ガン×ソードのクロスが少なくてムシャクシャして投稿した
長編を書く能力はないので三話で完結します
指摘があれば教えてくださると幸いです
episode Ⅰ タキシードは蒼穹に舞う
嘗て、男は地獄の悪夢を見た。
心の底から愛した女性、一生守り抜くと決めた女性、その彼女と生涯を共に生きて行く事を誓い合う、そんな幸せの絶頂の中で男は、その最愛の女性を失った。
彼女が遺した『ヨロイ』を手に、男は彼女を奪った『カギ爪の男』への復讐を決意する。
仇を追い求め、荒野を流離う男は、敵討ちの旅の中で様々な人々に出会った。
出会った日に「あなたのお嫁さんになってあげる」なんて言い放った自分の仇に兄を攫われ、最後まで旅に同行してきた少女
度々現れ、自分に仕事を紹介してくれるお節介な女性
自分を弟子呼ばわりする勇者を名乗る四人のヨロイ乗りの爺さん達
仇の男に自分と同じく最愛の女性を殺され形見の『ヨロイ』を駆り復讐を望む、いけすかない善人と、彼を心配し自分の旅に同行してきた、頭は良いが空気の読めない、その弟
何故か自分を気に入り、旅に同行し最終決戦の前には、自分に告白してきたヨロイ乗りの少女
そんな個性豊かな連中との、出会いを経て旅の先に、遂に男は仇である『カギ爪の男』と再会する
カギ爪の男は、争いの無い世界を望み、それに賛同した者たちと共に、平和な世界を作る為に様々な場所で暗躍し、その下準備を行なっていた。
カギ爪の男を守ろうとする自分と同じ特別なヨロイを駆る強敵との戦いを乗り越えた先の最終決戦、巨大なヨロイに乗った最愛の女性の仇は、優しい声で男に告げる
「貴方の花嫁を取り戻したくありませんか?」と……
計画が成就すれば時間を圧縮し巻き戻された世界で最愛の女性は、生き返る
「私は、最期に、貴方の友達になりたいのです」
仇である自分は消滅し、世界中の人々の意識に入り込み、争いの無くなった平和な都合の良い世界で最愛の女性と幸せな日々を送れるのだと・・・
しかし男は、差し出された手を切り払い言い放つ
「エレナは死んだ!お前が殺したんだ!」
悲しみ、怒り、憎んでも、男は決して現実から目を背けはしなかった
「俺からエレナの死まで奪うつもりか!死んだ奴はな、絶対に生き返らねぇんだ!」
だからこそ
「俺は、そんな与太話を聞きに来たんじゃ無い!俺は!お前をぶっ殺しにきたんだ!」
最愛の女性への想いを抱き、立ち上がった男と、その仲間の活躍によりカギ爪の男の計画は完全に破壊される
そして……
「ヴァン君、私は貴方を愛し 」
切り裂かれ機能を停止した巨大ヨロイの内部に乗り込んだ男は、カギ爪の男と一言も話すことなく、手に持った蛮刀で差し出されたカギ爪と言葉ごとその身体を両断した
男は復讐を果たした
しかし、その顔に喜びは無い
カギ爪の計画は阻止され、目的が果たされたことで仲間達は、それぞれの帰るべき場所へ戻って行く
そして、目的を果たした男もまた、出会ってからずっと一緒だった少女と別れ、纏ったタキシードを風になびかせ、一人、明日へ向かって歩きはじめたのだが・・・
episode Ⅰ 『タキシードは
「や、やっぱり夜の訓練施設っていうのは、慣れませんね……」
『IS学園』
10年前、日本に放たれた数千発のミサイルを一機のパワードスーツが撃墜した『白騎士事件』、それににより世界を変えた兵器、その名はインフィニット・ストラトス、通称ISを学ぶ為、世界中から様々な国籍の人間が集う学園の名称である
その学園の敷地内にある訓練用アリーナの管制室を教師である山田真耶は、ビクつきながら巡回していた
「ですが、織斑先生は、弟さんのこともあって忙しいですし私が頑張らないと!」
本来、今日の巡回の担当は彼女の先輩であり、世界最強のIS操縦者の称号、ブリュンヒルデと呼ばれる女性、織斑千冬が行うはずだった
しかし今年の受験シーズンに彼女の弟、織斑一夏が、女性しか起動出来ないISを起動してしまい、春にIS学園に入学したから、さぁ大変
当人である一夏は、あまり強く認識していないが世界初の男性操縦者の誕生はメディアで大きく取り上げられ千冬は教師としての仕事に加え、マスコミや様々な国のIS研究所から弟を守るべく影ながら奔走し忙殺されている。
加えて当の一夏もトラブル体質であり先日、セシリア・オルコットとクラス代表をかけた決闘騒ぎを起こし、今度2組へ転校予定の中国の代表候補生とも無関係ではないとのことだ
憧れの先輩の力になりたいと、真耶は、副担任として担任の千冬の負担を減らすべく、千冬の仕事を引き受けると申し出た。
千冬は、彼女にしては珍しく申し訳なさそうな表情をしつつも、感謝しその提案を受け入れた
そんなこんなで、本日、最後の仕事である訓練施設の巡回を終えようとしていたのだが・・・
ズガァァァァァァァァァァァン!
「キャッ!な、なんですか!」
突如としてアリーナに響く轟音
「アリーナの中心から!?まさか、ISを狙った侵入者?」
アリーナ上部のシールドの貫通を知らせる警報が鳴り響く中で訓練機である打鉄とリヴァイヴが何機かアリーナの倉庫にあったことが頭に浮かび、他の職員が轟音を聞きつけて到着するまでには時間が掛かりすぎると判断した真耶は現場に一番近い場所にいる自分が早急に対処せねばと急いでISが保管された倉庫に向かう
「とりあえず、機体は無事みたいですね」
倉庫にある機体の無事を確認し安心する真耶
「ですが、音の原因を調べないと……」
リヴァイヴに乗り込み保管庫のシャッターを開いた真耶は、砂埃が舞い上がるアリーナの中央に向けて
ライフルを構えながらゆっくりと進んで行くが……
「 えぇ!? 」
その先にある予想外の光景に驚きの声をあげた
アリーナの中央はまるで隕石が降ってきたかの様に巨大なクレーターができていた。更にその中心にはまるで巨大な剣が突き刺さった痕のような亀裂が真一文字に奔っている
しかし、彼女を何よりも驚愕させたのは、そこに倒れている一人の男の姿だった
黒い髪に細身の長身、手脚も平均より長く黒いタキシードを纏い、頭には正面から見るとS字を90度回転させたように見える独特な形の黒いテンガロンハットを被っている。腰には銃の様なグリップから伸びる布の様なものが巻かれていた
「あ、あなたは?」
その声に反応したかのように、男がフラフラと立ち上がる
「ヴァンだ……人呼んで……」
そう言って男は、再びぶっ倒れた
「えぇ!?ちょっ!大丈夫ですか!?」
すっかり警戒を解き慌てて駆け寄る真耶
それが、二人の出会い
慌てた真耶の声とは対照的に男の帽子の右端についたリングから静かに鈴の様な音が鳴り響き夜のアリーナに溶けていった