クロスボーンガンダムが大好きだった少年の話   作:海野守葛

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やっとガンプラバトルです。
何か矛盾があってもガンプラなので……ってことで見逃してください。


災禍

カタパルトから僕のガンプラ――フリントが射出される。XM-10またはF97-E、フリントはクロスボーンガンダムの簡易生産型だ。しかし、簡易生産型と言っても地球圏での運用に不必要な対放射線処置やスラスターがオミットされているだけで、地球圏での戦闘であれば、その性能はクロスボーンガンダムと大差ない。

 

僕のフリントは通常のフリントと違い、少しカスタマイズしている。今、フリントが羽織っているマント――ABCマントも追加した装備の1つだ。正式名称はアンチ・ビーム・コーティングマント。このマントは数発までならビームを防御してくれるものだ。元はクロスボーンガンダムのつけていたものだが、かっこいい上に強いといいこと尽くめなので装備させている。

 

――フリントは僕が現在ガンプラバトルで使用することのできる数少ないガンプラだった。

 

ステージは宇宙空間だった。所々にスペースデブリや惑星の破片であろう岩などが浮かんでいる。このステージで戦うのもいつ以来だろう……僕は感慨に耽ってしまい、その光景に見とれてしまうが、慌てて気を引き締める。

 

――これは僕だけの問題じゃないんだ。だから、絶対に負ける訳にはいかない。

 

突然、まるで体にたくさんの虫がまとわりつくような嫌な感じがした。

急いでフリントを加速させ、その場を離れる。

すると、先程までいた場所に赤と青の混ざった大出力のビームが放たれた。ビームの放たれた方角を見ると、そこにはオリーブドラブの迷彩色に包まれた重装甲の機体がいた。

 

「あの機体、ベースはカラミティガンダム……?」

 

「へぇ……オレのカラミティのスキュラを避けるなんて運がいいじゃねぇか。だが、次は無いぜ」

 

通信からウラミの意外そうな声が聞こえる。

 

「てか、なんだァ? その雑魚そうな機体はよォ。まぁ、俺がすぐに……」

 

僕はウラミが話し終わるのを待たずに、フリントのスラスターを加速させ、一気に距離を詰め持っていた120mmマシンガンをカラミティに向けて放つ。

 

しかし、ウラミのカラミティはそれを避ける素振りすら見せず、その場に仁王立ちしていた。当然、フリントの放ったマシンガンの弾はカラミティに当たるが、攻撃を受けたカラミティには一切ダメージが入っていないようだった。

 

「あのカラミティ、ちゃんとトランスフェイズ装甲まで再現してるの……? だとしたら、ちょっと厄介だなぁ……」

 

トランスフェイズ装甲は、フェイズシフト装甲の改良型でカラミティ含む第2期GAT-Xシリーズに採用されているものだ。この装甲の厄介なところは実体剣やレールガン、ミサイルといった物理攻撃を無効化してしまうところで、この装甲のせいでフリントの持ついくつかの武装は効き目がないことになっている。

 

「おいおい。人が話している時は最後まで聞くもんだぜ? そうさ、この機体はなぁ……全身だけでなく武装まで隈なくトランスフェイズ装甲化済みなんだよ! お前のへぼっちい攻撃なんてびくとも……」

 

再度、僕はウラミの言葉を遮るように攻撃を仕掛ける。先程よりも距離を詰め、もう一度カラミティに対しマシンガンを構える。

 

「へっ、馬鹿が! その攻撃は効かないってさっき言っただろ」

 

ウラミのカラミティはフリントに向けて、大型のバズーカ砲「トーデスブロック」を構え、すぐに発射しようとする。

 

――しかし、僕はそれより早く、フリントの右手に持っていたマシンガンをカラミティに投げつけた。

 

「はぁ?」

 

ウラミの呆けたような声が通信越しに聞こえ、カラミティのトーデスブロックの引き金を引こうとする動作が一瞬鈍る。その一瞬の隙を見逃さず、バスターガンを取り出し、先程投げたマシンガンを正確に撃ち抜く。撃ち抜かれたマシンガンを爆発し、爆炎がカラミティの視界を遮る。

 

「なんだと!?」

 

ウラミの驚いた声が聞こえる。視界を遮られたカラミティは一瞬動作を停止させる。僕はフリントのX字型のフレキシブルスラスター急加速させ、ビーム・ザンバーを手に取り、カラミティの方にその加速のまま勢いよく斬りかかる。

――手応えはない。ウラミのカラミティは攻撃があたる間際に慌てて後ろに避け、ビーム・ザンバーによる斬撃は装甲を少し掠るのみに留まった。

 

「しばらく、やらなかった間にだいぶ腕が落ちてるな……」

 

メインウェポンのマシンガンを手放してでも出来れば今の一撃で、勝負が決まる……のは高望みし過ぎだと思うが、せめて四肢のどれか、もしくは武装をどれか破損させておきたかった。ガンプラバトルを辞める前であれば、おそらく今の一撃で試合の方がついていた。それが出来なかったということは、今の自分が、辞める前と比べてかなり腕がなまっているということを表している。

 

先程の一撃が堪えたのか、カラミティはフリントから距離を取り、背部に装備されている大口径ビーム砲の125mm 2連装高エネルギー長射程ビーム砲「シュラーク」をフリントに向け放った。しかし、その攻撃はフリントの機動力で難なく回避する。

 

「やっぱり、カラミティに対して中遠距離戦は不利だよなぁ……。フリントの武装も近距離用のばっかだし」

 

カラミティは砲撃戦仕様機とだけあって、近距離用の武装は殆どないものの中遠距離用の武装が多い。距離を取られて多数の火器によるビームやバズーカの弾幕の嵐を喰らおうものなら、それを掻い潜って近距離戦に持ち込むのは至難の業だ。

 

「距離を取られる前に、詰めるしかない」

 

再びスラスターを加速させ、カラミティに接近を試みる。しかし、それをウラミは許すはずもなく、牽制でスキュラを撃ち、トーデスブロックとシュラークでフリントを近づかせないように迎撃する。

 

「きっついなぁ…………けどッ!」

 

そのまま加速を止めず、カラミティの懐に飛び込む。スキュラやシュラークなどのビーム系の砲撃は必要最小限の動作で躱し、避けきらないトーデスブロックのバズーカ弾はビーム・ザンバーで切り裂いたり、バスターガン、頭部と胸部のバルカンで迎撃した。弾幕の隙間を掻い潜り、カラミティに近接戦闘を仕掛ける。

 

「これで!」

 

フリントは先程と同じくビーム・ザンバーをカラミティに振りかぶる。しかし――。

 

「オレを舐めるなよ?」

 

ウラミのカラミティはビームザンバーによる攻撃を盾――「ケーファー・ツヴァイ」で受け止めた。そして、動きの止まったフリントに対し、カラミティは猛烈なキックをお見舞いした。




ちょこっと機体解説
▪ウラミティガンダム(カラミティガンダム)
ウラミの作ったガンプラ。原型機はGAT-X131 カラミティで、そのまま色を変えたもの。武装はオリジナルと同じだが、トランスフェイズ装甲を再現しているので物理攻撃にめっぽう強くなっている。
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