誕生
──自分は恵まれている。お前の生まれたこの家は呪術界の名門、御三家の1つ「禪院家」なのだと。そう教えられた。
──自分は強かった。禪院家相伝の術式である十種影法術を宿し、生まれた時から人並外れた強い呪力を宿し、
「これならば家は安泰だ!五条家ばかりに大きな顔はさせぬ!」
「すぐに育て上げる、他の出来損ないに時間も金も割くでないぞ!」
最近五条家に六眼と無下限呪術を併せ持つ奇跡の子供が生まれたこともあり焦っていた禪院家の者たちは相伝の術式をもつ子供がすぐ誕生したことに歓喜した。
こうして生まれた子は"
そんな僕、禪院明はもう5歳である。呪術の基礎的な知識を物心ついてすぐに叩き込まれた僕は今、自らのもつ術式「十種影法術」について理解を深めている最中である。自分で言うのも何だけど僕は天才だった、生まれ持った呪力量では現当主より上らしい。それもその筈、僕の心臓は生まれながらに呪物化していて膨大な呪力を生み出しているのだとか。突然変異の異常体質であって、生まれた直後はあまりの呪力に家中が大騒ぎになったのだと後から聞いた。
次期当主を期待されている僕には早い段階で術式の扱いを習熟して欲しいらしく、最近の修行はずっと1人で術式と向き合うものになっている。術式の解釈を深めることで、同じ術式でも異なる使い方が出来ることは既に教わった。名家なだけあって資料は豊富で閲覧も自由に許可されているのでとりあえず読み漁る。分かったことは
・影を媒体に式神を召喚する
・最初から全ての式神を使える訳ではなく、術者が調伏したもののみ従えられる
・完全に破壊された式神は二度と召喚出来ないが、その能力は他の式神に引き継がせることが出来る
もっと調べれば情報は出てきそうだが、この中に気になる事が書いてあった。「影を媒体に」という部分だ。試しに最初から使える玉犬を出してみたところ、当然かもしれないが『影が展開されてから』玉犬が出てきた。つまりこの術式において最も早い動作が影の展開なのだ。式神は自力で調伏しないと使えないという点も相まってしばらくは式神に頼らず地力を鍛えた方が良さそうだ。ひとまずこの影の扱いを研究する。
禪院明。生まれながらに無限とも言える強大な呪力を絶えず放ち続ける心臓、「呪心」とでも呼ぶべき特異な体質と禪院家相伝の術式である十種影法術を併せ持った鬼才。
その誕生は、五条悟の一強による五条家の隆盛を面白く思わない禪院家にとっては福音のようなものであった。
しかし彼らは思い知る。そんな存在の修行相手が自分たちに務まるはずもないことを。
頑張ります。