サトノダイヤモンドが砕けたら   作:アマシロ

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デートするとかしないとか

 

 

 

 

 

 

 

 

――――もしかして俺は、ライスとダイヤから憎からず思われているのだろうか。

 

 

 言われてみればダイヤにバレンタインでチョコレートを貰ったり(なぜかクレーンゲームだったが)したし、そもそもトレーナーになってくれと頼まれたのもそれなりに好感度が高かったからなのかもしれない。

 いやでも、子どもの頃から一緒にいるし……まだ中学生だし、特に意味もなく年上がカッコよく思えるだけかもしれない。

 

 

 ライスは、まあうん。菊花賞があんまりにあんまりだったので、感謝されるのは分かる。でもファンだから応援してただけであって、別に心が清らかなわけでもなし……ファンとして応援してる相手に好かれてるとか現実味はない。つまり勘違いでは?と、思ったのだが――――。

 

 

 

 

「……お、お兄さまっ! あのね、今度のお休みの日……ライスとお出かけ……してほしいなって。……ダメ、かな」

「えーーと。OK」

 

 

 

 

 反応に困っていると泣きそうになるライスに思わず頷いてしまう。

 

 

 

 

「……っ、ありがとう、お兄さま!」

 

 

 

 いや可愛すぎか?

 ライスの笑顔のためなら何でもするわ…。という気持ちになったところでこれデートじゃね? と気づく。ライスを見つめると、ちょっと不思議そうにしつつも微笑むライス。かわいい。

 

 そのまま連絡先を交換して、トテトテと嬉しそうに走って帰っていくライスを見送ったところでちょうど練習のためジャージ姿になったダイヤが戻ってきた。

 

 

 

 

「トレーナーさんっ! ずるいです! 私もトレーナーさんとお出かけを―――!」

「え? ああ、予備のシューズでも切らしたか?」

 

 

 

「―――デートです!」

「………デートかぁ」

 

 

 

 

 むんっ、と気合の入ったまなざしで見つめてくるダイヤだが――――いやだってコイツ中等部一年ぞ? 誕生日も1月末だからまだ12歳だぞ。その点ライスは18歳以上。トレセン学園の時間軸はなんかサザエさんとかコナン君ばりにおかしなことになってる気はするがそれはそれ。

 

 で、ライスはアウトはアウトなんだけど……でもライス泣かせてまで断るほどかというと、そうでもない。でも中学生はね、ほら……。

 

 

 

「ト、トレーナーさん…? 私に何かご不満が……?」

「いや流石に中学生とデートは犯罪じゃね?」

 

 

 

 

 ね。だってトレーナーは大学出てるから22歳以上で、更に俺は試験に落ちたので……まあ二十代半ばなわけだ。ダイヤとか年齢半分だからね。やはり犯罪では?

 

 

 

 

「……男の方は若い女性を好むと聞いたのですが……」

「いや生徒って時点でアウトだけど、追加で一定以下の年齢に手を出したら犯罪だからね」

 

 

 

 若いというか幼いんだよ胸以外。

 本格化ってすごい。メジロラモーヌが高等部? うそでしょ…。

 

 

 

 

「というかほら、俺とダイ……サトイモってそこまで何かあったわけでもないし……」

 

 

 

 

 うん、まあ一緒によく遊んではいたけどそれで好かれるか?というとノー。

 むしろ最近はダイヤにちょっと距離を取られてる感じすらあったし。

 

 

 

 

「…………つまり、既成事実が必要…?」

「俺が逮捕されるわ」

 

 

 

「で、では性格面でのご不満は? 直した方がいいところとか……実はその、こういうのがご迷惑とか……」

「いやまあ、素直なのはいいことだと思うぞ。可愛いし。むしろ遠慮がちなお前とか気味が悪いし……お互いに」

 

 

 

 

「そ、そうですか……」

 

 

 

 なんでちょっと嬉しそうなんだろか。

 ダイヤって実はMっ気がある?

 

 

 

 

「ではトレーナーさん。買い物にお付き合いいただきたいのですが」

「ん-、まあいいけど」

 

 

 

「トレーナーさん」

「うん?」

 

 

 

「――――覚悟、しておいてくださいね♪」

「何を!?」

 

 

 

 

 

 夜討ち朝駆け、切り捨て御免だろうか。

 一瞬何故か脳裏で「かたじけのうござる!」と太刀を振るうウララと、「無念なり~」と切られたっぽく倒れるライスが浮かんだが何の知識だコレ。アスランは既に少し錯乱している!

 

 

 

 

 

 

 

――――いやこれ俺二股かけてることになる!?

 

 

 

 そんなバカな……ライスシャワーもサトノダイヤモンドも新人トレーナーには高嶺の花のはず。もしかして気づいてないだけで俺も中央のトレーナーとして何かしらの一流要素が―――――無いな。

 

 

 しかしこんなチャンス一生にもう二度とないだろう。

 けど俺は、生徒に手を出すなんてそんなことは――――いやまあ卒業まで待てばいいのかもだけど。

 

 

 

 

 こ、こんな時どうすれば………誰か相談できる人は―――スズカさんのトレーナー? いやでもあの人は家族同然の幼馴染に夢を掴ませて世界に伝説刻み付けて結婚したからハードルが違うんだよなぁ!

 

 ライスのお姉さま? いやなんかくっつけようという意志を感じるし却下。

 サトノ家のおじさま? いや娘さんが私に惚れてるかもしれないんですがとかもし万が一にも自分が言われたら処すな。却下。

 

 

 

 

 

…………あと、相談できるのが――――。

 

 

 

 

 

 

 

「―――どうしたんですか、急に」

「お助けキタちゃんと見込んで頼みがある――――相談に乗って下さいお願いします」

 

 

 

 

 メッセージアプリで呼び出したキタちゃんにDO☆GE☆ZA。

 当然、流石のキタちゃんも跳ねて驚く。

 

 

 

「うえええーーー!? って、もしかしなくてもダイヤちゃんの…?」

 

 

 

 

 いやなんか察してた。

 

 

 

「うん。だって中学生にデートに誘われてもさ……犯罪じゃん? もし万が一告白とかされた時にね、なんかこう、うまくダイヤを傷つけずに断れないかなって」

 

「うわぁ……えぇ……無理じゃないですか? だってダイヤちゃんですよ?」

 

 

 

 

 それな!

 鋼の意志となんなら天衣無縫とか持ってそうなウマ娘だし。

 

 徹底的に振らないとダメなんだろうけど、担当を振るとかもうギクシャクする気しかしないぞ! それでダイヤがGⅠ取れなかったりしたら申し訳なさ過ぎて腹を切ってお詫びいたします。

 

 

 

 

「というかキタちゃん、俺ダイヤに好かれる要素ある?」

「………」

 

 

 

 うわぁ、本気で言ってるんですかこの人。みたいな顔で見られた。

 普段のキタちゃんなら絶対しなそうな顔なので正直傷ついた。

 

 

 

「本気で言ってるんですか?」

「割と」

 

 

 

「ダイヤちゃんって、いつも期待に応えたくて頑張ってるじゃないですか」

「うん」

 

 

 

「負けず嫌いだし、弱みは見せないように頑張ってるし、マックイーンさんの繫靭帯炎の時くらいです。ダイヤちゃんが弱ってたのは」

「そうだったな」

 

 

 

「その時慰めてあげたの、お兄さんですよね?」

「そうだっけ」

 

 

 

 

 いや正直覚えてない。

 キタちゃんの顔がなんかもう渋~い感じになっちゃってるけどこれはどういう感情なのだろう。

 

 

 

「ダイヤちゃんが子どもらしく振舞えるように、クリスマスパーティを主催してくれたりとか」

「そりゃあ年長者として当然のことというか……」

 

 

 

「誰よりもダイヤちゃんがGⅠ勝てるって信じてますし」

「えっ」

 

 

 

 信じてるというか、知ってるけど。

 でもそんなこと言ったことも無いハズ。

 

 

 

 

「いやあれだけ分かりやすかったら、あたしでも分かりますよ。トレーナー試験合格したとき、ダイヤちゃん嬉しそうでしたよ」

「おぉぅ……」

 

 

 

 

 

 とはいえ、まだ中学生だし……麻疹みたいなものだと思って諦めてもらうしか―――。

 と、何かスッとキタちゃんから差し出される紙が。

 

 なになに。婚約のすすめ?

 

 

 

「なにこれ」

「婚約のすすめです」

 

 

 

「いや、そんなの許されたのサイレンススズカくらいじゃ――――」

「じゃあ、ダイヤちゃんが無敗の三冠ウマ娘になったら婚約してくれますか?」

 

 

 

 

 思わずまじまじとキタちゃんの目を見返す。

 ……ガチだこの子。

 

 

 

「ダイヤちゃんの幸せのためなら、キタサンブラック―――鬼にもなります」

「………無敗の三冠はさ、もうジンクスとかそんなレベルじゃないぞ?」

 

 

 

 

 あのミホノブルボンや、ナリタブライアン、トウカイテイオーでさえ無敗の三冠は叶わなかった。それを、皐月賞とダービーで涙をのんだばかりの、キタちゃんが分かっていないわけがない―――のだけれど。

 

 

 

 

「………なんでそこまで?」

「お兄さんってほんっっとうに鈍いですよね! もうあたしから言えることは何もないので! ちゃんとダイヤちゃんと話してくださいね! それじゃあ!」

 

 

 

 

 シュタタタ、とそのまま全力の逃げを打ったキタちゃん。

 無論、ヒトでしかない俺に追いつけるはずもなく。

 

 

 

「いやちょっと待って!?」

 

 

 

 こっちから無敗の三冠取ったら婚約してやるよ、とかどんだけ上から目線なのかという問題が何も解決してないぞ!?

 

 

 

 

 

 








次回、ライスとデート(たぶん)

ライスとデートに行くなら(※12月)

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