デジモンストーリー サイバースルゥース リブート 作:リハビリ中のとある作者
翌日……
私はセントラル病院にいた。
ここにアイツが入院しているのである。
「……やはりダメですか?」
「えぇ、ごめんなさいね」
家族以外の面会を認められていないらしい。
何度か面会希望をしているがいつも断られている。
(仕方がない……)
諦めて帰ろうとした時、とある人物に声を掛けられた。
「おや、セツナくんではないか」
「杏子さん」
暮海 杏子……探偵をしている女性だ。
EDEN症候群を調査している時に出会い、たまに情報交換をしている。
「誰かのお見舞いか? それとも君自身に何か病でも?」
「前者です。ただ断られましたが……」
「……EDEN症候群患者か?」
「えぇ」
「ふむ……ここで会ったのも何の縁だ。私の事務所で情報交換でもどうかね?」
「是非お願いします」
こうして、私は杏子さんと共に中野にある暮海探偵事務所へ向かうことになった。
===
中野ブロードウェイ……
その1階に杏子さんの探偵事務所がある。
「お帰りなさい……あれ? セツナさん?」
事務所の中にアミがいた。
そう言えば、電脳探偵とかになったんだけ?
恐らくここで働いているのだろう。
「二人は知り合いなのか?」
「はい。先日、アカウント狩りの件で助けてくれました」
「ほう……そうだったのか。助手くんが世話になったな」
助手……やはりアミはここで働いているようだ。
「さて、ソファに腰掛けてくれ。今コーヒーを―――」
「杏子さん! コーヒーは助手である私に任せてください!!」
「……そうか? なら頼む」
アミが慌てて京子さんを止めに入った……
その理由はよく解る。
「あの子にも貴女の独特で毒々なコーヒーを飲ませたんですか?」
「あぁ、倒れるくらい美味しかったようだ」
杏子さんコーヒーははっきり言って超不味い。
普通にコーヒーを淹れるだけならいいが、そこにタコワサやら牛のしぐれ煮なんかを入れるのだ。
胃に入れば同じ?
んなわけないでしょうに……
「……貴女いつか捜査する方ではなくて捜査される方になりますよ?」
「大丈夫だ。コーヒー一杯で人は死なないさ」
「普通のコーヒーならの話ですよ……それは」
ここで働いている限りアミは杏子さんの実験動物にされるだろう……
今度何か胃に優しいものでも差し入れしようと思う。
===
……で、EDEN症候群について話し合いが始まった。
「精神データ……魂が抜け落ちた状態か……中々面白いことを考えるな」
「想像力逞しいのは私の取り柄ですから」
「ふむ……では質問だ。その抜けた魂は何処へ消えた?」
「それはまだ解りません。完全に消滅したかあるいは何処かに彷徨っているか……私の勘では後者の方でしょう」
「……その理由は?」
「EDENに現れる白い少年の幽霊が理由です」
EDEN症候群であるあいつがEDENを彷徨っている……
あれは幽霊ではなく精神データの可能性があると私は考えた。
「白い少年の幽霊の正体ってユーゴさんじゃないんですか?」
とアミが訊いて来た。
「アミはユーゴを知っているのか?」
「はい。クーロンで初めて彼からデジモンをいただきました」
「……そう」
まさかアミとあの子が既に会っていたなんて……
私がデジモンのことやEDEN症候群についての進展があったのも最近のことである。
偶然……と片付けるには少し妙な違和感を感じた。
「ユーゴはその白い少年の幽霊とは別人です。彼らとは接点があるので解ります」
「知り合いと言うことか……」
「はい、幼馴染みです」
「なるほど」
杏子さんはアミの淹れたコーヒーを飲む。
しばらくの沈黙の後、彼女は口を開いた。
「ピースはそろいつつある……だが、まだまだ足りないな」
「はい、なので調査を継続するつもりです」
私はコーヒーを飲み干し、ソファから立ち上がる。
「今日はありがとうございました」
「いや、礼を言うのはこちらの方だ」
「アミもまたね」
「はい、また会いましょう」
暮海探偵事務所を後にする。
それにしても……普通のコーヒーをここで頂くのは今日が初めてだ。
「流石に雨はふらないわよね?」
……その後、突如として降った雨に濡れて帰ることになったのであった。