サトノダイヤモンドが砕けたら   作:アマシロ

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文字数減らしてある程度の更新ペースを維持する作戦







珠玉のメイクデビュー

 

 

 

 

 

 

――――『RKSTポイント合計5億のデビュー戦!!』

 

 

 

 要は史実でいう落札額の事だと思うが、引退したトレーナーやウマ娘評論家などがウマ娘の能力を分析し、総合的な評価を数値化したものであるらしい。

 それが2億3000万ポイントのダイヤと、それを超えるポイントのウマ娘もいるのだとかでトゥインクルシリーズのメイクデビュー界隈では賑わいを見せていた。

 

 

 

 

 

「――――サトノダイヤモンドが来たぞ!」

「……今日は記者のみなさまが多いようですね」

 

 

 

 というかトレセン学園は一応学校なのだし、練習スペースの外とはいえ記者が気軽に入れるのはどうなのだろうか? 興行の側面が強いから仕方ないのか……?

 

 

 

 

「サトノダイヤモンドさん、お話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 

 

 

 

 いや邪魔だけど……ちらりとダイヤに目線で問いかけると受けるみたいなので仕方なく、とりあえず取材の時間だけあらかじめ制限しておくことにする。

 

 

 

「すみませんが練習場所の時間もあるので3分以内でお願いします」

「ありがとうございます! デビュー戦高ポイントウマ娘対決となりましたが意気込みをお聞かせください!」

 

 

 

「まあ、そのような呼ばれ方をしているのですね。注目していただけるのはありがたいことです。評価に相応しいデビュー戦にいたします」

 

 

 

 落ち着いて答えるダイヤは流石に手慣れている。

 まあ落札額準拠なあたり高くても走らないなんてザラなので、本当に話のネタにされる程度だろう。

 

 

 

「プレッシャーはありますか?」

「それはみなさん同じですから」

 

 

 

「練習の手ごたえはいかがでしょうか」

「そうですね…。今のところ順調です。この調子を保てるよう精進してまいります」

 

 

 

 

 ほどほどのところで切り上げて練習用のトラックへ。

 僅かながら疲れてそうなダイヤに水のペットボトルを差し出す。

 

 

 

 

「ほら」

「ふぅ……あっ、ありがとうございます。えへ、ちょうど喉が渇いてしまって……どうしてわかったんですか?」

 

 

 

 

「まあ昔からサトイモがお茶出しのタイミング上手かったからな。参考にさせてもらっただけだ」

 

「そ、そうですか? ……あの、トレーナーさん? やっぱりいつも通りダイヤって呼びませんか?」

 

 

 

「呼び捨てにしたことは一度もないと思うが」

「……じゃあ一度試してみましょう? ね? ね?」

 

 

「やだ」

「むぅー」

 

 

 

 

 

 とりあえず変な緊張もしていないみたいだし、このくらいの注目度なら問題なさそうだ。

 もちろんGⅠになったりするとまた別なんだろうが……。

 

 サトノダイヤモンドはメイクデビューで負ける運命にない。

 これで負けたりしたらむしろ悪影響ということで潔くトレーナーを辞めた方がいいかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、デビュー戦当日――――。

 

 

 

 

「――――いよいよですね」

「そうだな。夢への第一歩――――もしメイクデビューで負けたりしても俺が責任を取ってやるから安心して走ってこい」

 

 

 

 クビが飛んでも、まあ中央トレーナーの称号があれば地方レースなら生きていけるかな…。そんなことを考えていたら、何故かダイヤがめちゃくちゃ嬉しそうな顔で振り返ってきた。

 

 

 

「えっ!? 責任……取って下さるのですか?」

「? まあそうだな、ダイ……サトイモがこんなところで負けるわけないけど」

 

 

 

 

 責任もって中央トレーナーを引退しよう。

 やっぱり平然としていても重圧はあったのか、急に血色がよくなったダイヤになんとなくまあこんなトレーナーでもいる意味あったのかなと思う。

 

 

 

 

「むぅ………そうですね。今は、その…トレーナーさんのその言葉が聞けただけでダイヤは嬉しいです」

 

 

 

 

 いやでも、やっぱり中央トレーナー辞めたら困りそうだな。

 まあ言ったからには負けたら責任取るけど、勝ってほしいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

 

 

 

 

 

 

『さあ最終直線に入って外から6番サトノダイヤモンド。200を切って堂々先頭に変わった。差が2バ身、3バ身と広がった。突き抜けたサトノダイヤモンド! これは強い! リードは4バ身ほどでデビュー勝ちゴールイン!』

 

 

「うわつよ」

 

 

 

 

 

 最終コーナーを回ってスルリと抜け出し、余裕を持ってリードを開きゴール。

 トウカイテイオー直々の抜け出し指導が良かったのか、はたまたマックイーンに教わった最終コーナーからの速度アップというかロングスパート?も良かったのか。

 

 まだまだ余力がありそうなダイヤにひとまず指導方針は間違ってなさそうに思える。

 

 

 

 

 

 

「――――トレーナーさんっ!! 私、ついにデビューしたんですね!」

 

 

 

 

 なんで体操着でこんなに胸がエラいことになってるんですかね。

 仕方ないので胸を見ないようダイヤの目をガン見しつつ鷹揚に頷く。

 

 

 

 

「ああ。期待以上だったぞ。レース運びも仕掛けどころも良かったし、最終直線での脚色も良かった。冷静に、余裕を持って勝ててたのも流石だ」

「え。……あ、その……ありがとうございます?」

 

 

 

 

「……珍しく褒めてるのに何だその反応」

「だって! トレーナーさんのことだから反省会からかなぁって」

 

 

 

 

 それは割と調子に乗りやすいサトイモにも問題があるのでは?

 お望みとあらば反省会をしてやりたいところだが――――まあ明日でいいだろう。

 

 どちらかというと自分の反省会を先にやらないといけないし。

 

 

 

「とりあえず今日はしっかり喜んでゆっくり休め。明日からまたバシバシ行くからな」

「はいっ」

 

 

 

 

 

 

 とりあえず想定よりもマークが厳しかったのは―――やはりGⅠウマ娘との模擬レースの噂が広まったせいだろうか。その模擬レースの効果もあってこのくらいなら楽勝できるからまだいいとして、下手を打てば肝心の皐月賞でマークに封殺される可能性もなくはない。

 

 何も考えずに迂闊に動きすぎた。

 どこかのサイレンススズカも、日本ダービーで大逃げ合戦したサニーブライアンに苦戦していた(ように見える)ことだし、後方からのレースになるダイヤなら更に顕著になるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 ダイヤの意志の強さは良く知っている。

 GⅠに、サトノの家に懸ける想いも。まあ本質的には大好きな両親を喜ばせてやりたいのが一番なのだろうが――――名家のお嬢様として期待を背負い続けた彼女には、それに応えたいという願いがある。

 

 

 

 たとえ皐月賞で負けても、ダイヤは飲み込むだろう。

 ダービーで負けても、諦めたりはしないと信じている。けど、あの子の意志の強さがそれこそダイヤモンドのように硬くても――――それでも心はキタちゃんとバカやって笑って、レースの結果に一喜一憂して、ときどき暴走する普通の女の子だ。

 

 

 

 

 悲しませたくない。

 笑顔でいて欲しい――――宝塚記念で笑顔のライスを見れた時に、俺もああいうトレーナーになりたいと思った。

 

 あの時はただの観客でしかなかったけれど。俺にダイヤモンドの意志はないけれど。それでも、手を伸ばせば届く今ならば―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

「ダイヤちゃん、凄いレースだったね」

「そうかな、キタちゃん」

 

 

 

「うん、すっごかった! いいなー、あたしもあんな風にビューンって走るのもやってみたいなー」

「ふふっ、ありがとう。キタちゃんはどちらかというと先行だもんね」

 

 

 

 

 夜。寮の部屋でキタちゃんと話す。

 あつらえたように二人部屋になったのは運命かもなんて話したものだけれど、やっぱりキタちゃんと一緒だと安心できる。

 

 ……赤ちょうちんは、ちょっと、寝るときは眩しいけど。

 

 

 

 

「昔からダイヤちゃんの差し脚には勝てないからなぁ……そうするとぶちかまし先行でリードを取っておくしかないというか」

「キタちゃんはスタミナが凄いから……トレーナーさんがむしろもっと前でも楽しそうって言ってたよ?」

 

 

 

「ええっ、お兄さんが!? 逃げ、逃げかぁ……テイオーさんへの憧れはあるんだけど、やっぱり逃げの方が向いてるのかなぁ……ちょっとトレーナーさんにも相談してみよう!」

 

「うんうん。それがいいかも」

 

 

 

 

 

 

 そんな他愛もない会話をしながら、寝る準備を進めていく。

 届いたメイクデビュー勝利祝いのメッセージも一つ一つ返信し、お父さまとお母さまに報告の電話をして――――やっぱりお祝いしてもらうのは誰からでも嬉しいけれど、親しい相手ほどそれは大きくて。

 

 それはお父さまとお母さまであり、キタちゃんであり。

 そしてやっぱり、一緒にトレーニングしてきたトレーナーさんで。

 

 

 

 

 

 

『ああ。期待以上だったぞ』

 

 

 

 

 トレーナーさんの優しく褒める声と、昔からの癖なのか気安く頭を撫でてくる手を思い出す。

 子ども扱いされて拗ねる気持ちと、褒められて嬉しくなる気持ち。

 

 

 

 どうしても“サトノダイヤモンドらしく”いられないような気がするのが、もどかしくて、こそばゆいようで、でも不快じゃなくて。

 

 

 

 

『負けたら責任取ってやるよ』

 

 

 

 

「………うぅー……もうっ! トレーナーさんのバカっ!」

「ええーっ!?」

 

 

 

 

 

「あ、ごめんキタちゃん……」

「だ、大丈夫。びっくりしすぎちゃってごめんダイヤちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠れないのも、顔が少し赤いのも。

 きっと全部キタちゃんの赤ちょうちんの影響のはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 






あとがき





描写の外で何かしらやらかす系♢トレーナー

本人は意識してないが、ダイヤとキタちゃんを褒める時は頭を撫でる癖がある。
責任を取るとはトレーナーを辞めること




お布団奪われる系前作トレーナー

スズカが頭を差し出してくると反射的に撫でる
責任を取るとは結婚して添い遂げること




スピカトレーナー

いいトモを見ると反射的に撫でさする癖がある
責任を取るとはウマ娘が満足するまで美味しいもので賠償すること。財布は死ぬ




 
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