無限と十種   作:うぃりあむぅ

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なんとか出せました。


紅と蒼 -弐-

 明の体を覆わんとする程に巨大な翼、鵺の力は飛行能力だけではない。その本質は放電能力にこそある。明の無限の呪力により恐ろしい出力を誇る雷撃は、都市一つの機能を丸ごと停止させて尚余りあるものだろう。

ただの式神が持つには過剰な雷の力。

 

そんな雷撃を、八握剣に纏わせる。自身と自身の武装に雷撃を付与する。何度もやってきたことだ、慣れている。

 

十種影法術の術式反転、『影降ろし』によって異形と化した明が轟音と共に地面を踏み砕き、雷速を以て悟へと肉薄する。

 

「シィッ──」

 

悟は油断なく明の接近を見切っていた。

 

俺の無限なら受けてからの対応が可能。無限によって止まっている内にカウンターで赫を叩き込む!まずはそこから──

 

瞬間、悟の脳内に特大の警鐘が鳴り響く。

 

ギィン!

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

 

八握剣が触れる直前、神懸かった直感と六眼の観測によりその剣の異常性を見抜いた悟はより強く無限を展開。凄まじい轟音と共に無限と八握剣が衝突する。

 

()()()()()()()()()()

 

……この剣、莫大な正の呪力を纏った退魔の剣か!術式由来……魔虚羅との繋がりがあるな。呪霊に対する特効とあらゆる呪いを中和し得る程の正のエネルギー!魔虚羅を調伏したとは聞いてたが、とんでもないオマケを手に入れたな!!

 

いつも通りの出力の無限だったら間違いなく突破されていた。だがあのゴリラが持っていたクソ呪具みてぇに問答無用で術式を突破してくる訳じゃない。あれは術式の無効化だった。呪力の中和ならば中和しきれない無限で受ければ良い。

 

ひとまずそう結論付けた悟は、瞬時に発生させた蒼で明を自身から引き剥がす。

 

「こっちもいくぜ!」

 

宣言すると同時、明の周りには無数の蒼が生成される。極まった『蒼』の練度は視線と意志のみで術を完成させた。呪術を極めることは引き算を極めること。自身の技が少ないことに悩んだ悟は、『蒼』の練度を極限まで引き上げることを選んだ。

 

明の周囲にいくつも発生する暴力的な引力の渦。適応を済ませていない明は引力の影響を多分に受けている。足と八握剣を地面に刺すことで耐え、悟の次の一手に備えるのが最善。明の判断は正しい。

 

雷速で動く明を捉えるのは骨が折れる。故の蒼。動きが止まった明へと、蒼を応用した豪速で接近する。空気抵抗による肉体への負担は無限のおかげで全く考慮しなくて良い。そんな悟の出すスピードは最早速いという言葉に収まるものではない。

 

戦闘における移動で使う『蒼』を悟は2種類使い分けている。1つは空間を圧縮することで実現する擬似的な瞬間移動。単純な速さを求めるのならばこっち。もう1つはひたすらに加速することによる豪速である。速さは力。ダンプカーのように敵へと突っ込み、蹴散らす。そのまま殴ってもその加速は拳に乗る。

 

「歯ぁ食い縛れよ、明!」

 

更に、蒼によって明の身体を引き寄せる。加速された拳と引き寄せられた明がぶつかる瞬間、()()()()()()()()()

 

元よりイメージはあった。相伝の術式には取説がある。鍛錬中に『赫』の記述を見つけたときからこれをやると決めていた。

 

無下限呪術、術式反転『赫』。順転の『蒼』が無限の収束による吸引反応だとしたら、この『赫』は無限の発散による強力な衝撃波。高度な反転術式を流し込むことで生まれたそれの威力は順転の約2倍。

 

そんな強烈な衝撃波を、蒼で引き寄せた対象への打撃と同時に炸裂させる。五条悟考案の超脳筋戦法。

 

拡張術式 無下限闘法──『赫蒼拳(かくそうけん)

 

順転と反転を瞬時に切り替え、攻撃に転用する技術。本来は消費呪力の多い術式反転を通常の打撃と同じ頻度で繰り出すことを可能にする超効率の呪力運用。そしてそれを初めての実戦で確実に決める。まさに五条悟だからこそ可能な絶技である。

 

「グッ……」

 

明の身体を赫の衝撃波が突き抜ける。たまらず吹き飛ばされた明は止まらない。明の堅牢な呪力防御を貫通してダメージが入った。悟は追撃の手を緩めない。ここぞとばかりに追いかけ、幾度となく拳を炸裂させる。

 

拳も、蹴りも全てが術式反転を伴った強烈な一撃。明は防戦一方だ。

 

──ガコン

 

鳴り響く奇妙な金属音。明の頭上の法陣が回転する。

 

十種影法術最強の式神、異戒神将魔虚羅による適応の力。一度受けた攻撃、攻撃を加えた対象への耐性と有効打を得る能力。順転と反転、そして八握剣を通して触れた不可侵。無下限呪術の3つの要素による攻撃を受け続けた明の肉体は、1つ適応を進めた。

 

ズバン!!

 

悟の右腕が八握剣によって斬り飛ばされる。同時に、八握剣が纏っていた雷が悟の体を焼き尽くす。

 

「……クソッ!」

 

悪態を吐きつつも即座に反転術式で肉体を修復。二撃目を警戒し距離を取る。

 

拳の無限に意識を集中したことで、薄くなった無限をカウンター気味に狙われた!それに今の音……明に流れる呪力が少し変質しているな。しかも少なからず与えたダメージが癒えている。これが噂に聞く適応の力。あらゆる事象に適応する、最強の式神の力!

 

「ははは、調子に乗ったな?よくもこうバカスカ殴ってくれたものだ。」

 

……ふむ、やっと1つ適応が進んだか。だが、まだまだ不可侵を無視できる程ではないな。無下限呪術……やはり相応に術式の格は高い。解析には時間が掛かるだろう。

 

今の斬撃が通ったのは最初に受けられたときより無限が薄かったからだ。次はこうして易々とカウンターに引っかかってはくれないだろうな。

今斬り飛ばした腕も再生しつつある。勝負はここからという訳だ。

 

互いに1本有効打を取ったこの戦い。激化する戦いに、2人の笑みは深まるばかりだった。

 

***

 

「……無事でいてくれよ、悟!」

 

 一方、家入硝子に傷を癒して貰った夏油傑は、急いで五条悟と合流しようとしていた。上層部の指令により同じく悟の確保に向かったという禪院明に追いつく形だ。早く彼らに合流して理子ちゃんを……遺体だけでも取り返さなければ。

 

夏油傑は焦燥感と無力感に駆られながらも、呪霊を飛ばす。

自分が、自分だけが。足を止めてはいけないんだと、言い聞かせて。




明と悟の喧嘩はもう少し続きます。

これが終わったらしばらくここまで規模の戦闘は無いつもりなんですが、何か見たい小話的なやつがあれば気軽にリクエストして欲しいです。

書けそーって思ったやつを閑話でぶち込みます。感想の方ももちろんお待ちしてます!
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