いや本当スイマセン仕事先がインフル地獄とかして、その……ねぇ……?察してください……
新年一発目はプリシラ篇です
では、どうぞ
episode X 『復讐するは我にあり』⑦
真耶がヴァンの言葉に間の抜けた声をだしている一方、自分を見つめる真耶の気持ちなど微塵も気がついていないヴァンは薫子へプリシラの話を続けていた。
「その写真の中では最後に出会った奴でな、ヨロイ同士で戦う大会の対戦相手だったんだが」
「大会……ですか? 男性が参加したISの大会というのは聞いたことがないのですが……」
「だろうな……まぁ、細かいところは面倒だから省くが、俺としては嘘ではないとしか言いようがないけどな」
ISとは別の兵器であるヨロイについては知らなかったこと自体はおかしい訳ではないだろうが、男性のIS(に近いもの)の使い手が公式の大会に出場すれば流石に話題になっているだろうことに疑問を感じる薫子。噛み合わない理由はもはや言わずもがなだが、ヴァンはその事を上手く説明できる気も、するつもりもないので、そのまま話を続ける。
「出会った原因は、やっぱりカルメンの仕事の依頼だな。 大会の決勝戦に出場してプリシラの奴に勝てっていう分かり易い内容だったが」
「ヴァンさんにわざわざ依頼したということは彼女は凄腕の乗り手なんですか?」
「決勝進出までは一発も直撃を食らわず、一撃で試合に勝ってきたんだとよ。結構、人気もあったらしい」
「それは凄いですね! 強さに加えて外見も写真集を出している国家代表や候補生にも劣らないですし、人気があるのも頷けます」
ヴァン一向の中でも高機動を誇ったヨロイ『ブラウニー』を駆る少女『プリシラ』は自身の動きに連動するモーションコントロールによる操縦を行うブラウニーの特性を活かし、敵の攻撃を回避し腕に搭載されたニードルで急所を的確に貫く、通称『妖精の一刺し』による一撃での決着を得意としており、その戦闘スタイルに加えて、野郎共ばかりのヨロイ乗りの中では珍しい美少女ということもあり、ヨロイバトルが盛んな町『デュエルパーク』で開催された大会『B-1グランプリ』ではかなりの人気を誇っていた。
「ちょっと、いきなり決勝なわけ? おかしくない?」
そこに疑問を感じた鈴が口に出す。
「雇い主の会社のヨロイは事故が起きたとかで間に合わないってことで、俺を臨時で雇ったんだとよ。えぇっと、つまり……」
雇い主の男が楽しそうにドヤ顔で自分の未来へのプランを喋りまくっていたことは覚えているが、内容に関しては殆ど聞き流していたヴァンは、説明が苦手なこともあり言葉を詰まらせる。因みに、雇い主である鉄道会社『RWC』の登録選手のヨロイの到着が遅れたのは、交通の要衝である大都市『ゾネット』にてヴァンやレイがヨロイで暴れたの原因だったりするのだが本人達は知る由も無い。言葉を詰まらせたヴァンだがそこにシャルロットがヴァンの言葉の意味を察したのかフォローに入った。
「つまり、ダンをその人の会社の機体として登録して代理で決勝に出場したってことだよね? けど、それって……」
途切れた言葉を鈴が拾う。
「替え玉よね……いきなり自社と関係の無い機体を決勝に捻じ込むなんて不正じゃないのソレ?」
「あくまで自分の
その言葉に何かを違和感を感じたのかシャルロットがヴァンへと質問する。
「え? その大会ってもしかしてヴァンの雇い主さんの会社がスポンサーなの?」
「『
「自社の宣伝の為にスポンサーとして大会を盛り上げたうえで、自ら優勝する算段ってわけね。 大方、そのプリシラって子が大会を盛り上げてくれてた内は宣伝になるから放っておいたけど優勝までされては敵わないから急遽アンタを雇ったってこと? 気に入らないやり方ね。大層な肩書きがあるなら小細工なんてしないで真っ向勝負で勝てば良いのよ」
「同感だな。真剣勝負に八百長を持ち込むなど」
戦いでは小細工抜きの真っ向勝負を好む鈴と箒から非難めいた意見が出る。
「それで、プリシラさんはどうしたんですか?」
「八百長に関しては突っぱねたよ。アイツが大会に参加したのは自分のいる孤児院のガキどもの為だったらしいが、八百長なんざしないで正々堂々勝負するとさ」
孤児である自分達を母のように育ててくれたシスターが遺したヨロイを駆り、シスターのように孤児である子供達を守る為に戦っていた彼女は敵であるヴァンに対しても純粋な笑顔で正々堂々戦おうと言い切った。敵意や嫌味の全くない清々しい振る舞いにヴァンとしても毒気を抜かれた思いだった。
「……なんかアレですね。プリシラちゃんがいい子過ぎてヴァンさんが完全に悪役に雇われた用心棒みたいになってますね……因みに手心を加えたりとかは?」
話しを聞けば聞くほどヴァンを応援する理由がなくなっていくことを感じた薫子の口から本音が漏れる。
「するわけないだろ。 アイツの事情だ、俺には関係無い。俺は金稼ぎのついでに試したいことがあったから大会に参加しただけだ。わざと負けるなんて真似するわけないだろ」
だかしかし、その言葉を受けたヴァンから漏れた言葉はしったことかと言わんばかりの素っ気ないものだった。それを聞いた生徒達はジト目でヴァンを見つめている。
「ヴァンさんって結構そういう所はドライですよね……それじゃあ、結局、勝負はどうなったんですか?」
「あと一歩って所まで追い詰めたんだが、そこに雇い主のトコの本当の選手が到着しちまってな、交代しろっていうから交代したら瞬殺されて終わっちまったよ」
さらっとヴァンの口から告げられた大会の結末。それを聞いた生徒達の口からは安堵の言葉が漏れる。
「そっか、じゃあこのプリシラさんは賞金を手にいれることができたんだ」
「やっぱり、境遇を聞かされちゃうとプリシラちゃんを応援しちゃうよねぇ……」
「俺の方は、試したかったことが上手くいかなくて骨折り損になったがな」
プリシラの肩を持つ発言をする生徒達に反してヴァンはあくまで興味が無さげだ。そんな彼の言葉にシャルロットが質問する。
「でも、不正気味とはいえ一応はヴァンは準優勝なんだよね? 賞金は貰えたんじゃないの?」
「あー、それは……まぁ、気にするな。違約金ってのを貰えたし金に関しては何とかなったから、さっさとウェンディと次の町に向かったよ」
シャルロットの質問に対して歯切れの悪い言葉を返すヴァン。実際、彼女の言う通り準優勝の賞金はヴァンに渡されたが、彼はそれを全てプリシラに渡してしまったのだ。別に妙な正義感が芽生えた訳でもなければ孤児達の境遇に同情した訳でも無い。ヴァン自身、理由を問われても上手く答えられない。本当に『なんとなくそうしようと思った』としか言いようがないのだ。だが、その言葉を聞いたシャルロットは何かを察したのか、どこか不機嫌そうな表情になる。
「ふーん、そうなんだ……」
「……おい、何を納得してる。」
「……別に? 唯、ヴァンは。こんな可愛い女の子がわざわざ追いかけてきてくるような事をしてあげたんだなあ、と思って」
恐るべきは女の勘か、真耶同様写真に写るプリシラから何かを察したのかシャルロットの機嫌は絶賛下降中だ。
「お前、何か勘違いしてないか?」
「勘違い? じゃあ聞くけどプリシラさんはなんで一度は別れたヴァンをわざわざ追いかけてきたのかな?」
ジト目でヴァンを見つめるシャルロットにヴァンはめんどくさそうな表情を浮かべる。
「あー、アレだ。もう一度戦う約束をしてたからとか言ってた筈だ」
再開した直後に、何故付いてきたのか問いかけたヴァンに対しての彼女は、そう答えた。その後、ヴァンの旅の理由とカギ爪の男の計画について知った彼女は、それが孤児院の子供達も巻き込む程の大規模な物だと知り、本格的にヴァン達の戦いに協力することになる。自分に協力した所で、賞金など出ないと言ったヴァンに対してプリシラは、笑いながら返答した。
『賞金? やだなぁ、ヴァン、変なこと言わないでよ。賞金の為じゃない。ブラウニーはね、いつも誰かを守る為にだけ戦うの』
そんなプリシラの事を思い出していたヴァンだが、彼の説明に納得できないのかシャルロットは威圧的な笑顔のまま追求を続ける。
「し た の? そんな約束」
笑顔に有無を言わせない迫力を上乗せしたシャルロットの言葉。
「……いや、正直覚えてない」
「……へぇ」
犯人の動かぬ証拠でも見つけたかのような表情をしたシャルロット。それでも彼女は何かのスイッチでも入ったかのように止まらない。
「ねぇ、ヴァン?」
「……なんでしょうか?」
「ヴァンってさ、この学園の女の人の名前ってどれくらい覚えてる?」
「どれくらいって……えぇっと、まず真耶だろ……ありゃ? 真耶だけだな」
「え? わ、わたしですか!?」
考え事をしていた所に急に話を振られて慌てる真耶。
「でも、この写真の人達の名前は結構おぼえてるよね? ウェンディちゃん達の名前を覚えるのにどれくらい掛かったの?」
どこか探るようなシャルロットの質問。その意図がわからないヴァンは戸惑いつつも返答する。
「いや、どれくらいと言われてもな……別にわざと覚えてなかったわけじゃなかったし、気付いたら呼ぶようになってたから自分でもわからんぞ」
その言葉に嘘は無い、ヴァンは元々、記憶力が良い方ではなく、興味を持った事以外のことを覚えようとする気力無い。それに加えて、異性に対しての興味が薄いことから女性の名前を覚えることを特に苦手にしている。実際、彼が現在名前を覚えている女性の数は片手で数えられ程しかいない。しかし、ヴァン自身は決っして意図して名前を覚えなかったり呼ばない訳ではないので、本人からすれば、いつの間にか名前で呼ぶようになっていたという認識しかないのだ。もっとも、彼から名前で呼ばれた女性達は全員が彼に対して特別な想いを抱いており、何名かは彼に初めて名前を呼んで貰えた時の事が大切な思い出になっていたりするのだが……。
「そ、そうなんだ。山田先生も覚えて貰うまで一カ月掛かったって言ってたし、そう考えるとウェンディちゃん達も覚えてもらうまでには結構掛かったのかな?」
真耶からヴァンが女性の名前を覚えないことについては昨日聞かされたものの、それから何度も名前を覚えないヴァンに事あるごとに「なんて言ったっけ、お前?」と自分の名前を尋ねられ内心で凹み気味だったシャルロットはヴァンの言葉からウェンディ達もすぐに名前を覚えてもらえた訳ではなさそうなことを察したのか少し落ち着いて安堵の表情を浮かべる。折角、意を決して本名を伝えた異性がまるで自分の名前を覚えない事に女として色々と思う所があったのだろう。
「ウェンディの名前? そういや、いつから呼ぶ様になったんだっけな……駄目だな思い出せない。名前のことで何度かヘソ曲げられたことはあったと思うが……」
やはり、思いだせないヴァン。実は、ヴァンに名前を呼ばれる切っ掛けとなった、出来事はウェンディにとっては『その事件があったから旅を続けられた』と言う程のとても重要なものだったりするのだが、そのことをヴァンが知る由も無い。
「あはは……なんとなくウェンディちゃんの気持ちが分かるかなぁ」
彼女も中々、名前を呼んでもらえずやきもきしたのだろうなと思い苦笑するシャルロット。
「焦ることないですよデュノアさ…くん。 私も最初は『嫌われてるのかな?』って思うくらい何度言っても覚えてもらえませんでしたから」
苦笑するシャルロットに真耶から励ますような声がかかる。
「そんなに気にするようなもんかね? いつ名前で呼んでもらえたかなんてよ」
理解できんと言うようなヴァンの言葉。
「「気にするんです!(だよ!)」」
速攻で切り返してくる真耶とシャルロット。
「あ、はい」
その剣幕にヴァンはこれ以上余計な事を言わない様に賛同する。
「ヴァンさんってば……人の気も知らないで……」
「そうだよヴァン、無神経だよ」
「スイマセン……」
俺が何をしたというのだ、と内心で溜息をつくヴァンだが、口には出さない。こういう時の女は下手に突っつくと余計に機嫌を損ねるのだということを、覚えの悪い彼なりに学習した結果である。
「まったく、いつから名前で呼んだかなんて覚えてないだろ普通は……あ」
「どうしたんですかヴァンさん?」
何かを思い出したようなヴァンの声に真耶が声をかける。
「いや、そう言えばプリシラを初めて名前で呼んだ時だったら思いだせるなと思ってな」
その言葉に反応する2人。
「「え?」」
驚いた表情の2人だが、そこに薫子から声がかけられる。
「ほほう? やはりプリシラちゃんは特別な感じだったりするんですか?」
「いや、特別というか……名前を覚えたのは出会ってすぐだったからな。ウェンディ達より思い出しやすい」
直後、驚愕の声が響く。
「「えええええ!?」」
「……いきなりデカイ声だしてどうした、お前ら?」
「で、出会ってすぐですか……?」
ヴァンに問いかける真耶、その声は心なしか震え気味だ。
「ああ」
そんな彼女の気持ちを察する訳もなくヴァンはさらりと肯定する。
「す、すぐっていうのは、具体的にはどれくらい?」
笑顔が引き攣るシャルロット。
「顔合わせた次の日の決勝戦の時だよ。 いや、変わった奴だとは思っていたが、中々面白い奴だったからな。名前を聴いておこうと思ったんだが……ってどうした真耶?」
ズーンと負のオーラを背負った真耶の存在に気付いたらヴァンは、話を中断し声をかける。
「翌日……私は一カ月間に何回も名乗ったのに……プリシラさんは翌日……しかも、一回で……」
余程、ショックだったのかヴァンの声が耳に届いていない様子の真耶。
「なんだありゃ?」
そんな彼女にヴァンは訳も分からず困惑する。その一方でシャルロットも……。
「一回……? 僕は昨日から何回も名乗ってるのに……?」
「お前もかよ……」
同じくショックを受けたのか俯くシャルロットにヴァンは呆れた表情で見つめる。そんな状況に薫子は乾いた笑いを漏らした。
「あはは……ヴァンさんって無自覚に人を翻弄しますよね。それにしても、話を聞いてるとプリシラちゃんとは知り合ったのが一番最後なのに、仲良かったんですね」
他の面子と異なり自分から名前を尋ね、すぐに覚えたヴァンの対応に扱いの差を感じたのか薫子は思ったことを口にする。
「意外よね。 アンタって、あまり自分からは他人に近づいていかないタイプだと思ってたわ」
その薫子の意見に鈴も同意した。
「いや……別に仲が良かったってわけでもないんだが…… まぁ、話しやすい奴ではあったな。ヨロイ乗り同士で話せる奴なんて早々いなかったしな。」
「いや、アンタ……レイさんやエルドラのお爺さん達もヨロイ乗りでしょ?」
「爺さん達の話しはよくわからん……レイの野郎に関しては言うまでもないだろ……」
基本的に熱血・気合・正義という暑苦しい言葉ばかり使うエルドラチームのヨロイ乗りとしての助言(からみ酒&昔話)はヴァンには合わなかったし、レイに関してはヨロイについてを仲良く語り合うような間柄では無い。それに比べれば、プリシラはヨロイを操る感覚的な部分でヴァンに近い物を持っており、ヴァンとしても話し易いタイプだった。
「成る程……しかし、それにしてもこの写真のプリシラさんを見て、何も無いというのは、納得できませんねぇ……本当は何かあったのではないですかぁ♪、ヴァンさん?」
写真の中で親しげにヴァンの腕に手を絡めているプリシラを見て、やはりヴァンの、説明の内容だけでは納得できないのか、薫子はニヤニヤしながらプリシラとの関係について、追求してくる。
「だから、何も無いって……」
「えぇ〜? だってプリシラちゃん、どう見てもヴァンさんにアプローチしてるじゃないですか。なんというか、こう……別れ際に、ロマンチックに告白! みたいなのがあったんじゃないんですか!」
「しつこい奴だな、何も無いと何度も……あ」
鬱陶しそうに答えるヴァンだったが、何かを思い出したのか、その言葉が止まる。その彼の反応を薫子は見逃さなかった。
「その反応! あったんですね! 告白イベントが! 」
テンションを上げて追求する薫子。周りの生徒達も黄色い声を上げている。
「あー、いや……まぁ、ありました……ハイ」
『ええええええええええええええ!?』
そのヴァンの言葉に食堂から驚愕の声が響き渡った。
その言葉に生徒は更に盛り上がる。特に強く反応するのは、やはり真耶とシャルロットだった。
「こ、告白!? 告白されたんですかヴァンさん?!」
「へ、返事は!? なんて答えたの!?」
かなり焦る二人はヴァンを問い詰める。
そんな追求に対してヴァンは歯切れ悪く答える。
「……伝え忘れた」
『え?』
ヴァンの言葉に固まる一同。
「いや……だから。先に片付けなきゃならないことがあったから、それを済ませたら返事をするってことになってたんだが……」
その言葉に何かを察した鈴が、問いただすような口調で問いかける。
「まさか……アンタ……返事をするのを忘れたまま、別れたんじゃ……」
「……スイマセン」
その言葉に女性陣達が爆発した。
UAが五万超えたし特別篇的な物でも書いてみようか? でもネタが湧かないという……
遅くなりましたが、ヘボ小説ですが、今年もIS×SWORDをヨロシクお願いします。