とりあえず異世界に行けたので貰ったチートスキルの数々で気楽な商人を目指す   作:のこのこ大王

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第4話

 

 

 

「ええっ!?それは本当ですかっ!?」

 

 結論から言えばモングさんにはスグ出会えた。

 なのであのドM契約は商売人必須なのかを確認すると驚きながらも「とんでもない」と口にする。

 

「そのような契約書など、契約書以下ではありませんか!」

 

「デスヨネー」

 

 あとから付け足し放題の契約書なんて白紙の契約書と同じである。

 自殺願望でも無い限りはそんな契約書にサインなんてしない。

 

「これはギルド協会に訴えるべきですね」

 

「ギルド協会?」

 

「ギルドをまとめている所ですよ」

 

 要するにギルドの親玉らしい。

 何故か自分のことのように怒り、鼻息を荒くしたモングさんに連れられてスグ横に立っていた建物の中に入る。

 一直線にカウンターに行くと受付嬢に「すまんがギルドマスターを呼んでくれ。大事な用件だ」と言いながらギルドカードを提示するモングさん。

 カードが金ぴかだったのでそれなり立場なのだろう、受付嬢が焦った様子でギルドマスターとやらを呼びに行った。

 そして別の職員が現れて「奥へどうぞ」と建物の奥へと移動する。

 

 元の世界でも見たことあるような『これぞ応接室』といった感じの部屋で待たされる。

 ソファーによく似たものがあったが、中身がダメだ。

 非常に硬いし見た目の革だけ豪華と言う感じである。

 出された飲み物は紅茶のような、でも深みのあるような、よくわからないものだった。

 

 しばらくして部屋に入ってきたのは、如何にも苦労してますといった顔をしたオッサンだった。

 だがそんな素振りを見せない威厳のある雰囲気のまま椅子に座る。

 

「で、モングさん。わざわざ大事な用件とは何事です?」

 

「これが冷静でいられますか、サルザードさん!ギルドが公然と若者を騙すなどあってはならないことだ!」

 

 あ、このオッサンの名前はサルザードというのか。

 

「お、落ち着いて下さい。状況がわからないのにそう興奮されても困ります」

 

「ここに居るシンさんは、私の命の恩人でしてね。まあそれは良いのです。問題は商業ギルドですよ!」

 

 まるで自分が被害に遭ったかのように説明するモングさん。

 ありがたいと思うべきなのか、興奮し過ぎだろうと呆れるべきなのか。

 まあどちらにしろ、この人のおかげでスムーズに話が進んでいることだけは確かだ。

 あとでお礼を考えておこう。

 

 

 

 

「う~ん。それが確かなら問題どころの騒ぎじゃない」

 

 一通りの話を聞いたサルザードさんが悩むような声をあげつつソファーモドキに背中を預ける。

 

「公平・公正を掲げるギルドが、未来ある若者を食い物にしているなどあってはならないことですよ!」

 

「確かにその通りだ」

 

 そして何度か考え事をしている仕草をした後

 

「2日、いや3日ほど待って欲しい。それだけあれば十分だ」

 

「では3日後にもう一度こちらにお伺いします。お願いしますよ」

 

「ええ。モングさんを敵に回すような真似はしませんよ」

 

 

 

 …………………

 

 ……………

 

 ………

 

 

 

 そして3日後。

 気づけば商業ギルドは中身が完全に入れ替わっていた。

 商業ギルドのギルド長・副ギルド長は揃って数々の不正で王都に連行された。

 職員の大半も不正を知りつつ隠蔽に関わったとして処罰を受けたとのこと。

 なので現在の商業ギルドは、見たことが無い人だらけになっている。

 試しにと登録をしたが、あのドMな契約書は無くなっており中身も真っ当なものだけになっていた。

 ……年パスの銀貨1枚はそのままだったが。

 

 全てが終わった所で、モングさんが王都に帰る日になった。

 護衛に冒険者を雇ったらしいが、前の時よりも強そうな人達だ。

 

「やはり護衛はケチってはダメですな」

 

 そう苦笑しながらモングさんが教えてくれた。

 冒険者にも当然ながらランクがあるらしい。

 

 Eランクから始まりAまで行って最高はその上のSランク。

 あの時に雇っていたのはDランクの冒険者達だったらしい。

 で、今回は懲りたのかBランク冒険者達を雇ったそうな。

 雇用費が全然違うらしいが、やはり命には代えられないとのこと。

 まあ一度死にかけたのだから、そう思うのは仕方がない。

 

 今回世話になったので、色々見せた商品の中から石鹸を1つ渡すことにした。

 3個入り1500円という少しだけ値段がするやつだ。

 すると「こんな高価なものタダでは受け取れない」と言われ、色々とやり取りをした結果が銀貨5枚での買い取り。

 石鹸1つが数十万円ぐらいってナニソレ?

 

 聞く所によると石鹸自体がこの辺りでは貴重な品らしい。

 しかも石鹸とは基本的に獣臭いもののようで、好き嫌いが判れるそうな。

 更に臭いが無い石鹸ともなると貴族が購入するようなものになるらしい。

 もっと言えばあげようとした石鹸みたいに色や形がしっかりしていて花の匂いがするなど、王家が買い取っても不思議ではないものだそうな。

 王都に持って帰れば間違いなく金貨1枚はくだらないと言うモングさん。

 なので本来なら銀貨5枚でも安すぎて申し訳ないレベルらしい。

 

 それでも何とか押し付けて見送った。

 自分では注意していたはずだが、これが「俺、何かやっちゃいました?」ってやつか。

 たかが石鹸1つでこうなるとは思わなかった。

 流石は世界に誇れるジャパンクオリティと言うべきか、それとも異世界の文化レベルの低さを嘆くべきか。

 

 そう言えばと残った石鹸を1つ手に取ると鑑定スキルを発動させる。

 

■石鹸(最高級)

 豊かな泡立ち、すっきりとした洗い上げ。

 しっかり殺菌で体臭・汗臭予防にも効果的。

 さわやかシトラスの香り。

 

 平均価格:銀貨80枚~金貨1枚

 

 ……売る前には全て鑑定スキルを使用すると心に決めた。

 いきなり貴族に目を付けられて~なんてゴメンだ。

 

 何だか最初から色々と濃い内容のトラブルに巻き込まれたが、ようやくこれで商売人としてのスタートが出来る。

 

「とりあえず露店からスタートだな」

 

 それなりに金はある。

 スキルによって無限に仕入れることも出来る。

 あとは満足できる人生を歩むだけだ。

 

 

 

 

 

 




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次話以降は1話ずつ、ストック切れまで毎日0時更新予定。
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