サトノダイヤモンドが砕けたら   作:アマシロ

13 / 15
【ダイヤED】ダイヤモンドの輝き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――無敗の皐月賞ウマ娘、トレーナーにキス!?

 

 

――――サトノダイヤモンド、ついにサトノ家のジンクスを破りGⅠ初勝利! その影にはトレーナーとの熱愛!?

 

 

――――接触、進路を塞がれてもレコード決着! サトノダイヤモンドはサイレンススズカの再来となるか!? サイレンススズカの圧倒的ゴールインレコード!

 

 

 

 

 

「うごごごご………何なのだ、これは! どうしたらいいんだぁ…?」

 

 

 

 

 最初の記事が一番直截的でヤベーかなと思ったら、写真は泣きながら抱き着くダイヤの写真で「感極まったんだろうなぁ」と微笑ましくなる内容。あえてタイトルと落差を付けているのかダイヤの背負っていた重圧の話も盛り込んだりしている。ちな月刊トゥインクル。

 二番目の記事はもうなんか熱愛疑惑について語っており、チームカペラでアシスタントトレーナーをしていたことも書かれている。どっから拾ってきたんだ…。

 三番目の記事はサイレンススズカの(恋愛的な意味で)再来みたいな記事であり、もうなんか週刊誌ですかねという感じ。ゴールインって結婚の方かい!

 

 

 

 

 

 

「――――婚約です!」

「どうした急に」

 

 

 

「婚約すれば大丈夫ですよ、トレーナーさん。世間の皆様もきっとわかって下さいます」

「俺がロリコンだってことを?」

 

 

 

 キラッキラしたサトノの至宝な笑顔をばら撒くダイヤは今日も元気だ。

 GⅠの夢、サトノ家のジンクスを砕いて解き放たれたサトイモは、もうなんか暴走機関車と化していた。

 

 具体的には婚約を迫ってきたり、隣に座って身体を寄せてきたり、胸を当ててきたり。いつからトレーナー室はそういうお店になったのか。

 

 

 

 

「むぅ。私はもう子どもじゃないですよ?」

「いやジンクス破ろうと色々やってるあたりお子様だからな」

 

 

 

 だいたいこちとら二十歳を超えても自分の精神お子様っぷりに悩んでいるのだ。仕事で辛いとすぐメンタルやられそうだし、胸元見えそうだとつい見ちゃうし。頑張ってる横顔とか美人だなーと見惚れることもある。自分の思考が子どもと大して変わらないと気づけないダイヤはお子様で十分。

 

 

 

 でもな、正直期待してたんだ。

 GⅠ勝って、ダイヤも一つ大人になって、大人しくなるんじゃないかなって。

 

 

 

 

 

―――――だがサトノダイヤモンドは、砕けた。

 

 

 

 ぶっちゃければ遠慮がなくなった。

 あれ、トレーナーさん別に口だけで嫌がってないし大丈夫かも? みたいな気づきを得てしまったのか、既に外堀を埋められて土俵際に追い込まれ、まわしを剝ぎ取られて取ったどーされているような気がする。

 

 

 

 

 流し目(口笛並みにへたっぴ)とともにスッと腕を絡めてくるダイヤ。

 胸当たってるんだけど。

 

 

 

 

「――――つまり私を自分好みに染めたい、と…?」

「遠慮がちで淑やかなお嬢様が好み」

 

 

 

 

 

 腕が離れた。

 危ないところだった。めっちゃ疑う目で見てくるが、嘘はついてないぞ。遠慮がちで淑やかなお嬢様が、自分にだけ頑張ってアピールしてくるのいいよね。……今の状況? 割とそうだけどそう思えないあたり天性の才能だと思うぞサトイモ。

 

 

 

 

 

「…………いつもの私みたいな?」

「…………………………うーん。いや、メジロアルダン」

 

 

 

「アルダンさんってけっこう押しが強いような……」

「覚悟決まってるよな」

 

 

 

 

 瞬間、むすーっと頬を膨らませたダイヤに頭を抱き寄せられ。

 当然のように吸い込まれる先は胸。母性の塊とかなんとかいうけど結局は脂肪分なんだよ。やわらかいしなんかめっちゃいい匂いするけど、脂肪の塊だから大丈夫。これはダイヤの腹。食べ過ぎ二段腹。はちみー自棄飲み腹。

 

 

 

 

「――――私だって覚悟くらいあります! GⅠはもう勝ってサトノ家の悲願は果たしたので、必要とあらば今すぐにでもトレーナーさんと添い遂げる覚悟です!」

 

「むぐ、むぐぐぐぐ(いややめようね)」

 

 

 

 

 

 ギブ、ギブ、と腕を叩くとなんとか解放される。

 (少なくとも表面上は)平然としている俺を見て、ついでに下半身のある部分あたりを見てダイヤは愕然としたように言った。

 

 

 

 

 

「そんな……私の無駄に育ったおっぱいが効かないなんて……」

「おっぱい言うな」

 

 

 

 俺の中のダイヤちゃんイメージを崩さないでくれ。

 レースに勝って、喜んではしゃいでたダイヤは可愛かったぞ。

 

 

 

「トレーナーさんってもしかして……ロリコン?」

「もしそうならお前とか好みドストライクだっただろうな」

 

 

 

「じゃあ両想いですね♡」

「話聞いてた?」

 

 

 

「じゃあトレーナーさん。無敗の三冠ウマ娘になったら一緒に温泉旅行に行きたいんですが、いいですよね?」

 

 

 

 

 にっこり笑顔がかわいい。が、言ってる内容は可愛くないぞ。

 

 

 

 

「負けた時メンタル崩壊しないで地道に新しい恋を探すならいいよ」

「――――それは、私への挑戦(ジンクス)ですか?」

 

 

 

 

 いやお前ジンクスの意味おかしくない?

 そのうちなんでもガンダムガンダムで話すガンダム馬鹿みたいなジンクスバカにならない? 俺がジンクスだ! 貴様はジンクスではない! 貴様はジンクスだ、私がそう判断した…。

 

 

 

 

 

「じゃあ無敗の二冠ウマ娘になったら、一緒にショッピングに行って私のお出かけセットを全部選んで下さい♡」

「まあそのくらいなら………」

 

 

 

 

 全部? まあ女子の買い物は長いって言うし、罰ゲームにはちょうどいいだろう。なんかニッコニコでボイスレコーダーの録音を確認してるのが気になるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――――強い! サトノダイヤモンド強い! 完全に抜け出した! 後方から一気にツウカアが上がってくるがこれはもう届きそうにありません! これがサトノ家の、新たな日本の至宝! 無敗の二冠ウマ娘の走りだ! サトノダイヤモンド一着! 秋の京都へ、伝説は続きます!』

 

 

 

 

「勝因ですか? ――――…そうですね、トレーナーさんとの信頼関係でしょうか。私が重圧に負けないよういつも献身的に支えて下さって。私も少しでもお返し出来たらと思っているのですが、トレーナーさんは「ダイヤは子どもだから気にしなくていい」と。嬉しくはあり、悔しくもあるのです。早く大人と認めてもらえたらな、と。そのためにも無敗の三冠ウマ娘となり少しでも恩返しをして、大人だと認めてもらいたくて――――あ、トレーナーさん! どうしましたか? ハグですか、どうぞ♡」

 

 

 

 

 

 や、やめろおおおお!?

 

 ダービー勝利後のインタビューでなんかとんでもないものを垂れ流し始めたダイヤをなんとか阻止しようと慌てて近づくと、キス待ち顔でハグ要求してくるダイヤ。

 

 ダービー勝利後である。

 これでハグ拒否なんてしようものなら血も涙もねぇと流石に大顰蹙。でもさりげなく俺の方からハグしようとしてるような口ぶりだし、逃げ場もない。悪魔かな?

 

 

 

 

 

 

 今度は満面の笑みで抱き着くダイヤが新聞を飾った。

 

 

 

 

 

 

―――――――ジンクスブレイカー、サトノダイヤモンド! 無敗二冠達成! 目指すはトレーナーに捧げる三冠!?

 

 

 

―――――――サイレンススズカの再来! サトノダイヤモンドは無敗三冠なるか。海外雄飛も期待!?

 

 

 

―――――――ダービー圧倒! サトノダイヤモンドはもう誰にも止められないのか!? 圧倒的な実力と、トレーナーとの関係の相関に迫る!

 

 

 

 

 

 

 世間様もダイヤのガチっぷりに『あっ、これネタにできねぇわ』と悟ったのか早々に放棄。何せ強い。とんでもなく強い。そしてこれで取材()で体調を崩したオグリキャップのようなことになっては堪らないと、URAが某サイレンススズカの時と同様に感動の再現ドラマなんかをサトノ家監修で作ったものだからもう誰にも止められない。

 

 強い走り、大胆な告白、そしてめちゃくちゃ可愛いサトノダイヤモンドは、世間の支持をがっちり掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――採用です♡」

「いやあの、ダイヤ……」

 

 

 

 

 ダービー勝利のご褒美。『お出かけセット』を買いに来たのは良かった。

 お出かけ用の服とか、靴とか、靴下とか、帽子とか。水着も、まあいい。良くはないけど。でも下着はアウトじゃね?

 

 

 そして何をいうでもなく、合わせて見せた時の俺の反応(してないつもり)で選んでやがるし……。ちょっとエッチすぎませんその下着? スケスケだぞ。

 

 

 

 

「俺が落ち着かないから、そっちの勝負服っぽい柄のにしない?」

「……しょ、勝負下着ですか? ………はい」

 

 

 

「言ってないが。どうした急に照れないでくれるか?」

「じゃ、じゃあこれにします! ………楽しみにまってますね?」

 

 

 

「おいサトイモ」

 

 

 

 

 

 

 ルンルン気分でレジに向かうサトイモ。

 エロ下着を持ってかれるよりはいいけど、店員に「はっ、サトノダイヤモンドさんが遂に勝負に…!?」みたいな顔されてるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

『―――――サトノダイヤモンド、サトノダイヤモンドが早くも先頭! 最終直線に入ってサトノダイヤモンドが早くも先頭! まだ離す! まだ引き離す! 強い! 強すぎる! 二番手を完全に引き離した! これが新たな伝説の始まりだ! サトノダイヤモンド、無敗三冠達成!』

 

 

 

 

「今の想いを誰に伝えたいですか?」

「――――トレーナーさんです」

 

 

 

 

「サトノ家はGⅠを勝てないというジンクスを破り、そのまま無敗の三冠達成となりました。一番苦しかったレースはどれでしょうか」

「やはり皐月賞ですね。重圧に負けないよう必死に堪えていましたが、独りではきっと耐えられなかったと思います。皆様の、そしてトレーナーさんの応援のお陰で勝てたと思っています――――あっ、トレーナーさーん!」

 

 

 

 

 

 

 

 モウヤメルンダッ!

 止めないと延々と惚気を垂れ流すダイヤに堪らず出てきてしまうが、コレ狙ってやってるよね?

 

 

 

 

 

 

「次の目標は何でしょうか」

「そうですね。キタちゃん―――私の大事な親友とのレースでしょうか。勝って、私は前に進みます―――いいえ、勝たないと進めないから」

 

 

 

 

 

 どうした急に真面目になって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ともあれ、無敗の三冠――――想いの力で運命を覆した以上、俺も覚悟を決めなければならないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――この圧倒的なまでの攻勢に耐え抜く覚悟をな!

 

 

 

 うおおおカレンチャンのお兄ちゃん俺に力を貸してくれぇええええ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――混浴です♡」

「知ってた」

 

 

 

 まあ温泉旅行と言われて、わざわざダイヤが用意するくらいだから部屋風呂で混浴だろうなって。でも流石サトノグループ、いい温泉用意するなぁ。

 

 屋外露天風呂でありながら、本日貸し切り。

 タオルで身体を隠しただけのダイヤが露天風呂で待ち構えていたが、そんなことだろうと思ったので冷静に身体を洗っていく。

 

 

 

 

「あ、あれ……? ってトレーナーさん!? お背中、お流しします!」

「うん、ありがとう」

 

 

 

 

 

 あー、自分で背中流すより汚れが落ちるような気がするわー。

 何を思ったか自分の手を泡立てて洗ってくるダイヤのお陰ですべすべである。

 

 

 

 

「ど、どうですか? 痒いところとか、固いところとかありませんか?」

「ないよー」

 

 

 

 そのままガチガチに固くなってるダイヤの背中も洗ってやり、二人で湯舟に浸かる。

 

 

 

 

 

 

 かぽーん。

 

 

 

 

 なぜ鹿威しがこんなところに。

 とかなんとか考えていると、ダイヤが不安げな声で言った。

 

 

 

 

 

「……その、ご迷惑……でしたか?」

「ん-。まあそんなに捨て身にならないで欲しいなとは思ってる」

 

 

 

 

 

 

「………だってトレーナーさん、全然振り向いてくれないんですもん」

「大人しくしてろ中学生」

 

 

 

「据え膳食わぬは男の恥というジンクスが……」

「膳じゃないだろ。まだイモだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 破っちまえそんなジンクス。

 ずーん、と暗くなったダイヤを横目に見て。……胸でっか。浮いてね?

 

 ………細い肩だ。ここに、どれだけの重圧が乗っていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「………サトノ家のジンクス。皆が悲しそうだから絶対破って見せるって言ってたな」

「トレーナーさん……?」

 

 

 

 

 まだ小学生の頃だったか。

 遊びたい盛りだし、実際走ってレースに勝つのが楽しかったのも、褒められて嬉しかったのもあると思う。

 

 

 

 

 

 

「でも、テイオーの怪我で泣くキタちゃんを励ましたり。昔から子どもらしくないくらいには優しくて、意志が強くて」

 

 

 

 

 

 

「いつも期待に応えてばかりだから、やりたいことを我慢してないか心配だった。背伸びして、意地張って、それでも意地を貫き通せる固さがあって。だからこそ、いつか砕けてしまうんじゃないかって心配だった」

 

 

 

 

 

「――――守ってやりたいと、ずっと想ってたんだ」

「トレーナー、さん…?」

 

 

 

 

 

 なんでクソ難しい中央のトレーナー資格を取ったのか。

 自分でもよく分かっていなかったけれど。本当は、君が夢を叶えるのを近くで見たかったんだろう。

 

 ジンクスを破ってあげられる自信もなくて、ただ運命に任せていればなんとかなると思って、そんな勇気も持てなかったけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、本当は嬉しかった。君に必要だと言ってもらえて。………なあ、ダイヤ。いつも一生懸命で、負けず嫌いで、誰よりも輝いて(楽しんで)る、君のことが好きだよ」

 

 

「…………ほんとは、わたしに、興味なんてないのかなって……」

 

 

 

 

 

「いやあるけどね」

「…………いつも、いつもいつも! 子ども扱いばっかりして! おっぱいだっていつも見てるのに触らないし!」

 

 

 

 

「いつもは見てない」

「見てます! ………ぐすっ、恥ずかしかったのに……ハダカにだってなったのに………こっちを見てもくれないし……っ!」

 

 

 

 

「だって見たら耐えきれる自信ないし」

「耐えなくていいんですっ! ばか! トレーナーさんのバカ! ばかばかぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 あふれた想いを涙にして零しながら、抱き着いて泣くダイヤを宥めるように撫でる。

 

 

 

 

 

 

 

「……結婚できる年齢になってもダイヤの気が変わってなかったら結婚しようか」

「…………じゃあ、それでいいので指輪ください」

 

 

 

 

「ポテトリングでもいい?」

「縁日でもらったヤツならまだ取ってありますけど」

 

 

 

 

 それはポテトリングじゃなくてあれじゃん。子どもダイヤに強請られて渡したら左手の薬指に嵌められてダイヤのお父さんに凄い顔されたおもちゃの指輪じゃん。まだあるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ俺の一番好きな宝石………ダイヤモンドでいいかな」

「…………………採用ですっ」

 

 

 

 

 

 

 せっかくの笑顔も涙でぐしゃぐしゃで。

 でも、それなのに今までのどんな時よりも、ダイヤモンドは輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

















読む必要性はないあとがき









というわけでダイヤエンド完結です

あとは黒いバックでうまぴょい伝説を流しましょう







アニメ見ましたが、本当は重圧で苦しんでたダイヤちゃん解釈一致で良かった……泣いた。こっちのダイヤちゃんあんまりレースの重圧感じてなさそうなので、このトレーナーもいた意味はあったんでしょう。何度も泣かせてますが。





あとはライスエンド書いて終わり!




読者も好きなキャラの二次書いて♡ トレーナーに愛叫ばせて♡
推しのカワイイをぶつけるだけである程度形になるしいけるいける











いちおう真面目な後書き2




とりあえず書き始めた切っ掛けは名言した通り、ごまだれ醤油様のダイヤ二次(あとアニメ)なんですが。

皆様の温かかな感想、評価のお陰でこの一発ネタもまあそれなりに仕上がったのではないかと思っています。実際楽しかったです。ありがとうございました。




ライス編を続けて書くと脳が破壊されるので暫し待たれよ

 


 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。