無限と十種   作:うぃりあむぅ

10 / 19
めちゃ筆が乗った。直哉ってこんなに綺麗だったっけ。解釈違いだったらごめんなさい。


閑話2 呪霊狩りぶらり旅

「止めたで!明君!」

 

「『八握剣(やつかのつるぎ)』」

 

 明の呼び声に応じて影より抜かれるのは退魔の剣。神聖な正の呪力を纏ったその剣は、禪院直哉の術式によって止められた対象を容赦なく両断。特級呪霊に一切の抵抗を許さず祓除した。

 

……任務完了。これで何体目だったか。

魔虚羅の調伏後に真っ先に試したのがこの退魔の剣、『八握剣』の顕現だ。呪力の核心を掴む前とはいえ僕の心臓を貫き致命傷を与えた剣だ。強烈に印象付いていた。いざ使ってみれば驚くほど体に馴染む。これを装備していた魔虚羅を調伏したことによる恩恵だろうか。どれだけ僕が本気で振るってもびくともしない。

 

特級術師となってから僕に割り当てられる任務は増えた。魔虚羅やこの剣の慣らしをしたかった僕にとっては丁度いい。ついでにこれ以降の日帰りの範囲内の任務を全て取り寄せて貰うようにした。サンドバッグは多い方がいい。

 

呪霊を倒す。近場の食事処を漁る。帰って夕餉。そんな生活を繰り返していたある日。

 

「なあ明君、その呪霊狩り俺もついてってええ?」

 

いつも通り補助監督の迎えを待っていた僕に禪院直哉が声を掛けてきた。直毘人爺の実子ということでかろうじて名前は覚えていたが──

 

「……よく鍛えているじゃないか。」

 

正直言って驚いた。その洗練された呪力に。肉体も中々鍛えられている。

 

「足手纏いにならないなら良い。助けはしないぞ。」

 

その言葉を待ってましたと言わんばかりに直哉は喜んでついてきた。共に補助監督の車に乗車する。

 

「明さん、その方は……」

 

「僕の任務についてくることになった。禪院直哉だ。実力は問題無さそうだから連れてきたが……知っているか?」

 

「もちろんです!特別1級術師の禪院直哉殿ですね!存じ上げております!」

 

へぇ、特別1級。

隣に座った直哉は車が発車するとすぐに話しかけてきた。

 

「なんでこんな任務受けとんの?」

 

「……試し切りだ。」

 

「あぁ!最近剣振っとったもんね!」

 

なんで知っているんだこいつ。

直哉はその後もずっと話しかけてきた。同伴を許可したのは間違いだったか?

 

こうした経緯で僕と直哉はかれこれ1年くらいは共に呪霊狩りをしている。ウチにまだこれくらい骨のある奴が居たとは。少し見直したかもしれん。

 

***

 

 明君の呪霊狩りについていくようになってもうすぐ1年!いやぁ〜、俺の人生今が最高かもしれへん。甚爾君とおんなじくらい憧れてる男とほぼずっと一緒に任務や。戦ってる姿も見れるし、話しかければ答えてくれる。任務が終わって時間があるときは明君は術式無しやけど軽く手合わせもしてくれるし、なんなら飯時になったら美味い飯を探してその辺ほっつき歩いて一緒に飯や。おかげで俺も飯にはうるさくなってしもうたわ。充実し過ぎてるで。

 

……血反吐を吐きながら鍛えた甲斐があったってもんやね。肉体の強化や呪力操作の向上はもちろん、術式の解釈も俺なりに頑張った。親父に頼んでアニメも見まくった。俺の術式、投射呪法は己の視覚を画角とし、あらかじめ画角内で作った動きを高速でトレースする。このとき作る動きは24fpsなんや。24fpsやで?今のアニメとかと比べたらカックカクや。24個しか動きがない分滑らかな動きも厳しいし、相手に合わせた柔軟な動きがやりづらいねん。しかも刻んでいることがバレたらカウンターで終いや。俺はそこを何とか出来ないか考えた。考えた結果が──

 

「投射呪法 『60fps』」

 

1秒間に60回動きを刻む。思いついた後すぐに実践したんやけど、やっぱ死ぬほど難しかった。難しかったから、頑張った。来る日も来る日も失敗してフリーズして壁にぶつかる日々やった。

 

でも、繰り返していく中でやっと掴んだんや。親父譲りの天性のコマ打ちセンスと時間感覚。初めて60fpsで動けたときの感動は凄かった。これなら24fpsでは出来ないような動きも、次回以降の動きの修正もやりやすくなる。60回刻むからか、その対価として1回の加速も大きい。

 

今では更に頑張って極短時間なら144fpsまでイケるようになったで。まぁこれやると脳味噌爆発しそうになるから滅多にやらんのやけどな。

 

投射呪法により加速した直哉の拳が呪霊を穿つ。速さは重さ。速さは力。術式を重ね、際限なく加速する直哉は止まらない。

 

「最高速度でブチ抜いたるわ!!」

 

***

 

……かれこれ1年近く直哉と呪霊狩りをしてきたが、こいつがここまで力を付けることに対して真摯だとは思わなかった。たまにうるさいことはあるが、僕の足を引っ張ったことは一度たりともなかった。

 

任務の後の手合わせの際も、僕の技術を全て盗んでやると言わんばかりの観察眼。後で聞いたが、投射呪法を自身の眼に使うことでより細かく相手の動きを見ているらしい。僕の動きは絶好のお手本という訳だ。

 

面白い、実に面白い男だ。まだまだ攻撃の重さや近接格闘の技術には課題があるがあのやる気ならば時間の問題だろう。どこまで登ってくるのだろうか。

 

……楽しみだ。




やっぱり原作キャラと絡ませてるときは楽しいです。

次回から多分原作突入。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。