強力な武器になるはずです!」

 

 そう言われ、俺の鏡世界での経験を思い出す。

 幻想体というバケモノの相手をメインにしていたからか、若干正面戦闘が巧かった以外はこちらの俺と大差なかった……いや。

 一つ、大きな差異があったな。

 

「うちはリウ協会の……確か、南部3課に所属してた世界戦だったね。

 八極拳、って言うのかな? アレの動きを取り入れれば、戦略の幅が広がりそうだったよ。皆は?」

「ぼくは人差し指? って所に所属してたね。結構変わった組織だったよ」

ころね(こぉね)はハナ協会って所だったよ」

「みこは西部ツヴァイ協会? って所だったにぇ。あの大剣、かっこよかったなぁ……」

協会 とか、皆凄いじゃん。私はバトラーだったよ、悪くないけど……ちょっと見劣りするよなぁ。……メイド服、かわいかったなぁ

 

 皆が口々に自らが体験した世界線を語り合う中、俺は鏡世界にて振るっていた()()について考えを巡らせていた。

 次元を裂く刃……あくまでアレは()()()()の力だが……こちらの俺でも扱えるならば、非常に強力な武器になる事は間違いない。

 ……切っ掛けさえあれば、何か掴めるような気もするのだが。

 

「あ、そうだ。さっきから黙り込んでるけど、フブキは……え?」

「あ、え~と……へへ」

「何だよ。鳩が豆鉄砲食ったような顔しやがって」

 

 ……は? 

 

「黒ちゃん!?」

黒いの(黒上)!?」

 

 フブキ──白上の方──と黒いのが、二人そろって目の前に鎮座していた。

 ……分裂している!? 

 

 ◇

 

「──成程な。つまり、フブキが経験したのは、『主人格が黒いのだった世界線』で」

「その影響で、2人が分離してしまった……と」

「「なんで!? 」」

 

 本来、一つの体を共有しているはずの2人──厳密に言えば、1人の2つの人格──が、分裂し別々の体ん持ち存在している。

 言葉にしてみれば単純だが、考えれば考えるほど理解できない、奇妙な状況だ。

 

「なあ、博衣。こういった状況に、前例はあるのか?」

「あるわけないじゃないですか! そもそも、二重人格? の人が万華鏡 を使うのも初めてですし。

 それで言えば、人格が切り替わると姿も変わるなんて、聞いたこともないですよ」

 

 言われてみれば確かにそうだ。『そういう事もあるか』で流していたが、人格に伴って姿も変わるというのは聞いたことがない現象だな。

 得意な属性も氷から炎に変化してるのを見るに、体の構造そのものが変化している形なのか……? 

 

 と、難しい事を考えながら黒いのを見つめていると、彼女が口を開いた。

 

「なあ、所で私の戸籍ってどうなるんだ?」

「あ、確かに。……え? どうなるの? 

 頑張れば一人に戻れたり……しない?」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。やってみるから──」

 

 急に心配になったのか、どうにか戻れないか試行錯誤を始めた……が。

 そこまで心配する事は無いと思うんだがな。

 

「──出来たな。私とフブキが触れ合ってなきゃいけないが、割と簡単に分離したり戻ったりできるみたいだ」

「なら、問題が起こりそうなタイミングでは一人に戻ればいいし、何とかなりそうだね」

「そもそも、能力で複数人に分裂できる奴ってのは意外といるからな。確か探せばそういった奴向けのガイドラインってのもあったはずだぞ」

 

 そう。能力で分裂できる奴は意外といるのだ。魔力を用いた分身体、単一生殖する生物の獣人。少し違うが、都市 の方ではクローン技術が実用化されている。

 当然、そういった奴に向けての情報というモノも存在している訳で。ソレを参考にすればどうとでもなるはずだ。

 

「とりあえず、実験に協力していただきありがとうございます。貴重なデータが取れました。……ちょっと貴重すぎて、唯一無二のケースになる気もしますが。

 このデータを基に改良するので、完成したらまた連絡しますね」

「こちらこそありがとう。凄い面白い経験だったよ。

 じゃあ、完成したらまた訪問させてもらうね」

 

 博衣の言葉に礼を返し、holoXの5人に見送られながら俺たちは秘密基地を後にした。

 本当に、面白い奴らだったな。……と、いうか。

 

「部活の申請しに行っただけなのに、何でこんなことになってるんだろうな」

「「「「「確かに」」」」」

 





抽出 ロボトミ―E.G.O::次元裂き 鳴神 瑞樹


《模倣E.G.O::次元裂き》のヒントを獲得しました





 本作に登場させるスキル募集 詠唱募集を行っています。
 気が向いたら、是非。

<今回のネタ解説>

・鏡の世界の語部(かたりべ)
 主人公を『子供』と呼ぶ。L社について妙に詳しい。etc…
 リンバスをプレイしてれば多分察しが付くが、■■■■カルメンである。

・ロボトミ―E.G.O::次元裂き 鳴神 瑞樹
 実はギリギリまで『ロボトミーE.G.O』にするか『開花E.G.O』にするか悩んでいた。
 実際に書いてみて、開花の場合のストーリーが微妙だったのでロボトミーにした。
 開花の場合、W列車に乗っていた所時空の裂け目に落ちてしまう感じにするつもりだった。

・反転世界の黒狐 白上(黒上)フブキ
 この展開を思いついたからこそ、鏡技術を登場させたまである。
 初邂逅時は演出的に白⇔黒の切り替え式の方が良かった。が、今後の展開的に白と黒は別々で肉体を持っていた方が都合がよかった。故に色々考えた結果、このアイディアに行きついた。

・南部リウ協会3課 大神ミオ
・ハナ協会3課 戌神ころね
・西部ツヴァイ協会3課 さくらみこ
・バトラー*1 星街すいせい
 それぞれに何となくあっていそうな人格の中で、星3に相当しそうなメンバーを選んだ。
 『大神ミオ×リウ協会』はTwitterでの“ロボトミ―E.G.O::狐雨 白上フブキ”のイラストへのリプから。確かに相性バツグンだと思い採用。
 『戌神ころね×ハナ協会』は、最初ディエーチ拳派にする予定だった。が、流石にデメリット(記憶が無くなる)がホロメンに使わせるには重すぎたため中止。そのため、12協会の中で“ディエーチ”“リウ”を除いて肉弾戦イメージがある“ハナ”を採用。
 『さくらみこ×ツヴァイ協会』は守る者繫がり。本作のさくら嬢は結界使いの防御特化*2。ツヴァイも守ることに特化した協会*3。それと、Twitter/pixivで連載されている漫画“HoLo:LV”を見て思いついたさくら嬢の()()()の布石を置いておきたかった。
 『星街すいせい×バトラー』は、私がただ単に星街嬢のメイド服を出したかっただけ。ここを逃すと次が“文化祭でのメイド喫茶イベント”という、大分先のイベントになってしまうためここにねじ込んだ。

・人差し指 遂行者 猫又おかゆ
 正直余りもの。誰かに人差し指人格を担当させたかったが、他のメンバーは既に担当人格が決まってた。
なので、すぐには担当を思いつかなかった猫又嬢が人差し指担当となった。

*1
ワザリングハイツではない

*2
タンクというよりはプリベント型のヒーラー。Ff14風に言えばバリアヒーラー

*3
の、割には火力もおかしいイシュメールみたいなのもいるが……それは一旦考えないことにして

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。