IS×SWORD   作:フジ

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「すごい!新しいお友達が一杯です!」

そんなテンションで書き上げた9話目の投稿です


episode Ⅱ ツインズ・ガード ②

episode Ⅱ 『ツインズ・ガード』②

 

教師と代表候補生の実戦演習を終え生徒達は、ISでの歩行訓練を行う為に教師や専用機持ち達を中心にグループを作ろうとする。

 

しかし……

 

「織斑君! 私と同じグループに!」

 

「デュノア君、手取り足取り、優しく教えてね!」

 

「ちょ!? 抜け駆け!」

 

「早いもの勝ちよ!」

 

欲望を隠そうともしない女子グループが男子である一夏とシャルルの元へグループを組もうと殺到する。

 

「……なんだ、ありゃ」

 

「やはり、こうなるのか……ハァ」

 

女子高生のノリに着いていけないヴァンと、一夏の女性絡みが相変わらずな事に嘆息するレイ。

 

「遊んで無いで出席番号でグループに別れんか! さっさとしないと、グラウンド50周に授業を変更するぞ!」

 

『は、はい!』

 

業を煮やした、千冬の一声で生徒達は素早く出席番号番号順に別れて行く。

 

一夏とシャルルのグループになった生徒達が喜びの声を上げる中、真耶のグループになった生徒達からもまた歓迎の声が上がる。

 

「宜しくお願いします! 山田先生!」

 

「さっきの実戦演習凄かったです!」

 

今まで、生徒達からは持ち前の優しさから親しまれていたものの、主張の弱さや多数のドジから良くも悪くも、教師としての威厳に欠けていた彼女だが、クラス対抗戦での奮闘や先程の専用機2機の撃破は生徒達の間での真耶の評価を上げるには充分過ぎるものだった。

 

「はい! 任せてください! 皆さんの力になれる様、頑張りますからね」

 

嬉しそうに笑いながら生徒達に返答する真耶の姿を、授業全体の指揮をとっていた千冬は、いつもは堅い表情を緩めながら見つめていた。

 

「どうかしたのか、千冬?」

 

そんな彼女に隣に立っているレイから声がかかる。

 

「あぁ、最近の山田君の変化は良い傾向だと思ってな」

 

「以前から実力はあった様に見えるが?」

 

「彼女の実力は本物だ。たが、どうにも緊張に弱く本番が苦手でな、ここぞという時にミスをしてしまっていたんだ。元々、気が強いタイプでは無かったんだが、そういったミスで自信の無さに拍車がかかっていた。だが……あの男が現れてから、言動に力強さを感じさせられるようになったよ」

 

「……奴の影響だとでも?」

 

欠伸をしながらやる気の、無い瞳で授業を見守っているヴァンに視線を向けるレイ。

 

「ヴァンの情報を見た時、お前と同じ場所から来たことは確信したが、まさか、お前の知り合いだったとはな……仲間だったのか?」

 

「仲間ではない」

 

「じゃあ、何だ?」

 

「さぁ……何だろうな」

 

同じ境遇にありながら、ライバルと言える程、お互いに興味など無かったし、競争相手などと言う程、爽やかな関係でも無かった。寧ろ、お互いに気に食わないと思っていたくらいだ。

 

「そうか……まぁ、兎に角、あの男は山田君を良い方向に変えてくれるだろうさ。本人にその気は無さそうだがな」

 

「何故、そう思う?」

 

「お前に出会った私がそうだったからな……」

 

「……俺は、あの男とは違う」

 

「確かにな、色々な意味で正反対だと思うよ。だが、私には、お前達はどこか根っこの部分が似ているように思えてな」

 

「それこそ悪い冗談だ」

 

「フッ……そうかもな」

 

いつにも増して仏頂面のレイに千冬は、思わず微笑む。その時、レイが何かに気づいたような反応を見せた。

 

「やれやれ……初日から面倒な」

 

「どうしたレイ?……あれは、ボーデヴィッヒか……」

 

各グループの生徒が教師と専用機持ちの指導の元、訓練機で歩行訓練を行う中、ラウラのグループだけは、ラウラが指示を出さずに無視を決め込んでおり生徒達も困惑している。そしてラウラの目は、明らかに千冬と話すレイを睨んでいた。

 

「はぁ……全く、アイツは……」

 

「確か、ドイツにいた頃の教え子だったか?」

 

「あぁ、実力は確かなんだが協調性に欠けていてな。仕方ない、少し注意してくる」

 

ラウラの様子に溜息をついた千冬は教師として、注意すべくラウラのグループへと歩みを進めようとするが……。

 

「……いや、俺が行こう」

 

「だが、アイツは……」

 

「どのみち学園で生活して行く以上、毎回お前が、対応するというわけにはいかないんだ。それに、一々お前が構うとヤツは、つけあがるぞ」

 

そう言ってレイはラウラのグループへと歩みを進める。

 

「あ……ラングレン先生」

 

「何をしている? 専用機持ちの指導で歩行訓練を行えとゆう指示が出されていたはずだが?」

 

「す、すみません! その……ボーデヴィッヒさんが……」

 

「なるほど……それで? どういうつもりだ、ラウラ・ボーデヴィッヒ?」

 

生徒達に事情を聞いたレイはラウラへ質問する。

 

「レイ・ラングレン……! フン……この程度の基礎など出来て当然だ。 一々、指導しなければならないレベルではない。できないのなら、ソイツはこの学園に居るに値しない。」

 

一瞬、レイに対して怒りを露わにしたラウラだが、それを抑えると、訓練の、指導を行わない理由を口にする。そのあんまりな言い分にラウラのグループの生徒は辛そうな顔をした。

 

「ほう……?学校というのは、出来ないことを学ぶ為の場所なのだが、仮にも千冬から指導を受けたお前が、そんなつまらん事もわからんとはな 」

 

「なんだと貴様!」

 

「もういい……このグループの指導は俺が行う、お前はさがっていろボーデヴィッヒ」

 

「ISを呼び出していない状態で指導するつもりか? ハッ! 口先だけの教導など……」

 

「何もしない奴がいるだけよりは、マシだろう。このまま好き勝手されては千冬の指導にもケチが付きかねんしな」

 

「私が、教官の顔に泥を塗るとでも?」

 

「本気で自覚が無いのなら、やはりお前には任せられん」

 

「チッ……いいだろう。今回は指示に従ってやる。 オイ! 訓練を始めるぞ」

 

流石に敬愛する千冬の評価を下げる真似はしたくないのか、ラウラは渋々訓練を開始する。その様子にラウラのグループの生徒達は安堵の表情を浮かべた。

 

「ラングレン先生、ありがとうございます。助かりました」

 

「気にするな、また何かあったら報告しろ、俺が何とかする」

 

「は、ハイ!」

 

そう言って去っていくレイに何名かの生徒達は、感謝を告げる。その中には、熱い視線を向ける者もいた。

 

「随分と人気者じゃないか……」

 

そんな光景を見ていた千冬は面白く無さそうにレイへと、声をかける。

 

「何を怒っている? 大方、男が珍しいだけだろう……」

 

そんな千冬の態度にレイは困惑した。

 

「どうだかな……それと、済まない…手間をかけさせた。 本来なら私がボーデヴィッヒを……」

 

一転、しおらしくなる千冬。

 

「あの様子では、お前だけが直接注意した所で、アイツは自分に都合良く受け止めるだけだ、俺もボーデヴィッヒには注意を払う。一人で抱え込むなよ」

 

「あぁ、ありがとうレイ」

 

 

 

----------------------------------------------------------

 

「へぇ……あの野郎がねぇ……」

 

そんなレイと千冬のやりとりを見ていたヴァンは、思わず声を漏らす。

 

「どうしたんですか、ヴァンさん?」

 

生徒達の訓練を一通り終えた真耶がその様子に気づき声をかけた。

 

「いや、あの野郎の態度が少し意外でな。 まぁ、大したことじゃない、気にするな」

 

「織斑先生とラングレン先生の事ですか? 何か良い雰囲気ですよね、もしかして付き合っていたりするんでしょうか?」

 

「……あの女がどうかは知らないが、レイの野郎に、その気は無いだろうさ」

 

「え? それってどういう……」

 

ヴァンの言葉に疑問を持った真耶は、その意味をヴァンに問い掛けるがヴァンは誤魔化すようにその話を打ち切る。

 

「さぁな……しかしアレだなISってのは、どれも二本足で歩けるんだな。」

 

「む……誤魔化しましたねヴァンさん。……まぁ、言いたくないならいいですけど……。 えっと、質問にお答えするとYesですね。 機体によっては多脚の物もありますが基本的にISはパワードスーツなので人間の動きに近い動作が可能です。当然と言えば当然ですけどね」

 

「そうか? 俺の世界で二本足で歩けるヨロイなんて一握りだったぞ?」

 

「そうなんですか? でもヴァンさんのヨロイは、ISよりも人間に近い動きをしていた様に見えましたけど?」

 

「まぁ、ダンはヨロイの中でも特別らしいからな、二本足で歩く事ができたのは、ダンと同じタイプのヨロイと爺さん達の『エルドラ』くらいだったな」

 

ヴァンが扱っているダン・オブ・サーズデイを含むオリジナルセブンのヨロイは、G-ER流体と言われる、電気を流す事で液体から個体に変化する特殊な流体を駆動系に使用されており、これにより人間の筋肉の動きを再現し、直立二足歩行を、可能にしている。それ以外のレプリカヨロイは多脚の物やキャタピラかローラーを使用している物が、主流だった。例外として流体技術を使用する改造がなされた『エルドラソウル』というヨロイが存在するが、それでもヴァンが知る中で二足歩行が可能なヨロイは両手の指の数にも満たない。

 

「数mのパワードスーツと20m近い巨大ロボットでは単純に比較は出来ないと思いますけど……そう考えると、やっぱりヴァンさんのヨロイって凄いんですね」

 

「まぁな、何たって『エレナ』が関わっていたヨロイだからな」

 

どこか誇らしげに大切な物について語るようなヴァンの表情。 彼にそんな顔をさせる存在に、彼に惹かれている真耶は少しだけ胸を痛める。

 

「……え、えっと、ヴァンさん?その『エレナ』って方は……」

 

ヴァンの口から出た女性の名前が気になった真耶は、ヴァンに問い掛けようとするが……。

 

「よし! 今日の授業は、此処までとする。全員、早く練習機を片付けろ! 」

 

授業の終了を告げる千冬の声に真耶の質問は遮られた。

 

「お? もう終わりか、思ったより早いもんだな」

 

「そ、そうですね! では私達も片付けて次の授業に、備えましょう!」

 

タイミングを、逃してしまった真耶は、結局、『エレナ』について聞くことは出来なかった。

 

----------------------------------------------------------

 

そして、時間は過ぎ放課後、ヴァンと真耶、それにシャルルの三人は生徒達が生活する学生寮の一室の前にいた。

 

「俺が、こいつと同室? なんでそうなる……」

 

「すみませんヴァンさん、元々、女子校ということもあり男子の部屋が用意できなくて、ラングレン先生は一夏君と同室になったので、消去法でこうなってしまって」

 

「別に俺は野宿でも……」

 

女子寮などという、落ち着かない場所に住むくらいならいっそ野宿の方が良い。復讐の旅の中では野宿など当たり前だったことからヴァンは、そう思い真耶に提案するが……

 

「ダメですよヴァンさん! 此処で働く以上、大人として生徒達の手本になるように清潔でまともな生活を心掛けてください。」

 

「……お前、最近俺に容赦が無くなってきてないか?」

 

ヴァンは真耶の言葉に面倒そうに答える。

 

「デュノア君とヴァンさんを同室にする提案をしたのはラングレン先生だったんですが、どうしても嫌なら年齢の近い人同士に変更しますか?」

 

「(あの野郎、また俺に面倒を押し付ける気か……)チッ……奴と同じ部屋になるくらいならコイツとで良い……」

 

旅の、中でも何度かレイに良いように利用された事を思いだしたヴァンは舌打ちしながらも観念してシャルルとの同居を受け入れる。

 

「良かった……ではヴァンさん、デュノア君、私の部屋は隣なので何かあったら遠慮無く訪ねてくださいね。あと、ヴァンさん、女子寮だからってエッチな事をしちゃダメですからね!」

 

「まだ言うかお前……」

 

そう言って自室へと去って行く真耶。真耶はヴァンの監視担当ということもあり2人の部屋は彼女の部屋の近くとなっている。

因みに一夏とレイの部屋も寮長である千冬の部屋の側にある。

 

「さて、飯まで時間があるし少し寝るか……」

 

そう言ってヴァンは部屋へと入りすぐさまベットに横になる。

 

「え、えっとヴァンさん? 僕と同室が嫌だったのなら、僕が織斑君と入れ替わるように先生に頼みます?」

 

先程のヴァンの態度を見て自分と同室が嫌なのかと思ったシャルルはヴァンに問い掛ける。

 

「別にいい……それとお前はレイの奴と同室になろうとするのはやめておけ。ただじゃ済まないぞ」

 

「え、それってどういう……」

 

「さぁな……」

 

ヴァンの言葉の意味を訪ねるシャルルだがヴァンは、それ以上、答えようとしない。

その空気に耐えられなくなったシャルルは、口を開く。

 

「そ、それじゃあ僕は、少しシャワーを浴びてくるよ。えっと……だから……あがるまで入って来ないでね?」

 

「興味ねぇって……いいからさっさと入ってこい」

 

「う、うん、そうするよ」

 

そう言ってシャルルはシャワーを浴びに行った。

 

それから数分後、部屋の扉が、ノックされる。

 

「はーい、どちら様ですか?」

 

「ヴァンさんですか? 真耶です入って宜しいですか?」

 

「あぁ、大丈夫だぞ。」

 

「では、失礼します。」

 

そう言って真耶は、部屋へと入ってくる。

 

「それで、どうしたんだ?」

 

「伝え忘れたことがありまして、えっと、ヴァンさんは学園に正式に雇われることになりましたよね」

 

「まぁ、そうだな」

 

「なので、今まで学園側で預かっていたヴァンさんの私物は明日返却するということをお伝えしようと思って」

 

「そうか、わざわざ悪いな」

 

「気にしないで下さい、それからコレです」

 

そう言って何かを取り出す真耶。

 

「あ? なんだそりゃ?」

 

「何ってボディソープですよ。この部屋を用意する際に置き忘れちゃいまして、今はデュノア君が入ってるみたいなので男性のヴァンさんが渡して貰っていいですか?」

 

「あー、いや、それはやめといた方が……」

 

その言葉に急に歯切れの悪くなるヴァン。

 

「? どうしてです?」

 

「いや……だってお前、エッチなのはダメだと」

 

「何を言ってるんですか? ほら、早く渡さないとデュノア君が困っちゃいますよ」

 

「お、おい押すなって! だから、今俺が渡そうとすると面倒な事に……うぉっ!」

 

「きゃあ!」

 

浴室の近くにて押しあっていた2人だが、体制を崩し勢いよく扉へと突っ込んでしまう。

そして……

 

「な、なに? え……きゃあああああ!」

 

「痛たた……えっ?」

 

「あー、だから言ったんだ……」

 

浴室へと突っ込んだ2人の前にはシャワーを浴びる少女がいた。

 

 

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それから数分後。学園用のジャージを、着てベットに座るシャルルに反対側のベットに座った真耶が質問する

 

「えっと、じゃあデュノア君は女の子だったんですか?」

 

「見りゃわかるだろ……」

 

真耶の質問に壁に寄っかかったヴァンが割り込む。

 

「え? ヴァンさんは僕の正体に気づいてたんですか?」

 

その事に驚くシャルル。

 

「あ? どうみても女だろ。それくらいなら俺にだってわかる。恐らくはレイの野郎も気づいてるぞ」

 

「そっか……はは……初日だって言うのに大失敗だ」

 

無気力に笑うシャルルに真耶が問い掛ける。

 

「その……デュノアさんはどうしてこんなことを?」

 

「それは……」

 

そして、彼女の口からその理由が語られた。

 

デュノア社はISのラファール・リヴァイヴという汎用性の高い第二世代型ISを開発しIS業界でのシェアの割合こそ現状でもトップクラスではあるが、第三世代の開発が難航し、経営が悪化、苦肉の策として社長の実子でありフランスの、代表候補生であるシャルルを男性操縦者に仕立て上げ、広告塔と学園での情報収集を目的として送りこんだのである。

 

「ひ、酷いです! 何で自分の子供をそんな道具みたいに……」

 

自分の為に激昂する真耶に少しだけ笑顔を見せ、シャルルは話を続ける。

 

「僕は……愛人の子なんです」

 

デュノア社の社長と愛人の間に産まれたシャルルはそのことを知らず、ずっと母親と2人で暮らしていた。決して豪華な生活では無かったが、それでもシャルルは幸せだった。しかし、二年前に母が病で急死し、彼女の人生は一変した。

 

途方に暮れる彼女の前に現れた父親を名乗る男はシャルルを引き取った。しかし、それは、シャルルに高いIS適正があったからだった。ISの開発の為に道具の様に扱われ、父親と会話をしたのは片手で数えられる程しかなく、正妻からは、泥棒猫の娘として暴力を振るわれた。

そして今度は男装し偽名を名乗らされスパイ紛いの行為をしろときたものだ。ヴァン達に正体がばれた以上、彼女の行為は下手をすれば国際問題になり、シャルルは牢屋行きになるだろう。

 

「そんなことさせません!」

 

シャルルの話を聞いた真耶は力強く告げる。

 

「どんな事情があっても、貴方は私の生徒です! それに子供を使い捨ての道具にするなんて絶対に許せません!」

 

「山田先生……」

 

真耶の言葉に涙を浮かべるシャルル。

 

「私達が貴方の力になります!」

 

そう言う真耶だが……

 

「俺は嫌だね」

 

ヴァンから告げられた言葉は冷たかった。

 

「え……そんなどうして……」

 

彼の優しさを知る真耶から信じられないというような声が漏れる。

 

「気に入らないからだ。情報収集ってことはコイツはダンのデータも盗もうとしていたんだろ」

 

その言葉にビクリと体を震わせるシャルル。

 

「でも、それは命令されて仕方なく……」

 

「本当に嫌ならやらなければいい、別にその社長とやらの子供にならない道だってあったし、本当に嫌ならそんな家飛び出しちまえば良かったんだ。それでも引き受けたって事は、状況に流されて社長とやらの子供でいる方がマシだと思ったからだろ。これはソイツが選んだ道だ。その先でどんなことが降りかかろうがソイツの責任だろ」

 

「シャルルさんは、まだ子供です! 誰かに守って貰わないと生きていけないのが当たり前なんです! 簡単に一人で生きていけなん言わないでください!」

 

「やってみなければわからないだろそんなモン」

 

少なくともヴァンはそうやって生きてきた。親の顔も知らず、無法地帯である囚人惑星で一人で生きてきた。自分の事を可哀想だと思ったことなどないし、選んだ道の先で、どんな障害にぶち当たろうと、受け入れて突き進んできた。

 

「ソイツを助けたいならお前が勝手にやれよ、少なくとも俺は、流されるだけで自分の人生すら背負わないで他人に委ねる奴に手を貸すつもりはない」

 

「ヴァンさん!」

 

言い合うヴァンと真耶。そしてヴァンの、その言葉に今まで俯いていたシャルルの感情が爆発した。

 

「……ずるいよ」

 

「あ?」

 

「ずるいよ! そんな風に言えるのは貴方が強いからだ!クラスの皆から聞いたよ! 生身でISの腕を、切断して、空から現れた見たこともないISで、アリーナに現れたISを簡単に破壊したって! けど、僕にはそんな力はないんだ!」

 

だが、そんな彼女の言葉にもヴァンは冷たく返す。

 

「ずるくはない。俺は『誰の』為に『何を』するのか『自分』で決めている。今のお前には俺が助ける『理由』が無い。」

 

ヴァンは冷酷ではないが決して「たすけるのに理由なんていらない」というタイプの人間ではない。寧ろ、彼は『理由』を重視する人間だ。

 

「社長とやらの命令が、本当にやりたくないことならお前も、もう少し考えてみろ、自分に何ができるのか」

 

その言葉にシャルルは再び俯く。

 

「できること……僕に……」

 

彼の言う通りだとシャルルは思う。

結局、自分は一人で生きていくのが怖かったのだ、だから道具扱いされても社長の子供という立場にすがりついた。状況に流されて、自分で何一つ掴もうとしていなかった。

自分の人生なら、自分の選んだ道なら、その選択の結果で襲い掛かってくる物は自分が背負わなくちゃいけないことなのに……

 

「(だから覚悟を決めよう。 道具扱いの日々に、流されるだけの人生を終わらせよう。例えどんな結末を迎えても、どれだけみっともなくても、それが自分の選んだ道だと胸を張れるように)」

 

そして彼女は告げる。

 

 

 

 

「僕……僕……貴方の……お嫁さんになってあげる!」

 

 

 

 

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