銀狼哀歌~逸般人が征くホロライブラバーズ難易度『オーディション』ゆっくり実況プレイ~   作:LR44(ゆっくり)

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 調子乗って書いてたら文字数がとんでもないことになってた←
 そしてまだまだホロメンが出せそうにない……


part3『準備期間の3月 ①:昔語りⅠ』

「どうも皆さん、おはこんにちばんは。

 LR44(ゆっくり)チャンネルの中の人代理兼うp主もどきみないな何か、山さんです」

「中の人のリア友代理、松だ」

「さて、長かったプロローグも終わって、ようやくゲーム本編の始まりだ。

 とは言え、先ずはムービーから。入学の経緯を見ないことには始まらないからな」

「……俺、何となく嫌な予感がするんだよな。序盤のムービーも絶対長いだろ、コレ」

「……その可能性は、十分あるな。

 序盤長めのムービーがあったら、それ以降もムービーが長めの傾向があるっぽいんだよな」

「そ……そうなのか。まあ、取り合えず見ていくか」

 

 ◆

 

 そこかしこに瓦礫が積みあがった街は、昨日までの喧騒がまるで嘘のようだ。

 (くすぶ)る煙と焼けた風の臭いが、否が応でも昨晩の惨劇を思い出させる。

 ここは、人間と獣人が多く()()()()()()街。後に双子宮(ジェミニ)の大虐殺と呼ばれる虐殺が行われた街。

 未だ誰もが絶望の中にあるこの街で、瓦礫に腰掛け俯く黒髪の男と、彼に一升瓶とグラスを持って近づく金髪の男がいた。

 

「やあ、瑞樹。一杯どうだい?」

「……石玆か」

 

 金髪の男──刀佩(たちはき) 石玆(せきし)が掲げた瓶を見て、黒髪の男──鳴神(なるかみ) 瑞樹(みずき)は差し出されたグラスを受け取る。

 

「……酒、じゃないよな」

「おや、そんなことを気にするとは珍しい。確かに旧西暦(むかし)は未成年は飲酒禁止だったらしいが、今はもうそんな規則なんて無いじゃないか。

 よほど気分が乗らないのかい? 君の性格的に、こんな時は──」

「「──飲むに限る」」

 

 綺麗にシンクロした台詞に、二人は思わず笑みを零す。

 

「そう言うと思ったよ。どうだい、一杯?」

「貰おうか」

 

 トクトクトクと石玆がグラスに液体を注ぐ。そこに映った自分の顔を見た瑞樹は、その酷い有様に思わず苦笑する。

 あんなことがあった後なのだから多少は仕方ないだろうが……それにしたって酷すぎた。コレがつい昨日までは、大きい厄介ごとが片付いて久しぶりに懐かしい顔に会いに行けると楽しそうにしていた奴の顔だとは到底思えない。

 

「乾杯」

「……乾杯」

 

 子気味いい音を鳴らして二人のグラスがぶつかり合う。

 ちびりと一口口に含めば、あぁ成程。そういえばこの辺りは、この程度の度数なら16歳から認められていることを思い出す。

 

 二人は便利屋(フィクサー)。その名の通り迷い猫探しから人殺しまで、果ては治安維持や戦争代理など、依頼を受ければ何でも行う何でも屋だ。

『協会』と呼ばれる13の管理組織に管理され、『事務所』と呼ばれる集まりを形成し、寄せられた依頼を受ける。良く言えば自由、悪く言えば根無し草のような生き方をする者達。

 高位の──1級から9級という格付けが行われており、数字が少ないほど優秀なフィクサーである。又、1級の中でも特に優秀な者は特色と呼ばれ二つ名を与えられる──フィクサーであれば依頼も直接持ち込まれるようになり生活も安定するが、大半はその日暮らしもいいところな生き方をしている者達である。

 

「いい酒だろう? 度数も低くて酔いが残りにくいが、味は鬼族の名酒に瓜二つだ」

「あぁ……本当に美味いな。一体どこで手に入れたんだ?」

「ハナの出張所の焼け跡から、だね。こっそりくすねてきたのさ」

「お前なぁ……どうせ()()()の私物だろ。後で被害受けるの俺じゃねぇか」

 

()西()()1050年。最後の戦争から30年余り経ち、各地で小さな争い程度はあるものの、概ね平和な日々が続く頃。

 西暦時代には“ヨーロッパ”と呼ばれた地域のとある街でフィクサーとしての活動をしていた二人は、今は焼け跡となった街に佇んでいた。

 チビチビとグラスに口をつけながら静かな時間が過ぎていく中、瑞樹がふと口を開いた。

 

「なあ……少し、俺の話を聞いてくれないか?」

「おや。何についてだい?」

 

 瑞樹の言葉を聞いた石玆は、珍しいものを見たような顔をする。いや、実際に珍しいのだろう。

 この業界、長い間隣で戦ってきた戦友のことを何も知らないなんてことはざらであるのだから。

 

「……生まれ、育ち。まあ、そこらへんだ」

「君が自分について話すなんて、珍しいじゃないか。それも、問わず語りだなんて」

「……言葉にして、吐き出した方が自分の中で整理できる気がしてな」

 

 どこか遠くを見るような目をした瑞樹は、空になったグラスを瓦礫の上に置いて、一呼吸着き話し出した。

 

 ◇

 

「とは言ってもどこから話せばいいものやら」

 

 先ほどまでの表情は何処へやら。石玆の方に向き直ると俺は、困り顔を見せそのようなことを(のたま)った。

 

「どこからと言われても……こういうのは生まれてからの時系列順が一番わかりやすいんじゃないかい?」

「俺の場合、それだと歴史の話から入らないといけないんだよなぁ……」

「あぁ、成程。確かに僕らはどちらも中等教育すらまともに受けていない身の上だ。歴史を正確に語るなんて出来やしないか」

 

 合点がいった、というような顔をした石玆は、“だが──”と前置きしたうえで続けて口を開く。

 

「君自身がそう言うということは、最低限の知識くらいはあるんだろう? なら、それで十分じゃないかい?」

「それもそうだな……じゃあ、まずは[次元統合]から──」

「物凄く遡るねぇ⁉」

 

 もしこの場面に効果音をつけるならば、綺麗な『ビシッ』という音を響かせそうな勢いで石玆がツッコミを入れる。

 

「仕方がないだろ。ここが前提なんだから。[次元統合]は──」

「──旧西暦2577年に日本国が、異世界から齎される素粒子[魔力]を発見。

 それを巡り第五次世界大戦が引き起こされる。その中、日本国の[魔力式核融合炉]暴走事故が発生。

 それにより、日本国及び当時ユーラシア大陸と呼ばれていた大陸の一部が消滅。

 この事件が[大破壊]と呼ばれているね」

 

 瑞樹の言葉を引き継いで石玆が説明をする。それを聞き、一度頷いた後で瑞樹が後を継ぐ。

 

「でもって、この時空いた穴が次元の裂け目となって、そこに異世界が流れ込んできた、と。

 そのせいで世界地図も世界法則も書き換わった今の世界が誕生。その後の混乱を含めた諸々が[大融合]って呼ばれてる。

 で、この[大破壊]と[大融合]を合わせて[次元統合]って呼ばれてる訳だな」

 

 絵本にもなっている、この世界では有名な話。

 中学高校に進学すればもっと詳しい話を習いはするが……それは、中等教育すらまともに受けていない二人には関係ない事だ。

 

「で、それがどうしたのかい? 今のところ、君の生まれ育ちと関係があるとは思えないのだが?」

「ここで重要なのはこの世界は“人間が住んでた所に他種族が合流した”形なとこだな。

 ま、つまりは旧西暦からいたとか言う、妙にプライドだけ高い人間が暴走するにはいい理由があるっわ訳よ」

「そうだね。だからこそ、5度にもわたって戦争が繰り広げられてきた訳だし。

 ……成程。戦争がらみだね」

「ご名答」

 

 政治に携わる者は国民の事よりも自らの政党が第一党となることを優先し、男女平等を掲げる者は行き過ぎた女性優遇を望み、動物愛護を呼びかける者は人間の安全をおろそかにする。

 いつの時代にもそういった者は一定数存在し、それ故社会に多大な影響を与えることとなる。

 その多くは負の方向に、だが。

 

「第一次種族戦争では人間が勝利し、それ以外の種族が隔離区域に追いやられた。

 ただし、その後起こった第二次から第五次の戦争では全て人間の敗北、或いは痛み分けの形で終わってるね。

 そのおかげで今はどの種族も建前上は平等だけど、その分戦争の時期に生まれた人間は、他種族と比べても他種族を嫌悪する傾向が強いらしいね」

「まあな。とは言え、5回全て人間側に原因がある以上、嫌悪する方が少数派な上、その具合もピンからキリまでいるんだがな。

 ……で、その極端なのが俺の両親な訳だ。同じ空間にいるなんてもっての外。近所にいる事すら耐えがたい、んだとよ」

 

 第一次から第五次まで行われた種族戦争。その全てが人間の行いによって始まっていた。

 理由は様々。いきなり現れた者達の排斥、虐げられた事への反逆。漁夫の利狙いや利権の奪い合い等もあった。

 当然、人間側が負け続けているのにはきちんとした理由があるのだが──ちゃんとした教育を受けていない二人にはそんなことなど知る由もなく。

 

「成程ね。ある程度読めてきたよ」

「こんなんまだまだ序の口よ。

 俺は鳴神性を名乗ってはいるが、実はコレは母方の曾祖母の旧姓でな。軽い偽名代わりに使わせてもらってるんだよな。

 戸籍上の苗字じゃぁ、すぐ足がつく上に他人に警戒されやすくてたまったもんじゃない」

「へぇ、一体どんな?」

「『神睡(かみだれ)』。母の旧姓は『勿忘(わすれな)』」

 

 瑞樹の一言に、石玆は大きく目を見開く。

 それもそのはず。その苗字は持ち主の経歴はさることながら、その珍しさも相まって今や世界中で知らない者はいないレベルのモノだったからだ。

 なにせ──

 

「──これは驚いた。第五次戦争中の英雄じゃないか。

『神算鬼謀の大魔導士』『対魔族戦線を一人で押し上げた大英雄』と名高い“神睡(かみだれ) 嵐士(あらし)”。

『一騎当千の騎士団長』『聖騎士部隊を一人で壊滅させた大英雄』として数々の伝説を残した“勿忘(わすれな)舞波(まいは)”。

 まさか君がその二人の息子とはね」

「そこまでいいもんでもねぇぞ」

「分かってるよ。じゃあ、そろそろ聞かせてくれないか? 君の話を」

「おう、そうだな。じゃあ……」

 

 ◇

 

 当時の俺は、元人間界(地球)──その中でも元獣人界との境界付近の、人間と獣人が特に多い区域に住んでいた。両親(あいつら)の性格を考えたらあり得ない話ではあるが、地脈の流れが云々とか話していた記憶が朧気ながらある。

 これは後々知ることになるんだが、地下には世にも珍しい転移魔法の魔法陣があったから、多分その都合だったんだろう。

 

 そして、当時の俺には特に仲が良かった……幼馴染とでも呼ぶべき奴が二人いた。

 隣の家に住んでた白髪の狐獣人と、その隣の家に住んでた黒髪の狼獣人だ。

 ……そう、“獣人”だ。当然、あいつらは遊ぶなだの何だの言ってきたが、当時幼かった俺がそれを素直に聞き入れる訳もなく。

 徐々にあいつらには不満が溜まっていたんだろう。

 

 そしてもう一つ。多分、こちらの方がより致命的だった点がある。それは、俺の天性の才についてだ。

 魔法と物理、双方の天才から生まれた子供だ。当然両方の、ないしはどちらかの才能を受け継いでいると思うだろう。

 だがしかし、俺は父親からも母親からも、あいつら(二人)が“英雄”と呼ばれるに至った所以たる才を、何一つ受け継がなかったのだ。

 

 父親のような魔法の才は無く、あるのは生まれつき刻み込まれた【振動操作】の妖術だけ。今は亡き曽祖父が得意としていたらしいから、隔世遺伝なんだろうが……都合が悪すぎた。

 この手の、術式を体に刻み込まれて生まれて来た奴は得てして()()()()()()()()()()()使()()()()のだ。刻み込まれたものと同種──俺の場合妖術なら、刻み込まれた術式の応用で使える人も多いらしいが、(あいつ)はあくまで()()()()()。妖術は門外漢だ。

 

 それに加えて、俺の【振動操作】は他の奴らのとは一味違った。普通なら術式が自動で行ってくれる操作を、俺自身の手でする必要があった。

《索敵》の妖術なら、放った振動をキャッチし解析する部分を。《物質破壊》の妖術なら、破壊したい物質に合った振動数を見つける部分を。《消音》の妖術なら、自身が発した音の振動と逆位相の振動を放つ部分を。

 全てにおいて自分自身で行う必要があるソレは、必然的に幼少期においては“何もできないゴミ”として扱われた。

 その分拡張性が通常と段違い──なことに気付くのは大分先の話だから今は置いておくとしよう。

 

 母親からのモノは更に酷かった。人間を真っ二つに出来るだけの膂力も、延々と攻撃を耐えられるだけの頑強な肉体も、いつまでも戦闘を続けられるだけの常識外れたスタミナも。何一つとして受け継いでいなかったのだ。

 唯一取柄と呼べるものがあるとすれば、速さ。それも、“走るのが早い”のではなく“体の使い方が上手い”ことに由来する速さだ。

 要するに『100m走のタイムが早い』のでは無く、『戦闘での最高速と、最高速に入るまでが早い』のだ。上手く使えれば戦闘を有利に運べる十分な強みだが……技術の伴っていない幼少期には宝の持ち腐れでしか無かった。

 

 だからこそ、なんだろう。あんな会話を聞いてしまったのは。

 

『あの子はもうダメだ。捨てていこう』

『丁度()()()()()が丁度いい環境を用意してくれるらしいわよ』

『そりゃぁ都合がいい。コレを置き土産にすれば、完璧だな』

 

 だからこそ、なんだろう。あんなことになってしまったのは。

 

『夜逃げ、それも10億の借金を残して⁉ ふざけるなよ。どうしてこうなるんだよ』

 

 9歳の誕生日。俺の両親は10億という莫大な借金を残して夜逃げした。

 理由は単純明快。俺を育てるのが嫌になったから。そして、獣人に囲まれて過ごすのが嫌になったから。

 子供一人残されたことは、最悪幼馴染を頼ればよかった。借金の額が莫大なことも……まあ、一番の問題に比べればさほど問題ではない。

 一番の問題は、あいつら(両親)が借金をした会社が厄介極まりない事だ。表向きはただの建設会社だが、その実態は違法な金貸しから人身売買まで何でも行う裏社会では有名な企業だったらしい。

 流石にそんな企業の取り立てを受けて無事でいられると思うほど俺も楽観的ではない。

 

 幼馴染の両親に相談もしたが、迷惑をかけるわけにはいかないと、家の地下にあった転移魔法陣を暴走させて逃げることにした。

 転移に失敗すれば即死だが、子供の脚で借金取りから逃げ切るなんて無茶をするのだ。この程度の博打に打ち勝てないようで、逃げ切れる訳が無いだろう。

 それに、あいつら(両親)からそれぞれの得意分野についてみっちり座学で教え込まれていた俺には、確実に成功する自信があった。

 結局俺は、『いやだ』『離れたくない』と泣きじゃくる幼馴染に別れを告げ、住み慣れた街を離れたのだった。

 

 ◇

 

「まあ、てな感じで俺の旅生活が始まった訳だな」

 

 そこまで話をした時点で、瑞樹は再び液体が注がれたグラスに口をつける。

 昔を思い出すように、懐かしむように。どこか遠くを眺める視線には、両親への恨みつらみよりも幼馴染と別れなければならなかったことへの哀しみの感情が多分に含まれているように見えた。

 

「旅生活、ね。一カ所に居つかなかったのはどうしてだい?」

「“表向きは建設会社”って言ったろ。あちこちに支店があって、いつバレるか気が気じゃ無かったんだよ」

「成程。それで、“件の会社”が手を回してなかったのがこの街って訳だね」

「そういうこった」

 

 瑞樹は首肯し、続きを語り出す。

 

「まあでも、旅生活も悪い物じゃ無かったけどな。

 便利屋(フィクサー)の登録には大分手間取ったが、最低限生きてくだけの金は手に入るし。あちこち動き回ること考えると余計な荷物を増やせなくなるから、自然と節約することになるし」

「ふぅん。君の『不味くなければそれでいい』と言わんばかりの、やけにワイルドな料理法はそれが原因かい?」

「基本食料は現地調達だったからな。最低限害が無くて食えれば味は二の次だったんだよ」

 

 左手をひらひら振りながらおちゃらけた表情を取る瑞樹。

 それとは対照的に嫌なものを思い出したように顔をしかめる石玆。

 それもそのはず。野宿の際に食べる瑞樹の料理は、到底積極的に食べたいと思うものではなかった。

 

 材料はそこら辺で取ってきた、有害ではないが食用ではない野草や果物、キノコが殆ど。

 野営なので当然凝った調理法は使えず、切る焼く煮る蒸すといった程度。

 味も最低限食えればいいと言わんばかりで、不味くない素材があるならその味。素材全て不味ければ調味料の味。

 そんなものを食べさせられ続けた石玆が顔をしかめるのは当然と言えるだろう。

 

「そう言えば、いつぞや鬼人の少女と親しげだったが、ひょっとして旅生活の頃の知り合いかい?」

「ん……あぁ、あいつか。何故か行く先々で出会う奴の一人だな」

「一人? 何人かそういう人がいるのかい?」

「あぁ。多分……3人だな」

 

 そこまで言った所でちらと石玆の方を見た瑞樹は、その先を促す様な視線にため息をつく。

 

「先ずは鬼人のあいつだな。

 修行の旅とかで、何だかんだ行く先々で出会っては一緒に仕事をこなすんだよなぁ。

 鬼人だけあってもう強いのなんのって。ホント、頼りにさせてもらってますよ」

「彼女は知っているよ。一緒に仕事を受けるためにわざわざこんなところまで足を運ぶんだ。大分信頼されているようだね」

「小細工が出来ない奴と小細工しかできない奴だからなぁ。お互いに都合がいいんだろ」

 

 脳裏に浮かぶのは額から白磁の二本角を生やした白髪の少女。

 野獣狩りの依頼を一緒に引き受けたのを切っ掛けに知り合い、事あるごとに仕事を共にする、ある意味ではパートナーのような存在。

 鬼神が故の剛力の中に、確かに磨き上げられた技術を感じる太刀筋は、剣に触れたことがある者ならば誰もが羨むレベルだと断言できる。

 

「二人目は……獣人? 人間? ……多分人間だな。

 これまた剣術修行の旅だとかで、お供のタヌキと一緒に放浪中。その割に方向音痴が過ぎてこっちが心配になるレベルなんだよな」

「……何で種族で悩むんだい? それも獣人か人間かなんて分かりやすいところで」

「基本的には人間のはずなんだが、偶にタヌキ耳が見えた気がしたんだよなぁ……

 見間違いにしてはやけにはっきり見えてたし……」

 

 脳裏に浮かぶのは金色(こんじき)の髪を後頭部で一纏めにした少女。

 本人はかたくなに侍だと言い張るが、刀を()()()()()()()()()せいで忍者だと言われて怒っている姿が記憶に強く残っている。

 鬼人の少女とは違い身体能力は標準的な人間のソレだが、常人離れした技術を以て格上相手にも勝利を収める姿は、あくまで道場仕込みの対人剣術とは言え素直に賞賛に値するものであった。

 

「最後は……こっちも人間だな。

 世にも珍しい発動条件の緩い転移魔法の使い手で、それを生かして歌姫の卵として世界を旅してるらしくてな。

 確か『右手にマイク、左手に地図』だったか。そんなことを言いながら旅してたんだよ」

「条件の緩い転移魔法、かい。普通は固定の大型魔法陣、それと莫大な魔力が必要だが具体的には?」

「必要なのは地図とピンだけ。地図にピンを刺せばそこに飛べるし魔力消費も軽微と来たもんだ」

「それは何ともうらやましい話だねぇ。君の【振動操作】みたいな生得の法術かな?」

「多分な。全く、俺のとは大違いだな」

 

 脳裏に浮かぶのは小豆色とピンクという特徴的な髪色の少女。

 地図のない危険地帯を抜けるための護衛依頼で知り合い、時たま再開しては依頼を頼まれたり一緒に依頼に行ったりする仲。

 感情を揺さぶる美しい歌声は多くの人を魅了しており、未だ修行中の身でありながら既に多くのファンを獲得している。

 

「っと、大分話がそれちまったな。

 じゃあ次は……師匠との出会いでも話すか

 ……ってか、よくよく考えたら師匠からくすねた酒飲みながら(はな)ししてるのか。後が怖いな……」

「どうせこんな状況だ。現行犯でもない限りは、割れたとでも言っとけばバレないだろうさ。

 運のいいことに、彼女は今お偉いさんとの話し合いで仮設テントに籠りっきりさ」

「それならまあ……まずこっちには来ないか。……何故か猛烈に嫌な予感がするな。さっさと話しちまおう」

 

 ◆

 

「っと、一旦ここでストップだ」

「どうしたんだ? こんな中途半端な所で」

>「実は、この先も長いんだよ。大体ここまでと同じくらい」

「うへぇ、それは……」

>「流石に通しだと長すぎるから、ここで一旦次のパートに回すことにするぞ」

「成程な。それじゃあ──」

「──ご視聴ありがとうございました」

 


 

「はい、どうも皆さん。オマケこーな担当の、中の人のリア友代理、冨遺だ。

 オマケコーナー第三回である今回は、本データにおけるマップについて解説するぞ。

 具体的には、メインの街・ホロライブ学園のマップだな」

 

「この辺りはある程度ランダム生成になってて、毎回変わってるからな。本編で判明するのはもう少し先だが、一足先にお披露目しとくぞ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

①基本教育・HR(ホームルーム)

 ②小体育館

 ③各種専用競技棟

 ④音楽・音楽・家庭科棟

 ⑤社会科棟

 ⑥文化部部室棟

 ⑦運動部部室棟

 ⑧理系専門科目棟

 ⑨文系専門科目棟

 ⑩大体育館

 ⑪武道場

 ⑫グラウンド

 ⑬実験棟

 ⑭教員棟

 ⑮事務棟

 ⑯保健棟

 ⑰食堂・休憩室

 ⑱野外休憩エリア

 ⑲図書館

 

「これがホロライブ学園のマップだな。

 所謂キャンバスタイプで、役割ごとに建物が何種類も建ってるタイプだな。

 因みに、社会科棟や各部室棟・専門科目棟みたいに……マップ上で2×3のサイズで表現されてる建物は、全部内部の形状が共通しててな」

 

1階

 

【挿絵表示】

 

2・3階

 

【挿絵表示】

 

4階以上

 

【挿絵表示】

 

 

①小講義室

 ②講義室

 ③事務室

 ④休憩室

 ⑤大講義室

 ⑥購買・食堂

 ⑦中庭

 

「お次は街の地図、だな」

 

 

【挿絵表示】

 

 

①ホロライブ学園

 ②居住区(学生メイン)

 ③娯楽施設エリア

 ④居住区(一般メイン)

 ⑤オフィス街

 ⑥駅

 ⑦山地

 ⑧海

 

「太い青線はメインの道路で、駅と主要エリアを繋いでいる感じだな。

 あ、学生メイン、とか娯楽施設エリア、とかはその建物がメインってだけでちゃんと他の建物もあるからな」

 

「じゃあ、おまけに今回の世界地図を載せておくか。

 世界地図も割とランダム性高くて、RTAが安定しない要因の一つなんだよな」

 

 

【挿絵表示】

 

 

①元人間界(地球)エリア

 ②元獣人界エリア

 ③元妖精界エリア(通称:エルフの森)

 ④元天界エリア

 ⑤元魔界エリア

 ⑥元鬼人界・竜人界混合エリア

 ⑦都市

 ⑧外郭

 

「まあ、こんな感じだな。

 “元○○エリア”とは書かれてるが、その種族だけ住んでるって訳じゃ無いぞ。まあ、その種族の居住数が多いのは確かだが

 鬼人界・竜人界は住民が少なくて範囲も狭いからか、混じりあって一つの区画になってたな。かなり珍しいパターンだな」

 

「今回はここらへんで。それじゃあ、次回も見てくれよな。

 飛び込め、あなただけのオルタナティブ!!」




 切りのいい所まで書いてみたところ1万字overとかいうとんでもない事になったので分割しました。
 ……いや、『ホロライブ学園』のホの字も出てきてないのに1万字とかどうなってんだよ……

 本作に登場させるスキル募集 詠唱募集を行っています。
 気が向いたら、是非。

<今回のネタ解説>

・刀佩 石玆
 元ネタはシルヴァリオの『ルシード・グランセニック』。そこに磁力繫がりで “Vermilion -Bind of blood-”の『トシロー・カシマ』と“装甲悪鬼村正”の『湊斗景明』を混ぜた。それとオマケで“蒼穹のファフナー”の『マークフィアー(春日井甲洋)(EXODUS以降)』“銀灰の神楽”の『スマイヤー・ラプティス(Ⅱ型魔剣 : メメントモリ)を混ぜている。(切り札のネタバレにより白文字で隠しときます)
 見た目イメージは和服で刀を佩いたルシード。
 苗字はそのまま『“刀”を“佩”いている』所から。名前は“磁”の字を左右で分解した。

・便利屋
 元ネタはプロムン作品。ホロラバの定番。

・新西暦、大破壊
 元ネタはシルヴァリオ。ホロメンのエロゲ配信見て、エロゲ繫がりで『シルヴァリオ・ヴェンデッタ』思い出して、[次元統合]に[大破壊]を組み合わせることを思いついた。
 コレを思いついたので主人公の元ネタがゼファーさんになった。
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