IS×SWORD   作:フジ

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いやぁ、モンハンは強敵でしたね……

ウソダヨ、シゴトガイソガシカッタンダヨ、ホントダヨ

今回で歓迎会の話を終えるつもりだったのですが、レイとラウラのシーンが思ったより長くなった為分割しました。歓迎会のシーンは次回に持ち越しです。なので、今回はいつもより少し短いです。

後、ラウラの扱いがキツめに感じる方がいるかもしれないですが、別にアンチとかではないです。終盤ではしっかりヒロインさせるつもりですハイ

しかし、いつになったら戦闘回に辿り着けるのだろうか……





episode Ⅵ 復讐するは我にあり ③

episode Ⅵ 『復讐するは我にあり』 ③

 

 

「(ど、どうしましょう!?)」

 

 

写真を落とした真耶は焦っていた。

本来ならヴァンの所持品は、本人に配慮し目立たないように返却するつもりだったのだが、生徒達や新聞部の薫子がいる食堂で盛大に晒してしまったのだ。

 

当然、好奇心旺盛な生徒達は、その写真に興味を持ってしまう。

 

「ヴァンさん、この写真って?」

 

そんな中、レイが写っていることに反応した一夏が一番にヴァンへと質問する。

 

 

「この写真か? それは……」

 

 

だが、ヴァンが答えようとした瞬間、食堂の扉が開き、歓迎会の出席を断った筈のラウラが現れた。

 

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「その……邪魔するぞ……」

 

 

一度は誘いを断ってしまったからかどこか気まずそうに告げるラウラ。

 

「ボーデヴィッヒさん! 来てくれたんだ!」

 

「やっぱり、クラスメートは全員揃って欲しいもんね」

 

 

だがラウラのラウラの登場に、さゆかと癒子が喜び声をかける。

 

 

「な!? ち、違う! 勘違いするな!私はお前達と馴れ合う為では無く、教官に要らぬ心配をかけまいと……」

 

 

一度は誘いを断った自分に対して明るく接してくれるのが予想外だったのか、狼狽えるラウラ。そこに千冬から声がかかる。

 

 

「来たのか、ラウラ」

 

「ハッ! その……教官、遅れ馳せながら参加させていただきます!」

 

 

「元はといえばお前達の為の歓迎会だ私に気を使う必要は無い。それに、私としても教え子であるお前が参加するのは喜ばしい」

 

「は、はい! ありがとうございます教官!」

 

千冬の言葉に普段の仏頂面が嘘のように表情を輝かせるラウラ。その表情は彼女がどれだけ千冬を慕っているのかを物語っている。

 

「まぁ、正直なところお前が学園でやっていけるのか心配だというのもあるが……」

 

「だ、大丈夫です! 教官の教導を受けた私の手に掛かれば学生生活など容易いものです!」

 

「どうだかな、お前は一般常識に欠ける部分が見られるからな。冗談を間に受ける節もある」

 

「そ、そんなことは!」

 

「フッ……冗談だ。しかし、急に歓迎会に参加するとは一体どういう心境の変化だ?」

 

一度歓迎会への参加を断ったラウラが何故、現れたのか気になった千冬はストレートに問いかける。

 

「そ、その……教官が転入したばかりの私の行動を心配してくださっていると聞いて、要らぬ心配をかけては申し訳ないと思い……」

 

 

「……レイの奴がそう言っていたのか?」

 

 

何処か千冬の様子を伺う様に答えるラウラの言動と先程の自分の言葉を聞いて食堂から出て行ったレイの行動を考慮した千冬は、レイがラウラに接触し歓迎会に参加するように仕向けたことを予想する。

 

 

「あ、あの男は関係ありません!」

 

 

図星を突かれたのか、ラウラは語気を強くしムキになって否定するが、それは逆にレイに何かしら言われたと肯定しているような物だ。ラウラの反応からレイが自分の心配に対して気を回して動いてくれたことを確信し、食堂を出て行く時のレイの不器用な言動を思い出した千冬は思わず柔らかい笑みをこぼす。

 

 

「あぁ……本当にあの男は……」

 

 

いつだって彼は自分達、姉弟の為に尽力してくれる。今だに自分の思いをストレートに口に出す事は多い方では無いが、それでも彼は不言実行と言わんばかりに黙々と自分や一夏の為に動いてくれていることを、千冬は誰よりも知っている。

その事に申し訳なさを感じる一方で、彼の頼もしさに千冬の心は不思議と暖かくなる。

 

 

「(昔の私が今の私を見たらどう思うのだろうな)」

 

 

1人の男に心を乱し頼っている情けない女だと思うだろうか?

実際に千冬自身レイと出会ってからの自分は弱くなったと思う。戦闘技術云々では無く心がだ。唯一の家族である一夏を守る為に、自分1人でひたすら強く在ろうとした嘗ての自分にはもう戻れないと千冬は思う。そうするには、自分は彼の暖かさに浸り過ぎてしまった。しかし、千冬はその事が悪い事だとは思わない。大切な弟と想いを寄せる男と過ごせる今が何よりも幸せだと思えるから。願わくばそんな、『細やかな夢』が何時までも続いて欲しいと千冬は心の底から思っている。

 

そんな想いを胸に秘め、笑顔を溢す千冬をラウラは、まるで苦虫を噛み潰したような表情で見つめていた。

 

 

「(違う……貴方はそんな軟弱な表情(かお)をするような人ではありません! 私の尊敬する教官は誰よりも強く気高い……)」

 

 

孤高であり最強、それこそがラウラの中にある尊敬する織斑千冬の姿だ。今、千冬が浮かべる表情はその理想像を破壊するラウラにとって決して認められないものだった。

 

 

「(教官の輝かしい経歴に泥を塗った織斑一夏。そして、孤高である教官を堕落させる存在、レイ・ラングレン! やはりコイツラは…… )」

 

 

怒りの表情を浮かべるラウラの脳裏には、先程、歓迎会への参加を断った自分の前に現れたレイの姿が浮かんでいた。

 

 

__________________________________

 

 

 

「こんな所で何をしている?」

 

ラウラが歓迎会に訪れる少し前、転入直後ということもあり、学園の施設についてを直接把握しよう1人でアリーナや整備室などを見て回っていた彼女の前にレイは現れた。

 

 

「レイ・ラングレン……!」

 

 

声をかけられたラウラは、嫌悪感を隠そうともせずレイを睨みつける。

 

 

「仮にも教師相手にその態度は問題があるぞ」

 

そんなラウラの反応にどこか呆れたように返答するレイ。だが、ラウラの態度は変わらない。

 

 

「私になんの用だ」

 

「歓迎会の事だ。参加を断ったときいてな」

 

「フン! 私は連中と馴れ合うつもりなどない。あの様なISを扱う者としての自覚に欠けた技術も精神も未熟なガキ共などとはな」

 

「『自覚に欠けた』という部分に関しては同意するが、そういうものを含めて学んでいく場所がこの学園だと前にも言った筈だ。 それに他人を見下したあげく、無自覚に感情ムキ出しで動いているお前も十分に未熟な子供だがな」

 

 

「っ!! 私が劣った存在だとでも言うつもりか!」

 

「違うな、お前は特別でもなんでも無いんだと言っている」

 

 

レイの言葉の何かが引っかかったのか更に語気を強めるラウラだが、そんなラウラにレイは様子を変えず淡々と言葉を告げる。

 

「それと、もう一つ聞いておきたいたことがあった。何故一夏や俺に対して敵意を向ける? 俺達がお前と出会ったのは昨日が初めての筈だ。お前に恨まれるような覚えは無い筈だが?」

 

 

昨日からずっとラウラから自分や一夏に向けられていた敵意が気になっていたレイは、いい機会だとばかりにラウラに問う。

 

「決まっている。 まず織斑一夏、奴は教官の輝かしい経歴に泥を塗った。」

 

「……第2回モンドグロッソでの棄権のことか」

 

「そうだ! 奴が誘拐などされなければ教官の二連覇は確実だった! 奴は教官の枷でしかない! そんな奴が教官の家族だなどと!」

 

「……」

 

感情に任せて思いを吐き出すラウラをレイは何も言わずに見つめる。その表情は感情を一切取り払ったような無表情で、彼の内心は伺い知れない。

 

 

「そして貴様だ、レイ・ラングレン! 貴様の存在は教官を弱くする! あの方は最強のブリュンヒルデだ! お前の助けなど必要の無い絶対の存在だ! ろくにISを使えるのかもわからん貴様がどうやって教官に取り入ったのかは知らないが、教官のコネで学園に就職したような男があまつさえ、教官の弱さを引き出すような真似をするなど!」

 

ラウラにとって、織斑千冬は一種の信仰対象と言っても過言ではない存在だ。千冬がドイツでの一年間の教導を行った際、彼女が抱えていた『ある問題』を千冬は解決し彼女の心を救った。その日から、織斑千冬はラウラにとって絶対的な存在となった。強く美しく何者をも寄せ付けない孤高の存在、それがラウラの抱いていた千冬の人物像だ。しかし、そんな千冬の姿に憧れていたラウラは訓練を終えたある日、翌日の訓練の予定について伺おうと千冬の部屋へ訪れた時に自分の全く知らない表情をする千冬をみてしまった。千冬にそんな表情をさせた存在、それこそが……。

 

 

「私は認めない! 織斑一夏、そしてレイ・ラングレン! 貴様の存在を!」

 

 

その言葉を受けたレイはやはり、表情を変えずに静かに返答する。

 

「言いたいことはそれだけか?」

 

「なんだと?」

 

自分の中にある想いをバッサリと切り捨てるようなレイの言葉にラウラの表情が険しくなる。

 

「どんな恨みを買ったのかと思ったが……なんてことの無い話だな」

 

「何が言いたい!」

 

怒るラウラにレイは淡々と告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「要は千冬にとっての良し悪しなど関係なく、お前は一夏と俺が気に食わないから潰したい。それだけの話だろう。」

 

 

 

 

その言葉にラウラの表情が凍り付いた。

 

「な……ち、違う、私は教官の為に」

 

 

「アイツが一言でも一夏や俺を不要だと言ったのか? そうだと言うならお前に言われるまでもなく、俺はアイツの前から消えている」

 

 

「お、お前の存在は教官を弱く……」

 

「お前といい、篠ノ之束(やつ)といい、何故、千冬に『強さ』を押し付ける? お前達の言う『強さ』は、いつかアイツを潰すものだ。お前は千冬に人並みの幸せを掴む権利が無いとでも言うつもりか?」

 

 

「う、あ……」

 

その言葉にラウラは言葉を詰まらせる。

 

「お前個人が俺を認めないこと自体は構わない。だがな……」

 

静かな口調、だがその言葉には有無を言わせない力が籠っている。

 

「千冬の名を免罪符にして自己満足で千冬の『細やかな夢』を奪うなら、お前は只の恩知らずだ」

 

その言葉にラウラは顔を伏せる。

 

「わ、私は……」

 

そんなラウラに対しレイはどこか諭すように告げる。

 

「お前が千冬を本当に尊敬しているというのなら、アイツとしっかりと向き合うことだ」

 

「っ! 私が教官から逃げているとでも言うつもりか!」

 

「違うとでも? 自分の中にある理想像の千冬以外を認めようとしないお前が、千冬と向き合っているとでも言うのか?」

 

「私に説教でもするつもりか」

 

「忠告だ。現実に耐えられず、悲しみから逃げ続け、大切な人から目を背けていた臆病な男からのな」

 

「? それはどういう……?」

 

どこか遠くをみるような目をするレイにラウラは一瞬、毒気を抜かれる。

 

「(釘は刺した。今日はもういいだろう)さぁな、俺から言いたいことはそれだけだ。所で、話は変わるが歓迎会で千冬の奴が久しぶりに再会したお前と話したいと言っていたが、本当に参加しないのか?」

 

「な、なに!? それは本当か!?」

 

ラウラへの忠告を終えたレイは話を打ち切り本来の目的であるラウラの歓迎会への参加へ話をシフトする。先程までの会話はあくまで、レイ個人としてラウラの今後の行動に注意して先手を打って釘を刺しておきたかったが故のものだ。仮にも教師の立場のレイに子供を言葉責めにして追い詰める趣味など無い。案の定、ラウラはレイの言葉に釣られ、餌をちらつかされた犬のように目を輝かせる。

 

「お前が学園で孤立しないかとも気にかけていた」

 

「教官がわたしを……」

 

打って変わって顔を緩めそわそわし始めるラウラ。

 

「まぁ、参加しないと言うのなら好きにしろ。俺は戻って千冬と話の続きでも「気が変わった! 教官に心配はかけられん! 私も歓迎会とやらに参加する!」そうか、場所は食堂だ。参加するなら急ぐことだ」

 

先程までの態度は何だったのだと言いたくなる掌返しを見せ、ラウラは食堂へと向かう。

 

「いいか! 勘違いするなよ! これはあくまで教官の為だ! お前の口車に乗せられたわけじゃないからな!」

 

去り際にレイに対して捨て台詞を言い残し去っていくラウラ。それを呆れたような表情で見送るレイ。

 

「あの扱い易さは昔の千冬に近い物があるな」

 

一夏に頼まれるがままだったブラコンっぷりが現在よりストレートだった数年前の千冬がレイの頭をよぎる。何かと姉弟に引っ張り回された当時を思い出したその表情はどことなく疲労感が伺えた。

 

「しかし、教師というのはやはり面倒だな」

 

織斑姉弟との出会いで多少はマシになったとはいえ、嘗て邪魔者は容赦無く排除して黙らせていたレイにとって言葉で諭し導く教師という仕事は一向に慣れない。一夏に関しては、本人の聞き分けがいい事に加え、弟であるジョシュアと接する経験で何とかなっていたが、ラウラのような聞き分けの良くない年頃の少女相手への対応などレイにとっては未知の世界である。

 

「あれだけで、ボーデヴィッヒの態度が変わるとは思えん……何も起きなければそれに越した事は無いが……」

 

これからの問題が山積みである事にレイは一人嘆息する。たが、彼はラウラと関わることを止めるつもりは無い。もし、ラウラが問題を引き起こしせば周囲の生徒達やラウラ自身が不幸になることだろう。それは確実に千冬の笑顔を奪うこととなる。ならば、彼女の力になると誓ったレイがやるべきことは決まっている。

 

「これは、本格的にあの男を笑えなくなってきているな」

 

なんやかんやで甘さを捨てきれないタキシードの男の姿が頭をよぎりレイは一人忌々しげな表情で悪態をついた。

 

 

 




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