よう実RTA 決闘者チャート   作:KKKK

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裏14

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 南雲SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 今年の無人島試験が始まって数日、俺は一念発起する為にも気合を入れてこの試験に挑んでいた。

 

 間抜けな話だとも思うし、どうしようもない馬鹿だという評価も今は受け入れている。そうとも、俺はアホ丸出しの調子乗りで、とんでもない勘違いした間抜けである……受け入れよう。

 

 だが証明はしたい、このままで終わる程度の男ではないということくらいは。

 

 クラスの士気は壊滅的で俺の言うことをまともに聞くような奴はいない。どうせAクラスでの卒業が不可能になったのだから、もう受験勉強に意識を向けている奴が殆どだが、この試験で本剛に勝てれば一発逆転になるので死に物狂いになっている……統制はまったく取れていないがな。

 

 一応は協力して挑むべきだと主張したが、俺の言葉はもうクラスではなんの価値も無いものだった。

 

 だが俺は納得していない。確かに俺はどうしようもない間抜けだが、既に諦めているクラスの連中とは違う……俺は俺の証明を行う。

 

 思い浮かべるのは本剛の姿だ。俺を追い込み失墜させた男……俺にとっての悪夢であり、最悪の相手。廊下ですれ違えば自然と道を譲ってしまって、食堂でみかければ食べていたものを吐きそうになり、校内放送で声を聞けばその日の夜は悪夢にうなされる、そんな相手。

 

 あらゆる面で俺を凌駕する、宿敵。

 

 この無人島試験でもしつこく戦いを要求してきたな。そんな姿にかつて強敵を求めていた俺の姿を思い出して、また吐き気がこみ上げてくる。

 

 結局俺は、アイツの言う通り強敵との戦いなんて望んでいなくて、ただ気持ちよく勝ってヘラヘラしていただけの男だった……けれどそれだけで終わるつもりは断じてない。

 

 敗北は受け入れた、調子に乗っていたことも認めよう、俺は結局の所はただ自分より強い奴にこれまで出会わなかっただけのクソガキだと受け入れる。

 

 それが俺の始まりで、最初の一歩だった。

 

 受け入れよう、愚かな自分を。

 

 認めよう、馬鹿な自分を。

 

 その上で俺はこの無人島試験に挑む。全部を仕切り直しにする為に。

 

 それが南雲雅という男の再起であると同時に、ただ自分より弱い相手に勝って気持ちよくなりたいだけの男を終わらせる為に必要な儀式でもあるんだろう。

 

 待っていろ本剛、お前に刻みつけられた敗北の全てを力に変えて俺は進んで行く。この絶望も、この失墜も、周囲からの評価も、全て拭う為に。

 

 

「南雲がいたぞ!! 囲め囲め!!」

 

 

 だというのに、こいつらときたら人の足を引っ張ることしか考えてないな!!

 

 

 クラスで俺と組んでくれる奴がいないのでこの無人島試験は単独で挑んでいるのだが、そんな俺を邪魔してくる桐山クラスの連中。

 

 眠っていたらテントに石を投げつけられるのは当たり前。食事を作っていたら邪魔をしてきて、無人島での課題でぶつかり合えば盛大に足を引っ張って来る。

 

 桐山は恐ろしいんだろう。入学当初はAクラスに振り分けられておきながら一瞬でBクラスに転落して、そしてまた運よくAクラスに返り咲くことができたんだ……悪夢の象徴である俺を徹底的に追い詰めるつもりだな。

 

 今も男子の数名が俺のテントを取り囲んで監視と妨害を続けている。使っていたテントを折りたたんでいるとパーツの一つを踏んずけたまま動こうとしない。

 

「どかせよその足」

 

「あぁ? 誰に偉そうな口きいてんだよ、Dクラスのクソ雑魚生徒会長さんよ……おっと悪いな、元生徒会長だったか、確かイジメで首になってクラスも壊滅させたんだったよな」

 

 桐山クラスの男子生徒。かつては俺に揉み手をしながらヘラヘラ笑ってご機嫌取りをしながらポイントを献上してきた奴は、俺を見下ろすことが楽しくて仕方がないって顔をしていた。

 

 こいつはテントを固定するペグを踏んづけたまま動こうとしない。もうすぐ近場の課題が始まるっていうのに、ここで時間を潰させるのが狙いか。

 

「はッ、桐山もビビりだな。よっぽど俺が恐ろしいらしい」

 

「お~お~、負け犬の遠吠え程みっともないものはねえな」

 

 すると俺を取り囲んだ桐山クラスの生徒たちが一斉に笑い出す。ちょっと前まで俺に媚びることしかしてこなかった奴らだが、今は我が世の春を満喫しているらしいな。

 

 以前の俺なら苛立ちのあまり我を失っていただろうが、今はもうどうでもいい。こいつらからどう思われようともどんな評価をされようとも全く心が揺れ動かない。

 

 そもそも以前の俺はどうしてこの程度の連中を従えていたんだろうな。随分と無駄なことをしていたとさえ思う。育てるでもなく、何か価値を感じるでもなく、ただ媚びさせるだけの人形でしかなかった。

 

 もうこんな奴らはどうでもいい、俺は俺の証明をするだけだ。この絶望はアイツに挑んで勝たなければ決して拭えないのだから。

 

 踏んづけられていたテントのペグを奪い返そうと強引に足首を掴んでどかせようとすると、こいつはワザとらしく転がって大げさにこう主張してきやがった。

 

「痛ってえなおい!! なに突き飛ばしてんだよ!!」

 

「はぁ? お前が勝手に転んだんだろうが」

 

「そんな訳ねえだろ、お前が突き飛ばしたんだよ!! なあ、皆見てたよな!?」

 

「あぁ、南雲が突き飛ばした、間違いない」

 

「そうだな、俺たちはしっかり見てた」

 

 こいつら本当に情けないな……そしてこんな連中に見下されるのが今の俺ということだ。笑えない。

 

 いっそぶん殴って……いや、ダメだな、余計に調子に乗らせるだけだ。さてどうしたもんかと考えていると、まさかの相手が俺を援護してくることになる。

 

 

「何をしている?」

 

 

 凛と澄んだ力強い声だ。それほど大きくもないのに不思議と耳に届くのは、どこか本剛と似る部分がある。

 

「げ、鬼龍院」

 

「そうだ、私だ……それで、何をしているんだ?」

 

「べ、別に、お前には関係ないだろ」

 

「そうかな……ふむ、そうだろうな」

 

 どこか本剛にも似た全てを見透かすような視線で桐山クラスの男子たちを眺めると、それだけでさっきまでの勢いを無くして委縮していく。

 

「……い、いこうぜ」

 

「あ、あぁ」

 

 結局アイツらはそれ以上粘らず去っていく。ようやくこれで動けそうだな。

 

「まさかお前が俺を助けるだなんてな、鬼龍院」

 

「はッ……何を勘違いしている。私がお前を? 寝言は寝てからにしろ」

 

「今のはツンデレって奴か?」

 

「お前は私にそんな可愛らしさを求めているのか?」

 

「……そうだな、気味が悪いからやめてくれ」

 

「そうだろうさ。そして一応訂正しておくと、ツンデレでも照れ隠しでもない。そもそも私にはお前を助ける義理もなければ価値も感じていない。私は私が目障りだと思う相手を退けただけだ」

 

「相変わらずキツイ物言いだなお前は。ちょっとは傷心中の俺を慰めてくれてもいいんじゃないか?」

 

「なんだ、同情して欲しいのか? だとすればやめておけ、お前にそんな感情を向ける理由がない。お前の現状は全てお前の責任だし、アイツらがやっていたことは、かつてお前がやっていたことでもある……因果応報を同情してくれだなんて、それ以上の恥を晒してどうするんだ」

 

 そう言えば、二年の頃にアイツらを使って俺に逆らう奴を似たような手段で追い詰めて最後には退学にさせたんだったな。

 

「思い出したか? だったら、慰めてくれなんて言葉は使わない方がいい……お前にそんな権利はないのだからな」

 

「……確かにそうだな、今になって退学になったアイツの気持ちがわかるようになったぜ」

 

「軽い言葉だな」

 

 それだけ言って鬼龍院は無人島の鬱蒼とした森の中に入っていく。実際にアイツは進行方向に俺たちがいただけで、それ以上の感情は持っていないんだろう。

 

「鬼龍院、ありがとな」

 

「とても似合わない言葉を使うようになったじゃないか。まぁ、ようやくお前も一人前といった所か……それで、本剛にまた挑むのか?」

 

「当然、そのつもりだぜ……というか、お前は本剛と知り合いなのか?」

 

「実家関連でな……まぁ学校ですれ違えば挨拶する程度の仲だが」

 

「ほう、なら何か弱点とか知らないか?」

 

「フッ……そうだな、あれで意外と甘党だから、学校の自販機を全部ブラックコーヒーにでもすればやる気が下がるかもしれんぞ」

 

 なるほど、やらないよりはマシかもしれないな。それでもしかしたら勝率が一パーセントでも上がることだってありえるかもしれない。

 

「多少は良い顔をするようになったか。以前より男前だぞ」

 

「俺はいつでも男前だぜ」

 

「それだけ言えるならば問題なかろう。本剛は本物の王者だから半端な覚悟では向かい合うこともできない。だからしっかり励むといい」

 

 まさかこいつからアドバイスというか、激励を送られる日が来るとはな……世の中わからないもんだ。

 

 いいさ、言われるまでもない。俺は俺の中にある絶望を拭う為にアイツに挑む。例え一人でも挑み続ける、それだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 綾小路SIDE

 

 

 

 

 

 

「お前は意外に父親思いなのだな」

 

 無人島試験の最中、星が輝く夜に同じグループとなった本剛がオレにそう言って来た。

 

「そうか?」

 

「お前の父親……そのホワイトルームとかいう施設の管理者という話だが、何故そこまで気遣うのだ?」

 

「気遣ってはいないが」

 

「そうか? 俺がお前の立場ならば早々に手足をへし折って海にでも捨てているぞ」

 

「簡単に言うな」

 

「直接襲撃するのが難しいのならば知恵を使えばいい。アンヨもままならぬ赤子でもあるまいし、その気になれば幾らでも機会が作れるだろうに」

 

「仮に本剛ならばどうする?」

 

「そうだな……」

 

 本剛はこの無人島にある池で釣りあげた魚を串焼きにしながら、視線をキャンプファイヤーと魚の間で思案顔のまま彷徨わせていく。

 

「ふむ、どこを目指すかで答えは変わって来るが……まず干渉を遠ざけて独立したいというのならば、まずは破壊だな」

 

「うん?」

 

「その施設にいる全員の手足を割り砕いて、お前の父親も同じように逆関節にすれば、そいつがどれだけ優秀であろうとも関わりたいと思うまい。ましてや利用しようと思うまい……近くに置くメリットより、遠ざけるメリットの方が大きくなれば、お前は自由だろう」

 

「随分と極論だな」

 

「だが手っ取り早い。お前の父親も、顔を合わせる度に手足を折ろうとする変態を傍に置こうとは思わなくなるだろうな……出世の道具にしたいというのに、そんな危険な道具はいらない。違うか?」

 

 こいつに相談した俺が馬鹿だったのかもしれないが……しかし方針の一つとしてはシンプルに強力なんだよな。

 

「そういった手段が取れない時点で父親に配慮しているということだ」

 

「お前程、振り切った生き方をしていないだけなんだがな」

 

「そういうものか……ほら、できたぞ、食え」

 

 串焼きにされていた魚が食べごろになったので、本剛はそれを渡してくる。

 

 うん、しっかり火が通っていて塩加減も抜群だな。料理の才能があるのかもしれない、まぁ意外でもなんでもないか。

 

「或いはお前はホワイトルームに一定の利用価値や存在意義を内心では見出しているのかもしれないな。その場合は手足をへし折って自由を勝ち取るのは少々強引か……結局、お前がどうしたいかが一番重要だな」

 

「……オレがどうしたいか」

 

「ホワイトルームという閉鎖環境の外が見たくてこの学園に来たのだろう? 健気なことではないか。ならば今は複雑に考え込まずに楽しむがいい。卒業するころには、より明確にどうしたいかが見えて来る」

 

「そういうものか」

 

「あぁ、その先で自由を勝ち取るのか、それとも敷かれたレールを進むのか、もしくは父親を排して己の道を決めるのか……何を目指すにせよ、お前がどうしたいかが重要だ。もし潰すと言うのならば手を貸してやらんこともない」

 

「その場合、お前はとんでもない面倒事に巻き込まれることになるぞ」

 

「俺を誰だと思っている。その程度の面倒事を処理できない程度の男だと思っているのか? お前の父親、無職のニートを処理する程度のことは造作もない。物理的にも、政治的にもな」

 

「あの男はかなり面倒だと思うんだがな」

 

「そうかもしれんが、その権力や立場は、それ以上の武力と立場を持つ者にはとことん無力だ」

 

 この男は本当に何者なのだろうか。大言壮語とも思わなくはないが、同時に本剛がどこかに電話して「ホワイトルームを灰にしろ」とか命じた次の日にはあの場所にミサイルが着弾していてもおかしくはないと思えるような奇妙な説得力があった。

 

「まぁ、さっきも言ったが全てはお前次第だ。お前がやるべきことは今を楽しむこと、そして岐路に立った時に一人ではないと自覚すること……何よりも俺に奉仕することだ」

 

 相変わらずの物言いである。だが本剛に相応しい言葉であると思ってしまう時点で、きっと俺は納得しているんだろう。

 

「そうだな、オレはお前の財らしいからな」

 

「フッ、わかってきたではないか……おっと、そろそろ迎えが来たようだな」

 

 本剛が少しだけ笑みを浮かべると同時に、視線を薄暗い森の向こうに向ける。オレもその視線を追っていくと、鬱蒼とした森の向こうから懐中電灯の光が右往左往しているのが見えた。

 

「こっちだ、早くこい」

 

 それほど大きな声量であった訳ではないが、不思議と耳に届く本剛の声がその懐中電灯に発せられると、あちらもこちらに気が付いたのか近づいて来るのがわかる。

 

「遅い、どれほど待たせるつもりだ」

 

 鬱蒼とした森の向こうから懐中電灯と共に現れたのは、茶柱や真嶋を代表とした学校側の人間たちだった。

 

「本剛、綾小路。事情は無線機で聞いたが……司馬先生が殺人未遂に関わったというのは本当なのか?」

 

「事実だ。おかげで俺たちも必死だったので、つい力強く抵抗してしまった……以前にあった月城とかいう男の時と同じだな」

 

「……そ、そうか」

 

「それと、一年の七瀬と天沢もこの殺人未遂に加担したのでこちらで処理した。証拠はこちらの端末に動画として残っている。好きなだけ検分するといい」

 

 そうなのだ。オレと本剛は無人島でコンビを組んで挑んでいたのだが夜になった瞬間、司馬と七瀬と天沢が襲撃を仕掛けて来たのだ。司馬に至っては電流が流れる鎮圧用の警棒やテーザー銃、刃物なども持っており殺す気があったと言われれば言い逃れはできないだろう……全て撮影されて処理されてしまったがな。月城といい司馬といい八神といい、どうしてホワイトルームからの刺客はこんなにも軽率なのだろうか。

 

「……一体、お前たちはどうしてこういった問題に巻き込まれるんだ?」

 

「真嶋教諭、それは俺たちが一番思っていることだ……とにかくだ、こいつをさっさと引き取って警察にでも引き渡せ」

 

 そう言って本剛は、腰かけていた司馬から立ち上がって、雑に蹴り飛ばして真嶋の前に転がす。これまでずっと本剛の椅子にされていた司馬は手足が全ておられて逆関節にされているのがわかる。

 

「天沢や七瀬も司馬先生に協力していたというのか? 生徒と教師が、殺人未遂に関わっていたと?」

 

「全てはこちらの端末に録画されている……あぁ、だが、七瀬と天沢に関しては情状酌量の余地があるかもしれん。どうにも司馬に脅されていたようだからな。まぁなんであれそちらで引き取って調査してくれ」

 

 そして本剛は近くに転がっていた七瀬と天沢を指差す。幸いと言うべきか、それとも本剛なりの配慮があったのか、この二人は意識を失っているだけで逆関節にはなっていない。

 

 どちらもホワイトルームからの刺客で、司馬に付き合わされたようだが、オレと本剛を前に戦いにすらならずに敗北したことになる。さすがに相手が悪すぎたんだろう。

 

「……わかった、とりあえず三人の身柄は学校側で預かる」

 

「七瀬と天沢に関しては多少配慮してやってくれ……汲むべき事情と、汚い大人たちからの脅しがあったようなのでな」

 

「約束はできん……殺人未遂に関わっていたとするならばな」

 

「まぁ構わんさ、どうせ学校側もこれ以上の醜聞などごめんだろうからな。悪いのは大人一人、そうなるだろう」

 

「本剛、それはお前の願望か?」

 

「いいや、俺の計算は確定した未来だ」

 

 茶柱にそう言い返すと、本剛は胡坐を作って再び食事を開始する。もう司馬に興味がないとばかりに。

 

 茶柱たちは逆関節になった司馬と、意識を失っている七瀬と天沢を担架で運んでいくと、再び無人島の森は静かになっていく。

 

「さて、ようやく静かになったな。学校側に責任を追及する材料も揃った。以前のことがあって更にこれだからな、学校側にはしっかり反省してもらわなければなるまい」

 

「楽しそうだな、お前は」

 

「当然だ、オレはいつも人生を楽しんでいる。お前もそうするといい」

 

「あぁ、そうさせてもらおう」

 

 ホワイトルームからの刺客がどいつもこいつも軽率なおかげで大量のポイントを稼げるからな。そう考えると悪いことばかりでもないのかもしれない。

 

 それにこいつと色々悪だくみするのは案外面白い。オレはそれを自覚した。

 

「明日からは他のグループと合流するぞ。一位を取らなければ便乗や試練や追加のカードが意味を無くしてしまうのでな」

 

「わかっている。オレも出し惜しみするつもりはもうない」

 

「フッ、それでいい」

 

「……一つ訊きたいんだが、オレとお前はどういう関係に例えるのが一番相応しいんだ?」

 

「王と臣下だろう」

 

「……もっと他の表現の方が落ち着けるんだが」

 

「ふむ、贅沢な奴だなお前は……だが、そうだな」

 

 本剛の視線が食べていた魚からキャンプの火、そして上空に広がる夜空へと向けられる。

 

 

「共に戦い、共に歩く……それは」

 

 

「それは、なんだ?」

 

 

 だが本剛はそこから先を言葉にすることはなかった。誤魔化すように笑みを浮かべると、新しい魚を串焼きにしていく。

 

 

「戯け、わざわざ言わせるな、野暮というものだそれは」

 

「あぁ、そうかもしれないな」

 

 

 そうだな。言葉にして確認するのは無粋なのかもしれない。つまりはそういうことなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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