IS×SWORD   作:フジ

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今回で歓迎会が終わるといったな。スマン、ありゃ嘘じゃ

書いてみたら歓迎会が全然進まなかったので分割です。
終了まで書いたら多分二万字越えちまう。

では、どうぞ


episode Ⅶ 復讐するは我にあり ④

episode Ⅶ 『復讐するは我にあり』 ④

 

 

 

そして場面は再び食堂に戻る。

 

千冬が浮かべる笑みを見て先程のレイとの会話を思い出したラウラは、苦い表情をするが、そこに一夏から声がかけられる。

 

「お?やっぱり参加することにしたんだなラウラ」

 

初日に殴られそうになったにも関わらず、一夏は親しげにラウラへと話しかけた。

 

「気安く話しかけるな織斑一夏、私はお前の事を認めない。教官の汚点を作った貴様が教官の弟などと」

 

親しげに話しかける一夏だがラウラの返答は敵意が籠ったトゲトゲしいものだった。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、その発言は少し失礼ではないのか?」

 

想い人馬鹿にするラウラの言葉に反応した箒を怒りを隠そうともせずラウラを睨みつける。セシリアや鈴も同じ思いなのか表情は険しい。だが……

 

「お前が俺の事を嫌いな理由はなんとなくわかったよ。別に俺のことを認めなくてもいいさ。だけどクラスの皆は、お前と仲良くなりたいと思って歓迎会を開いたんだ。そのことはしっかりと受け止めてくれよ」

 

一夏は、怒った様子も見せずラウラの目を見据えてハッキリと返答する。だが、一夏のその言葉は先程のレイの言葉を思い出させラウラの癇に障った。

 

「貴様も奴と同じようなことを……この際だから言っておくが、私はこのクラスの連中などとは「よお、来たのかチンチクリン」もがっ!!?」

 

怒りに任せクラスメイト達を拒絶する言葉を告げようとしたがその言葉は遮られた。突如ヴァンがラウラに声をかけながら歓迎会用に用意されていたデザートのシュークリームを口に押し込んだからである。

 

「ひゃ、ひゃひほふふ!(な、なにをする!)」

 

「あ? いや、なんかイラついてるみたいだから腹でも空いてるのかと思ったんだが」

 

「んぐっ! 貴様は何故毎回私に対してそう舐めた態度を「そうイライラするな。ほれ、おかわりだ」だから人の話を、もごぉっ!!?」

 

なんとかシュークリームを飲み込み反論しようとするラウラに再びシュークリームを押し込むヴァン、そんなやりとりが後、5回程ループし、ついにラウラが折れた。

 

「もういいわかった! わかったから口に食べ物をいれるな! というか貴様、わざとだろ!?」

 

「スイマセン、つい」

 

「こ、こいつ……!! もういい! ……それで? やけに盛り上がっていたが何があったんだ?」

 

ヴァンとの会話の流れを打ち切りたいラウラは、ヴァンを中心に人が集まっていたことについて質問する。

 

「あっ! そうだった!ヴァンさん! この写真に写ってるのってヴァンさんとラングレン先生だよね?」

 

「ラングレン先生の着てる服が独特だね? なんか時代劇で出てきそう」

 

「メンバーも随分と個性的ですわね」

 

「個性的っていうか、ぱっと見共通点が見出せないんだけど?」

 

ラウラの言葉に反応し写真についての話題が再び交わされ始める。生徒達は写真を見てそれぞれの感想を口にした。

 

「っ! 貴様はレイ・ラングレンの仲間だったのか!?」

 

周りにつられて写真を見たラウラはそこに写るレイとヴァンの姿を見て二人が以前からの知り合いだった事を知り合い、その繋がりについて問いかける。

 

「なんでどいつもこいつも俺とあの野郎を仲良しみたいにしようとしやがる……別に仲間でもなんでもない」

 

勘弁してほしいというような顔をするヴァン、だが生徒達の興味は収まらない。

 

「え? じゃあこの写真ってなんなんですか?」

 

当然浮かぶであろう疑問を述べる癒子。

 

「そいつらは旅をしていた頃に知り合った連中だよ。写真は旅の途中で撮ったんだ」

 

その言葉に薫子が反応した。

 

「旅ですと! それは中々に興味深いです! 一体どういった経緯で旅を?」

 

周りの生徒達も興味が湧いたのかヴァンのが、何を言うのか耳を傾けている。そんな先生達の反応に対しヴァンは目を伏せながら静かに答える。

 

「……見つけ出さなきゃならない奴がいた」

 

「「ヴァン(さん)?」」

 

俯くヴァンの表情はテンガロンハットに隠され伺い知れない、しかしそれを聞いた真耶とシャルロットは、どこか普段と違うヴァンの反応に違和感を覚える。

 

「人探しをしていたってことですか?」

 

「……そんなところだ」

 

「ということは、この人達は旅に同行していた人達なんですか?」

 

「いや、そいつら全員が揃ったのは旅の最後の方だ。出会ってからずっと付いてきてたのは『ウェンディ』の奴くらいだな」

 

当時の事を思い出しながら質問に答えるヴァンだが、『エレナ』に続き、珍しくヴァンから出た女性の名前に真耶とシャルロットがピクリと反応する。

 

「ほほう! それは、この写真のどなたのことで?」

 

同じくヴァンの口から出た女の名前に反応し質問する薫子。

 

「俺の右側に座ってる奴だよ。そのエビフライみたいな髪型の」

 

「ヴァン? 女の子の髪型にその例えはどうなのかな?」

 

「……なんだ? 何か悪かったのか?」

 

「いや、まぁいいよ……」

 

髪を整えるのに心血を注ぐ女性からすればあんまりなヴァンの言いように突っ込むシャルロットだが、デリカシーがなく、無自覚のヴァンには通用しない。

 

「少女を連れての二人旅! 益々、興味深いです! しかし、ウェンディちゃんは、どうしてヴァンさんに付いてきたんですか?」

 

「あー、確か『最初は』盗賊団に攫われた兄貴を見つけるためだったな」

 

その言葉に生徒達がざわめく。

 

「え? つ、つまり誘拐事件ってことですか? 」

 

「詳しくは知らんがそうらしいな、盗賊団(そいつら)がウェンディの兄貴を売り払った相手ってのが、俺が探している奴だったんだよ。 町を襲っていた盗賊団を潰して次の町に行こうとしたら、行き先が同じなら一緒に行こうとか言って勝手についてきやがったんだ」

 

「気のせいかしら、なんかさらっと盗賊団を潰したとか聞こえたんだけど?」

 

ヴァンのさらっとした説明の中に紛れた物騒な言葉に鈴は思わずツッコミを入れるが当のヴァンはどこ吹く風である。無法地帯であるエンドレスイリュージョンでは、殺人や略奪を行う悪党の話など珍しい話ではない。特にヨロイ乗りはそれが顕著であり、旅の中で出会ったヨロイ乗りで純粋に善人と呼べた奴などほんの一握りだった。

 

「気のせいじゃない。俺がウェンディの町に寄った時、アイツの町は盗賊団に襲われていたんだよ。確か、妙に『ラッキー』に拘る奴が仕切っていたな」

 

 

『この世には平等な物が二つある。一つは『死』、そしてもう一つは『ラッキー』だ!』

 

ラッキー(これ)ばかりは神の領域……鍛えようも腕の磨きようもない。だから試したくなる! 自分は神にどう思われているのか知りたくなる!』

 

『ラッキー』に異常な執着を見せ、常に運を試し続ける男、ラッキー・ザ・ルーレット。彼が率いる盗賊団、ワイルド・バンチはウェンディの住む町エバーグリーンの銀行に蓄えられた金を目的に町への襲撃を繰り返していた。

 

 

 

 

「ず、随分と物騒な場所を旅してたんだね。でも、盗賊団を潰したってことは、ヴァンはその町を救ったんだよね?」

 

「最初はさっさと通り過ぎる予定だったがな『助ける理由』も無かったしな」

 

シャルロットの町を救ったという言葉をヴァンは否定する。実際に彼は町を救った気など毛頭無い。そんなぶっきら棒なヴァンの態度にシャルロットは苦笑する。

 

「でも助けたってことは『助ける理由』ができたんでしょ?」

 

だが、なんやかんやで冷徹な人間ではない彼の性格を少しずつ理解してきたシャルロットはヴァンの行動を予想し質問する。

 

 

 

 

『見たか! 『ラッキー』は俺だけの物!』

 

『いいや、違うね。 (自分)を曲げたお前には……もう『ラッキー』は……やらない!』

 

シャルロットの予想通り、エバーグリーンに到着したヨロイ、『ラッキー・ザ・キャノン』で町を蹂躙するラッキーの前に現れたヴァンはウェンディへの恩を返すためダンを召還し、これを撃破した。

 

 

 

「……まぁな、撃たれた怪我を手当てして貰ってな。恩ができちまったんだよ」

 

そんなシャルロットの言葉にヴァンはまたしても投げやりに答えるが、その表情はどこか素直じゃない子供のようだった。

 

「ふん……そんな危険地帯を旅するのに、碌に自衛もできなそうな奴を連れて行くとは呑気なものだな」

 

「よせ、ラウラ」

 

そんなヴァンに対してラウラは冷たく皮肉めいた言葉を放つ。それを聞いた千冬は彼女を諌めようと声をかけるが……

 

「まぁ……確かに戦いでは役立たずだったな」

 

当のヴァンは怒った様子もなくさらりと受け流しながらラウラの言葉に答えた。

 

「だが、まぁ言いたいことはハッキリ言うし、アレで肝の座った奴だったさ。アイツがいると苦手な買い物もしなくて済んだし、行倒れる回数も減ったしな」

 

旅の中で何度も残酷で汚い現実を見ても彼女は決して逃げ出しはしなかったし時には状況を打開する為に身体を張る行動を取っていた。それに誰が相手だろうと自分の考えをしっかりと口に出す所も面倒くさいと感じつつもヴァンは嫌いでは無かった。兄が自分の意思でカギ爪の男についていく道を選んだ事をしってからも彼女は故郷に帰らず自分の意思で兄が正しいのかを見定める為に旅を続け、その中で着実に成長していった。そしてヴァンが旅の途中でカギ爪の男の刺客であるオリジナルセブンに大敗し、初めて『死の恐怖』を知り、一度は復讐から逃げ出そうとした時も、それを責めず肯定した上で、自分一人でも旅を続けると言ってのける程となる。

最初の頃は口煩いガキだと思っていたが、旅の最後、別れ際に見た彼女の姿はヴァンには、出会った頃より一回り大きくなったように映り大人びて見えた。

ヴァンにとって彼女は、戦えないが決して弱い人間などではなかった。

 

「おお! 中々の高評価ですね!」

 

そんなヴァンの言葉に食いつく薫子。

 

「別にそういうわけじゃないが……まぁ、思いっきりのいい奴ではあったさ、出会ったばかりの俺に町を救う見返りに『あなたのお嫁さんになってあげる』なんて言って「「ヴァン(さん)!」」……なんでしょうか?」

 

突如、話に割って入ってきた真耶とシャルロットの声にヴァンは面倒くさそうにこたえる。

 

「ど、ど、ど、どういことですか!? シャルロットさん(昨日の件)では飽き足らず過去にもこんな小さい子に手を出していたんですか!?」

 

「……は?」

 

「へぇ……ヴァンはこんな小さい子にそんなことを言わせるんだ……?」

 

何時ものように顔を紅くして落ち着きなく問いただす真耶と、静かに笑み浮かべながら問いかけてくるシャルロット。その言葉に周囲もざわつき始める。

 

「ちがぁぁぁぁぁぁぁぁう! だから何故そうなるんだ! ウェンディの奴が勝手に言っただけだと言ってるだろうが!」

 

「えぇ〜? 本当ですかぁ〜? 可愛らしくて将来有望そうですしチャンスと思ったり「するわけないだろうが!」ということは断ったんですか ?」

 

「当たり前だ。お嫁さんってのは「『幸せで、幸せで、幸せの絶頂の時になるもの』なんだよね、ヴァン?」……またかよオイ」

 

昨日の真耶に続き、今度はシャルロットにセリフを取られたヴァンは呆れたように彼女に視線を向ける。

 

「フフッ、僕も言ってみたくなっちゃって」

 

イタズラが成功した子供の様な表情で微笑むシャルロットそれに続き箒と鈴とセシリアが会話を繋ぐ。

 

「む、ヴァンさんでもそういう事を言うのだな」

 

「へぇ、アンタにしては悪くないセリフね」

 

「恋愛に無縁そうな印象でしたが、意外ですわね」

 

ヴァンの言葉に意外そうな反応を見せる二人。周囲の生徒や職員も同じようで、女性の名前を碌に覚えようとせず、興味がなさそうにしている彼が恋愛についての意見を述べた事が意外のようだ。

 

「言ったろ、お前らの恋愛模様(アレ)よりはマシな自信があるって……」

 

「どういう意味よ!」

 

「そういう意味だよ」

 

そんなやりとりをしていると再び薫子から質問がだされた。

 

「ウェンディちゃんのことはわかりましたけど、じゃあ他の方達は?」

 

「もしかして、全員分言わなきゃダメなのか?」

 

「そりゃあ、ここまで聞かされたら最後まで聞きたくなりますよ」

 

「……仕方ない。まぁ、歓迎会(これ)の礼ってことでこたえてやるよ。ウェンディの次となると『カルメン』あたりか。写真だとウェンディの隣にいる奴だな」

 

再びのヴァンによる女性の名前呼びに真耶とシャルロットの表情が何かを警戒したようなものとなり、ヴァンの言葉を聴き漏らすまいと、真剣に耳を傾け始める。

 

「へぇ、スタイルのいい方ですね!」

 

「デカイ……」

 

「くっ!」

 

写真を見た生徒達はカルメンと呼ばれた女性のスタイルの良さに女として思う所があるのか思い思いの感想を述べる。特に胸の小さい少女達からは若干怨嗟めいた声が聞こえてくる。

 

「ウェンディちゃんの次にこの方と出会ったんですか?」

 

「いや、カルメンとはウェンディよりかなり前に知り合ってる。こいつは情報屋をやっていてな、俺が探していた相手の情報を売りに時々俺の前に現れるんだよ。後は、俺に仕事を紹介して仲介料で儲けたりもしていたな。中々、金に煩い奴でな」

 

「情報屋ですか?」

 

「あぁ、『カルメン99』とか名乗っていたな」

 

「99? なんかコードネームみたいですね」

 

「カルメンってのは本名じゃないからな」

 

「ほう、では本名は?」

 

「覚えてない。本人も呼ばれたくなかったみたいだしな」

 

「それじゃ、99といのは?」

 

「あー、なんだっけか? 持っている秘密の数やら胸の大きさやらだったと思うが」

 

その言葉に再び生徒達がざわつく。

 

「99……だと……?」

 

「なんという格差……」

 

「くっ!」

 

再び貧乳勢から悲しみのオーラが撒き散らされているがヴァンは面倒くさいとばかりにスルーした。

 

「で、では仕事の紹介というのは?」

 

「俺に頼むんだ荒事にきまってるだろ。」

 

「で、ですよねー」

 

「まぁ、金に興味は無いが、旅費があるに越したことはないからな。なんだかんだで結構助かってたさ」

 

「それで、ウェンディさんと知り合った後に再び現れたと?」

 

「あぁ、『ブリッジシティ』とかいうデカイ橋の上にある町を通る時にな。そこの市長が何日も橋を通行止めしにていたんだが、何故か女を優先的に通すとか言っていてな。俺が追っている奴の情報をカルメンに調べてもらう代わりに俺は市長が裏で何かを企んでいるそのを探ることになったんだが」

 

「へぇ〜、世界にはそんな町もあるんだ知らなかったな」

 

「わたしも〜」

 

ヴァンの旅の話を聞いた生徒達は自分達の知らない世界に興味津々だが、彼の出身についてある程度聞かされている教師陣は、黙ってその話を聞いている。

 

「まぁ、結論から言うと。そこの市長はその町の独立を目論んでいてな。子孫を残す為に橋に足止めしていた女達を拉致して馬鹿でかいヨロイに乗って出航しようとしていやがったんだが」

 

ブリッジシティの市長、バロン・メイヤーはヴァンの仇であるカギ爪の男の仲間であり、ブリッジシティの国家としの独立計画のために10年かけてブリッジシティを巨大なヨロイ『メタルグルー』に改造し、女達を拉致して大海原へ出航しようとしていたのだ。

 

「な!? 最低です! 女性をそんな風に物みたいに扱うなんて!」

 

その非人道的な計画を聞いた真耶から怒りの声が挙がる。同じ女性としてバロンの凶信的な発想に嫌悪感を抱いたのだろう。周りの女性達の表情も険しい。

 

「まぁな、それが気に食わなくてな。結局、女達を助けた後にダンを呼んでヨロイごと叩き潰した」

 

 

 

 

『流れる……我らの夢が! 流されてしまう!』

 

『安心しろ、お前はもう流されない。流れる夢を見ろ、鉄の墓標の下で』

 

ダンにより心臓部である溶鉱炉を貫かれた『メタルグルー』はその鉄の血をブチまけてバロン自身の巨大な鉄の墓標となった。

 

 

 

「なんか荒事と変人の密度が凄いわね……」

 

「まぁ、確かに変わった奴らだったな。なんかヒゲで移動したり攻撃したりしていたし」

 

「ヒゲ? ヒゲってあのヒゲ?」

 

「あぁ、なんか伸びたり突き刺さったり投げ飛ばしたりとしていたが」

 

「ヒゲってなんだっけ?」

 

「教官、もしやHIGEというのは新兵器の名称か何かなのでしょうか?」

 

「……いや、あまり真面目に考えるなラウラ、ヒゲといったらヒゲなのだろう」

 

ヴァンの説明に皆、困惑するが彼はありのまま説明しているだけである。それ以外にもヨロイという言葉が何を指しているのか良く分からず首を傾げている者も見られるがヴァンは面倒なのでスルーする。

 

「ま、まぁ、話をカルメンさんにもどしましょうか」

 

場の空気が混沌としてきた事を察知した薫子は話の軌道修正を図る。

 

「といってもな、その後も度々、俺の前に現れて仕事を紹介したり、おれの依頼で手に入れた情報を解析したりしていたんだが、俺が追っている奴と一緒にいる女に借りを返さなきゃならないとか言い出してからは本格的に協力するようになったってくらいだぞ」

 

彼女は、故郷である町『トリノリア』をカギ爪の男の計画で使用される触媒となる毒性を持つ花『オルフェ』の栽培地にされていることを知り、それを、指示したカギ爪の男に組する女『ファサリナ』に個人的な借りを返す為にヴァン達に本格的に協力することになり、彼女の持つ人脈を活かし、情報解析や仲間集め、各地の技術者達に協力を依頼するなどの形で尽力している。

 

「へぇ、なんか『デキる女』ってかんじでカッコいいですね!」

 

「まぁ実際の所、情報関係や他の連中との連絡は全部アイツがやってたからな。今にして思えば写真の連中の中で一番世話になってるかもな」

 

「またしても、高評価ですね」

 

「目的が別だったとはいえ世話になったのは確かだからな」

 

珍しく素直なセリフは吐くヴァン。そんな彼に職員の一人が声をかける、

 

「フフッ、本当にそれだけだったのかしらね?」

 

「あ? えーっと、どちらさまで?」

 

「あらら、貴方にはやっぱり覚えてもらえないのねエドワース・フランシーよ」

 

もはや、ヴァンが名前を覚えてないことは周知の事実になったのかエドワースは諦めたような反応を見せる。

 

「はぁ、それで今のはどういう意味だ?」

 

「そうね、彼女が貴方に協力してた理由は他にもあったんじゃないのかなって」

 

その言葉に反応したのはやはり、真耶とシャルロットだ。

 

「「どういうことでしょうかエドワース先生!」」

 

仲良くエドワース問いかける二人を見てヴァンは呆れたような表情になる。女というのは、何故こういう話に食いつくのだろうか、というか片割れは男装して過ごしているのだから、もう少し女みたいな反応を抑えろよとヴァンは思う。

 

「まぁ、女の勘なんだけど、案外理由をつけて一緒にいたかっただけだったんじゃないのかなって思ってね」

 

そう言いながらエドワースは意味深な視線をヴァンへと向ける。

 

「そうなんですか!? ヴァンさん!? 背が高くてスタイルのいい『デキる女』が好みなんですか!?」

 

「99か……これからでも厳しいかな? こんな胸を締め付けるような服を着てたら余計に……」

 

そして案の上変なテンションになる二人にヴァンは詰め寄られる。

 

「オイ! だから落ち着けって! 俺とカルメンはそういうんじゃない!」

 

「じゃあ、カルメンさんとは何も無いんですね!?」

 

「…………あぁ」

 

「その間はなんなんですか!?」

 

「いや、まぁ、その、なんだ。俺も良く分からんというか……本当にそういうんじゃないのは確かだぞ?」

 

「意味深なんだけど? もしかして何か言われたのヴァン?」

 

「…………別に」

 

「言われたんだね!?」

 

二人に詰め寄られるヴァンの脳裏によぎるのは、旅の終わりでの別れ際の彼女とのやりとりだった。

 

『あぁ、ありがとな、カルメン』

 

ヴァン自身はあくまで今まで協力してくれたことに対して礼を言っただけのつもりだった。だが、彼は自覚していないがこの時、彼女は初めてヴァンに名前で呼んで貰ったのだ。

 

その言葉を聞いた彼女はいきなり笑い出したと思ったら、頰を染め今までヴァンが見たことの無い表情で彼に告げた。

 

『ねぇ、ヴァン? 私……アナタのこと好きだったみたい。それだけ……じゃあね!』

 

結局、こちらの返事を待たずに彼女は去っていってしまい、ヴァンとしては何が何やらといった状態だったのだが、いざ他人から指摘されてみると、安易に否定できないから笑えない。ヴァンとしては自分に好意を向けてくれること自体は悪い気はしないが、それでも『彼女』以外を恋愛対象としてみることはあり得ないというのが本音なのだが、それを上手く伝えることができるほど彼は器用では無いのだ。

 

「あー、もういいだろ次行くぞ次」

 

「あ! 誤魔化しましたね!」

 

「誤魔化したね。 後で詳しく聞かせて貰うからね」

 

 

どうやら、追求は逃れられないらしい。こんな流れがまだ続くのかと内心で溜息を吐きつつヴァンは話を続ける。

 

「さて、次となると『エルドラ』の爺さん達だな」

 

 

 

 

 

 

 




焦らしていくスタイルPART2
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