よう実RTA 特殊トロフィー最速取得チャート   作:KKKK

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完走、評価、誤字報告、ありがとうございます。


裏 6

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊吹side

 

 

 

 

 

 

「あ、あれ、勝った……勝った?」

 

「う~ん、負けちゃったねぇこれは」

 

 ここ最近、私と零膳はこうして偶にだが賭け勝負をするようになった。最初は体育祭が始まる前にくだらない挑発を受けたことで100メートル走勝負をすることにしたんだったっけ。

 

 今思えば安い挑発だったけど、零膳に勝てばそれなりのポイントを貰えるからって易々と勝負に乗った私は……まぁ、うん、色々な物を失った。

 

 でも負けっぱなしは性に合わないし、勝ち誇った顔で私を見下ろすこいつをなんとかぎゃふんと言わせた。そんな一心で色々と賭け勝負を挑んでは敗北して……気が付けば部屋に連れ込まれる毎日だったけど――なんと今日、私はついに勝負で勝つことができた。

 

 やったことはトランプ勝負……悔しいけど、こいつは顔だけじゃなく身体能力も飛びぬけているから、苦し紛れの提案だったけど、結果は私の完勝。

 

 トランプで神経衰弱、頭の良いこいつに有利だったけど、驚くほどに私に手札が集まって気が付けば勝利していたんだから、勝利の女神がほほ笑むって奴なのかもね。

 

 

 勝った……勝った? 勝ったッ!?

 

 

 待ちに待ったその瞬間が突然に訪れて、一瞬だけ困惑したけれど、これは夢でも妄想でもなく間違いなく私の勝利、トランプゲームなんてただの遊びなんて言わせるつもりはない、勝ちは勝ち!!

 

 そう!! 私は遂に!! あの零膳に一泡吹かせることができたのだ!!

 

 

「勝ったッ!! 私の勝ちッ!! 零膳、今すぐ私から奪ったポイントを全部返しなッ!!」

 

 

 体育祭での100メートル走からこっち、ことある事に賭け勝負を挑んだり挑まれたりして、その度にポイントを奪われてたけどそれも今日でおしまい。せっかくBクラスに上がってもらえるプライベートポイントも増えたってのにこちとら山菜定食ばかり、でもそんな生活も今日で終わりだ。

 

「あちゃぁ、澪もやるねぇ、まさか一本取られちゃうとは……これが油断大敵って奴かな」

 

「なに余裕ぶってんだ、まさかトランプなんてただの遊びだなんて言うつもりじゃないでしょうね」

 

「まさか、そんなこと言わないさ。約束通りポイントは色を付けて返すとも」

 

 そう言って零膳はスマホ端末を操作して私へとポイントを振り込んで来る。額を確認してみると確かに奪われたポイントに加えて上乗せされた分が送金されているのがわかる。

 

 よしよし、今までの鬱憤の全部がこれで解消された、こんなに気分の良いことも珍しい。きっと龍園の顔面を蹴り砕いたら同じくらい気持ちよくなれるに違いない。

 

「えぇ、でも意外だなぁ。澪が勝ったらもっと凄いこと要求してくると思ってたのに、ポイントだけなんて謙虚なんだね」

 

「はぁ?」

 

「だってほら、澪が負けたらいつもの流れでお泊りコースじゃない。だから私もこのままお持ち帰りされてあんなことやこんなことされるのかなって」

 

「……ほぼ淫獣なアンタと一緒にしないでくれる?」

 

 こいつは勝負に勝つと必ずと言っていいほどに私を部屋に連れ込んできた……ポイントがある内はまだよかったけど、それが無くなったら体で支払えと言って来たのだ。

 

 部屋に連れ込まれると後はこいつが満足するまで良いように弄ばれる。一緒に風呂に入ったり、晩御飯を作らされたり……後はまぁ、ベッドの上であれやこれや。

 

 でもそれは私が情けなくも負け続けていたからだ、勝ってポイントも帰って来た以上、こいつにこれ以上付き合う理由がない。ぎゃふんと言わせる目的だってやり遂げられたんだから。

 

 

「ふふん、負けちゃった私はきっと抵抗できないなぁ」

 

 

 そう、付き合う理由はない、ないんだけど……自分のベッドに大の字に倒れて無防備な姿を晒す零膳を見て、何故か私は喉を鳴らしていた。

 

 いつも零膳が纏っている、頭をフワフワクラクラさせるあの良い匂いが強まったような気がする。意識すると途端に体が熱くなっていき、視線がこいつから逸らせなくなってしまう。

 

 普段はこいつが私をベッドに押し倒す側なのに、今はベッドから私を見上げている。そんないつもと異なる姿勢に、興奮が高ぶっていくのがわかった。

 

 また匂いが強まる、こいつの部屋中にそれが充満して、なんか危ない薬でもやってんのかってくらいに、頭の中が沸騰するのを感じ取れてしまう。

 

 眉間の奥の方から、脳全体に広がっていく変な汁は、こいつの匂いで噴出しているんだ……。

 

「まぁ尤も、澪はいつもされるがままだし、そっちから襲い掛かってくるような根性はないかぁ」

 

「……はぁ?」

 

 

 こいつ、私に負けた分際でなにを調子乗ってんだ。

 

「だってそうでしょ? ざこざこな澪がようやく勝てたのに、まさかポイントだけで済ますわけないって思うじゃない。でもそんな気がないんだなって……まぁ、自信がないんだからこればっかりはしょうがないか」

 

 やれやれと、言わんばかりに欧米人みたいに肩をすくめる動作を見せつけてくるこいつを見て、私は自然と鎖骨付近を手の平で押し付けてベッドへと押し倒していた。

 

 だというのに零膳は怖がるでもなく、怯えるでもなく、ただこっちを挑発的な表情で見上げてくるだけだ。

 

 距離が縮まったからなのかまた頭が沸騰するような零膳の匂いも近くに感じられて、眉間の奥の方から溢れる謎の熱というか、脳汁みたいなのが止まる気配がなくなってしまう。

 

 強い酒で酩酊するとこういう感じになるのかもしれない。別に飲んだことはないけど、多分似たようなもんじゃないの。

 

 自分が冷静でなくなっている自覚はあったけれど、零膳から視線が離せないし、強まる良い匂いが最後に残っていた理性も徐々に剥がしていく。

 

「アンタ負けた癖に調子に乗ってんじゃないよ、わからせたげよっか?」

 

「えぇ~、できるかなぁ……いっつも私が可愛がってあげてる時はされるがままだけど、いざ澪からするってなった時は、なんか下手くそなんじゃないかって思うな」

 

 挑発するようなうっとしい言い方に、普段の私ならイラっとしたのかもしれないけど、今日だけは余裕をもって迎え撃てる。

 

 だって私は勝者だから、零膳の挑発だって楽に受け止められるんだ。

 

 そう、私は冷静……冷静に、勝者の余裕でこいつをいなすだけのこと。

 

「んッ……もう澪ったら、キスが下手くそだよ」

 

 冷静かつ慎重、なんてことを考えながら私はこいつのネクタイを剝ぎ取って、その向こうにある白い肌に噛みつくようなキスをしていた。

 

「うっさい、負けたんだから黙ってな……そのニヤけ面、絶対に消してやるんだから」

 

 零膳の白い肌に、私が吸い付いた赤い跡が残る……そして潤んだ瞳で見上げられた瞬間に、私の中に残っていた最後の理性がどこかへ吹き飛んでしまうのだった。

 

 こいつをわからせてどっちが上かしっかりと示す必要があるだけだから、別にやりたくてやってる訳じゃない。舐められたら最後なだけだし、別にこういうのって気持ちよくもないし。

 

 これは仕返しで、勝った私の権利だ。溶けた理性と破裂しそうなほどに激しい心臓の鼓動のまま、なんとかそう絞り出して自分の行動を正当化していく……本当はむしゃぶりつきたくて堪らないのに。

 

 

 最後の最後に、頭の隅っこの方でかろうじで息をしていた冷静な私が「零膳に溺れてんじゃないわよ」と言っていたような気がしたが、下着を剥ぎ取った段階でどこかに消えてしまう。

 

 フワフワとしたままの頭と興奮で熱くなる心臓の思うまま、こいつの体を好き放題にして、ドロドロと溶け合うような時間を過ごしていく。

 

 

 

 翌日、私は頭を抱えることになるのだけど、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鬼龍院side

 

 

 

 

 

 

 

 

「セックスを前提にお付き合いしてください」

 

 

 

 正直なことを言おう、私は今、とても困っていた。

 

 いや、誰であろうとそうなるだろうと思う。私は世間一般の常識的な学生とは大きく異なる感性で動いているという自覚はあるし、おそらく他者からもそう思われているだろうことも察している。

 

 見る目がないことだと、そう割り切って生きていたし、その感覚を変えるつもりもないので、これほど優良物件だというのにどいつもこいつも一定の距離を取られてしまっているからな。

 

 そんな、所謂一般的な感性を持った学生であろうとも、いきなりこんなことを言われたらさすがに困惑することだろう、それは私だって同じである。

 

「ふむ、ここまであけすけに交際を要求されるのは、おそらくこれが最初で最後だろうな」

 

 しかも今は混合合宿の真っ最中だ。休憩時間とはいえなかなか思い切ったことをする後輩である。

 

「失礼しました鬼龍院先輩。私は零膳一美です」

 

「知っているとも。生徒会選挙で南雲を破った一年生……なかなか興味深い演説だったぞ」

 

「そうですかね? 思ったことを言っただけなんですけど」

 

「この学校では君と同じように考える者は少ないからな……当初の理念から大きくズレていると感じていても、言葉にされるまでは自覚がないものさ。君のあれのおかげで、目が覚めた者も多いかもしれんぞ、生徒も学校もな」

 

「私に言われなくても改善するのがまともな組織なんですけどね」

 

 辛辣な言い方だ。おそらく零膳はこの学校になんの期待もしていないのだろう。Aクラスで卒業する特権も、無駄に豪華で使いどころのないガラスの靴と思っている類の人間だった。

 

「あぁ、遅くなってしまったが、生徒会長就任おめでとう。実に見事な手際だったぞ」

 

「普通にやったら普通の結果が出ただけですよ、特別なことは何もしてませんしねぇ」

 

「そうかな? 君は体育祭の最後のリレーで南雲に勝ちを譲ったように見えたぞ。あいつを油断させる為にな……違うかい?」

 

 すると零膳の顔が少しだけ鋭くなる。こちらを見上げる瞳はよくできた一年生の後輩から、こちらを値踏みする大人の顔となっていた。

 

 内心と表情を使い分けるのは上手な子だな、長く生きた老人でもあるまいし、本当によくできた後輩だ。

 

「おかげで南雲も油断した。最後の最後まで、自分が負けることを想像もしていなかったぞアイツは」

 

「それは南雲先輩が悪いと思います」

 

 それはそうだな、あいつの敗北は全てアイツの慢心が原因だ。おかげで二年生は治安が崩壊してこれまであった南雲政権とでもいうべきものが完全に消滅してしまった。ある意味では、健全なクラス闘争に戻った訳ではあるが……今度は桐山の奴が調子に乗り始めるだろうから、これはこれで面倒ではあった。

 

「ところで」

 

「はい」

 

「君はいつまで私のヘソに鼻先を突っ込んでいるのかな?」

 

 

 今は混合合宿の真っただ中である。三年生から一年生までそれぞれがグループを組んで他のグループと競い合い、成績を高める大規模な特別試験の最中だ。

 

「休憩時間が、終わるまで?」

 

「なる、ほど……私も変わり者だと言われることは多いが、君はそれ以上かもしれないな」

 

 一応は休憩時間なので、多少の自由はあるだろう。現に私は古校舎の片隅にあるベンチで一休みしている訳だしな……そんな私の近くにいつのまにかやってきて、目の前で跪いた零膳は、そのまま座っている私の腹部に顔をうずめて腰を両手でしっかり押さえると、ヘソに鼻先を突っ込んできたのだ。

 

 まるで泣きじゃくる子供をあやす親のような姿勢である。尤も、そこまで健全なものではないのだが。

 

「ん……こら、身じろぎするな、くすぐったいだろう」

 

「鬼龍院先輩、滅茶苦茶いい匂いがします」

 

「深呼吸をするもんじゃない・・・・・まったく、まるで私が常識人じゃないかこれでは」

 

 ジャージ越しとはいえ、熱っぽい呼吸をへそ付近から感じられて擽ったい。そんな私の反応を楽しんでいるのか、零膳は頬擦りを繰り返す。

 

 生徒会長演説で見せた怜悧で強いカリスマを感じさせる姿とは程遠いが、もしかしたらこちらが彼女の素なのかもしれないな。

 

 まったく、どうやら休憩時間が終わるまで放すつもりはないらしい……もうしばらくは付き合ってやるか。

 

 

「それで、なんだったか? あぁ、交際を申し込まれているんだったな、私は」

 

「もしかして恋人とかいたりしますか?」

 

「いいや、あいにくとそんな気の利いた相手はいないよ」

 

「えぇ……二年生は何してたんですかね」

 

「ふふ、まったくだな。困った連中だよ、君のように素直に交際を申し込んで来る相手がいないものでな」

 

 素直? うん、まぁ、素直ではあるか、肉欲全開ではあるが。

 

 腹部に顔を埋める零膳の後頭部へ無意識の内に手の平をやると、私はそのまま艶のある髪を指先で梳かしていく。

 

 ただそれだけで、極上の芸術品にでも触れたかのように、心の奥がざわつく感触があった……なるほど、この子に多くの人が夢中になるのもわかる気がするな。ただそこにいるだけで、感情が揺り動かされてしまうのだから。

 

「では私と交際しませんか? セックスを前提にお付き合いしてください」

 

「ふむ、君はレズビアンなのか?」

 

「美しい存在が好きなだけです、たまたまその相手が女の子ばかりで」

 

「なるほど」

 

「綺麗な人に触れたい、キスしたい、愛し合いたい、それが無理でも眺めていたい、きっと私は欲望に素直なんだと思います。好きな人に好きって言って、美しい誰かをもっと知りたい、常々そうありたいと思っていますね」

 

「そうだろうとも……そして驚くことに、君の言葉に一つの嘘もない」

 

 人はただそこにいるだけで様々な情報を発する。よく観察すれば何を思っているのか、どう感じているのか、何を伝えようとしているのか、それがよくわかる。

 

 私が見る限り、本当に驚くことに零膳の言葉に一つの嘘もない。私を美しいと思っていることも、触れたいと思っていることも、肉体関係を結びたいと願っていることも……いっそ奇妙に思えるほどに邪念がない。

 

 邪念がないというのに、肉欲全開という、明らかに矛盾しているというのに零膳は両立させているのだから、本当におかしな話だな。

 

「嘘なんてつきませんよ、先輩のことを綺麗だって思ってることも、付き合いたいって思ってることも、えっちしたいって思ってることも、心からの本音ですから」

 

「だとしても、もう少し言葉を飾ろうとは思わなかったのか? 交際を申し込むというのは、世間一般的にロマンチックな雰囲気を作るものなのだろう?」

 

 すると私のへそに鼻先を突っ込んでいた零膳は、少しだけ離れてから視線を上目遣いにしてみせる。

 

「でも鬼龍院先輩は、下手に言葉を飾って偽ってもすぐ見抜くでしょう? それならストレートに言葉を伝えた方がずっとマシじゃないですか……それとも小賢しく立ち回って距離を詰められた方がよかったですか?」

 

「なるほど、それに対する答えは「いいや」だ。ウチの学年の連中も、君ほど素直ならば、私ももう少しは気分よく過ごせただろうさ」

 

 お礼とばかりに、また後頭部を撫でると、零膳は気持ちよさそうに表情を緩めた。

 

「思っていたよりも悪い気はしないものだな……嘘も邪念もなく、ただ真っすぐに私が欲しいと言われるのは」

 

「はい、鬼龍院先輩にはそういう感じが一番だと思いまして……好きです、綺麗です、一目ぼれでした、溶け合うように愛し合いたいです」

 

「ふむ、同じ言葉を誰にでも言っていそうだな、君は」

 

 少しだけ視線が逃げるように揺れ動く……まったく、本当に素直な子だな。

 

 ここまでストレートな言葉で誘われると普通は不快感が先に来る筈なのだが、零膳ならば不思議と悪い気はしないのだから、この子が持つ魔性とでもいうべきものは本当にとてつもないのかもしれない。

 

 もっと知りたいと、触れたいと、近づきたいと思わせる才能……これもまた実力の一つと言えるのだろう。

 

 事実、私は嫌な気分になっていないのだから、彼女が持つ魔性に毒された一人なのかもしれないな。

 

「ふッ、ははは……まぁ、そこまで欲望全開でありながら、不快な思いを感じさせないのは素直に褒めておこう」

 

「お、好感触ですね」

 

「あぁ、ウチの学年の連中と違って、実に面白いよ。君のような生徒が同級生であったならばと思う」

 

 そうすれば退屈せずには済んだだろう。しかしこうして一年遅れで出会えたのだ、多少の火遊びくらいはしてもいいのかもしれない……なにせ私の学年の生徒は、アレだからな。

 

「しかし問題はあるぞ、私はこう見えて生娘でね、男は勿論のこと女ともそういった関係になったことはない……正直なことを言わせてもらえば、どうすればいいのかわからない」

 

「そこは大丈夫ですとも……私が、沢山愛しますから。ドロドロのトロトロになるまで溶け合うような時間を約束します」

 

「なるほど、それは楽しみではあるな」

 

 妖艶な、それでいて可愛らしく、性別を超越した美しさを放つ零膳の笑みを見ると、まぁそう悪い気もしなくなってくるのだから、ここまで来ると魔性と言うよりは神性と言うべきなのかもしれない。

 

 なんであれ、これからのことを少し楽しみに期待している時点で、きっと私の返答は決まっていたのだろう。

 

「しかし今は試験中だ、学校に帰ったら君に色々と手ほどきして貰うとしよう」

 

「お任せあれ、最高の夜にしますとも」

 

 そこでようやく零膳は私に抱き着いて拘束していた両手を解いて立ち上がり、私と同じようにベンチへと腰掛けるのであった。

 

「さて、グループリーダーの橘先輩が、そろそろ呼びに来るでしょうし、まずは試験を頑張りましょうか。目指せグループ評価一位!! そんでクラス移動チケットとプライベートポイントも手に入れましょうね」

 

「ポイントはともかく、君にチケットはいらないだろう?」

 

「そうでもありませんよ、仲の良い友達にあげたりしたいんで」

 

「仮に私たちのグループが一位になったとしても、報酬は山分けなのだから……いや、橘先輩も私も、チケットはいらないな」

 

 必然的に、この特別試験の報酬であるクラス移動チケットは一年生の零膳に渡ることになるだろう。それを計算してこの子はこのグループを作るように橘先輩を誘導したのかもしれないな。もっと言えば、生徒会長という立場からルールや報酬作りをしていたとも考えられる。

 

 さっきまでの肉欲全開な発言と、怜悧かつ冷静に物事を進めていく姿、どこか二面性があると感じながらも、それもまたこの子の魅力の一つになっているのかもしれない。

 

 休憩時間が終わり、混合合宿試験が再開するので私たちはベンチから立ち上がって古校舎へと歩いていくのだが、零膳は自然と腕を組んでくるようになったので、連れ添って歩くようになる。

 

 なるほど、気恥ずかしさや照れもあるが、この距離感は悪いものでもないか……既に愛おしさを感じさせてくるのだから、本当にこの子は天晴と言うしかないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

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