無限と十種   作:うぃりあむぅ

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遅くなりました、明けましておめでとうございます。


光明

 思いもよらぬ明の発言に驚くのは夏油傑。当然だ。明と夏油は初対面である。

 

「……私にかい?」

 

「あぁ。先程の一撃、良い攻撃だった。呪霊操術だろう?僕とは相性が悪かっただけだ。領域展開直後の術式が焼き切れた相手を瞬時に狙う判断力。強力な手札を初手で切る思い切りの良さと、それを突破された後の切り替えも素晴らしい。……良い友達だな、悟。」

 

夏油に馬乗りでタコ殴りにされた悟を見やる。星漿体をほったらかして喧嘩に誘ったのは自分であるためか、夏油の拳を一切ガードせずに受け続けていた悟の顔は真っ赤に腫れ上がっていた。

 

「だろ。俺の親友だぜ。」

 

「おっと、自己紹介が遅くなった。僕は禪院明。悟とは……まあ昔からの喧嘩友達というか鍛錬仲間とか、そんなところだ。」

 

「……私は夏油傑。悟から何度か話は聞いているよ。」

 

明が手を差し出すと、夏油はそれに応じた。悟に乗っていた状態から立ち上がらせる形だ。

 

「俺は?!俺倒れてんだけど!!」

 

「先程の話だが、力を求めているんだろう?ならば手を貸したいと思ったのさ。」

 

「俺を無視すんなよ!!」と叫ぶ悟を片隅に話を進める。

2人が争っていた理由はあまり分からないが……強くなりたいという想いは強烈に感じられた。一瞬ではあったが、先の攻防でポテンシャルを感じたのもある。何より……呪霊操術という術式に惹かれた。取り込んだ呪霊の分だけ手数が増える強力な術式。自分と似た、何らかを使役する術式だ。

 

それに夏油という家は聞いた事が無い。十中八九、一般人から術師になった者だろう。ウチで囲っておくのも悪くない。直哉もたまには違う相手と鍛錬したいだろうしな。

 

「申し出はありがたいけど、まずは任務の報告じゃないかい?私たちはまだ任務の途中だよ?」

 

にこりと笑っていた夏油だが、目は笑っていなかった。

 

***

 

 あの後はすぐに2人も鵺に乗せて高専へと帰還した。幸いにも夏油が星漿体である天内理子の遺体を確保していたため、報告はスムーズに進んだ。

 

・護衛には失敗。盤星教によって差し向けられた刺客に星漿体を殺されたこと。

 

・その刺客には呪力が全く無く、逃走を許してしまったこと。

 

・星漿体の行方を追った五条悟と禪院明によって、盤星教の本部は壊滅したこと。

 

以上が、上層部への直接報告である。しかし、護衛の失敗は予想より責められることは無かった。それよりもこれを受けた上層部が、壊滅した盤星教本部の詳細を聞いて狼狽えていたことの方が印象的だった。

 

悟たちは担任である夜蛾1級術師に報告に行った。報告が終わったら中庭で合流する手筈となっている。さっさと合流しよう。

 

閑散とした校舎を練り歩き、中庭を目指す。家での鍛錬を選んだ自分にとって、高専のこの景色は新鮮味がある。校舎全体を観察しながら進んでいると開けた場所に出た。どうやらここっぽいな。

 

「お、やっと来た。明〜こっち〜。」

 

大きく手を振って僕を呼ぶ悟が見えた。

 

「待たせたか?」

 

「いや?そんなに。それよりも、傑に話があるんでしょ??」

 

おっとそうだった。

 

「じゃあ手短に。夏油傑、禪院家に来ないか?」

 

「「は?」」

 

悟と夏油の声が重なる。2人にとって全く予想しなかった誘い。

 

「会わせたい奴も居るし、鍛錬するにしても最適だろう?」

 

「止めときな傑、禪院家なんて──「悟も一緒に来るか?」行くわ。」

 

直哉は僕を。夏油は悟を。それぞれ追いかける者として高めあえるだろう。性格的に仲良くなれるかは分からないが。

 

「……高専はどうするんだい?私たちは学生だよ?」

 

「そこは話を通すさ。御三家の見学ともなれば学業っぽいだろ?」

 

「はぁ……拒否権は無いようなものじゃないか。じゃあよろしく頼むよ。明君。」

 

「明で良い。こっちも傑と呼ばせて貰う。」

 

こうして傑と悟がウチに来ることが決まった。さてと、鍛錬の内容はどうしようか。術式の研究は前提として、直哉や僕たちとの模擬戦。実戦は……また呪霊狩りの旅でもしようか。呪霊操術ならば効率も良い。……あ。

 

「悟、冥冥1級術師の連絡先は知ってるか?」

 

「あー、冥さん?知ってるけど……何?タイプ?」

 

「いや……少し依頼があってね。」

 

今何してるのかな。アイツ。




裏話

「悟、そういえばお前の領域ってどんな感じなんだ?」

「あー、押し合い互角だったもんな。ほい、『無量空処』」

「は?────────────────」
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